作品の読後感想を読み終えた勢いそのままに書き連ねてください。
ちなみにオレが今日読んだのは、ギッシング「ヘンリ・ライクロフトの私記」(岩波文庫)。
静かではあるがしっかりとした思想が根底に流れている手記形式の良作。
読みながらとったメモがノート30ページ分にもなった。
その優れた種々の短編とともに、ギッシングには脱帽。
2 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/10 22:52
>>1 小説じゃなくてもいいんかい?
1が上げてる本は見たことも聞いたこともないもんで…
んじゃあっちと重複するが、
ジェイムズ・ジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」。
あれは本当に無理。
力が付いてから原書でチャレンジ、だな……
誰か読んだ人いる?
ああ、内容も紹介すりゃよかった。
一行目から意味の分かくらん「文字」の断片がズラズラと続く。
引用すると「く寝る岸辺から輪ん曲する湾へ、今も度失せぬ巡り路を媚行し・・・」
ってな感じ。
これがハードカバー二冊分。
死にますって、これ。
>>2 オレが挙げたのは一応手記形式の小説。
ここで触れるのは商業出版された作品のみにしましょう。
投稿サイト等の作品はなしということで。
基本的には小説のみでお願いします。
>>3 原書、はよしたほうがいいのでは?
ユリシーズは読んだの?
6 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/10 22:59
ダブリン市民は読んだけど普通に面白かった。
だけど、普通。
7 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/10 23:02
フィネガンは辛そうだね。
8 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/10 23:05
斎田憲 ◆aTYReZMM :02/08/10 22:41
信じられない事がおこった。
僕の右手だけが朝起きると大きくなっていたからだ。
身体は小学生なのに、右手だけカブレラみたいになっていた。
お兄ちゃんに相談したら
「最近テニス教えてやったろ。だからだろ。」
といわれた。
そう、お兄ちゃんは高校に行ってからテニス部に入ったといったので
僕はお兄ちゃんにすこしだけテニスを教えてもらったのだ!
「右うでばっかりつかうから大きくなるんだろ。」
お兄ちゃんが自分の手を見せながら言いました。
やっぱり右手だけが大きかったです。でも、きよ原ぐらいでした。
僕の手はどうみてもカブレラくらいはありそう・・・・・
僕はどうなったんだろう?
つづく
>>5 休みを利用してどっちか読もうと思ったんだが、
選ぶのミスったなあ・・
プルーストに行こうかとも思ったんだが。
10 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/10 23:08
プルーストって時間の無駄ジャン。
確かにいい本なのかも知れんが、ここはせっかくの休日を
楽しく過ごすために野坂昭如の「てろてろ」でも読むがよろし!
>>1 了解。
なんかみんな高尚なブンガクばっかりだなあ。
俺はエンタメ系ね。
「アジアの隼」黒木亮
専門的な領域で働いている人がこういう内幕ものを書いたら敵なし。
特にベトナム社会の描写、アジア通貨危機の臨場感が良い。
難は登場人物、組織を絡めすぎというか。整理されてない。
まあ、時間の無駄とは言えないけど、ジョイスにプルーストねえ。
単純に読んで楽しむ作品と、創作の技法を勉強するために読む作品、
それと創作をする上でなんとなく読んでおかないといけないんじゃないかと思わせる作品があるけど、
ジョイスやプルーストは三つめの部類かな、オレにとっては。けっこう苦しかった。
>>11 ごめんね。そちらもお願いします。
昨日読んだのは
J・G・バラードの「クラッシュ」。
昔からSFが好きで読んでたもので、安SFの人だと思いきや、
この期に及んですごい人だったことが発覚。
「テクノロジーに囲まれた都市自体が環境となった現代の人間」を描くとのこと。
自動車事故の衝撃とセックスのエクスタシーが全く同じものとして描かれ、
車ばっかり走ってるが、結果としてエロ小説という訳の分からない代物。
分類としてはサイバーパンク……にはいるのかな?
前半は違和感があったが倒錯的世界に没入してしまえば
異様な官能世界があなたを待ってます。
14 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/10 23:20
おれは技法のために読んでるよ>ジョイス
変かな?
>>12 俺も三番目……
筒井が「フィネガン」読んで、
「小説って何をしてもいいんだ」って気づいたとか言うのを読んで、
それで気になって手を出してみたわけだが。
エンタメ系で言うと、最近読んでたのでは
パラニュークの「サバイバー」が大傑作かな、と。
あそこまでどきどきしながら、背筋に絡みつくねっとりとした脂汗と、
読み終わったあとの「おもしろ疲れ」を堪能できたのは久々だったわ。
義務感で読むことの多くなってきたここんとこに、
本を読む楽しさを思い出させてくれたのがこれだったわ。
16 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/10 23:23
吉田修一「パークライフ」読んだ。
糞だと思ったが、不思議なことにその月の文学界で一番苦しまずに読めたのが
「パークライフ」だった。
不思議だ。素晴らしい才能のなせる技なのかもしれない。
18 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/10 23:37
いやね。文学版で糞糞言われてたから糞なんだろうと思って読み始めたんです。
クロニクル(予言する鳥)を読んだ。
結構楽しかった。
20 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/10 23:41
なんだ?ロッテワールドってのは??
ガムがパレードしたりすんのか?(ワラ
ラテンアメリカ作家・ドノーソの「三つのブルジョワ物語」(集英社文庫)を読了。
当初は投げ出しそうになったが、作者の手法を理解してからはスムーズに面白く
読み進めることができた。
現代的なテーマを扱う斬新な手法(新しいんだと思う……)と、視点の切り替えを勉強。
>1
ここは小説しか書いたらいかんのかな。もう少し
読書の幅を広げたタイトルの方がええんちゃう?
昨日は岩波を読んで、今日はノンフィクションを
読んだけど、書きにくいやん。
岩波って岩波新書? ノンフィクションって実録っぽいやつなのかな?
そういうのを創作に結びつけるってことも当然あるね、取材とか。
ふーむ。じゃあ商業出版作品全般にしましょう。よろしくおねがいします。
フランスで「失われた時を求めて」の漫画が出版されたようだね。
(ニューズウィークより)
英語版もでるとか。それ読もうかな。
「覚りと空」竹村牧男(講談社現代新書)、を読んだ。
仏教哲学って面白い。ソウカのことがあって、仏教って敬遠してたけど。
存在というものを、主体としてみないで、条件間の作用の重合現象として
とらえる。
これが「空」ってことなんだ、というのが感想です。
トマス・A・バス『「ヒト」の再発見 独創する科学者11人が語る』三田出版会 1995
科学の先端にいる人たちが、どういう思想を持って研究しているのかが
垣間見れて興味深く読んだ。彼らのバックグラウンドが見えたので、
専門的な著作へ挑戦する足がかりになりそう。
HIVの発見者のリュック・モンタニエがエイズの起源の仮説を述べるところが
面白かった。HIV-I型とHIV-II型があって、HIV-I型はアメリカで、HIV-II型
はアフリカで流行。HIV-I型とHIV-II型は非常に異なる遺伝的・生化学的特質
を持っており、分岐は少なくとも40年以上前。HIV-I型に似たウィルスは
サルからは発見されていない。らしい。最新の研究を調べてみる気になった。
町沢静夫『ボーダーラインの心の病理』創元社 1990
ボーダーライン(境界性人格障害)の核は自己同一性障害であり
一時期はやった「17歳」による犯罪、および引きこもりは全て
ここに行き着くのではないかという印象があって読んだ。
ボーダーラインの特徴の一つとして上げられる、他者評価の動きが
激しく怒りをコントロールできないという一面は、ステレオタイプ
であり、実際は鬱や神経症と複合的な形を取って現れたり、家庭環境
によっていくつかの類型に分けられることを知った。
ボーダーラインの発生は都心部に多いため、より都会的な現代社会の
構造が原因ではないかという意見に同意する。
また、実存に対する不安は、書いてて興味のある小説のテーマの
一つなので、しばらくこのテーマで一本書けないか検討することにした。
>>28 自分も科学関係の研究業務に従事してるけど、
やっぱり第一線級で活躍する人は自分なりの思想と判断基準を持ってるし、
御飯どきだろうと、酒の席だろうと研究テーマのことばかり考えてる。
彼らに言わせれば、いかに時間をかけて懸命にそのことを考えるか、が
結果に繋がるとのこと。ある程度の素地やひらめきは当然必要としても、
結果と考えた時間はおおよそ比例するらしい。
創作に関してもそうなんじゃないかと個人的には思う。
あまり関係のないレスで申し訳ないが。
31 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/12 20:17
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
佐野眞一『だれが「本」を殺すのか』プレジデント社 2001
図書館で偶然目に付いた。欲しい思ってた本だけどお金がないので、
ちょうどいいので借りて読んだ。
書店、流通、版元、地方出版、編集者、図書館、書評、電子出版のそれぞれ
の人のインタビュー。再販制度と報奨金制度、大型店の過当競争は大体知ってた
けど、生の経営者の声が聞けたのがおもしろかった。俺は冒頭に出てきた海文堂と
いう本屋が結構好きなのだが、経営者が本が好きでたまらんというオヤジだった
のがうれしかった。
それから、著者が時々、読書人の代表としての顔をしてみせるところが時々ある
のが鼻に付いた。直接言うところはなかったけど、著者が殺されると比喩した
「本」は暗に、人文・社会学系の一般にいわれる堅い本であるような印象を受けた。
また、このような良書を求める著者のような読書人と違い、消費財としての本を
求める読者像は思いもつかないような感じを受けた。本に関わる人々の中で、
両極端に居る「著者」と「読者」に対する意見はエピローグに塵ほど書かれてる
けど、この辺も少し突っ込んで欲しかった。残尿感あり・・・
>>30 前の職場でマッドサイエンティストみたいな人おったよ。俺は文系だから
専門的な話は全然しなかったけど、なんちゅーのか、長島茂男みたい
なんだよね。全然人の話を聞かないっちゅーか。あれは、頭の中で研究の
ことばかり考えていたからなのだなw
34 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/14 00:39
安部公房「他人の顔」読了。
期待してなかっただけに、面白さに発狂しそうになった。
事故で顔をなくした男が人間にとっての「顔」の意味を探る話。
その中で「仮面」によって自分の妻を誘惑し、
不貞を犯す様を(自分で)見定めよう、ってのが大きな筋なのだが・・
何度も驚かされた。これには。正直。
男の女に対する内面を鋭く描き出してるように思う。
ただ単に俺に似てただけなのかもしれないけど。
立山学『JRの光と影』岩波書店 1989
郵政民営化を控えて、国鉄の事例を知っておこうと斜め読み。
適当に読み飛ばすつもりが、なかなかスキャンダラスな内容で
頭が痛い・・・。国鉄再建監理委員会が試算した、国鉄の固定
資産の総額を当時の時価で計算すれば、評価の差益で累積債務
を消していけたとか。つまり国鉄は破産していなかったとか。
国鉄用地売却も地方のゴミ物件は売ったが、都心部は一件も
競売にかけられていないとか。
あとは民営化に伴う人員整理で国労組合員に差別があったとか。
フォークナー「熊(他三篇)」岩波文庫
著者にこのようなおだやかな語り口を使用した作品があるとは、正直意外だった。
加島祥造の訳も大きいのだろう。
他の重厚な作品とは一線を画すユーモラスで牧歌的な通過儀礼の物語。
しかしながら登場人物の根底にはフォークナーが生涯対峙したものが流れている。
とりわけ、収録中の「熊狩」で、白人のひどいいたずらにたいして二十年後に
面倒な仕返しをする黒人の動機が、「侮辱されたから仇をうつ」のではなく、
「お気に入りのセルロイドのカラー(襟首)を燃やされて、口惜しい。高かったのに」
というのが非常に印象に残った。
安部謹也『中世を旅する人々 −ヨーロッパ庶民生活点描−』平凡社 1978
中世ヨーロッパの生活に少し興味があるので読んだ。
街道・橋の発展についての社会学的考察、旅籠・居酒屋の役割。
農民の生活と、当時の社会で蔑視されていた職業についての歴史的考察。
当時の階級社会と、権利について。共同浴場、粉引き・水車小屋、パン屋、
羊飼い、肉屋。それから遍歴職人についての記述と、民話の紹介。
ジプシーの歴史は、彼らが文献に登場した15世紀の記録からナチスの
迫害までの歴史が、当時の文献をちょこちょこ引用して描かれ、なおかつ
ミステリーな部分は最後まで明かされず、なかなか面白く読んだ。
>>37 面白そうなのでオレも読んでみようっと。
しかしあまりにもオレは知らなさすぎるな、
家馬車に乗って未ださすらい続ける彼らのこと、
家馬車を降りて定住するに至った彼らのこと、
そして彼らのルーツ。
ハンドル負けしてる……
39 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/16 00:30
プルウストを読み始める。
森省二『死による別れの癒し方』丸善 1997
ターミナルケアと患者の実存に興味があるので読んだ。
作者が立ち会った臨床事例をテーマ分けして記述。覗き見趣味的で
正直自分でもあまりいい趣味だとは思わないが、将来かならず同じ
場面を体験しなければならないと思うと参考になる部分が多い。
死に対する世論の変化、子供の死生観と子供の死を取り巻く家族のケア。
告知の現状(家族告知、本人告知)と問題点。告知後のケア。
老人の死。告知後のセラピー事例多数。
かなり読みやすかったが、物足りなさもあり。
>>38 ジプシーの章はかなり俺のツボにはまったけど、20ページくらいだよw。
詳しく書かれていたわけじゃないけど、歴史研究の文献を読んでいく
下地つくりには良い具合にまとまっていたと思う。あと著者の守備範囲から
地域的にドイツ寄りの記述が多い。
それから、文中にヤン・ヨアーズ『ジプシー』という本から、ジプシーの
人生観が引用されている部分があるのだけど、そこが一番すごかった。
この本は読んでみたいのだけど、どうやら絶版らしい。
ふとしたきっかけで思い出した過去に引きずられ、熱心に読みふけった
当時を懐かしみながら中上健次の著作をぱらぱらとめくる。
いまでも一番好きな彼の作品が「枯木灘」や「千年の愉楽」を押しのけて、
「岬」収録中の「黄金比の朝」であることを認識する。
「死んだ者、生きている者に声は届くだろうか」という著者の問いかけは、
未だ機能性を保ち続けるこの国で、細々とながら頑強なものとして響くのではないだろうか。
>>41 大きい図書館になら『ジプシー』という本もあるかもしれませんな。
休暇が取れたら探してみるです。
リチャード・マクドナルド『ハンニバル・レクター博士の記憶の宮殿』関修訳 夏目書房 2001
図書館で偶然目に付いて新聞の書評に載ってたのを思い出したので読んでみた。
内容はそのままハンニバル・レクターの『磯野家の謎』。著者が専門の知的
職業であることから切り口は結構おもしろい。カニバリズムと性欲、
FBI犯罪心理捜査、中世の拷問器具、リトアニアの歴史、カッポーニ家の歴史、
神と悪魔、ニーチェの「力への意思」、ジェンダー、エディプスコンプレックスと
エレクトラ・コンプレックス、ラカン、プロファイリング、性的異常、
フェルメール、ルネサンス、クラシック音楽、食とワイン。
一つ一つのテーマは面白いのだけど、正直、適当に書き散らしたという
印象で、詰めの甘さが目に付いた。まあ、そういう本なんだけど。
塩野七生『レパントの海戦』新潮社 1987
ヴェネツィア三部作で読み忘れてたので読んだ。
一つの戦闘に収斂していく編年体形式の書き方が好き。無駄が無い。
ヴェネツィアが世界史の中心から外れてゆく最後の時代の対トルコの
権益を確保するための戦闘。ローマ教皇に働きかけ、キリスト教連合軍
を編成し、レパント沖の戦闘で初めてトルコを破る。
ロマンスが無いわけではないが、やっぱり政争と戦闘に関わる男たちの
姿がとても生き生きとしているのが読んでてわくわくする。
岡田哲『ラーメンの誕生』筑摩書房 2002
ラーメンだけでなく、日本のめん文化の発達と中国の
食文化の比較がなかなか興味深かった。ラーメンが
大衆の間に広まっていたのは、戦後からなのだが、
そこに至るまでのそば・うどんのようなめん文化が基礎
となっていたということなど、なかなか面白い。
46 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/20 23:50
彼女に読めといわれたので読んだライ麦畑でつかまえたが
全然面白くなかった。
47 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/21 02:00
はと麦のほうがいいな
松平誠『ヤミ市 幻のガイドブック』筑摩書房 1995
闇市というのは資料もほとんど残っておらず、調査もされていないので
数少ない証言や記事などで当時を推測するしかないのだが、偶然、こう
いう本を見つけたのでとても興味深く読んだ。
闇市の歴史、闇市のあやしい食い物屋、闇市とテキ屋とヤクザと華僑、
闇市建築の変化、闇市の売春宿、呑み屋、区画設計、カストリとバクダン。
正直、食い物の記述が激しく面白かった。
林望『往生の物語』集英社 2000
平家物語を登場人物ごとにまとめて、登場から死までを追う。
平家は結構好きなので読んだ。
平家物語だけでなく、同時代の他の文献も引いてきて登場人物像を
見せてくれるのがなかなか面白かった。ただ、口語訳があまりに
ひどいので要らないと思った。また、評論口調な部分もくどくて
鼻についた。原文はなかなか名場面を引用していて良かった。
鯖田豊之『肉食の思想』中央公論社 1966
すこし気になるところがあって読み返す。
フィクションとしての「自由と平等」。自己主張と個人主義と自由。
多数決と民主主義。少数派が反対意見を述べる自由。
アンタ読書家ですなぁ。
おいら書き始めると、完成するまで一冊も読めなくなるよ。
52 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/23 23:10
55号は小説読まないのか?
読んでるけど敢えて書かないだけ?
