じゃあ題材はガンダム

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542名無し物書き@推敲中?
読むから、書け
543名無し物書き@推敲中?:02/10/22 21:18
>>542
んじゃ書いてやる。
ただしリクエストしろ。
時代、戦場、主人公の年齢と所属階級、搭乗機体、交戦する機体をな。
宇宙世紀限定だ。一年戦争からシャアの反乱までで、MS、MA、TMS限定だ。(ほかの
兵器じゃあガンダムである必要性が薄れるからな)
544542:02/10/22 23:10
時代→0079
戦場→日本
主人公→20歳から30歳の間。
所属階級→中尉
登場機体→ジム
交戦機体→ドム

以上リクエストだが、無理強いはしない。好きなもの書いてください。
はじめてジムを立たせた時、
「ああ、こいつは直立したタンクだな」
と思った。
装甲に鎧われた18メートルのロボットは、地面に這い蹲る装甲車両とは
違って、すべてがフレシキブルでアクティブに反応する兵器であり、従来のマシーンとは
まったく別物だった。
巨大さからくる動く標的のようなデメリットは、左手で構えた長方形の楯の強固な
防御力、二本の脚によって実行される敏捷な回避性能、そしてレーダーの効かない
宇宙世紀の戦争ならではの、高い位置に設けられた横長の頭部カメラが伝える
広い範囲の策敵能力……どれをとっても、従来の兵器とは違う、新世紀の兵器だった。
それを体感した時、
コーン・スミス中尉は、モビルスーツ「ジム」を好いた。
ときめいた、といってもいい。
このロボット兵器が、これから地球の上を席巻し、宇宙中にひしめくのかという
予感は、自分でも驚くほどの興奮をもたらした。
「自分自身がずーんと大きくなって、ジムそのものになった気分なんだ」
コーンは、初搭乗を終えた日、同僚に興奮気味にいったものだ。
鶴間基地所属のモビルスーツ・パイロットの中で一番背の低い彼をからかって、同僚たちはニヤニヤと笑ったが、
ふだんは看過できない侮辱も、そのときのコーンには大した問題ではなかった。
「おまえたちだって、サイクロプス野郎に見下ろされ続けたじゃないか」
と冗談を返すだけの余裕を見せたのである。
彼らが所属する地球連邦軍が交戦しているジオン公国の主力兵器は、
モビルスーツ「ザク」といい、ジムに匹敵する大きさで、鶴間基地の、いや、
地表を走る全ての戦車の天敵であった。戦車の弱点である上部を「ザク」は容赦なく
攻撃をし、地面に転がるトマトをつぶすように破壊していった。
かろうじて脱出した戦車兵たちが戦場に立ち昇る黒煙の向こうに仰ぎ見るザクの頭には
一個のカメラが設置されている。この不気味に光る単眼は、ギリシャ神話の巨人サイクロプスを
連想させた。
「だか、それももう終わりさ。ザクなんてロートルはこの日本から全部追い出してやる。
ジュードーで蹴倒して……そう、ジムにはそんなことだってできるんだ!……こんどは
こちらが思う様見下してやろうや!」
546542ではない:02/10/23 00:21
即興で書いたにしてはいいよ。MSがどういうものだかを主人公を通して説明しているしね。
ただ、7〜10行目、推敲不足。明らかに変。

コーンたち鶴間基地所属のジム中隊の初出撃は、10月中旬の早朝だった。
朝霧の中にとけ込むように消えていくジム中隊を、整備兵たちが帽子をふって見送ったのを、
最後尾にいたコーンは後部カメラで確認して、闘志をみなぎらせた。
こっそり銃を構えたジムの右手を小さく振ってみせたのを気が付いた者がいるかどうか……

