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91支援物資として小説創ったんだけど
 幾つもの電子街を彷徨してきた俺は、街の住民と様々な形で接してきた。ある街では
心からの激励と感謝、悲愴をケーブルに乗せて住民と分ち合い、またある街では仮面を被
り互いの心情を傷付け合う、悲惨な論争を繰り返した時期があった。
 しかし、大抵の街では、上辺だけの喜怒哀楽、心無い文章をひたすら綴るだけだった。
 いつしか、俺の心は疲れ果てていた。素顔をただひたすら隠し、鋼鉄の仮面を付けて
心を通じ合おうという意義に疑問が生じた。
 仮面の街。モザイクの街。化粧の街。偽善の街。偽善。この世界は偽善だらけだ。
 そんな思いに打ちひしがれながら、飄々と流浪の旅を続けていた俺は、ある街……いや、
都市辿りついた。
 その都市では獣が狂騒していた。一匹や二匹ではない。何十万匹もの、鋼鉄の仮面を外
した獣たちが、お互いの血を舐め合うように暴れ狂っていた。
 仮面の下の素顔とは、こんなにも醜いものなのか……。それが俺の第一印象だった。
 汚らわしいその野獣どもは、喜びと、怒りと、哀れみと、悲しみと、温もりと、快楽と、
不快感と、優越感と、劣等感と、貪欲と、無欲と、傲慢と、謙虚と、嫉妬と、温厚と、
怠惰と、勤勉と、暴力を、便所に落書きを施す感覚で表していた。
 いままでこの世界で見た街とは大分変わっていた。だれもかれも、仮面を被っていない
のだ。
 この都市は異常だ……。だが、それが人の素顔なのかもしれない。
 できればこんな都市など早く離れてしまった方がいいだろう。当初はそう考えていたの
だが、今まで俺が踏み入れてきた街は、閉鎖されてしまったか、もしくは、冷感症の仮面
人間だらけで、もはや身を置きたくないと感じている街だけだった。そう、戻るあてなど
無いのだ。
 仕方なく、暫くの間この都市に留まることとなった。いい街を見つけたら、電車に飛び
乗って、こんな所さっさと別れてしまおうと考えている。だが、いまだに電車は停留した
まま未だに動く気配がない。
 俺はこの都市の看板を見上げてみた。
 「2ちゃんねる」
 変な名前だ。