煽りだろーがなんだろーが前の人の書き込みは絶対です。
無理にでも話の続きをかいてください
なるべく長文は避け、一行から10行
(少し長くても20行)以内に収めてください。
前後の書き込みを意識してくれるとありがたいです。
「あー雪だ!ひろし、見て見て!」ゆかりが叫んだ。
テレビを見ていたひろしだったがなにごとかと思い、振りかえって窓の外を見てみると
そこにはたくさんの雪が降っていた。
3 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/09 01:00
「1月ってよく雪降るよねえ、ねえ、ひろし」
ひろしからの返答は、ない。
「ほら、雪の中を駆け回るものじゃないの?こーゆー時って」
こたつの中に躯を半ば埋もれさせたまま、ひろしは鬱陶しそうにゆかりの方へと顔を向けた。
そして「ワン」と一吠えする。
それは果てしなく拒否的な響きを帯びていた。
そう、「ひろし」というのは犬の名前だった。
あゆみが5歳のとき、どこから拾ってきたのかは知らないが全身真っ白の雑種犬だ。
鎖を離して遊びに行かせると、
いつもまゆげに油性ペンで八の字(垂れ眉)の落書きをされて帰ってきた。
あゆみも最初のうちはその落書きを洗いおとしてやっていたのだが
あまりにも毎度のことなのでそのうちあきらめた。
今でも微妙にその垂れ眉が情けない感じでかすれ残っている。
「ほら・・・早く外にでも行って遊んでおいでよ」あゆみはひろしに言って聞かせるが
ひろしは相変わらずこたつの中でふてくされていた。
ひろしは犬のくせに非常に寒がりだった。毎年冬になるといつもこたつの中に避難する。
『”庭をかけまわる?”けっ!気が知れねーぜ』
・・・結構本心だった。
5 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/09 02:04
外に行くことを薦めるゆかりだが、
勿論、彼女の方は外に行く気など更々ない。
ゆかりはひろしを除けてこたつで丸くなりたいだけなのだ。
童謡にもあるよう、
「犬は喜び庭駆け回り、猫はこたつで丸くなる」
というのを、地で行くべきだと思っているのである。
ひろしが犬である一方、ゆかりは猫なのだ。
もう、ぶっちゃけていうが「ゆかり」は猫だった。
いつからこの家に住み始めたのかをひろしは知らない
ひろしがきたときには既にゆかりはそこにいた。
実は飼い主のあゆみ(実は
>>3でゆかりと間違えていたことが発覚するがこの際飼い主とする(w
が4歳のとき、いつも夜中に遊びにくる・・・というよりもエサをねだりにくるこの猫を
ただ単に「かーいーから☆」という理由で自分が飼うことに決めた。
ちなみにゆかりも全身が真っ白の雑種猫だった。
遊びに行って帰ってくるといつもひろしと同じく油性ペンで「まゆげ」を描かれていた。
あゆみは多分犯人は同一人物、隣の家に住む佐々木という男が怪しいと睨んでいた。
「あー佐々木?あいつさー2chのペット大嫌い板によくいるらしいぜ。」
そんな情報をあゆみは友達の武田君から聞いていたのだ。
7 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/09 18:57
ええっ!?
あゆみは
8 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/09 23:03
>あゆみは
抱いていた疑惑が一挙に凍解するのを感じた。
そうだ、あの「まゆげキラー」という厨房なコテハンが佐々木に違いない。
疑惑は確信に変わった。だが証拠がない。
何とかしてひろしたちに「まゆげ」を書いたことを吐かせようと
あゆみは佐々木と思われるコテハンを煽ってみることにした。
「まゆげキラーさん、あたし油性マジックの香りで燃えるのよ」
すぐさま奴は飛びついてきた。
「マジスカーっ?! 書く? 書く? ノドカのアソコにも書いてみる?」
一瞬で手足の先まで冷たくなるのがわかった。
どうして……どうして私がノドカだと?!
「わかってるって。心配しなくていいよ、みんなには内緒にしておくから。僕も初めて知ったときは驚いたよ。あのあゆみちゃんが、書いてる=作家とは限らない♪ とか言ってみんなを煽ってるなんて……」
私の手がブルブルと震えていた。それが恐怖からなのか、それとも怒りなのかはわからなかった。
確かにノドカは”あゆみ”というハンドルネームで
『☆あゆみのほめぱげ☆』というホームページを持っていた。
その日に起きたささいな出来事を日記にしたためたり
「あゆみ、ネットアイドルめざしてマッスル(ムキムキ)♪」などと余計な事を書いて
ネット上で自分の写真も公開していた。
「ま・・・まさか、佐々木はそれすらも知っているというの!?」
さっきから手の震え、いや、もう全身が震えていた。
それは恐怖からきているものなのか?怒りからきているものなのか?・・・いや、
恥ずかしさの方が数倍上だった。顔から火が出る思いだった。
穴があったら入りたかった。そして上からいっぱい土を被せてほしかった。
そんな気持ちを押さえながら、あゆみ・・いや、ノドカは寝床に入った。
「あー・・・なんであたしの名前ってカタカナなんだろ・・・」
小さい頃から疑問に思っていたことをポツリとつぶやいた。そして
(きっと・・あゆみ、そうあゆみだったらこんなことで悩んだりなんかしないわ)
いっそのことネット上の自分が本当の人格ならよかったのに・・・。
そんなことを考えながらあゆみ・・・いや、ノドカは深い眠りについた。
次の日、早速今までのことを友達の武田君に相談してみることにした。
「そうか、ならお前・・気をつけた方がいいかもな。」
ときどき武田君はノドカを驚かせるようなことを平気で言う。
「や・・やめてよう!”気をつけろ”だなんて・・・尋常じゃないわ。」
「いや、これは冗談じゃないぜ。きっと佐々木の野郎・・・」
「・・・さ・・・佐々木の野郎?」ノドカは息をのんで聞いた。
「あいつ・・・『ネットストーカー』だ。」
11 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/10 18:13
武田の衝撃的な言葉に、ノドカはゴクリと喉を鳴らした。
乾いた風が、ノドカの頬を撫でてゆく。
辛そうなノドカの肩にポンと手を置くと、武田はフッと苦笑を浮かべた。
一方、その頃……
マゼラン星雲に位置する小惑星、エストラダ。
この小さな惑星に高度な文明を築き上げた知能生命体『マドル』たちは、
新型反物質エンジンを搭載した、戦艦ウルドリーブの進駐式を行っていた。