ジオン公国がもたらした地球規模の破壊行為によって生じた、あきれかえるほど
濃密な霧の中を渡りきり、鶴間MS中隊は、奇襲に成功した。
随伴する61式戦車の砲撃のあとに、ジオンMS基地に足音も高く走り込んでいく。
濃霧のなかに、一つ目が光るのをコーンは見た。
自分の右腕を持上げる感覚で操縦桿を引くと、コーンのジムはそれに素直に連動して、
90ミリマシンガンを「ザク」に向けた。
弾丸が曲線を描いて、霧の向こうのザクに突き進む。
「やった」
とぞくぞくする快感が背中を走った。交戦開始から3分で、1機のザクを撃破した。
銃弾を撃ち込まれた人間そっくりに、ザクが両膝をついて崩れ落ちたのを確認すると、
コーンは次の目標をもとめて、ジムを反転させた。


それから10分、コーンはザクと遭遇することはなかった。
合流地点では、鶴間基地のジム全てが健在だった。中隊が撃墜したザクの総数は9機、
1機のジムが1機のザクを撃墜した計算になり、こちらに中破以上の被害がでていない以上
完全な勝利といえた。
濃霧がさったとき、日本からひとつのジオン公国の基地が消えて、新しい連邦軍の
拠点が現れた。
風にのって流れていく霧の底のあちらこちらに、ザクが遺体のように転がっているのを、
全てのジムが見下ろす形になったことに、コーンは強い満足感を覚えた。
「これが、いままでザクどもが見ていた光景なんだ。連邦軍はようやく、ここまで盛り返す
ことができたんだ」
脳裏をよぎる戦死した友人たちの顔に、コーンは胸中で敬礼をおこなった。



「カメラが十文字のモビルスーツ?」



「カメラが十文字のモビルスーツ?」
それが、ジオン公国の新型モビルスーツ「ドム」のレクチャーをうけた
コーンの最初のつぶやきだった。
遙か南米の連邦軍の最大拠点ジャブローを襲ったモビルスーツのなかに見受けられ、
ヨーロッパ戦線で配備されたジムを苦戦させているという、黒いモビルスーツは、
頭部に十字のカメラを装備しているという。
聞くところによれば、脚部にホバーユニットを装備し、地上をスケートリンクのように
滑走することが出来るという情報は、鶴間基地の兵士全員に衝撃をあたえた。
日本に存在するザクを次々と撃墜して意気揚々としていた彼らにとって、
それは、予想していなかったモビルスーツの進化というもので、モビルスーツの実戦投入において
ジオン公国の一日の長を感じざるをえなかった。
地上を歩行する「ジム」に対して、その高機動はどれほどのアドバンテージを有するのかは
議論するまでもなく、大きな驚異だった。
その……
「ドム」に鶴間MS中隊が遭遇したのは、日本に季節はずれの台風がやってきた
未明のことである。
パトロールに出ていたジムの小隊が、ドム確認の連絡を最後に通信を絶ったのだ。
コーンたちがあわててスクランブルをかけ、愛機を直立させた直後、
3機のドムは、豪雨の中を突っ切って、鶴間基地に強襲をかけてきた。
ジムのコックピットの中で、ハーネスを胴体に走らせていたコーンの、右側のモニターが
明るく輝いた。基地の司令塔がその長身を燃え上がらせて崩れていた。
目をこらせば炎の中から人間がぽろぽろと落ちてゆくのが見える。
歯がみしながらハンガーからジムを歩みださせると、ジムの装甲に風と雨が吹きかかる音が
コックピット一杯に響いた。
「くそ、ジオンめっ」
基地の被害状況をコンソール上で確認しようとした刹那、
ジムは、コーンに警告のコールを鳴らした。
「砲撃!?」
コーンは、ジムのカメラを通して、見た。
雨をはじいて迫ってくる巨大な砲弾を。
戦艦の砲弾ではないかと錯覚するほどの黒鉄の塊がモニターいっぱいにせまったとき、
強いショックをうけて、ジムは転倒した。嵐のようにコックピットは震えた。
愛機の倒れた衝撃で後頭部を強く打って朦朧としながらも、コーンは、
プログラム通りに砲弾に対して構えた巨大な楯が、打ち砕かれたのを確認した。
「ジ、ジャイアントバズーカ? これが、ドムかっ!」
ジオンめ、と毒づきながらコーンはジムを立ち上がらせようとした。
だが、
ジムは反応を示さなかった。コーンの手足同様に反応してくれていたジムは、コーンの周囲を
囲むようにセットされたモニターの全てに機体不良のメッセージを出して沈黙していた。
奥歯を噛み締めて、コックピットのハッチを開けると、たちまち風と大粒の雨が
吹き込んできた。視界をさえぎるその向こうに、
「あっ」
黒く、巨大な影が屹立していた。ジムよりも巨大に見えたそのモビルスーツの頭部には
十文字のカメラがあるのをはっきりとコーンは見た。
ザクを二倍にも膨らませたような巨躯のモビルスーツは、その体躯にふさわしい巨砲を
かまえて立っており、コックピットから半身を乗り出したコーンを見下していた。
十文字のカメラの中で一眼が、にぶい音をたてて光る。その光を受けて、
ドムの右肩の、斧を三本合わせたエンブレムが嵐の中で見て取れた。
コーンのジムを撃墜したことを確認したのか、鋭く高い音をたてて目の前から
すばやく去っていく。ジムの二本足ではおよびもつかない、ホバーによる機動である。
猛烈な風と雨のなか、コーンの低い体の半分が光に照らされた。
味方のジムが破壊され爆発した光をうけたのである。

