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名無し物書き@推敲中?:
猫は毎日、鼻歌混じりに爪を磨いていた。イグアナには爪が無かった。
楽しそうな猫を見て、ある日イグアナは訊ねた。
「なぁ猫よ、爪を磨くのはそんなに楽しいのかい」
「楽しいね、君もやってみたら?」
猫の返答に、イグアナはムッと来た。
「それは俺に爪の無いことを知った上での嫌味か?」
猫はまずいことを言った、という風に上目遣いでイグアナを見た。
「ごめんよ。だが君らイグアナには過去、爪があったじゃないか」
「現在の話をしたらどうだい、猫よ。俺はとにかく爪が磨きてぇんだよ」
「ならば爪を生やせば良いじゃないか」
「冗談。この地上のどこに俺の爪があるというんだ」
「発想の転換が大切だよ。地上に無いのなら、空に行けば良い」
その柔軟な発想から出る提案に、イグアナは心底感心した。
空はとても高い所である。二人の知る限り一番高いところは、
家の隣に生えている木の四つ隣にある切り株から、北に十歩歩いた場所にある
大木である。イグアナは早速登ろうと試みたが、爪が無いので登れなかった。
それを見た猫は、腹を抱えて笑った。
「ハハハ、爪が無ければ爪も取りにいけないということか」
「うるさいぞ、猫め。お前ら猫には過去、爪が無かったそうじゃないか」
「君らイグアナに使いぱしりにされ、爪が必要になったのだ」
「そして我々には代わりに爪が必要なくなった。
つまりその爪は俺がお前にやったものだ」
「それは違う。この爪は僕が君にもらったものだ」
猫に言い包められ悔しがったイグアナは、猫から爪を取り戻すため、
翌日から真面目に働こうと思った。
何だか収拾つかなくてわけわからん話になってしまったぞ。
次は「テープ」「窓」「太陽」でお願いしますよろしければ