文章をUPします。批評お願いします。
猫が噛み付いている。指に噛み付いたまま離れない。噛み付いたまま
指先からぶらぶらぶら下がりそうな勢いだ。牙は食い込んだまま
離れる気配がない。正直言って、かなり痛い。指には穴が開いている
ことだろう。隆は憎憎しげに猫を見下ろす。猫のほうでも隆を見上げて
いる。しかし、困ったことには猫にさしたる悪意はないようだ。くるくる
の丸い目で隆を見上げているのである。正直言って,かなりかわいい。
しかし、痛い。牙は食い込んだままだ。痛さはいかんともしがたい。
それに,このまま叱らずに置けば必ずや仔猫はじゃれつくたびに
容赦なく噛み付く大人猫になる。
隆は子猫の頭をぶつことにする。しかし、噛み付かれたまま猫の頭をぶてば
かなり痛そうである。隆は考える。考えた末に、猫の口の両脇から
噛まれていないほうの手指を入れて、てこの原理でその頤をこじ開けること
にする。ミッションスタート。猫は指を入れられるとすぐに、「あが」
といって首を振り振り口をあけた。隆は間髪入れず、猫の頭をぶった。
猫は尻尾を丸めて「ふぎ」となき、耳を寝かせたまま全速力で逃げ出した。
隆は穴の開いた指を丁寧に水道水で洗い,マキロンで消毒をした後、
オロナインを塗ってばんそうこうを貼った。
数日後、仔猫をくれた友人にその話をした。友人は言った。
「猫をしつけるときはぶつんじゃなくてね、大声で怒鳴ったほうが
いいんだよ。」
仔猫は隆にしつけられ,以来、隆の指を穴が開くほど噛んだりはしない。
隆は友人の忠告を守り、猫をしつけるときにぶつのをやめ、かわりに
大声で怒鳴っている。