台風が去るのにあわせるかのように、3機のドム小隊は、鶴間基地を去った。
いや、もはや、そこは基地というには忍びない、ガレキで出来た墓場に等しかった。
直立できるジムは1機として残っておらず、人的な被害はコーンが体験するなかでも
もっとも大規模なものだった。


友軍の救助ヘリの中で、真っ青な顔で横たわってきたコーンの耳に、
「ジオンは地球から撤退するらしい」
というささやきが届いた。
ジオン公国は連邦軍の種子島基地を下し、そこからシャトルで宇宙に脱出すると
いうのである。
コーンは、起きあがろうとしたがやめた。
振動するヘリのシートに身の全てをあずけて、いまは全力で体を回復させて
日本を去らんとするジオンどもに一矢を報いるのが先決だと、判断したのである。
鶴間基地を破壊した、三本斧のエンブレムのドムに、自分の全てをぶつける覚悟を
たぎらせて、強くまぶたを
閉じた。

コーンのジムが、青い青い種子島基地上空を滑空できているのは
連邦軍の新兵装、コルベットブースターの威力であった。
ジムの上半身にかぶせるようにして装備する翼のついたブースターは、
短距離のモビルスーツによる飛行を可能にした。
愛機の足下に海原を見ながら、コーンは連邦軍のモビルスーツテクノロジーが
ジオンを追い抜いたことを実感していた。

ジオン公国に占拠された種子島基地には、旧世紀から連綿と維持されてきた
宇宙へと飛び立つシャトルの発射システムがある。
日本に残っていたジオン兵士満載したシャトルを彼らの故郷である宇宙に返すために、
ジオンのモビルスーツの大半が、空から迫りくるジムを迎撃するために残っていた。
そのMSのなかに、三本斧のエンブレムを見つけたコーンは、コルベットブースターを
切り離すと、地上へと飛び降りた。
二枚に重ねたジムの楯を前面に突きだして、ドムめがけて突撃する。
ドムのジャイアントバズーカが迫る。直撃の瞬間をみさだめて、コーンはジムの手から
楯を手放させた。一瞬、空中に浮かぶ形になったシールドが異音をたててひしゃげて、落ちた。
ドムは素早い。
ホバーを駆使して、コーンのジムの左側に大きく回り込み、早くも肩にかつぐようにした
戦艦砲にも似た巨大なジャイアントバズーカで必中の次弾を放とうとしている。
だが……
「……これで、連邦は、ジオンを越えるっ」
コーンは、愛機の右腕を押し出させて、トリガーを引いた。
ジムの装備した銃が光をまき散らした。
ジムのビームスプレーガンは、シャワーから吹き出す水のように拡散するメガ粒子を
放ったのだ。超高熱、広範囲のビームのシャワーは、ドムの装甲も、機動性の範囲も超えて
その放出のなかに捕らえた。
ドムは穴だらけになって失速して転倒し、ドムの背後に隠れるようにしていたザクはビームの余波の中で爆発した。
そのザクの爆発にあわせるようにして、種子島基地のシャトルが発進を開始した。
バーニアが吠えるようにあたりの空気を揺らし、水蒸気が、連邦とジオンのモビルスーツ軍を
白く隠して広がった。