宮部みゆき「レベル7」
面白いのは最初だけ。半ばから手抜き突貫作業に入ってる。
この絶望的にリアリティの無い人物造詣と倫理観はどうにかしてほしい。
田中仁彦『黒マリアの謎』岩波書店 1993
フランスの黒マリアの歴史的成立について興味があったので読む。
黒マリアはケルトの地母神が聖母マリアと習合したものであることは知ってい
たのだが、欧州で最初に黒マリア研究の端緒を開いた研究者達が、「光は東から」
(十字軍、東ローマの滅亡による文化の西欧への流入)というルネサンス成立の
大流から逃れられていなかったらしい。黒マリアの多くはケルトの地母神との
習合であると著者が結論付けるまでの過程が歴史的史料を多く引用していて
なかなか迫力があった。その中でも数少ない例外としてエジプトから持ち帰られた
イシス像が黒マリアとして祀られた史料があったりしてなかなかミステリーだった。
>>52 ん?読んだ小説も書いてるよ。塩野七生は好きな作家の一人。
読んでるんだけど、感想書くのって難しいな。
カッコつけようとしてるからだろうな。
高村薫『マークスの山』早川書房 1993
以前、映画になったときに非常に評判が良かったのを思い出したので読んだ。
アルプス。正直なところ、ミステリーを読むのに俺は向いていないのかも
しれないと思った。警察がそんなに都合よく捜査で見落としたり、ミスし
たりするものかと白けた。ネタばらしになるから内容は書くつもりは無い
けど、プロットも中途半端な印象。ラストシーンは細々とつないでいった
山にまつわる文学的な風景の結晶が現出するが、無難にまとめたなという印象。
細かい出来事を大量に積み上げた文章のボリュームの迫力はすごいと思った。
取材は綿密にしたのだろうと関心。すごい、とても真似できないとは思ったが、
面白いとは思わなかった。読んだ事を後悔。
58 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/27 00:19
55号は普通にすごいな。
それだけ読んでると作品書いてるときもつぎつぎアイデアが浮かぶだろ。
なにより目がたしかだろうからいいものが書けるだろうな。
西田幾太郎『善の研究』岩波書店 1950
西田哲学に興味があったので読んだ。
西洋哲学の主客二元論を解体し、純粋経験によって精神と自然を、主観と客観を
合一し、究極的には一つの体系として統一さるべきものとするところが、かなり
すごい。正直びびった。
ただ、宗教を論じるところで、当然予想できることだが究極的に統一されたもの
として神が登場し、個人は神から分化したものであるとか、キリスト教の神は
このようなものであるとか、まあ、その辺までは許せるがオカルト入っている所
がでてきたりして、正直投げそうになった。
それから、世界(神の属性)の中にある悪は、よく善を知るために必要なもので
あるとする説明口調がかなり反発を覚えた。悪の存在を善の目的にしているので
はないかと思った。そんな神ならいらないと思った。俺は悪かもしれない。
要再読。
『漱石日記』平岡敏夫・編 岩波書店 1990
文人の日記を読むのは結構好きなので読んだ。
ページの都合上残ってる記録の半分くらい省略してるのが残念。
漱石もW・ジェームズの哲学を読んでいたようなのだが、同時代で
かなり流行した思想なのだろうか。おそらく、ユングも同一の思想
の元に集合的無意識を唱えたのだろうが、いまいち思想のグループ
が見えてこない。。勉強不足。
明治と大正の移り目に、天皇について少し書いているところがある
のだが、結構天皇を見る眼が冷めているのが安心した。また、伊豆で
療養中の日記は『仰臥漫録』に通じるところがあって面白かった。
もうダメ、明日死ぬかもしれないという日があるのだが、漱石は持ち
なおして生き延びる、その日を境に、鷹揚な雰囲気が漂い始めるあたり
絶望的な子規と違ってて面白い。
また、下女に対する不平不満というのは知ってたけど、夫人に対する
不平不満がかなり極まった時期の日記が何とも・・・。しかも途中で
日記が終わっててかなり気になった。編集をうらむ。
61 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/29 03:25
このスレいいね。まじ55号氏すげー。
「善の研究」。古本屋で50円で買ってきて手つけてないやw
読むかな。でもめんどいから読まないかも。
63 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/29 15:59
64 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/29 19:48
サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞
したという「イントゥルーダー」(高橋、、、氏)
読んだんですけど、ぜんぜんおもしろくなくて、
半分くらいでやめてしまいました。
なんでおもしろくなかったんだろう。
全然感情移入できなくて。
一般の人とズレてるのかな、私の感覚。
65 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/29 21:47
今日じゃなくて昨日読んだんだけど、恩田睦『ネバーランド』集英社
なんかまあ、いわゆるジュヴナイルもので、冬休みの学園寮に残った
男子高校生四人の切ない系話。トラウマとか家庭の事情とかちょっとした
ホラーとかぎくしゃくした人間関係がうち解けていく過程とか、そういうのが
実にさわやかかつ心地よく書かれている。
こーゆーのはありがちといえばありがちな話なんで
読む価値ねーと思う人も多いかもしれんが、自分はこういうのが
大好きだったりするんで、かなり楽しめた。自分恩田ファンだし。
>>53 私も宮部みゆきの倫理観にゃ辟易やなあ。あの偏狭さはなんとかならんか。
ストーリーテリングは抜群にうまい人なんだが。
宮部みゆきは善玉悪玉きっちり分けないとだめなんだろな。
時代小説とか抜群にうまいし。まあ作品を重ねるごとにすこしずつだがあの
硬直した倫理観にもあそびがでてきてるような気はするが。
>>64 賞を取った作品だろうがなんだろうが、あなたがつまらんと思ったのなら
あなたにとっては駄作だってことでいいんじゃねーの。
小説なんて嫌々読むモンじゃねーし。つうかその作品については自分はよんでねーから
なんにもいえんのだけどさ。
66 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/29 22:20
>>65 ありがとサン!
実は先日から書き始めた長編をサンミス大賞に応募しようと
思ってたのです。ホラーとミステリーの間みたいなの。
それで、過去の受賞作を読んでおこうと思って最初に
読んだのがイントウルーダーだったんですよ。
読者賞、大賞のダブル受賞作が私にはおもしろくなかったってことは
言いかえれば私の書いているモンが一般向けではないってことかな。
日本ホラー大賞受賞作の「黒い家」を読んだ時は、逆に、こんな
すごいのが受賞するんじゃ、この賞は無理だよ! って思ったんですけどね。
鈴木清剛 「ロックンロールミシン」(新潮文庫)を読む。
若い作家の作品を読みたかった、貧乏なので安めの文庫を、
この秋映画が公開される等の理由で購入。
会社勤めに疑問を持った若者が、
高校時代の同級生によるインディーズブランド旗揚に何となく巻き込まれていく…。
そんなストーリーを主人公賢司の一人称で綴られた作品。
軽めの文体なのですぐに読破してしまいコストパフォーマンスが悪かった。
読後感として、もっと深く書いてほしいかった。
なんか料理出されたはいいもの、
「この料理見せるけれど、食わせないよ。香りは嗅がせるから味は自分で判断して」
と、言われたような気がして、どうも肩透かしをくらった気分。
「三島賞受賞」なんて惹句が書かれていて、チョビッと期待したんだが…。
今どきの若い奴等の風潮(冷めた人間関係・夢を追いかけること・仕事への行き詰まり)
が書かれているのが受けたのかな。
所々印象に残る場面もあったから映画(行定勲監督)に期待。
大野晋『日本語練習帳』岩波書店 1999
文章読本は好きなので読む。
日本語の単語の微妙なニュアンスの違いを言語化できているとことが
さすがに学者という印象。だが、普通の国語力を持っていたら直感で
わかりそうな事ばかり解説してたので、読んでもふーんと思うだけ
だった。外国人が日本語を学習するときには有効なのではないかと思った。
単語の語源や歴史的成立過程などを解説してあるところは面白かった。
良スレ保守.
70 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/11 15:58
保守アゲ
マイケル・ギルモア『心臓を貫かれて』村上春樹・訳 文藝春秋 1996
ちょっとずつ読むつもりが一気に読んでしまった・・・。
ゲイリー・ギルモア事件、ユタ州、モルモン教、家族、破滅に至る運命の分岐点。
ゲイリーギルモアとは連続殺人を犯し、死刑判決に対して上告せず銃殺刑を望み
当時(1977)過去10年にわたって死刑が停止されていたアメリカで議論を巻き起
こした。著者は彼の弟で、彼が犯罪に至った原因、”何か”を探して家族の歴史
を紐解いていくのだが、過去100年に渡る家族の歴史のエピソードを丁寧に積んで
著者と一緒に探索する手法は新鮮だった。母親からの伝聞であると断りつつ、
伝説的なまたホラー的な要素が散りばめられていることも引き込まれた。複雑に
絡んだ長大なエピソードが絡み合って多面的な”何か”という意味が立ち上がっ
て来る感じがかなり迫力があった。
72 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/16 16:07
おかえりい。
>>心臓を貫かれて
読み方が俺と違うね。面白い。
心理学や精神医療関係の本を普段から読んでると、よくある悲劇で終ってしまった。
内容を分析してもそりゃそう言うこともあるもんだ、で何にも印象に残らなかった。
わかったつもり、理解したつもり、分析できるつもり、
自分一人で納得するのは危険な読み方かもしれないとふと思ったよ。
スレ保守.
最近漏れは、このスレだけが楽しみで生きてるようなものなんだが。
近頃動きがなくて寂しい。とか愚痴ってみる。
まあ自分が書けばいいんだが、最近は本読む暇もあまりないから。
スレ違いスマソ.
76 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/30 04:33
「カラーマゾフの兄弟」
F谷 *男
僕は、この夏休みに、ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟という小説を読みました。この本を選んだきっかけは、僕にも兄弟がいて、題名に共感したからでした。
長男の靖男は酷い男で、毎日働きもせず、競馬やパチンコに明け暮れ、女の人からお金を取り上げて生きていました。(その女の人は亜希子という名前で、靖男の幼なじみ兼、母親役です。)
亜希子さんは、自分がいなければダメになってしまう靖男の弱さを、どうしても放って置けなかったのだと思います。それで、あんなダメ人間の靖男と、いつまでも一緒
に居たのだと思います。
しかし内職までして捻出したお金も、靖男は際限なく遣ってしまい、生活は一向に楽になりません。
「このままでは聡史(もう子供がいました)に飲ませるミルクも買えない!」
亜希子はある日決心します。
苦しい家計を支えるため、街を救うヒーローとなる事にしたのです!
(しかしその頃既に、盛岡市には5人組のヒーローがいた事を、世間に疎い亜希子はまだ知りませんでした…。)
亜希子は僅かに残っていた全財産、2千円(それほど家計は追い詰められていたのです)を手に、ヒーローに必須の変身アイテムを買うため、マツモトキヨシに走りました。
「さり気なく日常生活に溶け込んでいるものでなければダメよ!」
亜希子はすっかりその気でした。
そして、小一時間悩んだ挙句、亜希子が手にしたもの、それは、
「サンテ・アルフリー新目薬」でした。
77 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/30 04:39
コレだ!コレしかない…!
確信に満ちて亜希子はレジに向かいました。
順番が来ます。
店員は言いました。
「一点で2100円になります。」
しかし財布の中を見て亜希子は愕然とします──
消費税分が足りない…
下を向いたまま硬直してしまい、その場に異様な雰囲気が漂いました。どれくらいでしょうか、10秒、15秒…。しばらくして「やっぱいいです…」とだけ言い、その場を去りました。
…去るかに見えました。
しかし亜希子はどうしてもあの目薬を諦める事ができません。またさっきの場所に戻ると、慣れた手つきで箱を掴み取り、素早くポケットに押し込んだのです。
後ろ髪を引かれるようなスリルを味わいながら、亜希子は売り場を後にしました。売り場から遠ざかれば遠ざかるほど、その足取りは速くなり、まさに逃げるように、普段通らない道を辿って家に帰りました。
そして帰るや否や、飼っていた猫(名前はありません)に言いました。
「じゃあ次、変身ポーズ考えようぜ!」
腹を空かして亜希子の帰りを待っていた猫でしたが、いつになくテンションの高い彼女に押され、つい「お、おぅ…!」と言ってしまいました。
まさか猫が喋るとは思っていなかった亜希子は、一瞬で青ざめた顔になり、盗んだ目薬を入れた紙袋をその場に落としてしまいました。
聡史は母親の恐怖を敏感に察知し、大声で泣き始めました。その泣き声で我に返った亜希子は、一言猫に謝ると、「一緒に変身ポーズ考えようよ!ね?」と、優しく言ったのです。
治ってくれ治ってくれって願ったのは最初の3日くらいで、あとはずっと看病辛いなぁと、そればかり思っていたまではよかったが、食事に煙草の灰を混ぜ込んで寿命を縮めようと画策したり、
誰も快方して貰いたいなんて思ってる人いないわよとそれとなく聞かせる段になるととてもきもちわるかったです。
看病もたいへんなんだなーとおもいました。
78 :
名無し物書き@推敲中?:02/10/15 19:31
今更ながら、ガルシア・マルケスの百年の孤独を読了。
物書きとして、半端でなく素晴らしいと感じました。
基本的に意味不明に近いエピソードが幾層にも重ねられているのですが、
読み手によってどのようにでも解釈できる幅と深さを兼ね備えている。
しかも、想像力豊かな挿話は飽きさせることがない。
最近の表面をなぞっただけの小説や、妙に説教がましい小説に較べると
実に刺激的でした。春樹のエピソードの積み重ね方に少し近いかも、と感じました。
重層的な構造は書くには難しいですが、読んでて面白いです。
小説じゃないのですが、マンガの世界の歴史を読みました。
小中学生の副教材みたいなものです。
思ったことは、マンガはやっぱり読みやすくて良い。
物事を理解する、理解させるためには絵の力は絶大だと感じました。
ま、それでも小説は書き続けるのですが。
塩野七生・ローマ人の物語・勝者の混迷
マリウス、スッラ、ポンペイウス辺りの共和制後期のお話し。
この人の書く物語は、作者にとって魅力的な登場人物がいるかいないかで
出来が違ってくる。前巻のハンニバル、後のカエサルなどと較べるとあまり面白くない。
個人的には有能で洒脱なルキウスに惹かれました。
それともう一つ、歴史を物語調で読めるのは面白いが、
どうしてここまで文章が下手くそなのか。今まで読んだ作家の中で一番下手。
日本語がおかしいと疑問を持ってしまうこともしばしばある。
篠田節子・イビス
しっぽがあげていたので、古本屋で買った。読んだ。
……なんちゅーか無理がある。幻覚の認識と現実の負傷が噛み合っていない。
この二つがセットで記述されるたびに、はぁと溜息が出てしまった。
その他、一章が強引な展開とキャラクター紹介で萎える。初めの十ページで投げ出したくなった。
中盤とラストは秀逸。ただし、出だしと村に迷い込んだ後半は酷いかもしれない。
思ったことは、書けないレベルじゃないな、と言うこと。
さて執筆頑張りますか。
篠田節子・カノン
昨日のイビスに続いて、古本屋で買った奴。序盤は良し。中年になった自分からみた
若かりし頃の想い出、郷愁、哀切などを良く描けている。イビスの歪な人物造形に
較べたら非常に上手くなっていると思った。
んが、全体の構成に難あり。何故、死んだ友人の演奏を初めに恐れたのか、その部分が
ちとおかしい。また、ラスト二章の御都合主義的展開も頂けない。
ある種エンターテイメントに徹しているわけで、悪くはないが、安易な結末だと思った。
中年女性がメインターゲットなんだろうなと想像、彼女等のお好みを描いている面あり。
1〜3章までは手放しで秀逸といえる。その後は落ちていく。
ホラー三連発ってことで。
鈴木光司・仄暗い水の底から
正直あまり文章上手くないです。篠田節子の方が上手かったな。
短編集と言うこともあるのですが、ヒネリの効かせたコネタ集といったところか。
ありきたりの要素にちょっとしたヒネリをくわえて一丁上がり、てな感じが多いです。
ただし、演出はそれなりでした。如何に読ませるように書くか、その辺は参考になりました。
一般社会の様々な職業の側面を描いていますが、知らない職業の知識を得る面白さ
はありますね。そんなとこですかね。
長谷川真理子・オスの戦略メスの戦略
東大教授夫妻の片割れ。この人の書いた本は大体読んでいるのだが、これは読んでいなかった。
縦書きの一般向けと言うことで、あまり突っ込んだ内容ではない。
題名通りの内容で、性とは何か、性淘汰の基本的概念、繁殖戦略などのダイジェスト。
大学時代を思い出して懐かしかった。人類に関する考察は面白い。
男親の子への投資、配偶者防衛と、文明の発達による富の蓄積、分配問題の関連性は興味を引いた。
遠藤周作・父親
遠藤周作の本は大概読んでいるのだが、ここ数年離れていた。
読んでいない長編(父親)があったのでぱらっと読んだが、ライトノベルのような軽さだった。
437ページだが、一時間半で読めてしまったぞ。
昔は好きだったが、そろそろ彼の著作からは卒業の時期らしい。
下手な文章、キリスト教の入った古く独特の倫理観、中年のおじさまに合わせた話作り。
もういいや、って感じ。学ぶところがあったとすれば、戦中派の価値観だろうか。
死んだ仲間と生き残った自分、その微妙な罪悪感と自己を律する姿勢。
この辺りは悪くない。が、全体的に見れば長いだけでした。
山田正紀・螺旋(スパイラル)
間違いなく断言する。ここ数年読んだ中で一番の駄作だと。
並大抵の駄作ではない。いってよしクラスと言おう。
無意味に長い(700頁)、登場人物が馬鹿すぎる、文章下手、展開が恣意的すぎる。
ミステリーとしての反則技も使っている。文句を言い出せば切りがない。これでミステリーとは良く言ったものだ。
こんなプロがいることをよろこんでいいのか、哀しむべきか。
下らないと思いつつも修行のつもりで最後まで読んだ。時間の無駄でした。
こんな物を出版しているようでは、本などこの世から消えてしまえとさえ思ってしまう。
ねえ、ageてもいい?
できればsageで。日付が変わったけど本日三冊目。
野口正成・小島賢一・エイズカウンセリング
臨床現場でのHIV感染者への実録カウンセリング集。
前半はフロイトやエリクソン辺りの簡単なまとめ。
後半がカウンセリング集。エイズ独特の心理があるかと思えば、そうでもない。
普通でした。しかしカウンセラーと職業は何ともねぇ……ある種傲慢なところがありますな。
1993年発行なので、資料が古い。一番面白かったのが、今現在と較べると推定感染者数が
かなり低いこと。着実に日本で根をおろしてますな。
クラムちん? ねえ、クラムちんでしょ?
これだけの読書量誇る人が名無しでいられるはずがない。
クラムじゃないよ。名無しだよ。多分クラム氏とは読書傾向が違うと思う。
本自体はそれほど読んでいない。最近バイトが休みのことが多いので読書量が一時的に増えてるだけ。
若きウェルテルの悩み・ゲーテ
言わずとしれたゲーテの処女作。しかも翻訳は旧漢字旧仮名使い、1926年板。
非常に読みにくかった。旧漢字がこれほど読みにくいとは……
久々に漢和辞典と睨めっこしながら読んだ。
が、話自体は面白かった。若き恋の悩みは永遠のテーマですな。
1774年に書いた物を2002年に読む。約230年の開きか、そう考えると凄い話だ。
ところで今の高校生くらいの人が、ゲーテやシェイクスピアの良さがわかるのかとふと疑念が……
今更インテリな匂いの物語は流行らんわな。
名無しちんか。
コテ名乗りなよ。
つか下がりっぱなしだと勿体ないのだが。
コテを名乗ることにメリットが?
