この三語で書け! 即興文ものスレ 第八層

このエントリーをはてなブックマークに追加
323名無し物書き@推察中?
「無言電話」「笑い」「ピンク」

闇の中を走る女。龍神家の邸宅を離れ、とあるビルに忍び込む。
「今回も、僕の計画は完璧だった。何一つ手抜かりはなかったんだ……」
女は呟く。その独白に反して、事実は探偵とのゲームに負けていた。
龍神家のルビーは彼女の手元にはない。どこか、計画に見落としがあったのだろうか。
そう思ってから首を振る。「僕の計画は完璧だった……」
入り込んだビルはデパートで、一階の衣料品コーナーを女は走っていた。
裸体のマネキンが、四方八方に林を形成している。
「止まれっ!」 女の後ろから鋭い声が響く。銃声と、足元に散った火花を見て、女はようやく立ち止まった。
現れたのは探偵だった。ブラインドの隙間から滑り込む月光に、女の顔が浮かび上がった。
探偵は息を飲んだ。「君が、蜘蛛だったのだね……」
女は凍れる笑みを浮かべる。「僕を撃たないのかい」
「こいつにはあと二発の弾丸が残っている……」 探偵は右手のトカレフを持ち上げて見せた。
「しかし必要とするのは一発だけだ。それで事は足りる」
言葉が終わらぬうちに、女の脚が宙を舞う。二回目の銃声。彼女は肩を抑えて崩れ落ちる。
「さあ、早いところ撃ってくれよ」 彼女は言った。探偵は苦笑した。
「二発というのはハッタリでね……実際は、今ので尽きてしまったのだよ」
女は少しためらい、だが結局はその場から逃げ出した。探偵は自分の不甲斐なさを呪って銃を撃つ。
でたらめの方向に放たれた弾丸は、マネキンの頭を破壊した。