「我々の科学力も、ここまで来たか…」
感慨深げに戦艦を見上げつつ、新艦長の任を受けたばかりのマルロは伸び放題のあご髭を擦った。
12 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/10 18:29
「やぁ、マルロ!」
急に自らの名を呼ばれた新艦長は振り向いて息を呑んだ。
整った白髪に艦隊の帽子を載せた初老の男が微笑している。
「ああラドック提督ではありませんか」
慇懃に挨拶をするマルロの眼には懐旧の想いが漂っていた。
新艦長マルロは提督の教え子だったのだ。
「どうしたのです、まだ進駐式の途中ですが」
「うむ……そのことなのだが」
提督はやおら声を潜めた。
「イヤ、まず君の新任を祝福しよう。忙しいのはこれからだな。
それについて一言先に言って置かなきゃならんのだ。
我々は極秘に人間を動物に変化させる実験を行った。
そしてある目的で彼らを地球という星に送ったのだ。
君のこれから辿る航路に含まれている惑星なのだよ」
13 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/10 23:06
地球。そう聞いてマルロの目には一瞬影が宿った。
苦い記憶が反射的に甦ったのだった。
しかしそれはほんの一瞬の出来事であり、文字通り瞬く間の出来事だった。
「マルロ・・・。もうあの事は忘れろ・・・。」
ラドックは全てを了解したかのように哀しそうに呟いた。
マルロは一気に現実に引き戻されたように右の眉を吊り上げた。
「変わってないな。君は。」
マルロはこの人には敵わないなとでも言うように照れ笑いを浮かべる。
右の眉を吊り上げるのはマルロが驚いた時に時折見せる癖だったのだ。
14 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/10 23:39
進駐式も無事終わり、数々の激励の言葉を受けた後、
マルロの指揮する戦艦ウルドリーブは地上を発った。
そろそろ大気圏を突き抜けるかという頃になって、
再びマルロの古い記憶が甦ってきた。
彼の古い友人・・・12年前行方不明になった戦友を思い出し、
マルロは深いため息をつき、無意識のうちに呟いていた。
「・・・地球に行ったという噂は本当だったのか・・・ひろし・・・」
15 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/11 00:14
山本ひろし――かつてマドル軍最強の戦士と呼ばれ、全軍の羨望を一身に受けた男。
マルロの脳裏を、セピア色の思い出が駆け抜けてゆく。
「12年…もう、12年になる…」
艦橋のスクリーンに映し出された無窮の空間を見つめつつ、マルロは小さくためいきをついた。
マルロたちエストラダ星人にとって、地球という小さな星は、辺境の一惑星に過ぎない。
しかし、ひろしは地位も名誉もかなぐり捨て、地球へと旅立ってしまった。
「地球に…何があるというのだ?」
マルロの呟きは、誰の耳にも届かない。
再びマルロがため息をつこうとしたその時――
艦橋のオペレーターが、突如、悲鳴に近い声を上げた。
16 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/11 00:28
そこまで読んで、武田は文庫本を閉じた。
武田の趣味はSF小説などをはじめとする読書で、いつも数冊持ち歩いている。
ここはほげほげ高校の保健室だ。
先程ノドカの肩に手を置き、ニヤリとした所で、ノドカに思いきり張り倒されたのである。
「ったく、こっちは佐々木の事でいっぱいいっぱいだってのに気安く触れるからよ!」
気を失った武田は、気が付くと、この保健室のベッドの上にいた。
保健の先生に一言礼を行って帰ろうと思っているのだが、誰もいない。
少しすれば先生が戻ってくるのではと、読みかけの文庫を読んでいたのだ。
17 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/11 00:35
「…とまぁ、そこまでは覚えちゃいるんですがね」
ポリポリと頬を掻きながら、武田は胡散臭そうにこちらに睨み付けている男にそう語りかけた。
「…そちの話が本当であるならば、そちは時間を越えて、我が江戸城内にやってきた事になる」
「ですから、そうなんですってば」
必死の形相で訴えると、武田はじりじりと、裃の侍ににじり寄った。
「信じられないのは僕の方ですよ、本を読んでたら、いきなり真っ白な光に包まれるし…
ようやく目が慣れてきたかと思えば、ここは江戸城の中で、
んで、あんたが徳川綱吉だってんだから」
「貴様! 無礼にも程があるぞ!」
殺気のこもった瞳で武田を睨み付け、綱吉の側近はさっと手元を脇差へとかけた。
18 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/11 00:46
恐ろしい危機感に襲われながら、武田は必死になって考えた。
どうやら、本に何か時空を越える仕掛けがあったらしい。
SF小説だけにしておけばよかった――なぜ歴史小説をも持っていたのか・・・
後悔先に立たず。
武田はテレビの見真似で覚えた「虎狩の構え」を取っていた。
ただ、武田は気付いていなかった。
いや、誰もが気付いていなかった、気付くはずもない。
マルロがすでに地球に到着し、その体験記をSFに仕立て出版したことなど、
一体誰が予想しただろうか。
マルロは名前を変え、地球人を装い、かつての英雄山本ひろしを捜し続けていた。
雪を見ながら偽会計士マルロは感慨に耽った。
(どこかでひろしもこの雪を見ているのだろうか・・・)
当のひろしが犬となって「まゆげ」を描かれたことなど、
マルロも武田もノドカも知らないことだった。
唯一、猫のゆかりがひろしの素性を疑っていたのだった。
確かに、ゆかりが疑うのも無理はなかった。
何故なら、ひろしは毎夜の様に寝言でこう言っていたからだ。
『オッス!オラ、「ひろし☆やまもと!」「やまもと☆ひろし!」よろしくなッ!・・・ムニャムニャ』
「え?!ひろしやまも・・・と?何故名前を2回も言うのかしら?しかも入れ違いに?」
ゆかりはしばらく考えてみた。思い当たる節はないかと考えてみた。そして一言発した。
「何?・・・何言ってんの?氏ねやこら。」率直な感想だった。
その頃・・・
武田が「虎狩の構え」を取ってからもう何時間が経過しただろうか。
(俺はもしかして”大切な何か”を見落としているんじゃないのか?)