勿体ないも何も基本的に自己満足なので……
スタンダール・赤と黒
面白いのだが、フランス革命〜王政復古に至る基本的な歴史の流れと社会情勢を知らないと
楽しめないかもしれない。また当時のパリ風俗の描写が多いのだが、現代日本人の感覚に
合わないところが結構ある。貴族の恋愛とはなんと面倒でもどかしいのか。
主人公の人物造形が、自分の趣味に非常に合っていた。
猫のような孤高を保つ自尊心、硬質だが脆い感情、女性に対する初さ、そして野心、
ジュリヤン最高。上巻の後半、修道院での生活と下巻の前半、パリのサロンやマチルダとの駆け引き辺りは
退屈だったが、マチルダの妊娠以後は非常に面白かった。
風俗や階級問題の描写などは今の日本人にしてみれば助長かもしれないが、
ただの小説としてもそれなりに楽しめる。
赤と黒ってわりかしスタンダードっぽいイメージを抱いてるから、
上に述べられてるような作品の後だといささか驚きを感じるな。
赤と黒やパルムの僧院といったスタンダール作品は
年齢によって読み方が変わってくると思うよ。
俺も二年に一度くらいは読むようにしてるが、その都度感じ方が違う。
当然と言えば当然かもしれないが。
ちなみに同じようなことは池澤夏樹も言ってる。
ただの受け売り。共感する部分があったから書いただけ。
読んでいない古典作品は山ほどあります。
それに古本屋に置いてないことが多いしね。文豪系は。
梨木香歩・からくりからくさ
日本人形や染め物、織物に対する知識が皆無なので、でてくる単語に戸惑った。
おそらく作者は縦糸横糸、色々張り巡らしたつもりなのでしょうが、
紡ぎ織り上がった布は狭く小さい。作中で「結界」に守られた家とあるが、その通りだ。
江戸時代やクルドまで時空的に伸びていくが、そこで語られる内容は全て「家」の延長に過ぎない。
守られ限られた空間での一種のファンタジー、俺の好みではない。
ついでに叙述トリックというか、情報の小出しが気に食わない。
キツイ言い方になるが、一気に謎を解決できるのにしない登場人物の行動があほらしい。
ところで紀久と与希子の人物の書き分けができていないと思うのは俺だけか。
読んでいなかった古典、しかも再び旧漢字旧仮名だったり……さすがに今度は辞書無しで読めた。
光あるうち光の中をすすめ・トルストイ
で、キリスト教礼讃な物語なのだが……原始キリスト教と言うのがみそですな。
もっともどちらにせよ、一神教もキリストも縁遠い一介の日本人からしたら何言ってんだ、ってな感じ。
神や原罪を前提にしたロジックはうんざりです。
ただ、極端に典型的な信者の人物造形は、似たような極端なキャラクターの創造には役立つかも。
んで、原始キリスト教の共同生活と原始共産主義(ポルポトの目指した政策)の共同生活の違いとはなんぞや?
やっぱり神の愛で片づいてしまうのだらうか?
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
Λ_Λ | 君さぁ こんなスレッド立てるから |
( ´∀`)< 厨房って言われちゃうんだよ |
( ΛΛ つ >―――――――――――――――――――‐<
( ゚Д゚) < おまえのことを必要としてる奴なんて |
/つつ | いないんだからさっさと回線切って首吊れ |
\____________________/
(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)
(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)
(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)
99 :
名無し物書き@推敲中?:03/01/04 17:05
カフカの『変身』(新潮文庫)
変身したグレーゴル・ザムザが死んで、家族が開放される(変身)
お話。訳者が多数存在するらしいが、新潮の高橋義孝約本も
支持する人はいるようだ。
しかし読みにくい。漢字と読点もっと使えって感じ。。。
で読後感だが、最後の家族の描写に中途半端な感じが残る。
最後のシーンをどう捉えるのか? はぁ? って感じで終わった。
降りかかる陰鬱な出来事(運命)なんて終わってみれば取るに
足らないものだってことかもしれないし、グレーゴル(=人間、
作者)なんて、死んでしまえばあっという間に忘れ去られるもの
だって読み方もできる。
女中のみがグレーゴルの人としての存在、人格を認めていた
けど、さっさと死体を片付けたりしてあっけなく舞台から降りてるし。
この女中ってすごく重要だと思うんだけどなぁ。
どうも手抜きくさい気もするぞ w
と、非常に不完全燃焼。
まぁ、グレーゴルの鬱屈した環境とか心情ってのは痛いほど
分かったし、それが書きたかったのも分かるんだが、
これがいわゆるカフカか w
カポーティの洗練された鬱屈の方がいいな。
(訳者の違いかも知れんが、、、関係ないか)
参考:文学板カフカスレ
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1007376212/
>>99 オイオイ・・・何も分かってねえよ、コイツ。
新年早々笑わせてもらいました。
ほんと凄い。
101 :
名無し物書き@推敲中?:03/01/04 17:14
55号は読み方が違うと指摘されたあと、恐くなって逃げたのですか?
103 :
名無し物書き@推敲中?:03/01/04 17:21
何を>103
105 :
名無し物書き@推敲中?:03/01/04 17:27
>>104 あれ、100じゃないの?
ちがったらスマソ
100の御講釈を待っているんですが、、、
106 :
名無し物書き@推敲中?:03/01/04 17:29
>>105 釣られている最中なんですか。
残念ながら私は100ではないので講釈はできません。
失礼します。
108 :
名無し物書き@推敲中?:03/01/04 17:31
109 :
名無し物書き@推敲中?:03/01/04 17:34
>>106 すみません。
釣られてる最中です。
つーか、>100早く教えれ!
>>107 読んだも何もリアルタイムで読んでいたのだが・・
冬厨のせいで糞スレと成り下がってしまう予感。
最初から糞スレですが何か?
ちぇっ、100は逃げたか、、、
遊んでもらおうと思ったのにつまらん。。。
100は俺ですた。
>>114 ぬぬ?
せっかく遊んでもらおうと思ったのに、、、
もういいや。んじゃー
(^^)
(^^)
118 :
名無し物書き@推敲中?:03/01/30 09:57
「涙の日」
長編だけど、一気に読めた。
主人公が自殺に至るまでの心情の変化が
細かすぎるところはあるけどオススメできる。
35歳。
去年まで金無し君だったけど、白血病解析プロジェクトとUD Agentで
二年で350万個のたんぱく質を解析した。一度やってみなよ。
初回にかぎらず、1ドルも払わずとも(お金も儲からないけどね)誰でも参加できる。。
BGで計算するだけ計算してプレイはできないけど、いつでも止めれるし、ルーレットって赤か黒に
思い切って賭けてしまえば50パーセントで二倍になる(0や00が出るとダメだけどね)。
金なきゃヤフオクやビッダで稼げばいいだけ。暇つぶしになる。
もしかしたらプレステ2とか当たるらしんいでマジでお勧め。
http://p-q.hp.infoseek.co.jp/
『てのひらの闇』藤原伊織 文春文庫
なにげなく読んだ『ダックスフントのワープ』がかなり好きだったので
購入して読んでみた。以下感想。……。
屈託の多い後ろ向きな偏屈中年オヤジの主人公がなぜかしら
周囲から高く評価されていて、武術に通じていて女にもモテモテで…という
ありえるはずのない設定と展開で読んでいて辟易した。しかもそんな主人公が
命がけでたいした知り合いでもない会長の自殺原因を探ろうとするのが非常に不可解。
とまあつっこみどころ満載なんだけど、特に魅力のある(いろいろと考えたくなる)
小説じゃないからつっこむ気にもならずに最後まで惰性で読んだ。
なんというか、主人公のようにこれだけ環境に恵まれていればどんな人間でもある程度は
自然と明るくなって人生を楽しく肯定的に捉えられるようになると思うのだけど、
主人公は昔話と若者への愚痴や妬みしか口にしないし。そんな主人公に惹かれていく
女共ってのがまた理解不能だし。
この作品の根底には失われてしまった自分の人生に対する悲哀とまだまだ若くて
可能性のある若者達への妬みの感情が流れているのだけど、そんなオーラを身に纏って
いる主人公(または作品)のどこが魅力的なんだと思いつつ、まあ自分も似たような人間なので
そうゆうオサーンのファンタジーとしては読めないこともないなと思った。
上の方がアレなんでどうしようもい。
またりも閑散だし。と思ったら地下にこんなスレが。早速活用しようと思った。
今日読んだのは清水義範『国語入試問題必勝法』
いやー、わろたわろた。特に最後の「人間の風景」がたまらん。
物書き(志望)が素人同然の作品を読むという構図は投稿サイトでもよくあることだけに
題材にイヤな親近感がある。自分の作品が文化遺産だと言わんばかりの勢いの人、いるもんなあ。
構成として上手いと思ったのがキーマンの元新聞記者の存在。
前三人で凡人、無知、官僚と振ってそれらに全部新聞記者をからめつつ文化人に対するイヤミで落とす。
とみせかけてさらにメタな視点から落とす。いい構成だなあ。
爆発的な笑いを誘ったのは表題作のオチ。
「例の方法」っていう似たような国語問題の参考書があったけど、多分清水の方が早い。
実際役に立ったし、こういうのネタから出た誠って言うのかね。
猿蟹も上手いなあ。
緩急の付け方がうまい。パロディって一本調子になりやすいんじゃないかと思うけど。
結構毒があるのにあまり毒気にあてられないのは何でなんだろうなあ。
122 :
晒してます:03/04/03 13:22
mjが好きそうなスレなのにmjがいなくて残念だ。
いろいろあった。
>>124 そこと猿蟹の栗のくだりで爆笑しました。
昨日今日で藤原伊織「テロリストのパラソル」読みますた。
なんというか、エンタメのお手本みたいな小説で。
冒頭の公園で日差しの描写で「降り注いでいた」を三回も同じページの中で使っていたので
こいつ大丈夫かと思ったが、いつの間にか気にならなくなった。細かく見なければ文章も結構大丈夫。
エンタメは読みやすければ何でもいいのがいいよねえ。
主人公をはじめとするキャラ造形は上手い。謎あり友情ありアクションあり(ほんとにちょっと)お色気あり
伏線もきっちり張ってあり会話も洒脱、良質なエンタメに必要な要素は全部揃ってる。
ただなあ、黒幕は当然あの人ってのは最初から分かってたけどさ。無理ありすぎだよ…。
偶然自分に惚れた女が有力者の娘とかあの人と偶然街中で再会するとか、そこから仲良くなるとか
有り得ないとしかいえない。最後だけなので気にしないでおこうとすればできなくもないけど。
割とエンタメ書く上で参考になることが多かったし、良い時間つぶしにもなりました。
けどそれ以上のものではなかったです。全然京極のほうがすごいと思った。
次はもう少し頭のよさそうな本を読もうと思います。
東大卒のアル中バーテンダーだっけ?
もう忘れたなあ。
>>126 そうです。
ただの小汚いアル中からだんだん元プロボクサーとかカコイイ過去が明かされて行って
キャラ自体もピリっとしていく造形は上手いですよね。
情けない状態と緊迫した状態でのキャラのギャップで魅せる手は結構定石だけど、この人はうまくやってると思います。
あれ、デビュー作だもんなあ。
それで乱歩賞と直木賞か。しかも電通。はぁ。
ただ、小説としてはウマいけど(技術的にも)、筋は大したことないから
テレビドラマ化したときは全然面白くなかったよ。
過去話が結構浅かったかなあ。
あの程度であっさりドロップアウトしといて全共闘語られても……という感じで。
あんまり深すぎてもエンタメとして楽しめなくなっちゃう可能性もあるので仕方ないかな、とは思いました。
ドラマは見てないけど、再放送しても見たいとは思わなさそう。
なんかこのスレあると読書にも気合入って良いなあ。
賢そうなもの読むとかいいつつ今日は大塚英志「キャラクター小説の作り方」
小説じゃないけど…。
とりあえずラノベ教本と見せかけて角川への皮肉と「あ、これは難しいかな?頑張れる?読める?」みたいな
読者を気遣ってるんだかバカにしてるんだか分からないフォロー満載。
教える仕事してた経験上と好意的に解釈していいのかな?したくないなあ。
ある種の読者層を考えればこれも皮肉にしか読めない。
しかし中身はある。どの章の内容も小説書いたり簡素書いたりしてるうちに行き当たる疑問
ばかり。それだけ実践的な内容だということだ。このへんはさすが大塚。
ただ入門書だけに内容の大部分は基本的な心得で占められている。
上級者には基本の再確認と抜けてた部分を補完する意味くらいしかないかなあ。
私は再確認半分発見半分、てとこでした。また再読してきます。
今日読んだのは乙一の「天帝妖狐」。乙一初体験。
これも十代の頃に書いたんだよなあ。すごいなあ。女の子なら分かるけど、男の十代なんて
タダのアホだからなあ。作者の年齢なんか、関係ないといえばないんだけど。
まず最初のタバコの話。
あえてハイテクを廃した設定でこのストーリを組み立てるとは。
ネタ自体はオーソドックスながらキャラクタ作りのうまさとミステリ的お約束の
使い方が見事。そんなに凄い作品でもないけど、センスが光るなあ。
表題作。
これは……どうかなあ。構成とか上手いし、雰囲気も出てる。最初の方の狐狗狸さん
のシーンは怖い。前フリは結構カンペキなんだけど、なんかあっさり感があるんだよなあ。
こういう不幸話はもうちっとねっちり書いて欲しい。それもこの人の作風ではない気がするけど。
正直こういう感じの作品なら(以下都合により略
>>125 自分もテロパラ読んだ。なんか後半のドタバタご都合主義が
自分には合わなかったし、あまり面白いとも思えなかった。
つーか自分にはハードボイルドっていうジャンル自体が合わないの
かもな。。もう藤原伊織もハードボイルド小説も自分は読まないだろう。
>>132 キャラクター自体は結構魅力的だったと思います。特にヤクザの浅井が好きでした。
確かに後半は前半に比べるとトーンダウンていうか、惰性で読んじゃいますね。
ハードボイルド云々はチャンドラーのマーロウシリーズとか未読なので何ともいえないですが。
現在乙一の「暗いところで待ち合わせ」をちょっとずつ読んでます。
天帝妖狐はそこそこだったけど「暗いところ〜」はかなり面白いです。
失踪HOLIDAY面白いのかな……。読みたいけどスニーカー文庫買うの恥ずかしい。
「暗いところで待ち合わせ」良かったー。
もともとのアイデアが良いし、料理の仕方が絶妙。
仕掛けは陳腐なのだが、時制の配置というか、情報の出し方でうまく料理してる。
ミステリ要素があっさりめだがそれを不満に感じないのは、やはりこの二人の微妙な関係の部分が
やたらと面白いからというのは言うまでもない。
ラストも良い。というかこれ以外落としようがないような気がするが、ヘンに奇を衒わないのが良かった。
傑作というよりはこじんまりした佳品だけども、上手さが光る。
タバコの話は結構あっさりというかラノベっぽい文体だったのでそういうものかと思ってたが、この人は描写も上手い……
(^^)
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
『葦と百合』 奥泉光 集英社文庫
読んだのはしばらく前だけど、あまりに凄すぎたので書き込み。
なんというか、この小説を表現するのに適切な言葉が見つからないが、
とにかく凄かった。前半部まででこれだけ戦慄を感じたのは
ドストエフスキーの『悪霊』以来だ。
ジャンルとしては幻想的で衒学的な推理小説ということになるのだろうか。
…という形容だと、どうも京極堂とかを連想してしまうがそんな怪奇蘊蓄小説
ではまったくない。作者は哲学や社会学を学んだ人間らしく、学究の徒らしい
認識がベースになった会話は同じような認識を持つ人間として読んでいて
とても心地よい。
推理小説としては、これほど不思議な小説もない。が、
小説の構造はこの作品の魅力のひとつであり、これについて
語るのは未読者の興を削ぐのみの野暮な行為なので語るのは控えておく。
奥泉光スレにあった言葉だが、この作品は、「書くべきことは何もない」
「謎などそもそも存在しない」という認識をベースに、
「小説を書くために書かれた」小説だと感じる。技巧を凝らした、
装飾の多くてとても神秘的で、良質な会話の流れる、中身のない小説。
私的にはここ一年読んだ中で最も凄い小説だった。奥泉光まんせーー!
138 :
文谷良介 ◆qNVJf9gkMU :03/05/02 20:41
遠藤周作の、「ただいま浪人」
彼のすごさを知ったのは「沈黙」で、それから頑張って読んでいるのですが、
京極さんなみにぶ厚いこの文庫本を読んでみて感動しますた。
なんつか、いろんな人物が出てきて、悪い奴なんて一人もいないのに誰かが不幸に
なったりするんですよ。で、準主人公みたいな人がたくさん登場するんですけど、それ
ぞれがなんというか、一つの小説の枠に収まっていない。読んでいて思わず、
「みんな生きてんのかよぉ」
と叫びたくなった。
ともすれば読んでいる途中で、「甘っちょろいこと言ってんじゃねえ」と言って放りだして
しまいそうになる本だが、読んでるうちに作者は甘っちょろいことなんて承知で書いてる、
ってことが分かってくるんです。作中人物が震えれば俺も震える、作中人物が泣けば
俺も泣きそうになってしまう。そんな小説でした。
139 :
文谷良介 ◆qNVJf9gkMU :03/05/07 21:31
えーっと、「なんて素敵なジャパネスク」っての知ってます?
ちょっとしばらく38〜39度ぐらいの熱で生死を彷徨ってたんですが、暇なんで
姉の部屋で軽ーくよめる本はないかなーと思って探してたら、これが全10巻揃ってたんです。
いやー、漫画よりも楽に読める。熱あるのに読んでて疲れないし、面白いから退屈しないし。
今度皆さんも、病気になったときに備えて古本屋で買ってきてみてはいかがでしょう。
高橋源一郎が褒めるだけのことはあるなーと思いますた。
140 :
モンターニュ ◆qNVJf9gkMU :03/05/13 23:30
夏目漱石「三四郎」
今さら読んだのかよ、と言われそうですね。それどころか、俺はこの本、
柔道の話だと思ってましたよ。(姿三四郎と混ざってた)
なんか読んだら東大に行きたくなりますた。科目的にも実力的にも無理ではありますが。
忘れないために、少し前に読んだものを。
ケストナー「ファービアン」
あるモラリストの物語と副題されたこの話はめちゃくちゃだ。
女達はやたらと脱ぐし、機会あらば男と寝ようとしている。新聞記者は嘘の記事を
でっちあげる。主人公のファービアンはそういった世界を愛しているようでもあるし、
憎んでいるようでもある。
モラルとは何か? というよりは、「人間」はモラルというものを与えられるだけの資格を
もっているのか? パンドラの箱を開けてしまった人類に(それが何であるにせよ)可能性
はあるのか? ケストナーはそういうことを必死で考えたんかなあと思って、
俺はしばらく彼の世界にひたっておりました。
そして昨日読み終えたもの。
遠藤周作「女」
なんというか、愛という言葉は便利すぎて使うのがためらわれるわけですが、
あえて使うと、こんなに作者の人間への愛が染み出してる作品を読むのは「戦争と平和」
以来です。
ジャンルとしては歴史小説なのだけれど、歴史小説と言い切れない部分がある。
「人間小説」なんて風に呼ぶこともできるかもしれません。
さらに、たった今読み終えたもの。
テネシー・ウィリアムズ「欲望という名の電車」
今は社会人となった姉が昔使っていた部屋の本棚を見ていて、あまりに題名が
カッコいいので読み始めてしまいました。
きゃあー。と、吹っ飛びました。
ちょっと凄すぎて何も書けないけれど、これは実際に劇場で見てみたいなあ。
活字を追っているだけで舞台の迫力に押されるほどでした。
ちなみに、ザ・ハイロウズの「ハスキー〜欲望という名の戦車〜」という曲はこいつから
来てるってのもやっと分かりました。
>>143 テネシー・ウィリアムズは村上春樹が面白いこと書いてたな。
大学の講師が授業で一年間ずっとテネシー・ウィリアムズをテクストに
けなし続けてくれたおかげで、すっかり自分も嫌いになってしまったとか。
>>144 (w。なんかそういうことってあるかもしれないですね。確かに。
しかしテネシー・ウィリアムズの一体どこをけなすんだろう?
