ルナ・バースト第二章

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204Neo ◆GoP0V9Oo
第三十回「無題」
 「もうゾンビは出てこないようだな」
 俺達の周辺は蹴散らしたゾンビの死体が散乱していた、酷い臭いが充満している。 
ミサキは大丈夫だろうか?
 「ミサキ・・・」
 「・・・」
 ミサキは言葉を失っていた、よほど怖かったのだろう、フォックスの事を見てはいるが
目の焦点があっていない様に見える。
 「すっ、すごい」
 「うん?」
 「すごいよふぉっくすさん、すごいよ!」
 どうやら俺の思っているのとまったく逆の心境らしい、俺の大立回りを見て『すごい!』だと? 
 「最初は怖かったけどまるでファンタジー映画の世界に迷い込んだみたい、アニメみたい」
 瞳をキラキラさせて感銘をうけている、まったく最近の少女は精神が頑丈というかなんというか・・・
 「フフフッ、ゾンビの死体がファンタジーだって? 心底変わってるわね、あんた」
 ラグはゾンビの死体に刺さった投げ物類を回収している、結構財政難してるんだな。
 「そうだなフフ」
 つられて俺も笑った
 「ウフフフ」
 「クククク」
 「アヒャヒャヒャヒャ」
 緊張の糸が切れたか?
 ガサッ
 後ろの草叢から物音がした、同時に俺たちは弾かれた様に身構えた、
だがそれも徒労に終わる、草叢からでてきたの
はいかにも人畜無害そうな白ウサギだったのだから。
 「なんだい野ウサギかい」
 「ハハハハ」
 「ウフフ」
 「アヒャヒャヒャヒャ」
 俺たちの間には奇妙なグルーヴ感が生まれていた。
 
205Neo ◆GoP0V9Oo :02/07/17 14:59
第三十一回「疑惑」
 「メイリン、敵を撃退した」
 フォックスは再びサイコネットに接続しメイリンと通信した。
 「すごいじゃないフォックス、私もさっきの戦いを見てたら興奮しちゃったわ」
 メイリンの思考には熱がこもっていた。
 「メイリン、実戦はプロレス中継じゃない命のやり取りだ、もしかしたら俺は死んでいたかもしれないんだぞ、
まあ、そんなヘマはしないがな、とにかく忘れるな、これは遊びではない」
 「ごめんなさいフォックス、忘れていたわそんな緊張感なんて」
 「それだ」
 「え?」
 「今の戦闘には緊張感がなかった、何故俺はあんな雑魚にスパイラルナイフを使ったんだ? あんな奴らなら
格闘攻撃だけで十分だったはずだ、何故俺はNAIFU能力を見せなければならなかったんだ」  
 「それは・・・」
 メイリンは返す言葉がなかった。
 「敵は弱すぎたし武装もしていなかった、ただタフなだけ、あきらかに何者かの
手によって仕組まれた戦闘だ、
たぶん俺を観察するために・・・」
 「ちょっとまってフォックス、そんなの考えすぎよ」
 「違う! 本当の敵はもっと離れた場所にいたんだ、衛星を使って探してくれ!」
 「わかったわ、今から上に報告するわね」
 「その必要はない」
 突然だれかが会話に割り込んできた、この声は作戦司令部の・・・
 「嶋課長!」
 「君達の会話は初めから傍受していた、衛星を使っての敵捜索などする必要は無い、フォックスは
現在の任務をしろ」
 「しかし課長」
 「今は作戦行動中だ、『大佐』と呼べ」
 大佐の理不尽なやりかたに二人はかなりムっとした。