そんな疑問が武田の頭にこびりついて離れなかった。
「そう、大事な何かを・・・」そのとき武田は
>>18でのことを思い出した。
>どうやら、本に何か時空を越える仕掛けがあったらしい。
「フフフまさかな、映画やおとぎ話じゃあるまいし、全くアホらし・・ハッ!」
そこまで言いかけて、自分の考えを一蹴しようとしていた武田だったが、
一種の胸騒ぎのような感覚が、瞬時に武田の脳裏をよぎった。それは、
”本を読んでいたら主人公がいつの間にか不思議な世界へとひきこまれてしまう物語・・・”
そうか、・・・「アレ」だ。
武田は急いでノドカの自宅に電話をかけた。「ノドカ!!今すぐ学校へ来てくれ!」
「も、もう〜うるさいわねーなんなのよ〜」
少し遅れ気味に受話器をとったノドカ、今日の彼女は少し機嫌が悪いようだ。
それもそうである。ノドカのHP、「☆あゆみのほめぱげ☆」においてネット上で販売しようとしていた
セルフコスプレ写真集「〜新型メタルギア〜」その撮影の真っ最中であったからだ。
「いやもうとにかく大変なんだ!学校に来い!急げ!」
武田のちっとも穏やかじゃない口調に(しょうがないわねえ、これだから男は。)
などとぼやきながら、ゆっくりとごっつい肉じゅばんから私服に着替えた。
早速二人は、ほげほげ高校にある2Fの図書室へと向かった。
そしてしばらくの間、貸し出しリストを眺めていた武田だったが、
「ああ、やっぱりそうだったか、ノドカ・・・これを見ろ」
武田が取り出した一冊の本、それは『ネバーエンディングストーリー』だった。
武田と同様、ノドカもこの類の本は大好きで何度も図書館から借りて読んでいたので知っていた。(もちろん映画も)
「こ、この本が一体なんだっていうのよ?」前回のこともあり、また一層不安になるノドカ。
その不安はまさに的中!といわんばかりに、武田は無言でその本の貸し出しリストをノドカに見せた。
その貸し出しリストにはある一人の名前で一杯だった。そう、”佐々木”と。
ノドカは全身が凍る思いでいた。とにかく無心でその本
『ネバーエンディングストーリー』をパラパラとめくってみた。
「・・・・・・!!!!」ノドカはあまりのショックに声を失った。
何故なら、その本の中にでてくる白い竜、ファルコン
そのファルコンの挿絵にはすべて「まゆげ」が書かれていたからである。
21 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 06:36
ここで説明しなければなるまい。
『ネバーエンディングストーリー』とはミヒャエル=エンデによって著された
「はてしない物語」を映画化したものである。
この映画については原作を無視したつくりで第2第3弾と出されたことで
作者と製作会社の間で裁判が起こったといういわくつきの作品である。
当然、原作はドイツ語で書かれているが、なぜか図書館にあったものは
『ネバーエンディングストーリー』だった。
と、武田は、ムキになって解説するノドカを尻目に
粋な白竜の「まゆげ」をルーペで仔細に観察した。
すべての「まゆげ」はシングルベッド時代のシャ乱9『つん』を思わせる
シャープでスマートなものだった。
だが、その1つ1つに微妙な違いがあるのを武田は見逃さなかった。
「まさか・・・!」武田はノドカを促し貸し出しリストを再確認した。
予感は的中した。
「佐々木」の筆跡は明らかに違う3つのパターンがあった。
22 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 07:31
そこで坂東ケンは、脚本を投げ棄てた。
彼は若手一の人気俳優。このSFファンタジー時代劇学園大作ドラマは、彼のために用意されたという話だった。
ケンが演ずるのは、武田。
「時をかける少女」が好きだったケンは、期待してその脚本を手に取ったのだったが、冒頭部分だけでこう叫んでしまったというわけだ。
「ケンちゃん〜、ケンちゃんってば、きびしいんだからぁ。ケンちゃんだからこそ、難しい役だけど、演じきれるってカントクさん期待してんのよ〜」
オカマが入っているマネージャーが、体をくねくねさせる。
だったら自分でやってみろ、という言葉をケンは飲み込んだ。
23 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 09:50
「とりあえず夢オチってのはやめて欲しいと脚本家に言ってくれ」
椅子にどっかりと腰を下ろして、マネージャーに訴える。
「あらそ〜夢オチはやっぱりダメなのね〜」
ケンの拳が光って唸る前にマネージャーはそそくさと楽屋を出た。
「随分と出世したものじゃないか」
楽屋のドアを無遠慮に開きながら男が姿を現した。
ケンとマネージャーとのやりとりの一部始終を立ち聞きしていたらしい。
「藤原さん、ノックぐらいはしてくださいよ」
ケンは椅子に深く腰を沈めたまま、無遠慮にやりかえす。
藤原と呼ばれたその男は、そんなケンの態度などどこ吹く風といった様子で
これまた無遠慮に煙草に火を点ける。
「権田原クン。キミはまだまだ“役者”というものが分かってないね」
藤原は深く煙を呑み込むと、溜息にも似た様子で煙を吐き出した。
「その名前はやめてくださいと何度も言っているでしょう!」
ケンの言葉は少々怒気を帯びていたが、藤原は聞こえないかのように
更に続ける。
「役者として大成するには三つの要素がある―― 」
「演技、華、匂い」
遮るようにケンが言葉を繋いだ。何度も聞かされてきた台詞だったからだ。
25 :
100 ◆18GD4M5g :02/01/12 11:35
しかしソンナ現実知ッタコトデハナイ。
心の中では何かがうずく。
ケンは、たばこの煙に背を向けて自分のうずきに手をやった。
26 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 13:41
ケンの心臓は激しく鼓動し、血流は波打っていた。
(何だ、この体からあふれ出るエナジーは・・・)
そんな役者の様子に戸惑う藤原がケンに声を掛けようとしたが
彼はもう周囲のことなど眼に入らなかった。
(そうだ、あの脚本、脚本に何かがあった、見落としていた何かが!)