というか、このスレ読んでる人いたんですね。俺以外で。
すまんのお。
俺が不甲斐ないばかりに。
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
ツルゲーネフ「はつ恋」
なんかふにゃあ〜って感じで普通に読める話ですけど、よく考えたらとんでもない
ストーリーですね。
ウラジミールは何故かこの小説で最後まで生きていて、けど思い出の中にたくさんの
人が死んでいる。ジナイーダへの恋はそのまま彼の一部になり、彼を作っているし、
その父も同様に彼の一部になっている。彼の「はつ恋」は通過点ではなく終着点であって、
彼はいつでもやはりジナイーダのもとへ帰ってくるのかも知れない。
とまあ、こんな感じで。
宮本 輝「泥の川」
風邪をひいて学校を休んだわけですが、寝ているのに飽きたので読みました。
短い話ですしね。これで宮本輝の「蛍川」「道頓堀川」「泥の川」と川三つを全て読んだわけだ。
この人の話って、変なインテリが出てこないんですよね。村上春樹みたいに
クラシックやボブ・ディランをすごーく良いレコードプレイヤーで聞いて、服にゆっくりと
アイロンをかけたりする主人公もいいけど、たまにこういう、「庶民」というか、
社会における「多数派の人々」が出てくる小説を読むとホッとする部分はあります。
まだ8歳の信雄が出てくるのだけれど、やけに大人びていたりしないし、
他の少年と特に違う感性を持つわけでもない。その信雄が、娼婦を母に持つ喜一と
知り合うことによって不思議な経験をする。けれど、その不思議な経験はまたいつしか
信雄を通り過ぎて行く。つまり、もの凄い大事件は起こらないんですよね。
10年も足ったら、信雄はどの程度この夏のことを覚えているのだろう?
多分喜一のことやその姉、銀子のこと、川のことなどはぼんやりとしか思い出せないに
違いない。けど、「お化け鯉」のことや、「無数の青い焔」のことは、何かあるたびに
信雄の脳裏をよぎるんじゃないかなと思います。
何と言うか、あくまで日常が意識されつつ、微かに折り目をつけた小説でした。
ブレイブ・ストーリーを読んだわけです。宮部みゆきの。
俺はこの板で数少ないファンタジー擁護派ですからね。
ファンタジー嫌いは読めない。けどファンタジー好きは絶対読むべき。ファンタジー嫌いは
「上」だけ買って「第一章」だけ読むべし。一章はファンタジーの要素があまりなくて、
びっくりするぐらい文章が上手い部分がありますから。
つか、「下」を読み終えて、人格にダメージくらう(いい意味で)くらい凄い作品でした……。
泥の河、昔読んだけど、三部作の中じゃ一番好きだったなあ。
内容忘れたけど。
そろそろスラヴォイ・ジジェクあたりを読み始めようと思います。
でも、ここに感想なんぞ書けんだろうなあw
ジジェクはおもろい、それはおいといて、と。
「季節の記憶」保坂和志 中公文庫 を読了。
自分がダイナミックな物語を綴る作風だから、
こういう静かでほんわかした雰囲気と、
それでいて鋭い視点で物事を見据えるような
本作にある意味憧れを感じた。
大人の視点だな、と。これからも何度か読むことになるだろうな。
しかし、谷崎賞作品、あまり読んではいないけど、
これまでの中では個人的には外れがまったくない。
大江・万延元年のフットボール、池澤・マシアス・ギリの失脚、
春樹・世界の終わりとハードボイルドワンダーランド、
津島・火の国、丸谷・たった一人の反乱、そのへん。
次は埴谷雄高「闇のなかの黒い馬」に挑戦かねえ。
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
156 :
名無し物書き@推敲中?:03/07/12 14:13
保坂和志? mjか?
ageで下らんことを書くな。
158 :
写真集だよんhttp://www.sexpixbox.com/pleasant/sexy/index.html:03/07/12 15:45
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
>>152をみて、ブレイブ・ストーリーを図書館で借りて読もうと思ったんだが、「予約件数 378 件」だって!
こりゃ当分読めんわい。
161 :
名無し物書き@推敲中?:03/07/23 04:47
あげておこう
長野まゆみの超少年を読みました。
8〇1まがいの本が、県立の進学校の図書室にあると思いませんでした。
びびりました。
でも世界観的には好き。
(^^)
>>160 うわあー。しかしそれって、「予約件数377件」という状況を見たうえで
「予約します」って言った人がいるってことですよね。
その人が凄いなあと思う。
「ご一緒にポテトもいかがですか?」って言われて「いらないです」って言えない奴の人数→378
宮部みゆきはいくつか読んだけど、
面白いと思ったのはなかったなあ。
暇潰し程度にはなったけど、どれも浅かった。
まとまった量を読んだのが五年くらい前だから、
今読むとまた違うかもしれないけれど。
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
あげますよ。今日は。
川上健一「雨鱒の川」
いや、やばいってこれは。俺はいっつも本を読み終えた後は、一番最後のページの余白に
感想を書き付けておくんですけど、何を書いてもこの小説を壊してしまうような気がして、
書けなかった。
もう、本読んでこんな泣いたのは初めてです。「戦争と平和」より泣いた。
だって、もう途中からしゃくりあげてましたもん。なんか鼻水とかも垂れてきて、とんでもない
顔で読んでました。好みは分かれそうですが、創作文芸板の視点で見ても描写力
とかはすごいので、まだ読まれてない人はぜひ。
>>165 ワラ
>>166 俺はブレイブ・ストーリーの他には「レベル7」しか読んでないですけど、
あれは確かに暇つぶしでした。けどブレイブ・ストーリーは凄かったですよ。
もともと連載だっただけに、ストーリーに未消化な部分はありますが。
渋谷一夜物語(シブヤンナイト)山田正記著 集英社
レンタルで読みました。短編小説がいくつもあって読みやすかった。指輪、ホームドラマ、死体は逆流するなどが面白かった。
大昔にアフロディーテを読んで以来。
山田正記氏の本でおすすめは何があります?
訂正・・・「記」ではなく、「紀」
>>131 乙一作品はいいですよ。
ぜひ読んでもらいたいのは、デビュー作の「夏と花火と私の死体」と
最新作の「ZOO」。
最近短編というとどうも骨のないものも多いですが、彼のは光っています。
「君にしか聞こえない」もほんのり切なくて、好きです。
思わず恋をしたくなるw
ホラーから、ミステリか少し切なくて涙がこぼれそうになる作品から、
スプラッターなものから、コメディまで何でもござれで、しかも、作品の
甲乙にむらが余りありません。
ただし、本格ミステリ大賞を取った「GOTH]は私の中では、トリックなどの面で、
首を傾げましたが。(本格は好きで、よく読むので)
>>152 「ブレイブ・ストーリー」は私が宮部みゆきの作品の中で、唯一面白いと思ったものです。
なんというか、宮部みゆきの作品はどうも読後感が良くないんです。
うまくいえないんですけど、読んでてしっくりこないというか。
それに、読んでも作品の内容を忘れてしまうのが速い。
まあ、嫌いではないけど、好きでもないといったところでしょうか。
(好きな作家の作品や、面白いと思ったもの、逆に大嫌いな村山由佳の作品なんかは
鮮明に覚えてるんですけどねw)
この作品に関していうと、さすがミステリ作家というか。
冒険小説なのに、影で主人公の推理がちらついたり、
話の展開が、事件の真相を明かすようなつくりになっている所がいくつもありますね。
では、今から今日読んだ本をw(2レスになってしまいました。すみません)
吉田兼好「徒然草」
再読です。もちろん、現代語版をかねたもので読んでいますよ。
歴史的な作品を読むのは好きです。違った時代の今とは違う思想に触れられて。
彼のを呼んでいて、ついつい矛盾で笑ってしまうのは、
作中、吉田兼好はその道の専門家以外、そのことについてあれやこれやと語るのは
良くない行為だと書いてありますが、彼自身していることが、まさに
自分の専門外のことについて、あれやこれやと優劣をつけているのだから。
あと、「今(当時)は下品でよくない。昔が懐かしい」
ということを端的に書いていますが、今の世の中を見て、
吉田兼好はどう思うんだろう(これは物事の価値観を書いた「枕草子」なんかを読んでても思うんですけど)
と皮肉な気分になってきますね。
他にも、恋愛間の違いや(彼は通婚を押しています。毎日女房の顔を見ても飽きるだろうとw)
老人はさっさと引退するようにといった感想など、
外国のものを読む以上に、違う世界に触れているようで、おもしろいです。
機会があれば、皆様もぜひどうぞ。
村上龍「69」
予備校の先生に薦められて。
今高3なんですけど、高校のうちに読んでおけと。
ただし、女の子には下ネタが多いから……、ともいわれたんですけど、
気になって早速読んで見ました。
とにかく楽しいものでした。
あんな思い切った高校生活を私も遅れたらいいんですけど。
文章は少し軽かったけど、読みやすく、一気に読んでしまいました。
加納朋子「コッペリア」
加納さんってこんな作風だったっけと思いましたが。
(いつもの作品に比べて随分毒々しいというか)
乙一や殊能さんの「ハサミ男」なんかと同じようなことをしていました。
↑ルゥさんいろいろ読んでるなあ……
安部公房「砂の女」
ちょっと戦慄するぐらい人間の本質を突いてる作品です。
果たして人間の幸福って何なんだろう? 穴の外はそんなに良いものだろうか?
少なくともここには「砂」があり、焼酎があり、目的があり、寝床を共にする妻もいる。
どちらが幸福だったろうか?
……というまあテーマ的なもの以外のところにしても、
凄く手に汗握るような場面があって退屈しない。こういう文学ってものは、
やっぱ凄まじい地力の上に成り立つもんなんだなあ。
175 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/13 15:20
良スレの予感
……旧事諮問録と日本海軍の爆弾読みましたっつったら
やっぱりポアですか?漏れは。
このスレって、マンセー意見ばっかで期待はずれだな。
俺も読書カード付けてたけど、読んだ本の半分はボロクソに批判してたな。
もっとそういうのを見てみたい。
>>177 面白く無かった奴は書いてません。
「これは忘れまい」と思ったのだけここに書くようにしてますです。
こんどそのボロクソ批判を書き込んでみては?
重松 清「ナイフ」
いやあ、情けない。本当情けない。死ぬほど情けないんですよ。この主人公。
息子の様子がおかしくて心配する妻に、ほっとけとしか言えない。息子を叱ることもできない。
妻が息子に暴力をふるわれても何もしない。あげくのはてには日常のストレスから
部下へセクハラしちゃったりする。
そんな彼もついに心のよりどころを見つける。けどそれは彼自信の力で得たものじゃ
ないんですよね。ネタバレ過ぎるからこれ以上は言わないけど。
それでね、そんな情けない父親が、怒るわけですよ。とうとう息子と向き合うようにも
なるわけですよ。そういう「駄目な奴が、駄目なりに頑張る」っていうのが、
響いてくるんですよね。短い話ですので、みなさん是非一度。
まったく関係ないけど、河合隼雄の「子供と学校」て本に書いてあったことを思い出した。
インヒビターとやらがどうとかこうとか……っていう、なかなか面白い内容だったなあ。
平岩 弓枝「花のながれ」
いやあ、こういう小説を書きたいなあ。いつか。
主人公は組紐屋の長女の藤代。彼女がねえ、凄く格好良い人なんですよ。
やっぱり伝統ある店の娘だから、ちょっと喫茶店に出るにも羽織を着ていくんです。
それがまた美しく着こなすんですよ。もちろん、自分でも組紐を組みますしね。
そういう彼女なんですが、やっぱりそういう家となると伝統は重いし、
親戚の方々も何かとうるさい。それで本人が作中で言うように「流されるように」
生きてきたんですよね。簡単に言ってしまうと、そんな彼女が自分の力で道を
切り開いていくまで、みたいな良くあるパターンな話なんですけど、他とは違う。
なんと言うか、引き込む力の強さが違う。ぜんぜん違うんですよ。
俺が好きな作品(というより、優れた文学は皆そうなのかもしれないけど)では、
その中でいろんな人が「生きて」るんですよ。本当に。ただ便宜的にそこに居るのでは
ないんです。犯人の手がかりを聞き出すためのオテツダイサンとか、そういうの
とは違って、みんな生きてるんですよね。だから俺は登場人物の誰も憎めないので、
仕方なくただひたすら応援してしまう。いろんな人をね。
ただまあ一部、ちょっと作りこまれてないなあ、と思った人物もいたのが残念なところ。
とはいえ、いい作品でしたよ。
保守も兼ねて、読んだものの題名だけ。
フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」
村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」
遠藤周作「スキャンダル」
ああー、体調悪いなあ。
最近、暇にまかせて小説以外の本も読んでいるのですが、面白いものもたまにありますね。
二つほど書いておこう。
赤瀬川 原平 「目利きのヒミツ」
題名は凄く軽いくせにけっこう書いてあることは重いんです。
そして「大事なことは寄り道しながらじゃないと書けない」って言いながらそこかしこに話題が飛んで
行くのが面白いんですよ。飽きないですねー。
「頭」と「感覚」についてなかなか独特のとらえ方をしている人で、そういう考え方もアリだな、と
感心させられました。
内田 樹 「ためらいの倫理学」
なかなか微妙な本です。最初と最後だけ読むべき本ですけども、
「知性というものは、その人が自分の知性をどれだけ疑うことができるかによって計られる」
というこの人の考え方はまさに俺が日ごろから思ってることだったんで、気持ちよかったですね。
他にも「審問の語法」とか独特の概念が出てきて、なかなか面白い。たまにはこういうのも
息抜きにはいいですね。
うん、こうまで誰もいないスレというのもすばらしい。
ジョン・アーヴィング「第四の手」
俺はときどき、「もう本なんか読みたくねーYO!」状態に陥ることがありまして、このごろしばらく
それで本から遠ざかっていたのですが、この小説で読書家復帰を果たしました。おめでとう、俺。
しかしこの小説自体あまり出来のいいものでもなかったです。アーヴィングさんの小説は
「熊を放つ」が大好きなのでこれも楽しみにしてたんですが、これは下手なヴォネガットみたいに
なっちゃってます。アーヴィングは確かにヴォネガットのもとで小説を勉強していたことがあった
のですが、「熊」の時はそうでもなかったのになあ。
ずーっと、クラウセン夫人の意図が理解できないのですが、最後まで読んでもやっぱりよくわからない。
オットーが死ぬ前の行動は一体なんだったんだ? あと、ゼイジャック博士というキャラクターは
主人公以上に作りこまれていてすごく良かったんだけど、結局物語に深く関ってこなかった。
優秀な医者なら、ゼイジャックじゃなくて他の誰でも良かったんじゃないか?
同じように、この小説には面白いキャラクターがいっぱいでてくる。生き生きとしている。
けどそれが小説全体に生きてない。思うに、この小説はまだ未完成なんですよね。プロットとして
もうちょっと練るべきだったと思うなあ。意味のないエピソード(というか伏線)が多すぎる。
うん。今日の感想は
>>177さんも気に入ってくれることだろう。
しかし最近の祭りはレベルが上がりましたね。
ラリーさんも参加してるし……。
まあああいう作風ですから嫌いだという人が多いのも当然ですが、俺は上手いと思います。
創文板では実力はずば抜けていると。で、今回の「ジミーの半ズボン」も
(随所に手抜きは見えるけど)めっちゃかっこいい小説(エッセイ?)でした。
読みながら泣きそうになったのはたぶん俺だけではないはずだw
遠藤 周作「楽天大将」
いやもう、やっぱりあれですね。この人のを読むと、裏切られるということがない。
まずね、目次を開くでしょ? そしたら最初の章の名前が、「変な出だし」ってなってるんですよ。
もちろん最後の章は、「変な完結」なんです。それを見て、俺はユーモア小説なんかな、と思って、
音楽なぞかけながら軽い気持ちで読みはじめたわけなんです。
するとなにやら勝手が違う。「変な出だし」の語り手であったアカガキ君が本編ではさっぱり出てこない。
おかしいな、と思ってるうちに物語はどんどん進んでゆく。どんどんシリアスに、どんどん
読者を引き込んで。それで、ラストシーンを読んで、感動に鼻をつまらせている頃、「変な完結」
がやって来るんです。そうしてまた、アカガキ君が変な口調で喋りだすわけです。
そしたらねえ、その瞬間に今までの物語がグワァッと迫ってきて、どうしようもない感情に包まれるんです。
もう本当に、あれは映画や、漫画や、演劇じゃあできない。小説にしかできない演出です。
きっと遠藤さんは明確にそういう効果を狙ったわけじゃないんですよね。おそらく感覚的に、こういう
プロローグとエピローグをつけよう、と思ったのでしょう。そういうのがきっと、世間一般では「才能」と
呼ばれるんでしょうなあ。
井上 靖「あすなろ物語」
この間井上さんの作品では「こんどは俺の番だ」を読んで、その読後感があんまり良かった
んで、古本屋で探してきたのがこれです。文庫の装丁がきれいだったから、という理由で買った
んですが、間違ってなかったようです。
自伝的な小説、ということで、多くの部分が筆者の人生とリンクしているようです。
主人公は鮎太。この鮎太がまあ、幼少期から、いろんな人に出会い、いろんな事件に会うわけなんですが、
それらがみんな「通り過ぎて」いっちゃうんですね。鮎太の人生を。
凄く詩的な事件はたくさんあるのだけれど、結局深く関ることなく去っていっちゃうんです。
大きく鮎太の人生を変えることもなく。
でね、読み終わった時、俺は鮎太が会ってきたいろいろな人を、懐かしく思い出している俺に気づいた
んです。主要登場人物に女が何人も出てくるんですが、まるで本当の片思いの相手だったみたいに、
あんなことがあったなあ、なんて。巻末の「解説」みたいな所で「筆者の人間に対する愛がウンヌン」
と書いてありましたが、その通りだと思いますね。
ただ、ごくごく個人的には「こんどは俺の番だ」に軍配が上がります。
あれのラストシーンは、たまらなく気持ちよかったもの。
しかしあれですね。俺は高校3年生で、正真正銘の受験生なわけですが。
きょうという日になって、やっとこさ次のことに気づきました。それは、
「受験勉強なんて、あほらしくてやってらんない」
ということです。
今朝学校で「あすなろ物語」を読んでいて、何の脈絡もなく突然この考えが浮かび上がったんです。
そしたら急に、楽になりました。そうか、受験勉強なんて、あほらしくてやってらんないんだ、と。
もちろん、そんなことは中学生のころから頭では分かってました。受験勉強なんてものが面白い
わけがありません。しかし、けさようやくそれを「実感」したんです。
受験勉強なんて、あほらしくてやってらんない!!
