この三語で書け! 即興文ものスレ 第八層

このエントリーをはてなブックマークに追加
284名無し物書き@推察中?
「つまり僕は推理の限界に挑戦したいんだよ」 と、武田が物憂げにぼやいた。
「推理の限界?」 片方の眉を吊り上げて、首を横に振るノドカ。 「尋常じゃないわ」
二人は横浜環状線を乗り継いで、ローカルの小編制列車に揺られていた。
「それにしても軋み過ぎなのよ。ボロいのよ、このトレインは」
「お嬢様気分じゃ困るんだよ」 武田は眉根を寄せて不機嫌に拳を額に当てた。窓に視線を移す。
「いいかい、これから僕らは観光旅行に行くんじゃないんだぜ。怪盗を追ってるんだぞ」
「時代遅れなのよ、怪盗なんてのは」 ノドカは武田の心情を無視して酷評した。「ばっかみたい」
「ばかみたいでも何でも結構だけどね。黙っててくれ」
列車は静かに線路をすべって行く。時折揺れるが、乗客が少ないせいか車内の空気は動かない。
「一つ言わせてもらえば」 視線をノドカに戻す少年探偵。
「それらがみんな時代遅れだと言うなら、ミステリの最果ては一体どうなるんだ?」
ノドカは少し考えてから、答えを出した。
「先のことなんて、考えてる暇ないわ。興味もないし」
ノドカの言葉が終わらぬうちに、武田は再び窓に視線をやった。空ばかり見ていた。

次は「予定」「歌」「可能性」で。