肩をすくめる一同を無視して、ケンはこの脚本を書いた人間に
どうしても会わなければならないと思った。
27 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 14:27
(その前に)ケンは思った。(明美をレイプしよう)
(まだ女子トイレにいるはずだ)
28 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 14:37
明美が便所でオナニーしていると、ケンが、
「演技、華、匂い」
と、叫びながら、空を飛んでやってきた。
29 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 14:46
その頃、藤原は濃いコーヒーを飲みながら
かぐや姫を聴いていた。
窓の奥は闇に包まれ、微かに小雨の窓に当たる音が響いている。
感傷的な藤原監督の脳裏にあの我儘俳優ケンの顔がよぎった。
「あの泥棒が羨ましい」
いよいよ夜は冴えたのだ。
30 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 15:17
そんな藤原の様子を、ケンが窓から覗いていた。
ケンは五ヶ月前からずっと、藤原の生活を盗み見ていたのだ。
31 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 15:33
ケンは明美を犯したあと、まっすぐ藤原のマンションまで、移動したのだ。
宝くじかなんか知らんがロト・シックスのCMで、
あのスマップの中井がつけているマシンを使って。
ケンは明美をレイプした興奮が醒めぬまま、藤原いる部屋の窓ガラスを、
叩き出した。激しく。
藤原はおどろいて窓を見た。そこには全裸のケンがいた。
ケンは何か叫んでいた。
藤原は聴いていた、かぐや姫のCDを一時停止した。
「演技、華、匂い」ケンはそう叫んでいた。
身の危険を感じた藤原は、隣室に猟銃を取りに行った。
猟銃は鹿のツノの上に乗せてある。藤原は、去年アリゾナでしとめた鹿の頭部を、
壁に貼り付けていた。
藤原が応接間に戻ると、窓ガラスを割って、ケンが飛び込んできた。
(俺は、数時間、かぐや姫を聴いていたようだな)藤岡は案外落ち着いていた。
その時突然、藤岡が、押入れから現れた。
「誰だお前は!」藤原が叫んだ。
藤岡は、藤原のマンションに2年前ほどから勝手に住み着いていた。
35 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 16:35
藤岡は生粋のパリっ子だった。
正確には Fujihocku だった。
「よう、部屋主。どうやらアンタ狙われてるようだぜ」
持って生まれた冷静さで藤岡はおもむろにタバコに火をつけた。
(ここにいても面白くねえ)ケンは思った。(明日からまた真面目に生きよう)
37 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 18:58
ケンが去って藤原と藤岡に平穏が訪れた。
38 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 20:34
しかしその平和も長くは続かなかった。
39 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 20:47
大魔王ワルインジャーの侵略が、ついに始まったのだ。
ケンが飛び去ってすぐ、
大魔王の手先、チンコポが藤原のマンションの前までやって来ていた。
そのことを知らぬ二人は、藤岡がベットで、藤原がソファで寝ることにした。
これは藤岡の一存で決められたことだった。
チンコポは体長80センチメートルで、全身が羽毛に包まれていた。
そして、「ギャー」と鳴いた。
藤岡のチンポはゴムで出来ていることが、藤原によってわかった。
藤原が藤岡のゴムチンポを取ったり付けたりして遊んでいると、
玄関のチャイムが鳴った。
44 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 22:22
「下着はいりませんか。」
セールスマンだった。
45 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 22:26
セールスマンは笑っていた。
どうやら笑うせぇるすまんのようだ。
47 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/12 22:37
黒ィせぇるすまんでなくて良かった、と藤原は胸をなで下ろした。
笑ゥせぇるすまんは、売りつける道具の使い方を間違える悪人を酷い目に遭わせるのだが、
黒ィせぇるすまんは、理不尽に、無差別に、人を酷い目に遭わせるのだ。
ああ、藤子不二雄に関する知識があって良かった。知こそ人類に与えられた最大の盾だ。
「欲しいです」
と、彼は即答した。
48 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 01:09
藤原は赤塚不二雄と藤子不二雄は同じ人物だと思っていた。
そこで彼は名刺を受け取った。
名刺には「心のスキマお埋めします 喪黒福三」とだけ書かれていた。
途端に藤原は驚愕した。喪黒は彼の生き別れた双子の弟だったのだ。
49 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 11:41
藤原は、ニヤニヤしながら、無言で、玄関のドアを閉めた。
閉めたはずの玄関のドアが話し始めた。
「はじめまして、あたしは玄関のドアです」
「るせーな、すっこんでろ!」
「あたしは女なんだからもう少し優しくしてください」
「るせーって言ってんだろ!」
藤原はドアに飛び蹴りをくらわせた。
「痛い、やめて、お嫁に行けなくなっちゃう」
「てめー、ドアのくせしてお嫁に行くつもりかよ。笑っちゃうな。
セックスできんのかよ!?」
「できます。穴がありますから」
「どこに?」
59 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 12:42
と、突然電話が鳴った。
電話はすぐに鳴り止んだ。
藤原は取っ手の下にある鍵穴をしげしげと見つめた。
「あんまり見つめないでください。恥かしいから」
ドアが小さくささやいた。
鍵穴の奥にでなにかがうごめいていた。
藤原は目を凝らした。
64 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 13:09
蟻だった。
「なんだ蟻か」藤原は呟いた。
ホッとしたその時、藤原は誰かに肩を、ポンッ、と、叩かれた。
藤原が振り向くと、そこには……
「アリさん、アリさん〜♪」
と歌っていた親友の佐々木だった。
佐々木の後ろには後藤もいた。
佐々木が言った。
「藤原、後藤を捕まえてきたよ」
後藤は全身傷まみれ血まみれだった。
佐々木は、ボコッと、後藤の頭部を殴った。
「このやろう、藤原に土下座して謝れ」そして、後藤は、ケツを蹴られた。
後藤はウンコをもらした。
後藤の漏らしたウンコは、山となり、川となり、雨を降らせた。
藤原と佐々木は、三日間、雨に打たれ続けた。
(俺たちが間違っていた)と、後悔しながら。
後藤に許された藤原は、バイクを走らせていた。仙台に向かって。
仙台には奴がいる・・・
二人はそう思いながら岩手に着いた。
岩手県、そこは未開の土地。
チンパンジーや、日本おおかみの生息するまさに秘境。
そこに住む人間どもは言葉を解さず、獣の皮を着て、狩猟で暮らしている。
藤原と佐々木は当てもなく岩手をさまよった。