嬉しくて、俺は何度も頭の中でこの言葉を繰り返しましたよ。ええ。ただ、これを実感したから、
勉強をやめようというわけではないんです。志望校についても、ある程度野望がありますのでね。
ただ、こんなあほらしいことに時間をかけるわけにはいかないぞ、という風に俺は考えました。
もう、勉強は学校でだけやります。役に立ちそうもない授業はもうさっぱり聞かずに、ひたすら
自習する。そして、平日に家では勉強しない。夜中まで本を読んで、小説を書いて寝る!
そう考えると俄然やる気が出てきて、もの凄い勢いで授業を聞いたりとかしてました。
そうして家に帰ってきている今、たっぷり本を読み、小説も3枚ほど書いて、とても満足です。
なんでこんな簡単なことに、今まで気づかなかったんだろうなあ。
うーん。誰もいないからこそ忌憚なく書けるという部分はあるなあ。なんて楽しいスレだ。
しかし今気づいたのだが、今までの俺のレスの冒頭部分。
「いやあ」とか「いや」とか「しかし」とかで始まるのが多すぎる。
普通に喋ってるように書き込んでるだけなんですが、あれですよね。掲示板に書き込んだり、
メール打ったりしてて初めて自分の口癖に気づくという。そういう事ってありません?
と誰もいないスレで呼びかけてみるテスト。
上の方にもあったけど、乙一の「暗いところで待ち合わせ」を読んできました。
なんか、
>>134と同じような感想です。
随所随所に作者の人間観察が光っていて、楽しめました。
この人のデビューが、17歳かあ。俺はもうすぐ18になってしまいます。
昨日mjさんが吉行淳之介を読めと言っていたので、古本屋で探して来ました。
薦められたやつはなかったんですけどね。
吉行淳之介「夕暮まで」
感想を書くのは非常に難しいのだけど、最初に思ったのは描写の淡さ。
淡く、かつ色彩豊かな感じがする。文章も流れるようで、俺が書く文章を思い出して少し恥ずかしくなりました。
肉体だけの(しかも不完全な)繋がりが、この二人においては全然不思議じゃないんですよね。
そこが俺にとっての不思議であったりする。しかしそういう非現実的な現実はもうあまた読んできた
のだから、もう少しどこか折り目が欲しいと思いました。
あと個人的に、祐子さんのキャラが好きだったり。
こんなスレ知らなかった。
>191
吉行は淡さが持ち味。
「夕暮〜」は特に淡いけどね。w
引退間近のピッチャーが老練なテクで完封するが如く。w
ところで淡さとは無駄を省くとか読者に委ねる、とかに意図もあると
おれは思ってます。
おれなんか無駄だらけなのに「淡さ」は意識してるんよ。w
なんか読んだらここに書き込みます。
>>192 隔離スレへようこそw
まあゆっくりしてって下さいな。
夏目 漱石「それから」
三四郎読了後すぐに買ってきておいたんですが、つい長い間うっちゃってて、きょうやっと読みました。
三四郎のときは、なんで俺はこの中にいないんだろう、って思ったんです。こういう風に
世の中にかかわりたい、っていう。俺と三四郎の歳が近いからでしょうね。
で、「それから」の場合は、とにかくまどろっこしい主人公を後ろからフォークや何やで突っつきたくなる。
趣味人で悠々として、「仕事は純粋に仕事のためでなくっちゃ不可ない」みたいなことを言ってね。
けどなんとか最後には、三千代さんに言うんですよね「僕の存在には君が必要だ」って。
こんなのはまさに現代の恋愛ドラマじゃないですか。100年先に漱石がやってたとは知らなかった。
読みながらすごく思ったのは、100年も前にこんなのを書いた人がいるのに、今さら何を書けるのかな、
ということでした。最近の新しい小説がどんどん奇抜な方向に向かっていくのも分かるような気がします。
しかし結局は、先人の踏み固めた王道を歩むしかないんでしょうなあ。
とはいえまあ、読まなければ、どこにどういう道があるかも分からないわけで。密林を開拓している
つもりで舗装道路を歩んでちゃあカッコ悪いから、俺は今日も明日も本を読むわけです。
と、まとめておこう。
そういえば。終始我を表さない代助の兄誠吾が、ラストシーンのところで激昂して大声を出すところは
印象的だったなあ。
北村薫「スキップ」
ルゥさんに薦められたので読んでみたんですが、めちゃめちゃいいですねえ。
二十五年の時を吹っ飛ばされてしまった主人公が、また生きていくんですよと。凄いよなあ。
中身は、80%が学園モノ。と言っていいと思う。じっさい、ここだけを抜き出しても
それなりに面白い小説にはなったと思うんです。しかし、しかし!! 教壇に立っている、40過ぎの
桜木先生は、つい数週間前まで17歳だったのです。それが吹っ飛んできて、もの凄い勢いで予習をして
教壇に立つわけです。
まったく知らない生徒や先生たちの情報を必死に身につけて、まったく知らない世界で手探りで
生きていく。俺はその主人公が学校へ行くたびにもの凄くドキドキして「失敗するなよー。うまくやれよー」
と思って、ページをめくるのも怖かったです。それでも、彼女は何とかまた人間関係を構築していって、
生徒たちに好かれるいい先生として毎日を送っていくわけです。
25年前に帰りたい。けど、「いま」は生きなきゃいけない。それでどういう道を選ぶのか、っていう小説です。
まだの人はぜひどうぞ。
エピローグとか、本当にかっこ良すぎてやばいです。
北 杜夫「船乗りクプクプの冒険」
やっぱりねえ、よく晴れた日の日曜日の午前には、ドストエフスキーよりこれですよねえ。
面白いもの。こういうのが書けるのが偉いんだよね。たぶん。
じっさい、こういうのが小説なんだよなあ。娯楽として、芸術として生まれた小説としての。
面白いのが小説だよね。主張ばかりの小説は、小説じゃなくて主張だから。
いや、ドストエフスキーが面白くないというわけじゃなくて。ただ、読者を楽しませることに力点を
置いた小説っていうものを、もうちょっと見直してもいいんじゃないかなとふと思ったわけです。
変なトラベルミステリー読むよりよっぽど面白いよね。
今日は、「ぱられる」とかいう、くだらんコテコテ王道の何のひねりもないラブコメ漫画を
古本屋で買ってきて、ふらふらと読んでおったのです。
俺はときどきからだの中に、「萌え」が足りなくなるときがあるんですよね。
ビタミンCが足りないとか、そんな感じで。
まあ今日はその「萌え」をある程度補充できました。その点ではこの漫画も捨てたもんじゃないですねw
変なトラベル・ミステリー、あれはあれで面白いんだよ。
予定調和的な面白さだな、水戸黄門みたいにさ。
保守的なのかねえ、あれを楽しむのは。
20日ぶりの客人だ。と思ったら1の人ですか。すっかり俺の住処にさせて頂いてます。
面白いんですか? トラベルミステリー。
しかし、読む気がしないんですよ。何と言うか、「前に進む気がまったくないんじゃないか」
って思っちゃうんですよね。予定調和的な面白さっていうものの存在は認めるんですが……。
あれを書いてて満足できるのかな、という。
まあ、
>>197のなんかはまさに「まったく前に進む気のない」マンガなんですけどね。
絵がついていればそれでも読めるw
山本文緒「ブルーもしくはブルー」
この間古本屋でマンガを漁った際、マンガだけレジに持っていくのが何となく恥ずかしかったんで、
一番上に積んであったのを適当に取ったのがこいつです。
山本文緒は「チェリーブラッサム」ってやつを読んだっきりだったんですが、これは面白いですね。
途中まで読んで、やっぱやめようかな、と思ったけど、まあ最後まで読んでよかったですよ。
なんか、安易に結末がまとまってないからいいんです。全てが終わった後で、蒼子は何にも
前に進んでないんですよね。むしろ状況は後退している。ただ一つ変わったことといったら、それは
彼女が「逃げ場はない」ってことを知った、ということだけ。これから彼女が第二の人生を歩みだして
楽しく生きていけるかというと大いに首をひねらざるを得ないのですが、やっぱりそれは知らなくちゃ
いけないことだったんだと思います。知って死ぬのと、知らずに死ぬのは違う、ってね。
遠藤周作「王妃マリー・アントワネット」
アントワネットのことは、この本を読もうという人なら誰でも知っているでしょう。彼女が最後に
どういう末路を辿ったかというのも、承知しているでしょう。それだのに、アントワネットの周囲の人たちは
幾度も彼女を救い出そうとする。しかもその、命がけの救出を手伝う者の中には、アントワネットと
まったく関係のなかった人も混じっているんです。むしろ、王政打倒に一役買っているような人まで、
大した報酬も見込めないのに、ただ、そのスリルに憧れて必死に救出計画を練るんです。
そして俺は、そういった人々に強く共感を覚えたわけなんです。
その救出劇はどうなったか? もちろんすべて失敗したことを、これを読む人全てが知っています。
けれど、読者は(少なくとも俺は)、手に汗握って彼女の逃亡を見守るんですよ。そして失敗したときには、
がっくりと肩を落とす。アントワネットが嘆くたびにやるせなさを感じるのだけれど、フランスの民衆も、
貴族も、誰も恨むことができない。誰かを悪役にすることができない。みんな頑張ってその日を生きて
いるだけなのに、アントワネットは日々一歩ずつ断頭台へと向かっていくんです。
何故だ? 何故? 直接の原因はそこに一つも見られない。それは少しトルストイが戦争と平和
で示そうとしていたことに似ている。もう何十年何百年前からの人々一人ひとりの動き、そういうものが
しだいに加速していて、アントワネットがフランスに渡ったとき、もうそれは止まらないところまで
来ていたんじゃないか、と思わせられる。「あのときもう少し急いでいれば、もう少し早い馬車に
乗っていればアントワネットは逃げられたのに!」と思っても、それは仕方ないことなのだ。きっと。
きっともっとずっと前からそれは避けられないことになっていたのだ。
上の方で俺は、「大きな信条もなくアントワネットをひたむきに救おうとした人に憧れる」と書きました。
俺がそういう人たちに憧れるのはきっと、その、「ずっと前から避けられないようになっていたこと」
にあくまで抗おうとしたのが、彼ら(彼女ら)だったからなのだろうと思います。
遠藤周作「一・二・三」
遠藤周作の浪人モノその二。
受験生が浪人モノなんか読むな、それ以前に本ばっか読んでないで勉強しろと言われそうですが、
まあ、読んでよかったなという。やっぱり凄い作品です。
なんというか、読み手のせいか、それとも作品のもつ普遍性のせいか、読後に感じたことが
>>200,
>>201と共通している。それは、「いろいろあったけど、前に進めるわけじゃないのよね」という。
心動かされる出来事はあっても、そう簡単に運命は、ましてや社会は変わらないと。そういうものです。
これはね、東大に落ちた二人組が、「学歴なんか関係あるかあ」と冒険をする、というまあ、
お決まりのヤツなんですが。なかなか中身が濃くってねえ。自分を皇族だと思い込んでいる
聡明な精神病者がその二人に加わってね。戦争とかも関わってくるんですが。それが、
すごく爽やかに書かれている。登場人物がみんな、ふつうの人だからなんですね。特別に
賢かったり、勇気があったり強かったりしないんです。
たとえ将来でびゅーできたとしても、遠藤周作ぐらいの作家には俺はなれないんだろうな、
と思うと、やっぱり寂しくなります。
遠藤周作はいいねえ。
「人間」を描く、などと言えば陳腐な言い回しになるが、
それ以外の表現が見当たらないほど登場人物にリアルに血が通っている。
「経験」を積み、かつ「他人の気持ち」が分かる人間でないと、
あれだけのものは書けないと思うさ!!
今日は、最下層のカキコをたくさん読んだので、頭が痛くなりました。
でも、500番まではがんばってみます。
こんな場所をsageで使っている人もいるのですね。
保守。
まったく本を読む気にならんので、村上春樹のエッセイなんかを読み返したりという
非生産的なことをしています。
206 :
名無し物書き@推敲中?:04/01/26 18:21
このスレまだあったのか…
このスレまだあったのか……。
カート・ヴォネガット「デッドアイ・ディック」
ヴォネガットのものはだいたい読んだんですが、なぜかこのデッドアイ・ディックと
ホーカス・ポーカスだけ読むのを忘れていたので、受験終了の暇にまかせて読んでみました。
何と言うか、「一行の重み」を知っている人ですよね。ヴォネガットも、訳者の朝倉久志も。
ただ、結構ヴォネガットの小説ってみんな似通ってますよね。どれもすばらしい小説では
あるのだけど。だから「デッドアイ・ディック」について感想しようとしてもヴォネガット全体に
対する感想になってしまう。そこらへん、ヴォネガットファンだけに残念な気もします。
ユトリロの絵みたいな感じですね。
エラリークイーンの「開いたトランプ」。
見せ場には膝を叩いた。
やはり小説は、読み捨ての娯楽であるべきだ、と思う。
む、懐かしいスレが。移転のドサクサで消えておるかと思った。久々に書くか。
金城一紀「GO」
なんじゃあこりゃあ!である。
日本を舞台とした異文化の話ということで、カルチャーショックを期待していたのだが。
いや、実際冒頭のオヤジとハワイ旅行のくだりは素晴らしいのである。
例えば、大体の日本人は在日朝鮮人から在日韓国人に国籍が変わる、というのがどういう意味を持っておるのか
理屈の上で理解できたとしても、感覚として非常に掴みにくい。
先生も全然分からんのだが、そういう彼らにとって常識なことを理解するのに、物語という媒体ほど適したものもあるまい。
ということで、これは面白いな、と読み進めようとしたのだが……
どうもこれは恋愛小説らしく、主人公の生活の描写もそこそこにヒロインらしき女の子が登場する。
まあそれはいいのである。これは恋愛小説であり、何とか主義と言ったものは一切関わってこないと主人公も明言しておる。
それはいいのだ。
しかしだな、こんな女がいてたまるかッ!!!!!!!!!!!