空へ宇宙へとかけ上がってゆくシャトルの白煙を見上げながら、コーンはジムを、
三本斧のエンブレムのドムに近寄らせていった。
コーンが見下ろすドムのコックピットが開いて、中からパイロットが出てきた。
両手をあげている。
「……」
目の錯覚か、とコーンは思った。ジムのカメラをズームさせて確認したが
間違いない。
そのパイロットは自分よりも背が低かった。それも道理、ヘルメットをはずして
現れたのは
自分より10歳は年下の、15、6歳の少年だった。
「ジオンめ……っ」
いいようのない怒りがコーンの胸中に満ちた。
ジムに初めて乗った時に感じた、自分自身がモビルスーツほども大きくなった気分、
それをあの少年も感じ取ったろうことを、コーンは感じ取っていた。
人間が巨人になれる錯覚、その高ぶりを、ジオンは少年にまで広げて、戦場へと送り出していたのでは
ないか、そう思った。
そして、その高ぶりは、モビルスーツという巨人兵器がある限り、続くのではないか。
人間を、そのまま巨大にした機動戦士は、けっきょく、人間を傲慢にさせ続け、
地上にも宇宙にもあり続けつづけるのではないか……そのはじまりに、自分は
立ち会ってしまったのではないか……
「なんてこった」
コーンは額の汗をぬぐおうとした。
だが、ヘルメットのバイザーにはばまれて、手のひらは額にとどかなかった。

(終)
>>546
あ、いま気が付いた。すまそ。あはは、いま読み直すとアレなところ多々あれど
イキオイでペタペタはっちゃった。(できれば)感想よろしく〜
555名無し物書き@推敲中?:02/10/23 12:17
誉めて欲しいのか、厳しい批評がお望みなのか。選べ!
>>555
両方やってやるのがいい先生w
557542:02/10/23 19:19
おっ、早速きたな!じゃ今から読む!待ってろ!採点は明日以降だ!
このスレタイ、なんか投げやりっぽくて好きだ。
559542:02/10/25 05:26
>>545
おお、うまいではないか!!!
「鶴間基地」を、「ツルマ基地」とカタカナ表記しないところに好感が持てる。
560546@誉める読者:02/10/25 12:38
ふむ。
創作論的にはどうだ?
冒頭で主人公が抱く感情(自己の拡大感覚=戦意の高揚)が、
ラストで反転して暗いものとなってジオンの少年兵に投影されるあたり、
つぼを押さえていてなかなかだと思う。
ぞくっとしたのは最後の二行だ。

>コーンは額の汗をぬぐおうとした。
だが、ヘルメットのバイザーにはばまれて、手のひらは額にとどかなかった。

主人公もまた、MSに乗っているという事実を忘れて戦っていたことを暗示している。
人間の業の深さというのが本作の一応のテーマだと思うが、それを効果的に補強している。

他人から与えられたお題で、短期間の内に、きちんとテーマを練りこんだ作品を書ける作者の力量はたいしたものだ。
物語的にも、反撃を期しての導入部、小さな勝利、試練、敗北、敗北の克服=苦い勝利、と纏まっていてそつがない。

作者、まいうー。俺的には楽しめた。
希望するならけなして見せるが……。
まあ、顧客である542がうまいと言ってくれたということは、一応の良作と言えるんでねえの?