77 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 15:56
そんな異常生活も、二日で見飽きて
四日目にインディアンになって、茨城に帰ってきた
佐々木の肩の上には、小さな猿が乗っていた。
岩手で見つけたから、岩男と名づけた。
79 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 16:32
岩男はメスだった。
茨城の喫茶店で二人と一匹は、今後のことを相談しあった。
藤原はすでに映画界から追放されていた。
佐々木が撃たれた。
佐々木は病院へ運ばれたが、間もなく息を引き取った。
83 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 18:14
「佐々木・・・オマエの無念はオレが必ず晴らしてみせる・・・」
藤原は亡くなった無二の親友の亡骸を前に、誓いを立てた。
岩男には何が起こったかも分からないだろう。
いや、正確には岩男の「人生」そのものには何の影響もない出来事
だったのだろう。
藤原は佐々木を銃殺した人物を探すことにした。
85 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 18:20
既に映画界から追放されていた藤原には、もう何の迷いもなかった。
以前―― まだ藤原が俳優だった頃―― 彼は探偵映画の主人公を演じた
ことがあった。
藤原はその時の経験を思い出し、早速「復讐」の準備に取り掛かった。
全ての準備が整った後、藤原は大事なことを忘れていたことに気付いた。
「悪く思うな・・・。これがこの国の風習なんだよ・・・」
藤原は岩男の額に猟銃を当てると、ゆっくりと引き金を引いた・・・。
岩男は死ぬ瞬間、ウンコのように赤ん坊を産んだ。
87 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 19:24
その赤ん坊は薄い朱に染まっていた。それは、岩男の脳漿と血液なのか
羊水と胎盤なのかは判然としなかったが、この異常な状況下、確かに新
しい生命は誕生したのだった。
その瞬間、藤原は抑えがたい欲望が身体の内側から激しく突き上げてくる
のを感じた。同時に、痺れるような浮遊感に包まれ、思わず身体を震わせた。
―― 魅入られたのだ。殺傷行為という名の魔物に。
殺傷行為という名の魔物に魅入られた藤原は、
岩男と赤ん坊を結んでいたへその緒を、歯で噛み切り、
羊水や胎盤を、すすり飲んだり、舌で、綺麗に拭い取ってやった。
そして、赤ん坊の体をなめまわし、太い指を、乱雑に、赤ん坊の股へ入れ、
こすり上げた。溝に沿って指は動いた。赤ん坊は女の子だった。
藤原は、猿の赤ん坊が出した宿便の美しさに、思わず目を見張った。
うう。キモチワルイ。
藤原は自分の耳を疑った。しかし、今度ははっきりと聴こえたのだ。
「うう。キモチワルイ」
その声は、確かに、猿の赤ん坊の口から発せられていた。
藤原のすさんだ心に、愛情のともし火がともった。
それとともに、この生まれたばかりの赤ん坊の親を殺してしまったという、
自責の念にも苛まれるのだった。
猿の赤ん坊は、哀願するかのように、「うう。キモチワルイ」と、繰り返している。
藤原は、猿の赤ん坊の額にうっすら生えた、うぶげを見つめた。慈愛心に包まれながら。
罪悪感に包まれながら、藤原は足を進めた。
こんなところで止まっているわけにはいかない。
親友佐々木を殺したヒットマンを捕まえなければ。
足を進める藤原の肩を、何者かがつかんだ。
藤原は恐怖で、何も考えられなくなった。藤原の肩を掴んでいたのは、岩男だった。
岩男は、頭を撃ち抜かれながらも、まだ生きていたのだ。
岩男、子供との感動の対面!
(岩男、子供との感動の対面)
藤原は缶コーヒーを飲みながら、そんなことを思った。
岩男に肩をつかまれるという幻覚を見たのは、銃で生き物を殺した興奮と、
愛情を感じた猿の赤ん坊と、その母親を、対面させたいという欲求があったからだろう。
それほどまで藤原の罪悪感は強かったのだ。
「岩男、俺は逝かなきゃならない。どうしても」
車道に走り出て藤原はタクシーを止めた。
「仙台まで急いでくれ」
運転手にそういい、シートに腰を置いた。
が、その瞬間!
タクシードライバーがメーターを止めて回送に切り替えた。
「貴方はどうやら何かお悩みのようですね。
その膝頭と袖口が全てを語っています。
僕はカタギのタクシードライバーじゃないんですよ。
素人探偵もやっていましてね・・・」
タクシードライバーは言い終えると、ぼさぼさ頭をかき回した。
「な、何者・・・」
藤原は目を見開き、タクシードライバーに畏怖の念を抱いた。
「名乗るほどのものではありませんよ。素人探偵という肩書きだけで
あなたには十分でしょう?それより、あなたに協力したいんですよ。」
探偵と名乗るドライバーはアクセルを踏み、車を仙台へと走らせた。
100 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 22:16
「実はワタクシ、素人探偵の他にF1レーサーも少しやってましてね」
アクセルを目いっぱい踏んだドライバーは、ニヒルな笑みを浮かべつつ、チラリと藤原を振り返った。
「なぁに、そんなに大した腕前じゃないんですが、モナコじゃワタクシ、そこそこ名前も知られてましてね」
「モ、モナコだって!?」
「おっと、しゃべると舌噛みますぜ」
激しいドリフトを繰り返し、ドライバーはアクセルペダルを更に踏み込んだ。
101 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 22:21
バックミラー越しに藤原の目を見据えてくるドライバーは明らかに
ただのタクシー運転手ではなかった。
ドライバーの視線が藤原の手荷物の方へ流れた。慌ててタクシーに
乗り込んだ為、それらはトランクではなく、後部座席―― つまり
藤原の隣に投げ出すように置かれていたのだ。
ボストンバッグ。厚めのコート。これらは「普通」だった。しかし
「新聞紙にくるまれた70〜80cmはあろうかという細長い棒状の物」
これがどうみても「異常」なものだった。
ドライバーの目はその「異常」なものに注がれていた。
「あ、あんた・・・本当に何者なんだ?」
訝しげな視線でジロリとドライバーを睨み付けると、藤原は震える手で、胸ポケットからヨレヨレの煙草を取り出した。
「…そこのドライバー証明のプレートに書いてある通りですよ」
バックミラー越しに藤原を見ると、ドライバーは不意に真剣な表情を浮かべた。
慌てて、藤原はドライバー証明のプレートに目を向ける。
『山本ひろし』
プレートには、そう書かれていた。
「レーサーの前は、政治家を…その前は医者を。そしてその前はネコを。
それから…軍人をやってました。こことは違う、遥か遠い銀河の星で」
103 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 22:58
『山本ひろし』は懐かしそうに
前方に広がる空と車道の間を眺めていた。
「いや、それも過去のことです」
ふと我に返ったのか、『山本ひろし』は小さなため息を吐いた。
「今ではご覧の通りタクシードライバー兼素人探偵でしてね。
どうです、あなたの抱えている事件をお話になってみては」
104 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 23:05
『山本ひろし』
藤原はその名前に見覚えがあった。それもそのはず、藤原自身が
メガホンをとり、製作総指揮を務める(はずだった)映画の脚本。
その登場人物の名が『山本ひろし』だったのだ。
奇妙な偶然に藤原は軽い混乱と目眩を覚えた。
?