このあまりにブッdだ不思議ちゃんぷりはなんですか。誰にそんなに媚びておられるんですか。
どうもこの部分に限らず村上春樹を意識した部分が見え隠れするのだが、そういえばノルウェイのみどりも不思議ちゃんだった。
が、あっちはもっと抑制が効いておった。みどりは普通と不思議ちゃんの微妙なバランスが魅力だったのである。
こっちはもうね、あきらかに不思議で魅力的なキャラクターを作ろうとして、やりすぎである。
セリフ一つでおなか一杯の膨満感ですよ。これ以上読み進めるに耐えなかったので、先手、48ページで投了である。
とかいいつつ移動時間を利用して「GO」読了である。
作者の経験に基づいて語られる学校の部分など、実に素晴らしい。父親とのボクシングの特訓のくだりや、正一や元秀とのエピソードなど
まさに血の通ったエピソードとはこういうのであるな、と思う。そりゃ直木賞も獲るわ。
転じて、ヒロインである桜井関係のエピソードはあまりにもペラペラというかお粗末な。
初登場からあまりの作り物臭さに辟易としておったが、最後までそのまんまである。村上春樹ヒロインの粗製コピーか。
最初のデートの、「混んでるだけが取り柄のまずいイタ飯屋」あたりのセリフは笑ったが。
作り物臭い、といえば父親のあまりにお茶目さんな部分もそうなのだが、父親は根っこのところで確固としたリアリティに裏付けられた
行動原理があり、思想があり、歴史がある。土台さえしっかりしたキャラなら、こういうあざといエンタメ小説的な味付けをしても
薄っぺらい、作り物臭いキャラクターにはならんのだな、と実感した。
しかしこの作者、経験を元にしたネタのストックを使い果たした後どうなるのか、多少不安であるな。
印象に残った点としては、物語やセリフの端々に知的コンプレックスが見え隠れすることであろうか。
とにかく俺はケンカに強いだけじゃなくて本も読んでて知識もあってカッコイイ音楽も聴いてて映画もメチャメチャ見てて
という自意識が過剰とも取れるほどに強調されている。
自分に酔っておるなあ、という見方も出来るが、先生はそうは感じなかった。
これはタフでなくては生き残れない、という自覚の副産物として知的コンプレックスではないかと。
そう考えるとリアリティのあるキャラ造形である。嫌味の無い知的コンプレックスというのも珍しいな、と思いながら読んでおった。
212 :
吾輩は名無しである:04/03/26 12:59
ahya
保守。題名だけ。
「小林一茶」井上ひさし
「ふくすけ」松尾スズキ
保守。
松田瓊子「紫苑の園/香澄」途中まで。
スティーブン・キング「神々のワードプロセッサ」再読。途中まで。高校の時以来。久々。
ポーリーヌ・レアージュ「O嬢の物語」序文の途中。
宮部みゆき「返事はいらない」再読。途中まで。
大江健三郎「死者の驕り」再読。途中まで。二十歳頃以来かな。
宮部みゆきは読むのに時間がかからない。素晴らしいことだと思う。
変な意味ではなく。
保守。
椎名誠「胃袋を買いに」のうち一編、「箱の中」再読。
怖い。
ちなみに、文庫化してすぐに、世にも奇妙な物語かなんかで
ドラマ化してしまい、なんだか大事なものを取られてしまった
ような、寂しい気分になった事を覚えている。
保守。
柳美里「家族シネマ」内のうち一編、「潮合い」再読。
一種の緊張感に満ちている。凡庸なテーマであり
エピソードもありがちなものだが、文章にいちいち
感性を感じるので、最後まで一気に読める。
でもこれ、復讐だよねえ、きっと。
井上靖「夏草冬濤」
井上さんお得意の、自伝的小説。あすなろ物語なんかとは違って、中学時代のことだけを
抜き出してますね。
読み終わってみて思うのは、こういうのって小説になるんだな、ということですね。
大きな事件は起こらず、ただ一人の中学生が、対した成長もなく、変化もなく、育っていくと。
時々変わりそうなことはあり、主人公の友人も変わっていくのだけれど、本人はやっぱり
そんなに変わったもんじゃない。ただ、「知って」いくだけなんですね。これこれこういうものがあることを
知った。こういう者があることを知った。などなど。
それを延々と文庫本2冊にわたって書き、最終的に何の結論もなく終わる。
ま、結論なんてあるわけがないのですよね。人生の一部を切り取って、そのまま書いたといった
小説ですから。ただこの小説を小説ならしめているのは、作者の感性のみ。
へぇ、こういうのって小説になるんだな。物書き志望としては大変参考になるところです。
保守。
山本周五郎『月の松山』
『倉橋由美子の怪奇掌編』
219 :
名無し物書き@推敲中?:04/05/14 21:09
保守age
保守。
酒見賢一『ピュタゴラスの旅』短編集、再読完了。
凡作も混じっていますが『籤引き』が面白かったですね。やはりこの人の真価は歴史を題材にした
ものにあります。『籤引き』はそれからは多少外れますが、個人的に印象に残りました。佳作的に
僕は好き、という感じです。
山際素男『カーリー女神の戦士』再読。途中。インド神話って面白いですね。ちょっと興味が出てきた。
伊藤たかみ 『ミカ!』 文春文庫
児童文学の賞を取っているそうですが、なるほど面白い。長篇を一気に読んだのは久しぶりです。
思春期の入り口に立つ小学生のミカを双子のユウスケが側で見守るお話で、小学生ライフを満喫
させてもらいました。続編も出ているそうで、期待です。文庫になったら即買いです。
谷村志穂 『ベリーショート』 集英社文庫のうち一編だけ。
乙女の気持ち研究事業の一端です。ショートショートの長さで恋愛を扱うテクニックの勉強でもあります。
アメリカ探偵作家クラブ Lトリート 『ミステリーの書き方』 講談社文庫 半分ほど。
はじめていわゆるHOWTO本を手に取りました。この値段で色んな作家さんの実際の方法を知る事が
出来るというのはお得に感じます。書きたくなる気持ちが湧いてきます。
アメリカ探偵作家クラブ Lトリート 『ミステリーの書き方』 講談社文庫 読了。
良い本。オススメです。自分なりに考えていた事と同じ考え方が結構多かったので、その意味では
自信になりましたし、さらに一歩考えを進めるきっかけになる言葉が沢山ありました。アウトラインを
作らない作家でプロとしてやっている方が沢山いる事を知った事も僕にとっては良かったです。
梨木香歩 『裏庭』 新潮文庫 全12節中(エピローグ含めて)2節まで。
正直、最初はころころ切り替わる視点、読点が多くかつかつと引っかかる文体に、こりゃ外れを掴んだ
かと思いましたが、2節に入ってようやく面白くなってきました。どうやら、ころころ切り替わる視点には
きちんとした理由がありそうです。2節でなるほど、という感じです。1節で投げないでよかったw
どういう結末になるのか、技術的な興味が湧いてきますし、ようやく始動した物語がどういう風に展開して
いくのか楽しみになってきました。
しかし、1節はもっとやり方がなかったかな、と思うんですが……。児童文学ファンタジー大賞を取っている
作品に対してこういう事を思うのは不遜な事なんでしょうか。もしかしたら「読めていない」のか、とも
思いますが。まあ、全体を読んでから、ですね。
梨木香歩 『裏庭』 新潮文庫 読了。
いや、あとがきにもありますが、ほんとにすごい大作でした。面白い。どんどん引き込まれる
面白さがあります。各所に唸らせられる表現があり、考え込んでしまう事もしばしば。
また、複雑に絡み合ったパズルのようなプロット、メタファーを読み解く面白さがあります。
正直、一読しただけですべての解が見える人は少ないような気がしますが、けして難解というの
ではなく(児童文学ファンタジーですので)、ストーリーは滞ることなく進んでいくのです。主人公達の
物語として……。ものすごい技術です。
僕はわりとストーリーはストーリーとして追うだけで満足して、あとは再読を何度か繰り返すうちに
本の中身を吸収していくほうなのですが、この本はメモを取って全ての要素を書き出して、すべての
メタファーや伏線を読み解いてゆく作業をしたくなりました。こんな気持ちになった事ははじめてです。
本について知りたくなるんですよ。
瑣末な文章技術、神視点にとまどったり、構成の技術的には「語るな・見せろ」に反していたり、1節の
内容は2節以降に織り込んだほうがよかったのではと思ったりしましたが、わかりやすさ優先なのかも
しれませんね。込み入った仕掛けがぎっしり詰まっていますので。
文章を書く方にオススメの本です。サプライズやリドルの教科書に是非。
224 :
ひの ◆W2Z6LpgaXA :04/06/01 01:29
保守。
山田詠美 『蝶々の纏足 風葬の教室』 蝶々の纏足のみ読了。
山田詠美作品は初めて読みましたが、テクニックがすごいですね。
なかなか面白いです。評判の良い放課後のキイノートも買ってみよう。
保守。
山田詠美 『蝶々の纏足 風葬の教室』 読了。
梨木香歩 『西の魔女が死んだ』 読了。
うん、どちらも面白かった。山田詠美作品は読者をとらえて離さない何か
があるなあ。他の作品も読みたくなりますね。
『西の魔女が死んだ』についてはささいな突っ込みどころっていうか、そういうのが
ありますが……。梨木香歩って人は人物造詣よりも物語造詣(なんだそれ)に
興味がある人なのかな。ときどき、人物が駒みたいになっているような。
でも、お金を出す価値は十分あります。
保守。
加納朋子 『ガラスの麒麟』 あと一編を残すのみ。
なかなか面白いと思うんですが、小品の連作という感じでしょうか。
トリック自体は軽いものが多く、構成力と心の動きで見せていますね。
ただ、なんというか僕自身の考えでは、さらっと流してどんどん
進んでいくような印象がありました。もう少しどっしり構えてもいいんじゃないかなあ。
あと、なんていうんですか、大人が少年少女期を否定的に振り返っている感もあります
ので、現少年少女がこれを読んだらどう思うかがけっこう気にかかります。大人の
立場からは共感できるだろうとは思うんですが……。
(僕はちょっと紋切り型にも感じましたが)
とはいえ、これもお金を出す価値は十分ある本です。
たまに、無駄に顔を出してみる。
保守。
加納朋子 『ガラスの麒麟』 読了
連作の最後、書下ろしの、『お終いのネメゲトサウルス』を読むと、すべての疑問が
解決されるようになっています。もちろん、過程あっての結末ですので、ラスト一章だけ
立ち読みで済まそうなんて思わないでくださいね^^;
演出が込み入っていますし、連作を読んだうえで、という前提で書いていますので
全部読んでいないとわけがわからないはずです。
さて、全部読んでの感想ですが……。↑で否定的な、と書きましたが、いやいや、それは
登場人物の視点での思考でした。結末では、僕の抱いていたささいな疑問は解消されました。
一応、納得のいく結末です。心のふるえ、なるほど……という感じですね。
少年少女たちにもオススメできそうで、↑の感想は撤回します。
……が何かぎこちない、んだよなあ。なんなんでしょうね、このぎこちなさ。うまく言葉にできない
んですけど。このぎこちなさを感じる理由を追求しておくと、何か得られるかもしれないな……と
思ったりしました。
さて、次はなにを読もうかな。
加納朋子 『ななつのこ』 読了。
日常の謎をテーマにしたなかなか面白い短編連作です。
特徴は挿話の使い方でしょうか。作中に「ななつのこ」という短編小説の
挿話が毎回入るのですが、それが本編と絡んでいきます。
こういう重層的な構成を考えるのは大変ですよねえ。
書いててこんがらがったりしないのかなあ。僕は目の前の一個のことしかできない
非マルチタスク人間なので、そんな事を思いました。
ひとつ欠点としては、ストーリーの連続性が薄い事をあげておきます。
めまぐるしく切り替わる挿話はある種の韜晦の効果をあげていて、
疑問点から読者の目を逸らさせる事につながっているのかもしれませんが
(記憶力の良い方なら気にならないのかな。僕はすぐ忘れちゃうので、いったり戻ったりが
大変でした)
感情移入という点では多少マイナスなのではないかと思います。
これは作者さんの癖なのかな。そういえば、『ガラスの麒麟』でもそんな傾向がありました。
でも、やはりお金を出す価値は十分ある本だと思います。
少年少女に是非。
日本推理作家協会 『ミステリー傑作選35 どたん場で大逆転』 のうち一編、
宮部みゆき 『人質カノン』 読了。
ミステリーとしては小品だと思います。謎に主眼はおかれていない。あっけなく事件は解決します。
しかし、なんていうんですか、優しい、そしてちょっと哀しい目で人と世の中を見る感性っていうんでしょうか。
「宮部みゆき」です。誰でもできそうに思えてなかなかできない事じゃないかな。ミステリーに限らず、ホラー
でもなんでも、やはり「人」をちゃんと書かなければ人の心を動かすことはできないのだ、
という事を再確認します。
村上龍 『69』
爽快感がたまんないですね!
永瀬隼介『ポリスマン』幻冬舎
表題のポリスマンというのはプロレス団体の内部でルール違反や何やかやを犯した困ったちゃんに制裁を加える人のこと。当然強くなければつとまらない。
主人公の深見は亜細亜プロレスのレスラー。普段は「玄人好みのテクニシャン」という地味なポジションにいるんだけど、実はポリスマンだったりする。実力を隠してるわけやね。
総合格闘技ブームに押されて「最強神話(まあなんの格闘技でもあるんだろうけど)」の崩れつつある亜細亜プロレスを支えるために、いよいよ切り札深見の出番となった……というような内容。
となるとやっぱり気になるのは格闘シーンの描写なんだけど、これがなかなかいい。迫力があり、リズムもよく、作者がプロレスの魅せ方を心得てる感じ。最後まで本当にプロレスの試合を見てるかのような気分でどきどきしながら読めました。
プロレスの「ショー」の部分に関しても目をそらさず真っ向から書いてるので、「プロレス?出来レースじゃん」とかいう人にもおすすめ。
232 :
名無し物書き@推敲中?:04/07/15 16:04
金原ひとみ『アッシュベイビー』を読みました。
この人の本を読むのは初めてでした。
芥川賞受賞後、第一作ということで期待して読んで見たんですが……
正直、よくわかりませんでした。
読んでみて感じたことは、ただ汚い言葉と罵倒でいっぱいだなということだけ。
自分が本をあまり読んでないせいでしょうか。
233 :
名無し物書き@推敲中?:04/08/04 23:53
age
234 :
名無し物書き@推敲中?:04/08/16 07:03
今日の通勤本:
町田康「パンク侍斬られて候」
おもろかった。蔓延する「腹ふり踊り」と登場人物全員の
見事なまでの駄目ぶり、小池一夫ばりの話の横滑り、
お笑いアンテナ高すぎ。
本日の通勤本:
清水義範「いやでも楽しめる算数」
エッセイ・雑談形式で算数を解説。おっさんのための算数本。
豆知識等を絡めながら非常に丁寧に、根気よく解説してあると思う。
そしてこれを読んでもなお鶴亀算が理解できない俺はすごいと思う。
本日の通勤本:
藤沢周平「彫師伊之助捕物覚」
なんかね、まだ途中だけど藤沢周平作品の中ではハズレだと
思うの。いや、相変わらず江戸時代の情緒とか雰囲気とかは
すごく上手いんだけど。他の作品がすごく好きなだけに期待以下。
今んところ。
続・本日の通勤本:
藤沢周平「彫師伊之助捕物覚」
帰りの電車で読み終えた。後半になってちと話が変わって
きたので、書く。ネタばれ含む。
前半は、元岡っ引き・彫り師伊之助が、行方知れずになった
おようという娘を探し、あちこち調べにまわるわけですよ。
>>237の感想を持ったのがこの辺りまで読んでですね。
で、後半。213ページ目になって、何の伏線もなく、主人公が
柔の達人であったことが発覚します。さすが藤沢先生。
ファンにはたまらない展開です。ちなみに、先生には「最後の
2ページで主人公が一刀流の達人であったことが明かされる」作品も
あるので驚くには値しません。むしろその唐突な事実を無理なく描き
カタルシスを感じさせる筆力にこそ瞠目すべきでしょう。
話が進むうちに、主人公は、材木問屋高麗屋と作事奉行臼井織部正との
黒い密着を知り、おようがそれに巻き込まれたことを突き止めます。
街を騒がす怪盗「流れ星」が主人公にその証拠を託します!!
金で雇われたならず者をずったんばったんのめします!!
昔から主人公に惚れていたおまさの想いを受け入れ、せっくすなどを
なさいます!!
もう、テンション上がりまくりです。親に内緒で11PM見てた頃の
俺でもここまで鼻息荒くなかったと思います。
しかし、さしもの「カミソリ伊之」も、相手が大きすぎてなかなか
核心に斬り込めません。そうこうしているうちに、高麗屋は雇っていた
殺し屋との関係がこじれ、殺されてしまいます。臼井織部正は娘を
将軍家の側室に差し出し、手の届かない存在になってしまいます。
打つ手をなくした主人公。このままおようの行方は解らなくなって
しまうのか?!
主人公は失意のまま仕事場に顔を出します。彫ってほしいともちこまれた
美人絵を見ると・・・おようです!!やった!!見つかりました!!
奇跡だ!!!!・・・・・・・
それでいいのか、藤沢周平?!!!!!!
本日の通勤本: 桐野夏生「光源」
キャッチコピーが「俺まで誰も読んだ事のない小説」。
実に俺好みです。
大体においてこの「誰も読んだ事のない」とか「前代未聞」とか
ゆうのは、作者がものごっつい天啓を受け新境地を切り開いた
作品か、ものすごいアレかのどちらかです。
(例:清涼院流水「ジョーカー」・大藪春彦「飢狼の弾痕」)
しかも作者は「OUT」の桐野夏生。キチガイの心理描写には
創作とは思えないリアリティーを感じさせる作家です。
期待半分、違う期待半分で読み始めます。
……上手いです。ひとつの映画を撮るために集まった3人の男女。
それぞれの抱えるドラマが暗鬱に、そして現実感たっぷりに伝わって
きます。
映画界は自分を過小評価している、自分はもっと有能で成功すべき
存在なのに、と苦悩し、廻りの足を引っ張って冷ややかな目で見られる
若き脚本家・三蔵なんか、一歩間違えた現在の自分を見るようで、
アナルが収縮します。
まだ半分しか読んでませんが後半の期待大。
↑訂正。キャッチコピーは「今まで誰も読んだことのない小説」。
続・本日の通勤本: 桐野夏生「光源」
(ネタばれ含む)
読み終えました。結論からゆうと、エンディングが
しっちゃかめっちゃかでした。
製作サイドの3人に役者2人の視点を加え、物語はより加熱して
いきます。それぞれがドロドロとした人間関係と鬱屈した想いを
抱え、解りあえないまま映画は破綻の方向へ。
ついには主演である大物俳優・高見貴史が降板です。映画はいったい
どうなってしまうのでしょうか。それぞれの抱える想いははたして
どのような収束を迎えるのでしょうか。
ここで舞台は急に飛んで1年半後、何も解決せず物語は唐突に終わります。
……感動です。少年ジャンプの打ち切りを思い出させる清々しさです。
新境地を開拓するのも結構ですが、そんなとこ開拓しても
5人くらいしか住まないと思います、桐野先生。25世紀くらいには
評価されるのかもしれませんが。
それでも、この人が「上手いなあ」と思うのは、これでもかと
言わんばかりに叩き付けてくる強烈なキャラクターとその陰鬱な内面
です。実際、主人公5人は全員イヤな奴です。そして超ダメダメです。
人間として間違ってるんじゃないかというような行動もしばしば
とります。しかし、共感できないはずのこの登場人物達に、
ワタクシのダークサイド「ブル伍長black」が「うんうん。あるある」
とシンパシーを抱いているのもまた事実なのです。
>損な仕事になるのは間違いない。自分だけが割り喰うのは嫌だ。
>自我を剥き出しにすることをようやく抑えられるようになった
>大人の高見は、今。真の幼児に戻りつつあった。しかし、それ
>は俳優の正しい有り様のはずだった。
という、競演女優に喰われそうになって「俺が主役なのに!!」って
ヒステリー起こして役から逃げ出そうとしてしかもそれを「俳優と
しては正しいよね」とかゆって正当化して自己防衛、なんてシーンは、
心底、なんじゃこいつは、と思うのですが、いつの間にか肩にとまって
いたブル伍長black・RXが、「ああ、わかる。わかるわあホンマ」等と
涙ぐんでいますよどうしましょう。
人間の削りきれない黒い部分を堪能するという点では、オススメな
作品だと言えるでしょう。
本日の通勤本: 「空飛ぶ馬」北村薫
さて、昨日の読書で黒伍長となってしまったので、今日は
心に優しい本を選んでみました。
本書は「殺人の起こらないミステリ」として5篇のショート
ストーリーが収められており、ヒロインの輝きと躍動感、そして
強い意志は黒伍長的にゆえば「おぢさんに媚びた」キャラである
といえるでしょう。まあ、おぢさんなので嬉しいのですが。
で、本書は再読です。てゆうか再々々々々読くらいです。
なぜワタクシがこのシリーズをこよなく愛しているかとゆうと、
それは本作の清涼感あふれる作風でもなく、利発な主人公の
生き様への憧れと共感でもなく、本書が「探偵役が噺家」という
稀有なミステリーであるからです。非常に迷惑な読者であると
言えるでしょう。
当然ながら、我らがヒーロー、春桜亭円紫師匠が登場するまで
本筋は斜め読みです。
だって、トリックは完全に暗記してますから。
(つづく)
さて、中盤もすぎ、円紫師匠の高座の始まりです。
「外記猿」の出囃子が頭の中に鳴り響きます。
まあ、実際この場面でメロディーが浮かんでくるのは
西京区で3人もいないんじゃないかは思いますが。
実に無駄な場面に力が入ってます。すばらしいです。
ネタも「御神酒徳利」。非常に通好みです。少女向けな装丁と
ストーリーの本作において、あまりにも浮いています。
おまけに円紫師匠、高座を務め終えたあと、女子大生である
ヒロインに向かって、喫茶店でネタ解釈の講義を始めてしまったり
します。
しかも、文学部国文学科の主人公は、実に楽しそうに、その話に
耳を傾けています。ガッデム。
ちなみに、こんな良い娘さんは現実には存在しません。
なぜそんな事が言い切れるかとゆうと、昔、必死で探し回ったけど、
いなかったからです。
そのほかにも円紫師匠、CD12巻組みの全集を出したり、
弟子の小紫と親子会をおこなったり、鈴本演芸場でトリをとったりと
0.1%の読者を除いて何がすごいのか理解できないであろう活躍ぶり
です。一気に読み終えてしまいました。
まあ、トリックとかは、もう、どうでも良いです。
本日の通勤本: 山田風太郎「忍法八犬伝」
ああ、こういう馬鹿な事ばかり書いて生きて行けたら
どれだけステキだろうねえ。
「書いてる本人が楽しいものを」ってゆう原点を
思い出させてくれました。
続・本日の通勤本: 山田風太郎「忍法八犬伝」
読了。
山田風太郎は講談調、というかモロ立川文庫な文体が
俺的にはすごい魅力。講釈師の立弁と、張扇と小拍子を
ぱんぱん鳴らす音が聞こえてくるような描写。
>「服部どの、やがて女狐めらの首土産に帰参仕る
> と大御所にお伝えを願う」
> 声ははろばろと、外縛陣のすでに外側にあった。
> 百夜ぐるまの幻の剣をまぬがれたものの、草に伏
>して気死したような服部一党が、その声に茫乎たる
>顔を向けたとき、西の野末に銅板のごとく赤錆びて
>沈みかかった満月に、二羽の蝙蝠が舞い立ったよう
>にみえて、そのままふっと消えてしまった。
> 風がひょうと野面に鳴る。秋風の声ではなく、す
>でに木枯らしの音だ。多摩川にさかさにうつる林影
>は裸で、それをわたる雲はもう冬雲の冷たい色であ
>った。
この硬質な文!!音読を視点に置いた句読点!!たまりません。
ちなみに内容については、水牢の穴をちんこで塞ぐためだけに
登場した巨根の忍者がかっこよかったです。おわり。
248 :
名無し物書き@推敲中?:05/01/21 00:06:58
「狙撃手」面白いぞ
>>248 Σ ( ̄□ ̄lll) ひっそり書いてたのに上げちゃった?!
|д・) うう。ひどいや。
|д・) しばらく様子見。
|д・)ノ なぜなら「この本を読んだけどいまひとつだったよ。」って
ゆうような俺の感想が、かしこい人の目に留まってしまって、
「お前の読み方はなっちょらん。なぜこの作品の根底に横たわる
原風景とトルストイを下敷きとした理想主義に気がつかんのか。
はあ、白樺白樺。」とか叱られてしまったらイヤだからー。
253 :
名無し物書き@推敲中?:05/01/21 16:45:07
阿部和重の芥川賞受賞作は最低だな。
児童ポルノを撮影して、しかも小学生とやっちゃうような奴が、小学生の学芸会の監督をして救われるなんて。
読んでいて反吐が出たよ。
都合のいい話だぜ。
反社会的な物語はOKだし、それこそ文学たるゆえんだけど、あんな救いはねえよな。
甘ったれんじゃねえよ。
とって付けたような陳腐な結末。
とって付けたような時事ネタ。
谷崎潤一郎の文章読本で素人の悪文として例に挙げられそうな、陳腐な比喩表現の連発。
比喩表現なしなら3分の1に縮まるくらいのスカスカな内容。
長いことやってて、そろそろあげなきゃかわいそうなんて理由で芥川賞あげるようじゃ、文学の自殺だよ。
ひっそりとROMってニヤニヤしてたのに…
ageんじゃねーよ!! ヴォケ!!