106 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 23:44
「転生装置・・・」
山本ひろしと名乗るドライバーは問わず語りに話し始めた。
「僕たちの文明は禁断の装置を作り上げてしまったのですよ。
どうやらこの星は僕たちの故郷と死生感が似ているようだから
あなたにも分かりやすいと思いますが、この国で言う『輪廻』
あの転生の回転を自在に操ることが出来る装置を我々は開発した
のです。」
107 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/13 23:52
「もちろん、転生する為には一度その生涯を閉じる必要がある。
流石に同時代に別々の人格を持って存在するなんていうことは
不可能ですからね。更にこの転生装置の便利なところはある人格の
年齢まで設定出来るところです。『存在』を創りあげることが出来る
とも言えますね。」
藤原はますます混乱するばかりだ。
「いや、申し訳ない。煙に巻くつもりはないんですよ。」
ひろしは微笑みながらバックミラーの中の藤原を見つめた。
「正直に申し上げて、必ず成功するとは限りません」
ひろしは続けた。「あらかじめこれを申し上げておかないと
フェアではありませんからね。成功する確率は70%ほどです」
ひろしはバックミラーに写る藤原を面白そうに観察している。
「失敗した場合、『存在』がどこへ行くのか……。失敗の50%は
意図しない人格や年代になってしまいます。しかし、たとえそうなった
としても、それほど恐ろしいことはありません。『存在』がありさえ
すれば、それがどんなものでもひとは生きてゆけます。逆に怖いの
は……」
そこでひろしは口を噤んだ。
「怖いのは『存在』そのものが消えてしまうことです。失敗の50%
つまり、全体の15%はこのケースに陥ってしまいます。まだ技術が
不完全なのです、残念ならがら」
そして言ったのであった。
「正直うんこが漏れそうなんですけど。」と。
藤原はあっけにとられた。
「こんな時に「正直うんこが漏れそうなんですけど。」・・・だと!?奴は正気か?」
そして藤原は
>>108の最後の「残念ならがら」という発言にも気になっていた。
「なんだ!「ならがら」って!「ならがら」ってなんだ!」
藤原は煙に巻かれた。巻かれっぱなしだった。
もう何がなんだか分からないと困惑している藤原に気づき、ひろしは
「おっと、すまない。”うんこが漏れそう”というのには御幣があったよ。
言葉のあやってものさ。気にしないでおくれ。」
それだけを告げると、ひろしはさっさと車を降りてドライブ・インのトイレに行ってしまった。
「なんだ・・・あいつやっぱりうんこしたいんじゃん」
藤原はだまされた気持ちで一杯になった。
愕然としていた藤原ではあるが、そのときあることを思い出した。
>>101での
>藤原の隣に投げ出すように置かれていた
>「新聞紙にくるまれた70〜80cmはあろうかという細長い棒状の物」
「確かに奴(ひろし)はこの物体を異常なまでに魅入っていた。
もしかしたら、この中に奴の言っていた転生装置の秘密の全てがあるのかもしれない・・・。」
藤原はひろしがトイレに行っている隙にこの中に何が入っているのかを確かめてみることにした。
新聞紙にくるまれた70〜80cmはあろうかという細長い棒状の物。
正直震えがとまらなかった。確かめるのは怖い。込み上げる恐怖を押さえつつ
藤原はその新聞紙をゆっくりとめくってみることにした。
驚愕。そう、その言葉が今この瞬間に相応しい。少なくとも藤原は思った。
なんと新聞紙をめくるとそこには70〜80cmにくるんだ新聞紙が入っていた。
分かり易く説明すると70〜80cmにくるんだ新聞紙を更に一枚の新聞紙でくるんであったのだ。
ってゆーかそのままなのだが藤原はあまりのお約束に腰をぬかさんばかりであった。
「山本ひろし・・・奴は電波か?」
今までの転生装置の説明云々もなんか胡散臭く感じてきた藤原であった。
そして>1のパソコンで「ふじわら」と打つと何故高い確率で「富士(笑)」になるのか?
・・・全てが疑問だらけであった。
その時。
「フフフ・・・見たな?」
藤原は恐怖で失神しそうになった。
振り返ると後部座席の窓、その外側に顔を窓に貼りつけるようにしてひろしが覗いていたのだ。
「あ・・・あわわわ」声にならない声で藤原はうろたえるばかりであったが
ここはどうにかして切り抜けなくては!藤原は命の危険を感じ
取り敢えずひろしにこう言ってみることにした。
112 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 12:40
「俺は、お前の思い通りにはならない!」
113 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 13:42
さらに続ける藤原。
「大体、『山本ひろし』なんて全国に何人居ると思っているんだ!」
輪廻転生論はあっけなく覆された。
114 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 13:43
「クク・・」
山本ひろしは不敵な笑みを浮かべ、どこかに去った。
115 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 13:50
「くくはちじゅういちかぁ!!くそう!やられたぜぇ!!!」
口惜しがっている藤原のもとに、ひろしは戻って来た。
「ちょっとしたジョークですよ」
ひろしは鷹揚に笑い出した。
「そんなに怒らないでください。それよりこれを」
背後からひろしが取り出したのはノートパソコンだった。
さらに新聞紙を開ききってみるとLANケーブルが出てきた。
「さ、ドライブインにネットカフェ(持ち込み容認)がありますから」
ひろしはおもむろに藤原を車から連れ出すと揚々と歩き出した。
「待ってくれ」藤原は小説には便利な殺し文句を吐いた。
「待ってくれ。それが何だというんだ」
「『2ちゃんねる』はご存知ですね?
実は『ペット大嫌い板』にヤツが現れたんですよ。
先ほどあなたが0.02秒で口にしたヒットマンがね・・・」
117 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 14:01
藤原はその言葉を聞いたとたん、血相変えてノートパソコンを奪い取り、起動させた。
「本当なんだな?」
起動させながらひろしに念を押してみた。
「ええ。私も見つけた時はびっくりしたんですが、間違いありません。」
驚愕の面持ちを崩せない藤原を尻目にひろしは説明を続けた。
「ホラ、ここです。ね?では潜ってください。ヤツは常にsage進行です」
「ど・・・どんなヤツなんだ?」
戸惑う藤原に、ひろしはうつむいて眉間に皺を寄せた。
「残酷さではヤツに敵う者はないでしょう。
彼はあらゆるペット・・・猫、犬、カナリア、蛇・・・区別なく
無差別凶行に出ています。
飼い主はただ泣き寝入りするしかない。
証拠は絶対に残さないのです。
数ヶ月前、彼はこんな書き込みをしています。
552 名前:ヨーデル伍長 :01/10/25 14:01
諸君、これはネタではない。繰り返す。ネタではない。
「どういう手口なんだ・・・?」
「実に手馴れたヤツですよ。油性マジックで『まゆげ』を書くんです。
最近ではD-インキという代物さえ使っているんですよ・・・」
藤原は戦慄した。
119 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 17:34
「で、」
藤原はディスプレイから目を離し、ひろしに目を合わせた。
「なんでこいつがヒットマンとわかるんだ?」
120 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 18:03
「当然の疑問です」
見返しながらひろしが頷く。
「もう一度よく佐々木さんが殺された現場を思い出して御覧なさい。
佐々木さんのまゆげは綺麗に剃られていました。
代わりに描かれていたでしょう。
油性の『まゆげ』が・・・」
121 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 18:09
犬まゆげ
122 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 18:17
「犬まゆげ」
「ん?」
藤原はひろしが放ったなぞの発言に耳を傾けた。
「奴の・・・ヒットマンのその非情な手口からはそう呼ばれているんです。
今回も、犬まゆげの犯行に違いありません。」
そこまで言うとひろしはフーっと息をついた。藤原はひろしの目に少し
涙がたまっているのに気づいた。だが、あえて詮索はしなかった。
「『犬まゆげ』っていうと、
そういや何かジャンプの石塚ゆうこが描いてる漫画じゃないのか?」
ジャンプと縁が切れて5年経った藤原は、
それがただの偶然か確信犯かを試すために言ってみたが
完全に無視された。
124 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 18:33
ひろしは藤原に返した。
「そういえばそんなマンガありましたね。石塚が担当を振り回すマンガで・・
私も一巻買ってましたよ。カバー外すとアンケートついてたり・・」
記憶の底から犬まゆげの事が浮き出てきた。
125 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 18:43
犬まゆげの担当がナマサだった頃は面白かった
126 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 18:45
話の方向がずれていたが、藤原は敢えて気にしなかった。
「ジャンプ探偵団の『どんちゃん』ってのも居ましたね。
最近床屋でジャンプ読んだら出てなかったから
今頃どうしてるんだろうと思ったり。
・・・で、『犬まゆげ』のIPは抜いたんですか?」
だんだんと藤原は現実に帰ってきた。
127 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 18:47
「いや、ただヤツの最近の書き込みは『
>>125に禿同』でした」
ひろしはニヤニヤしながらディスプレイを睨み続けた。
128 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 18:47
「はい、既にIPは抜いてあります。」
「準備がいいな」
藤原はひろしの周到さにすこしの感嘆を覚えた。
ひろしは二重人格だったので多少の誤差は気にしなかった。
130 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 19:13
―― ここで一端話しを戻そう。
読者諸兄が気になっているだろう、あの疑問に答えるためにも。
岩男が死の間際産み落とした赤ん坊はどうなったのか?
そして、ぱったりと消息を絶った藤岡は何をしているのか?
と、藤岡は自己主張した。
しかし藤原もひろしも耳を貸さなかった。
「『サザエさん』の甚六さんはいつ大学に行っているんだよ!」
藤岡の叫び声が空しく響いた。
132 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 19:35
「さてどうするかな・・」
と藤原。
133 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 19:40
放心状態の藤原に藤岡が食い下がった。
「俺を構ってくれ」
「藤岡・・・!」
藤原が耐えかねて振り向きざまに藤岡の襟を掴んだ。
「お前がどこから来たかは知らない。
どこへ行くのかも知らない。
だがな、藤岡。お前はそれで本当にいいのか?
『渡る世間』の二の舞を踏みたいのか?
藤岡、俺はお前が気に食わないわけじゃない。
まとめることも大好きだ。
でもな、お前たち全員の面倒を見ていられるほど俺も器が大きくない。
今は『犬まゆげ』なんだ。
暇だったら、お前、逃走したケンを探してきてくれ。
そうそう、玄関のドアによろしくな」
藤岡が去った後、ひろしが呟いた。「長いな」と。
134 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 19:49
「藤原さん、犬まゆげのところに行きましょう。」
「ああ、そうだな。・・じゃあな藤岡。」
そう言い残して藤原とひろしはタクシーに乗り込んだ。
藤原は小さくなる藤岡をずっと見つづけていた。
135 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 19:56
「なあ、山本ひろし」藤原はふと運転席に声を掛けた。
「犬まゆげはどこに住んでるんだ?」
「現住所は不定です」目を光らせるひろし。
「しかしヤツは実家に戻るはずです。
ヤツのリモートホストが一直線に移動してます。
これは実家に帰る途中と見ていいでしょう」
「それはどこなんだ?」
藤原の問いにひろしはニヤリと微笑した。
「伊豆半島の先端、皆月です」
136 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 20:13
「伊豆か・・・遠いな。」
「いえ、この車なら四時間ってとこですよ。」
「ひろし、伊豆に行くなら仙台に寄ってくれないか?」
ひろしはハンドルを華麗に回し話をあわせていた。
「仙台ですか・・・しかし、なんでまた?」
「ちょっと会いたい奴がいてな」
「へぇ、誰です?」
「ゆかり、って言うんだけどな。俺たちに協力してくれるはずだ」
続けて、「俺たちの性欲の処理に」
そして、ひろしと藤原は互いの顔を見合わせ、笑いあった。
「そりゃいいや」藤原の顔に数日振りに笑顔が戻った。
138 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 21:35
「ゆかりってまさか、白猫のことじゃないですよね?」
ひろしは心当たりがあるように問い掛けた。
「まさか。なんだって俺が猫なんかに会いにわざわざ
仙台くんだりまで行かなきゃならないんだ」
藤原は気分を害されたとでも言うように眉間に軽く皺を寄せた。
139 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 21:38
仙台駅が窓の外を横切った。
「ゆかりは俺の姪でね、脚本家に言って作中人物にもしてもらった」
藤原は懐かしそうに眼を閉じた。ひろしが尋ねる。
「脚本家って、あなたは作家か監督ですか?」
「ああ。監督だった。脚本家は明美と言った」
「・・・・・・」
「しかしそれも過去の話だ」藤原は意を決したように眼を見開いた。
「とにかく犬まゆげの尻尾を掴むにはゆかりが必要なんだ」
ひろしは頷き、おもむろにハーモニカを取り出して藤原に手渡した。
140 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 21:47
「これをアナタに預けておきます。私の宝物です。
大切にしてください。」
再びハンドルを持ち、ひろしは運転を続けた。
「そんなものをどうして・・・」
「私は犬まゆげにちょっと借りがありましてね」
141 :
mynin:02/01/14 22:04
注:上記、犬まゆげ、とは、アメリカ西部で雨季の間に時折見られる
蜃気楼の事である。
その余りのはかなさゆえに当地の人々命名したと思われる。
いずれにしろそう結う事で有ったのではないかと推測されるのでは無
かろうか?