ファイトだ伍長!
次は阿部和重の「シンセミア」…ってウソウソ
256 :
名無し物書き@推敲中?::05/02/10 01:22:56
oi
257 :
吾輩は名無しである:05/02/25 11:50:02
tr
258 :
吾輩は名無しである:05/03/12 11:35:16
ud
259 :
名無し物書き@推敲中?:05/03/12 13:01:33
昨日は断食少年青春という島田雅彦の短編読んだ
ファイトクラブとかぶってた。
260 :
名無し物書き@推敲中?:05/03/12 15:14:10
アドルフ・ヒトラーの『我が闘争』を読みました。
彼がどんなにロシアが嫌いで、ユダヤ人を滅ぼしたがっているかがこれでもかって
ほど伝わってきましたがそんだけ。
261 :
吾輩は名無しである:2005/03/26(土) 11:39:44
6
262 :
吾輩は名無しである:2005/04/09(土) 11:41:31
:
263 :
吾輩は名無しである:2005/05/03(火) 12:04:27
8
264 :
名無し物書き@推敲中?:2005/05/04(水) 00:24:24
北村薫「冬のオペラ」読んだ。ミステリ短編集。
ホームズタイプのアームチェアディテクティブ、フリーター探偵と、
ワトスン役で記録者の、若い娘さんって組み合わせがベタでいい。
文章うまいなあ。さすがだなあ。プロの職人芸って感じ。
このワトスン役の娘さんの一人称、溌剌とした感情と、
どこか飄々とした視点が全体のトーンになっていて、
これが文章の味付けってやつなのかなあ、読んでいて快いなあなどと思いました。
265 :
名無し物書き@推敲中?:2005/05/17(火) 15:13:06
266 :
吾輩は名無しである:2005/06/14(火) 11:43:56
9
10
268 :
吾輩は名無しである:2005/07/17(日) 11:24:42
o
269 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/29(土) 19:11:40
『第1回パスカル文学新人賞 パスカルへの道』
(筒井康隆・井上ひさし編/中公文庫)
これは、もちろん、フーコー短編集ではない。パスカル短編集である。
選者の、筒井康隆、井上ひさし、小林恭二らの厳しい目で応募総数213編
から選抜された、個性的な作品が収められている。
最優秀作が川上弘美の「神様」であり、秀悦。他の優秀賞22品は玉石混合
ともいえ、これくらいなら自分でも書けるだろうなどと、不遜かつ率直な
感想を抱く人も多いかもしれない。(自分もそう思った)
なお、この賞は惜しいことに最早存在しないが。
(ブックオフにて100円で購入・読了)
宮部みゆき「人質カノン」の中の、表題作だけ読みました。
立ち上がりからしばらくの文が、川上弘美の「センセイの鞄」に
似ているような気がしたので調べてみたけど、こちらの方が先に
書かれたものでした。たぶんよくある文体なのでしょう。
これはミステリー小説の特色なのかもしれないけど、作中に散り
ばめられたファクターが、多くの場合、物語中の伏線として使わ
れていて「そんなにひとつの所に集約されていくものなのかなぁ
?」と突っ込みたい気持ちが残りました。
それと、こういった小説は畳みかけるような説得力が命だと思う
のだけれど、そこにもすこし疑問が残ってしまったのです。
でも全体的にはわかりやすくて上手いと思うし、おもしろかった
です。 70点
271 :
名無し物書き@推敲中?:2005/12/11(日) 11:22:16
e
272 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/11(水) 13:28:46
笑ってはいけない
273 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/11(水) 13:50:38
わはは!
274 :
名無し物書き@推敲中?:2006/02/05(日) 23:03:44
受けとめる
275 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/10(金) 21:34:11
それにしても、無名草子さんたちとは、さぞやすごい作家先生の匿名書き込みなんでしょうね。
作家なんて才能が全てだから、津井ついみたいに、いくら努力したって駄目なものは駄目ですよ。
私なんか、早々に見切りをつけて趣味の世界で細々ですから。
小説現代ショートショート・コンテスト優秀賞受賞 阿部敦良
276 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/14(金) 20:06:09
age
277 :
やすお:2006/04/15(土) 13:05:08
残雪「黄泥街」読了。途中で飽きてしまいましたが、何とか読み終えました。
いまからローベルト・ヴァルザー「ヴァルザーの小さな世界」を読みます。
それのどこが「感想」なのかちょっと尋ねたい
ただ読むだけじゃ血肉にはならんよ
279 :
やすお:2006/04/15(土) 13:23:04
ごめん。語るときは文学板で書いてるから。ここでは読書記録のみってことで。
スレタイ嫁
横光利一 「機械/春は馬車に乗って」
この短編集、特に「御身」は妹萌えの元祖というか、短くも鮮烈なエピソードの連続による構成に
「妹って結構いいかもな」と思ってしまいそうになった。
川上弘美選「感じて。息づかいを。」読了
恋愛小説アンソロジーって謳い文句の割には面子が良い。
坂口安吾、車谷長吉、野坂昭如、よしもとばなな、伊藤比呂美
H・エリスン、藤枝静男、それに川上本人。
川上弘美に思いいれはありませんが、いやぁ、安吾に車谷に野坂に藤枝にエリスン
この面子の短編が一時に読める素敵な選出だけでも、川上、いい仕事してます。
個人的には「花のお遍路」と「悲しいだけ」が好かった。
脳梅の妹とのお遍路様、「はいっ。お兄ちゃま」に込められた滑稽な悲哀。
一瞬で時を遡り、過去から現代へと流れていく冗舌な文体は正に野坂節。
冗舌な文章の味でいうなら町田より野坂だね、やっぱり。
ヴァルザー読了。いかにも特殊な作家が書いた作品集でした。
トーマス・ベルンハルト「石灰工場」を読みます。
ベルンハルト読了。傑作には間違いないのですが、非常に読みづらかったです。
ジャン・パウル「ジーベンケース」を読みます。これも時間かかりそうです。
バリントン・J・ベイリー「時間衝突」
突飛なアイデアを息もつかせぬ場面展開で繰り広げられる
ワイドスクリーン・バロックの名作だとか。
人種差別や社会、体制への批判や警告も、無理に読み取ろうとすれば読み取れないことも無く、
一種のメタフィクションとして文学的な云々…なんて、とやかく考える間もない奇想に次ぐ奇想。
過去は現在の記録で、未来は現在の未然というタイムパラドックスの起こりえない世界で
真人と異星人と亜人と中華系宇宙人が組んず解れつの時間SF。
読み終わって深く考えると、奇抜だけど隙の多いアイデアだと思う。
でも、読書中は飽きさせない展開と読みやすい文章の所為で、
矛盾などは一切、気にかからず。
アイデアも然ることながら、それを活かす発想と力技の勝利。。。興味深い。
286 :
名無し物書き@推敲中?:2006/05/06(土) 11:21:10
異なるから
ウンベルト・エーコ「フーコーの振り子」
1000ページ超の大作というか怪作。
自費出版社を舞台に陰謀好きのオカルト作家(文中では猟奇魔、○自と揶揄的表現)達を手玉に取っていくはずが
いつのまにやら……という物語。
エーコの膨大な知識量で歴史的事実を新たに読み直し、そこに陰謀の種を蒔いていく。
物語の鍵はテンプル騎士団。
フランシス・ベーコンからサン・ジェルマンまで正史に偽史を編みこんでいく、嘘と真実の配分は絶妙。
いやぁ、五島勉のノストラダムス本なんかより、圧倒的に信憑性あります。
といっても作中では幾度となく偽史の成り立ちや作り方を暗喩的かつ批判的に説明してるんですけども。
冒頭(現在)で大きな謎を提示して、読者の興味を誘うスタイルは解るんですが
その謎に追いつくまで800ページ近く、どうしようもないオカルト話が繰り広げられます。
いや、謎以外にも読者の興味を削がないために、準主人公の謎めいた生い立ちも絡めたりと
その意欲は買いますが……800ページのオカルト(しかも歴史のこじつけによる非ロマン的オカルト)はキツイです。
何といっても一番キツイのは翻訳者が偽エーコ気取りなところ。
本文のスタイルもろパクリのあとがきなんかいらんわい。
「ジーベンケース」やっと読了しました。独文学のかなりのマニア向けの本です。
普通の人は読まなくても一向に差し支えないと思います。
正直何度も挫折しかけましたが、このスレに宣言したので読了する事ができました。
きょうからヘルマン・ブロッホ「誘惑者」を読みます。
「誘惑者」読了。しばらくブロッホを続けます。今日から「夢遊の人々」を読みます。
ただでさえ読むのが遅いのに1300Pもあります。時間かかりそうですが頑張ります。
290 :
名無し物書き@推敲中?:2006/06/02(金) 12:13:54
意味無
山尾悠子「ラピスラズリ」
冒頭で語られる三枚の絵をモチーフに冬寝室と人形の物語。
巧みな筆致でフランス(中世?)や日本で繰り広げられる幻惑的な話。
しかし、文章が巧い。イメージ喚起能力が半端じゃない。
下手すれば安っぽいヴィジュアル系バンドの歌詞になりそうな単語達を
世界観と高い自意識を保ちながら連ねていく、これは凄い。
過剰な表現とか意識、視点の乱れとか、作者の意図も汲み取らず小さなことに拘る人間がアホ臭く思える作品。
厳密に言えば視点、意識が乱れてますよ、この小説……だが、それが良い。
「夢遊の人々」読了。これでブロッホの長編も残りあと一冊。
その前に休憩がてら古井由吉の「辻」を読みます。
293 :
名無し物書き@推敲中?::2006/07/10(月) 11:59:23
だけ
「辻」読了。薄い本だったので油断してました。とても休憩がてらに読めない本です。
今日からブロッホ「ウェルギリウスの死」を読みます。
>>291から大分間があきました。
SFしか読んでなかったんで感想書きませんでした。
というわけで、
エイモス・チュツオーラ「ブッシュ・オブ・ゴースツ」
粗筋を簡単に言いますと、奴隷戦争を逃れてブッシュに入り込んだ少年。
そこは、幽鬼(ゴースト)の世界ブッシュ・オブ・ゴースツでした、という話。
捕まっては逃げてを繰り返し、幽鬼の国で過ごした日々と逃亡録、と
簡単に説明すると重く暗く湿っぽい話かと思いそうですが、全然違います。
たとえば、ある一節では、幽鬼の町から逃げる途中で見つけた女幽鬼のあまりの醜さに
主人公は自分が追われていることも忘れて醜い女幽鬼を追いまわしてしまいます。
主人公は女幽鬼のあまりの醜さに笑いが止まらず、女幽鬼も自分の醜さに笑いが止まらない、とか。
蛆や腐肉に塗れた傷口を十年間毎日舐め続けることを強いられそうになる主人公、とか。
囚われてる間、口にしたものは幽鬼の涎と血だけだったとか。
脳天気なエピソードを平易な文章で綴っていく。作者の血(ナイジェリア)がさせるのか才能なのか
兎に角、アホな発想のオンパレードで脳の芯まで痺れます。
さてと今週もSFしか読んでません、ので一行簡素。
コリン・ウィルソン「精神寄生体」
作者の提唱する新・実存主義の原型が既に書かれはじめているので、ニヤニヤしてしまいます。
イアン・ワトスン「ヨナキット」
マッコウクジラ凄い。
半村良「不可侵領域」
ナマケモノ凄い。
297 :
名無し物書き@推敲中?::2006/08/06(日) 11:06:48
追いまわして
298 :
作者A ◆GmgU93SCyE :2006/08/08(火) 20:33:20
「人は何故するのか」っていう本をだいぶ前に読んだ。
ドーキンスへの反論って書いてたから、すごく興味深くて買ったんだけど、
一体どこがドーキンスの反論なのか分からなかった。
うる覚えなんだけど、「セックスは社会的な親近感を深めるのが目的」っていうのが作者の主張だったと思うんだけど、
それとドーキンスの利己的遺伝子論とどうつながるのか分からなかった。
「ウェルギリウスの死」読了してますが、ちゃんと理解してないような、
でも理解できなくてもどうでもいいような。
ディレイニー他の「ベータ2のバラッド」も読了。これは図書館で借りて正解。
今日からジュリアン・グラック「シルトの岸辺」を読みます。
300 :
名無し物書き@推敲中:2006/09/04(月) 11:34:43
no
301 :
名無し物書き@推敲中?::2006/09/24(日) 11:37:14
865
「シルトの岸辺」読了。
この作品の文学的価値はわかりますが、グラックって地味なんですね…。
アントナン・アルトー「神の裁きと訣別するため」も読了。
存在だけで素晴らしいアルトー。文庫で出した出版社も素晴らしい。
きょうからW・G・ゼーバルト「アウステルリッツ」を読みます。
「アウステルリッツ」読了。
きょうからモーリス・ブランショ「謎の男トマ」を読みます。
304 :
名無し物書き@推敲中?:::2006/10/20(金) 10:58:09
するの
ここで俺が空気も読まずにお子様向け文学2冊の感想言っちゃうぞ
「すばらしいフェルディナンド」
図書館で内容を全く見ずに借りた。
子供だって面食らいそうな強烈な導入でいきなり物語に入ってく。
主人公は犬なのだけれど、この犬がぜんぜん可愛くない。
そして登場人物が大人ばかりなのだが、揃いも揃って馬鹿しか出てこない。
そんな狂ってるとしか思えない馬鹿げた物語の中で、
ちらちらと現実的なものを盛り込む手法が鮮やか。
ラストはありがちといえばありがちだけど、
スマートにまとめてくれていたので俺は好きだった。
大人の馬鹿さ加減にも風刺がきいていてくせになる。
「サーカス物語」
ミヒャエルエンデの戯曲の台本。
こっちもぼろぼろのを図書館で見つけて借りた。
どうしてこんな人がいるんだってくらい凹んだ。
落としていったん上げて更に上げてハッピーエンド?
って思わせたところで落とすなんて
そしてそれを巧みに行っちまうなんてとんでもない人だ。
特にあのわびしいラストは、良心ある児童文学家なら絶対に選ばない道だ。
いっこ手前で、幸せに終わらせる。絶対。
まじめな本の中でおこちゃま向けの本紹介しちゃってすんませんでした。
でも大人になって深読みすると面白いぜ!じゃあな!!
306 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/24(火) 01:23:46
/⌒ヽ, ,/⌒丶、 ,
`,ヾ / ,;;iiiiiiiiiii;、 \ _ノソ´
iカ / ,;;´ ;lllllllllllllii、 \ iカ
iサ' ,;´ ,;;llllllllllllllllllllii、 fサ
!カ、._ ,=ゞiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! __fカヘ.
/ `ヾサ;三ミミミミミミ彡彡彡ミヾサ`´ 'i、
i' ,._Ξミミミミミミミ彡/////ii_ |
| ;カ≡|ヾヾヾミミミミミミ、//巛iリ≡カi |
| iサ |l lヾヾシヾミミミミミ|ii//三iリ `サi |
| ,カ ,カll|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリllカ、カi |
| ;iサ,サ |l l l リリ川川川川|爪ミミiiリ サi サi | カサカサ
| iカ ;カ, |l l リリリリ川川川川l爪ミミilリ ,カi カi |
| iサ ;サ, |リ リリ川川川川川l爪ミミiリ ,サi サi |
| iサ ;iカ, | リ彡彡川川川川|爪ミミiリ ,カi :サ、 |
,i厂 iサ, |彡彡彡彡ノ|川川|爪ミミリ ,サi `ヘ、
,√ ,:カ, |彡彡彡彡ノ川川|ゞミミミリ ,カi `ヾ
´ ;サ, |彡彡彡彡川川リゞミミリ ,サi
;カ, |彡彡彡彡リリリミミミシ ,カi
,;サ, |彡彡ノリリリリミミミシ ,サi
;メ'´ i彡ノリリリリリゞミミシ `ヘ、 カサカサ
;メ ヾリリリリノ巛ゞシ `ヘ、
;メ ``十≡=十´ `ヘ、
ノ ゞ
「謎の男トマ」読了。まったく理解できず。
ミシェル・ウエルべック「素粒子」も読了。小説です。
更にブランショ「アミナダブ」を読みます。
308 :
名無し物書き@推敲中?::2006/11/22(水) 12:29:06
as
「容疑者Xの献身」読了。
このミステリーがスゴイ!か何かでも結構紹介されてたから読み始めた。
主人公が頭いい犯人っていう設定は大好きだから最初はハマったが、
恋愛要素有りと分かった瞬間少し読む気を失くした。
大体、緻密な戦略がLOVEで崩壊する展開(っていうか、恋愛モノ全般は
体が受け付けない)はあまり好きじゃない。
・・・しかし、なんとか気合で読了してみると、初めて恋愛要素で涙ぐむ
という奇跡を起こした自分が。
結論、名作です。
途中で読むのを止めていたブランショ「アミナダブ」ようやく読了。迷作。
ほかに川端康成「古都」、ガルシア=マルケスほか「美しい水死人」読了。
きょうからトーマス・ベルンハルト「破滅者」を読みます。
312 :
吾輩は名無しである :2007/01/15(月) 13:09:05
q
ここは何を読んだと報告するスレではなく感想を書くスレだぞ
ベルンハルト読了。ベルンハルトに駄作なし(たぶん)。
まだ読むつもりはなかったプルースト「失われた時を求めて」を何となく買ってしまい、
とりあえず今日から一巻読んでみます。全十三巻読破はかなりのプレッシャーです……。
315 :
名無し物書き@推敲中?::2007/02/02(金) 13:13:12
なし
316 :
名無し物書き@推敲中?:2007/02/02(金) 13:16:12
317 :
名無し物書き@推敲中?:2007/02/02(金) 16:29:52
318 :
名無し物書き@推敲中?:2007/02/03(土) 14:10:25
上の二つ読みに行ったが疲れた
319 :
名無し物書き@推敲中?:2007/02/03(土) 14:36:26
河野多恵子「小説の秘密をめぐる十二章」読了。えがった。
谷崎純一郎の本を読みたくなった。けど青空文庫にない。
村上龍「ラブ&ポップ」読了。
いい感じのテンポで読めた。ちょいエロだが、その当時の女子高生の思想や状況が風刺されていて良かった。
第一篇「スワン家の方へ」(一、二巻)読了。面白い。
図書館では一巻だけがぼろぼろで、後ろの巻ほど綺麗なプルースト。
いままで躊躇してましたが、集英社文庫版はとても読みやすいです。
このままの調子で最終巻まで続けられればいいのですが。
今日から第二篇「花咲く乙女たちのかげに」を読みます。
322 :
名無し物書き@推敲中?::2007/02/24(土) 12:32:44
一時間後
第二篇「花咲く乙女たちのかげに」(三、四巻)読了。
相変わらず面白いのですが、長い。
今日から第三篇「ゲルマントの方」を読みます。
324 :
名無し物書き@推敲中?::2007/03/14(水) 13:22:33
エロ
第三篇「ゲルマントの方」(五、六巻)読了。面白いが長すぎる。
一巻の解説で第三、四篇はやや冗長な描写がみられると
書いてありましたが、読んだ実感としてやはりそうでした。
勢いで五巻を読了したものの、頁数が多いうえに六巻はかなり時間がかかりました。
(全篇を読み終わって振り返れば、冗長に思われた部分の意味も見えてくるそうです)
というわけで今日から第四篇「ソドムとゴモラ」を読みます。
第四篇「ソドムとゴモラ」(七、八巻)読了。
第四篇は同性愛が主題になりますが、過激な描写などはなく、
予想していたよりもかなり地味な印象。正直読むのに苦労しましたが、
第三篇のしんどさに比べればましでしょう。
第五篇以降は話の筋も引きしまって運びもよくなるという訳者の言葉を信じ、
今日から第五篇「囚われの女」を読みます。
第五篇「囚われの女」(九、十巻)読了してますが、
話の筋自体は読み易くはなるものの、肝心の内容が乏しく、
面白味は感じられませんでした。ちょっと期待外れですね。
とりあえず第六篇「逃げ去る女」を読みます。
328 :
名無し物書き@推敲中?:2007/06/01(金) 08:07:51
おまえは踊り続けるかブタ殴りされつづけるか、どちらかしかない
選 べ 負 け ブ タ 残 飯
慈悲は見せない
覚悟するんだな
第六篇「逃げ去る女」(十一巻)読了。
恋人を失った苦悩が語られますが、言ってる事は真っ当でも、
それが延々と続くのでかなり病的。
そもそも五篇以降は加筆修正される前の未完成原稿のため、
四篇までに比べると物語がすっきりしている感じなのですが、それが却って、
この語り手が本来から病的であった事を露にしているように思えます。
今日から最終篇「見出された時」を読みます。
330 :
s:2007/07/16(月) 00:04:13
r
第七篇「見出された時」(十二、十三巻)読了。
これも未完成原稿ですが、最終篇だけあって読み応えがありました。
語り手が再び体験する有名な「無意志的記憶」や結末の「時の啓示」も
勿論興味深いのですが、個人的にはプルーストがこれだけ壮大な作品に
自身の倒錯性を排除しなかった点に最も感銘を受けました。
「読者は本を読んでいるとき自分自身の読者なのだ。
作品は作家が読者に提供する一種の光学器械にすぎない」といった指摘も奥が深い。
今日からイーヴリン・ウォー「ブライヅヘッドふたたび」を読みます。
「ブライヅヘッドふたたび」読了。途中までは傑作。
フィリップ・K・ディック「最後から二番目の真実」も読了。
地味なB級SFですが、やっぱり必読。
挫折していたアレクサンドリア四重奏「ジュスティーヌ」再読。
内容は呑み込めましたが疲れました。
今日からロレンス・ダレル「バルタザール」を読みます。
333 :
名無し物書き@推敲中?::2007/08/15(水) 23:50:27
開発
「バルタザール」読了。
バルタザールから新たな情報を知り、主人公は物語を再構成しますが、
「ジュスティーヌ」は全くの無駄だったのでしょうか。
続く「マウントオリーヴ」も読了。小説として単純に楽しめました。
この巻の中心人物はマウントオリーヴで、主人公は完全に蚊帳の外。
ここまで読み終えて羅生門のような感じもします。
今日から同じくロレンス・ダレル「クレア」を読みます。
「クレア」読了。
衝撃的な結末を勝手に想像していましたが、そういったものではありませんでした。
この四部作は「相対性原理にもとづく四重層小説」という突飛な構想のもとに
書かれているのですが、作者の実験的試みは評価できるものの、
物語を特殊な形式に当てはめたため、一、二部などは読んでいて
あまり楽ではなかったです。
今日から古井由吉「仮往生伝試文」を読みます。
336 :
名無し物書き@推敲中?::2007/09/12(水) 23:45:54
のの、
「仮往生伝試文」読了。
内容自体はそんなに難しい事は書かれていませんが、
この人の文体に慣れるのには訓練が必要。
ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」も読了。
二十世紀文学の傑作らしいですが、
これをベスト1に選ぶ人はあまりいないような気が…。
今日から同じくヴァージニア・ウルフ「燈台へ」を読みます。
338 :
名無し物書き@推敲中?::2007/10/05(金) 22:07:15
なかった
「燈台へ」読了。
ウルフが真面目すぎるのか、彼女の周囲の人達がそうだったのか、
ウルフの小説にはあまり興味深い人物が登場しないように思います。
正直読むには楽しくない作品でしたが、退屈かというとそうとも言い切れず、
自分の思うがままに書くというウルフの姿勢は正しいと思いました。
今日からセリーヌ「城から城」を読みます。
「城から城」読了。セリーヌの後期、亡命三部作の一作目。
喜劇的要素もあり、窮乏していてもさほど深刻さは感じられません。
対独協力者のレッテルを張られ、亡命生活を強いられる原因となった
反ユダヤ的といわれる中期あたりの作品はまだ読んでいないので、
そちらを先に読んだほうがより理解が深まったかも。
句読点なし、細切れの文章を〈……〉で繋いでゆくのみの文体はかなり読みづらい。
慣れるとむき出しの生々しさが伝わってきますが、本当のところ日本語訳で
セリーヌの文体破壊の凄さを理解できたのかはわかりません。
今日から引き続き亡命三部作「北」を読みます。
341 :
名無し物書き@推敲中?:2007/12/16(日) 16:09:47
こんどはにわか弁護士か
ほんとに相手さえいれば何でもいいんだな、おまえは
愛情乞食算歩案
342 :
名無し物書き@推敲中?:2007/12/18(火) 02:10:14
ペンギンか?
「北」読了。
文体に慣れてきたせいか「城から城」よりずっと読みやすかったです。
「城から城」を読んでいたときは文体のほうに気をとられていましたが、
読み慣れるにつれて、結局セリーヌの作品は内容そのものが肝心であって、
文体はたまたまこうなっただけであまり問題ではないような気もしてきました。
今日から亡命三部作の三作目「リゴドン」を読みます。
344 :
名無し物書き@推敲中?:2007/12/31(月) 20:59:54
どっかのスレで うちの会社の悪口が書いてあった。
「○○という会社に再就職の面接に行ったら、『将来の夢』ってタイトルで作文書いて下さいと言われた。むかつく。
だいたい25歳にもなって、将来の夢もクソも無いだろ。25歳にもなったら現実を見る年齢だろ。他人を馬鹿にしやがって!
小学生じゃあるまいし。しかも原稿用紙2枚も。何を書くわけ?ありえない。
ここで働く奴は全員、こんなくだらない作文を一生懸命、原稿用紙2枚分も書いた、幼稚な人間なんだね。気持ち悪い。
作文があるんだったらちゃんと求人に書いとけ!『面接』しか書いてなかっただろ!
むかつくからその場で辞退してやった。」
みたいな事が書いてあった。
このレスを見てかなりむかついた。
面接で作文を書かされるのは当たり前じゃない?25歳で「将来の夢」の何が悪いわけ?私はちゃんと作文を(原稿用紙2枚分)書いたから採用されたんだよ。
それを幼稚な人間なんて言い方はむかつく。
ひがむな!
「リゴドン」読了。
「北」で読み慣れ親しんだ文章も四冊目(北は上・下巻)となると
やや食傷ぎみという感じで読むのに時間がかかりました。
物語はドイツを縦断し、亡命先のデンマークに到着したところで終わってしまい、
その後の亡命生活やフランス帰国後の事は断片的にしか触れられていないのが
残念。セリーヌはしばらく間隔を置いてからまたいずれ読みたいと思います。
今日からカフカ「失踪者」を読みます。
「失踪者」読了。
作者が行った事がないアメリカを物語の舞台に設定したのが
足枷になってしまったような気がします。明らかに失敗作ですが、
そもそも勝手に死後刊行されたものですし、これがあって
後の「審判」や「城」があると考えれば、これはこれでよかったのでは。
今日からジョルジュ・ベルナノス「悪魔の陽のもとに」を読みます。
「悪魔の陽のもとに」読了。
他人の心の中の悪魔が見えるようになった司祭の話ですが、
悪魔の姿など見えない周りの人達から見れば、ただの変人で殆ど理解されません。
宗教的に見ればそれこそが神の試練であり、聖寵なのですが、
悪魔の姿など見えない周りの人達から見れば、やっぱりただの変人でしかありません。
読む側の宗教観によって解釈が変わりそうです。
引き続きジョルジュ・ベルナノス「田舎司祭の日記」を読みます。
春口裕子「ホームシックシアター」
薬丸岳「オムライス」共に読了。
春口はホラサス受賞作以来、短編は初めて読んだけれど、
内容も文章ももう少しな感じ。
落ちも早々に読めてしまうし、主人公の造形も浅い。
協会賞獲れなくて当然といった出来。
藥丸のは途中まで凡庸な話だと思って読んでいたが、
ラストで明かされる動機の逆転、意外な真相は見事。
ただ犯人視点の語りで、この落ちの伏せ方は少しアンフェアではないだろうか。
心から真の動機を努めて追い出し、これまで忘れるようにしていた、
って、これではいくらなんでも御都合主義に過ぎる。道尾作品にもよく見られる、こうした強引過ぎる話運びにはあまり感心しない。
とは言え、看過できないミスというほどのことでもないので、
協会賞にノミネートされたことには納得。
続けて今夜辺り、他の作者の作品も読んでみよう。
「田舎司祭の日記」読了。
勝手にまとめますと人間は無知のまま死んでゆく、といった意味に解釈しましたが、
それを受入れるか否かは別として、ベルナノスはそういった神の視点に立った概念を
愚直な司祭によって書かれた日記という形式で控え目に提示していると思いました。
今日からまた引き続きベルナノス「ウィーヌ氏」を読みます。
連城三紀彦「白雨」読了。
伊坂や道尾、ホラー系では遠藤やあせごのまん等、
新進気鋭の若手ミステリの旗手や異色若手作家たちの作品に囲まれ、
連城の作風が激しく浮いてしまうのではないかと些か心配していたのだが、
それは杞憂でしかなく、浮くには浮いていたが、良い意味で激しく浮いていた。
メダカの群に鯉を放したような赴き、正にその一言。
どうしてこれほど巧いのに、寡作なのか、干されて依頼がないのか知らないけれど、
滅多に新作にお目にかかれない、現状が不思議で仕方ない。
一ファンとして、今後もご健筆をお祈り致します。
面白い作品を、まだまだいっぱい読ませて下さいね。
×赴き
○趣
携帯替えたら変換がバカなのである。
そして、おサイフケータイをつい使いすぎて月末が怖いのである。
「ウィーヌ氏」読了。
ベルナノスの作品という事で読了できましたが、読み通すのに相当な忍耐が必要。
読了できても忍耐したという思い出ぐらいしか残らないのでおすすめしませんが、
こういった非常に読みづらく変てこな小説が世に出る事自体はとても意味のある事で、
読み易くわかりのいいデザートのような小説などよりは読まれるべき価値のある
作品である事が確認できたと思います。
今日からまたベルナノス「少女ムーシェット」を読みます。
353 :
名無し物書き@推敲中?:2008/06/01(日) 00:43:43
age
「少女ムーシェット」読了。
人間社会を極度に卑小化したかのような卑しい人間ばかりの村で
白痴のような少女ムーシェットが誰に顧みられることもなく、自ら死を選んでしまうという
悲惨極まりない全然救われない話なのですが、同時に読者のみがこの本の存在そのものが
ムーシェット救済の書である事がわかるというものになっています。
今日からあともう一作、ベルナノス「よろこび」を読みます。
「よろこび」読了。
俗物にかこまれた無垢で信仰心の篤い少女はその聖性ゆえに俗人たちの怒りを買い、
そのうちの一人に殺害されてしまいます。少女を含め登場人物たちの極端な言動に
些かの強引さを感じましたが、作者の筆力で読ませられました。
プルースト「消え去ったアルベルチーヌ」も読了。
複数存在する第六篇の未完成原稿の一つなのですが、頁数が二百頁弱しかなく、
話が非常に簡略化されています。「逃げ去る女」と比較してしまうと少し物足りなさを感じます。
今日からジュリアン・グリーン「アドリエンヌ・ムジュラ」を読みます。
「アドリエンヌ・ムジュラ」読了。
結末が少し安易かなと思いましたが、それを除けばよかったです。
作品よりも25歳でこんなものを書いていたグリーンに驚嘆。
アンナ・カヴァン「氷」も読了。
カフカ的というより破綻したジュリアン・グラックのような。
今日からフランソワ・モーリアック「テレーズ・デスケールー」を読みます。
「テレーズ・デスケールー」読了。
夫の毒殺未遂を告発されたテレーズは家柄を重んじる夫のおかげで免訴になります。
その後、家族から世間から孤立した生活を余儀無くされ、結果的には反省しますが、
やった事自体にあまり後悔は感じていないようで、そんな態度に清々しさを感じました。
同じくモーリアック「夜の終わり」も読了。
「テレーズ」から15年後の晩年のテレーズを描いたもので、
良くも悪くも作者のテレーズに対する思い入れが感じられました。
今日からジュリアン・グリーン「真夜中」を読みます。
「真夜中」読了。
母親をなくした少女の成長を描いた普通の小説だったのですが、
執筆に時間的な途絶があったようで、途中から突然カフカ風の幻想小説に。
でも失敗している感じではなく、寧ろそんな落差が意外によかったです。
同じくグリーン「他者」も読了。
信仰を失った主人公が信仰を取り戻そうとする話なので、必然的に説教臭い話に。
「作者は最後の数ページで宗教の勝利を準備する」「教化的な結末を避けることだ」
などと主人公に作者の思惑を批判させたりするのは、あまり意味がないような…。
今日からアルフレート・デーブリン「ベルリン・アレクサンダー広場」を読みます。
「ベルリン・アレクサンダー広場」読了。
主人公の低能ぶりが突出していますが、他の登場人物もクズみたいな人たちばかりで、
読んでいて本当に胸糞が悪くなりましたが、こんなに読者を不快な気分にさせる傑作が
長らく絶版状態なのは本当に残念。
個人的には社会の落伍者たちを描きつつ、じつは人類全体の事を指しているようにも思われました。
今日からアルフレート・クービン「裏面-ある幻想的な物語」を読みます。
360 :
名無し物書き@推敲中?:2008/11/10(月) 21:00:56
深層海洋水って感じ
「裏面」読了。
カフカの作品に影響を与えたとのことで、読んでみるとまさしくそうで、
元ネタとしてこの作品からかなりのアイデアを得ているように思いました。
ただ作品自体の面白さは、カフカと比較してしまうとちょっと霞んでしまいます。
ほかにブレヒト「ソポクレスのアンティーゴネ」も読了。
今日からウィリアム・フォークナー「標識塔」を読みます。
「標識塔」読了。
曖昧な描写で、読者に十分な説明を行なわない、
嫌がらせのような文体で書かれているので、話に入り込みにくく、
辟易させられましたが、読み終わってみれば、これは傑作かと。
苦手な作家だったのですが、避けては通れない作家の一人だと再認識しました。
今日からフランク・ノリス「死の谷(マクティーグ)」を読みます。
「死の谷」読了。雑なゾラみたいな。
こちらの主人公のほうが「獣人」という感じがしました。
今日からロベルト・ムージル「特性のない男」を読みます。
薬丸岳『虚夢』読了。
幼い子が通り魔に殺される話など読みたくもない!
と冒頭に目を通してすぐさま思ったものの、さくさくと話は進み三時間ほどで読了。
『そして殺人者は野に放たれる』で嫌というほど語られていた命題の踏襲か、と読みながら思っていたら、
参考文献で案の定、同作品のタイトルが載せられていた。
ノンフィクションの名作と較べてはすこし気の毒かと思うけれど、
迫力、テーマの掘り下げ方いずれも同作品には遠く及ばない。
ラスト近くのふたつのどんでん返しにも連城のような手際よい切れ味がなく、凡作というイメージが拭えない。
重いテーマに、無理にこじつけたようなトリックはどうにも相性が悪く感じた。
もうこの作家さんは読まなくてもいいかな。。。
365 :
名無し物書き@推敲中?:2009/03/16(月) 20:07:35
二度と残飯のような異常者が掲示板を悪用して中傷スレッドを恣にすることを許してはならない。
電網世界が恒久平和でありますように。
合掌……
なぜか?(それではみなさん、ご唱和ください)
異 常 者 だ か ら !
異常者だから! 異常者だから! 異常者だから! 異常異常者だから!者だから! 異常者だから!異常者だから!
異常者だから! 異異常異常者だから!者だから!常者だから!
異常異常者だから!者だから! 異常者だ異常者だから!から! 異常者だか異常者だから!ら! 異常者だから! 異常者だから! 異常者だから!
異常者異常者だから!だから!
異常者だから!
てすと
367 :
名無し物書き@推敲中?:2010/01/22(金) 14:56:11
早起きの感想はここに書けばいいだろ
スレチでもないしな
368 :
名無し物書き@推敲中?:2010/01/27(水) 08:35:49
「全壊判定」
マンションを舞台にした人間ドラマをリアルに描いている。住宅問題に詳しい
ジャーナリストが書いた小説で、東京湾直下型地震が起こった場合、湾岸に立つ
マンションで何が起こるか、シミュレーションしている。自分はマンションを
買ったばかりなので興味を持って読んだが、実際、分譲マンションを買うのは
早まったと後悔している。文学的には何ということのない、淡々とした書き方
だが、社会派小説とはこういうのを指すのだろう。エピソードがよく練られて
いて、間もなくドラマ化されるらしい。純文学志望者にはお勧めできないが、
ライター志望者には大いに参考になりそうだ。
「復活! 虹北学園文芸部」
中学に入ったら文芸部で小説を書く。
そう決めていた女の子が、廃部になった文芸部を再興する為に仲間を集める。
熱血スポコンものの変化球のような話。
文書きなら「あるあるw」と思う様なネタが多く、読んでるうちに「ああ、何か書かなきゃ」という意欲がわいてきた。
もう辞めよう。
何度そうおもったか解らないけれど、そんなわけでもう一度この板にもどってきたよ。
感想になってないかもしれないが。