(正解確率:67.5%)
142 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 22:10
カーラジオが告げた偶然の名前の符合にひろしは口笛を鳴らした。
それに併せて藤原がハーモニカを吹く。
和やかな時間が過ぎていった。
143 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 23:02
「失敗ったッ!」
突然ひろしが叫んだ。
「この先の道路は封鎖らしい・・・!」
車に急ブレーキが掛かった。
「どうします、藤原さん? 回り道しても行きますか?
それとも伊豆に直行しますか?」
藤原は考え抜いた末に答えを出した。
144 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/14 23:44
藤原は山田を呼んだ
さてさて、その頃藤岡は、産婦人科の便所で、オナニーしながらウンコをしていた。
水を流そうと立ち上がった藤岡は、便器の中の異物に気づいた。
これはウンコなんかじゃない。これはいったい・・・。
それはビデオカメラだった。藤岡は盗撮されていたのだ。
”オナニーしながらウンコをしてやる”
藤岡はこれを3日前から決めていた。しかし何故ここにビデオカメラが?
俺の行動が見透かされている??
一瞬自分の目を疑う藤岡だったが、別に見られるのって嫌いじゃないし・・・
てか、「むしろ好き☆」な藤岡はビデオカメラなどお構いなしにオナニーを続けた。
「やはりオナニーは産婦人科の便所に限るな。」
藤岡はタッパーに入れて冷蔵保存していた自前のゴムチンポを
早速額に装着すると、それを勢いよく擦り始めた。
マッハ3.5の速さに到達した頃、ゴムチンポ(略して『ポ』)からは煙が立ちこみ始めていた。
ここで勘違いしないで頂きたいのだが、『オナニー』というのは『爆笑問題の小さい方』という意味である。
・・・しばらくして藤岡は果てた。
「燃え尽きた」といっても過言ではないだろう。
便座に腰掛けた藤岡は真っ白になっていた。それはまるであしたのジョーを彷彿とさせた。
でもしっかりと脱糞は済ませていた。
便器の中でウンコが「認知シテヨー」と涙声であった。
藤岡は悼たまれなくなって、そっと便座の蓋を下ろした。(THE虎舞竜、ロード第2章より)
まあそんなこんなで話は戻るが、藤原は山田を呼んだ。
”呼んだ”というよりも”召喚した”との表現が正しいだろう。
藤原は山田を召喚した。
「いでよ!山田!」藤原がそう叫んだ後、天から神々しい光が差し、召喚獣山田が現れた。
属性は「笑点」、修得済みアビリティは「座布団運び」「子作り」「ちんこいぢり」・・・この3つであった。
藤原はこの召喚獣山田に相談を持ち掛けてみることにした。
回り道してでも仙台へ行くべきか?それともこのまま伊豆に直行するべきなのか?
加えタバコの煙をくゆらせ聞き入っていた山田だったが、鼻から煙を一気に放出するとこう言った。
「いでよ!山田!」
そのことばの意味を刹那的に藤原は理解し、こう言った。
「やはりすぐに伊豆へ向かおう。このままでは僕たちが危険だ」
召喚獣山田は、たばこを吐き捨てると、にやりと笑ってこたえた。
「乗りな」
ふたりが乗りこんだタクシーは夕日に向かって走った。
チンコを手刀のようにしていた山田だったが、
鼻から煙を一気に放出するとチンコは二つに割れた。
召喚獣山田は、たばこを吐き捨てると、にやりと笑って言った。
「俺のチンコの数だけお前に幸せが降り注ぐのさ」
152 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/15 19:08
その頃、ゆかりはグレていた。
性根が曲がりすぎて、名前をノドカと改名していた。
だが、彼女に天命が下ったのだ。
『伊豆へ行け』
16歳の少女の脳に神の声が降り立った。
「幻聴だろ」と無視しようとしたが、またもや声が聞こえる。
『伊豆へ行け』
聞こえるというよりは、心に響いてくるようだ。
ノドカは震えながら、超自然の現象だと直感した。
「そうだ、伊豆に行こう!」
急いで外に出ると、改造愛車カブにまたがった。
キーを回す。
ノドカの乗ったバイクは夕日に向かって走った。
その頃、窓に映る自分の顔に見とれていたテクノカットの藤原は
村上龍のように眉間にしわを寄せていた。
藤原を乗せた機関車トーマスは和歌山に向かってひた走った。
155 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/15 19:26
機関車トーマスに乗り込んだ藤原一行。
「しかし山田が呼んだ機関車トーマスは早いな。もう岐阜あたりじゃないか。」
「藤原さん!!目的地は伊豆ですよ!それに仙台にゆかりちゃんを迎えに行
くんじゃなかったんですか?」
藤原を乗せた籠は天城峠を降っていった。
157 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/15 19:50
山本ひろしは二重人格だったので
>>155のひろしは
>>150での出来事を忘れていた。
個人タクシー『機関車トーマス』は天城を越え、
ようやく伊豆の入り口三島に到着した。
158 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/15 20:23
「ついにゆかりには会えなかったな・・・」
藤原は姪の助けが欲しかったが、来てしまった以上仕方ない。
自分とひろしだけでヒットマンを探すしかないのだ。
159 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/15 21:40
藤原は童貞だった
160 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/15 23:28
が、勇気は人一倍あった。
「山本ひろしよ、さぁ、『2ちゃんねる』の『ペット大嫌い板』をチェックだ」
素人探偵山本ひろしは頷き、ノートパソコンを起動させた。
「あ、まだヤツは書き込んでます。間違いない。犬まゆげです。
・・・ん?『ナマサ』?」
ひろしのマウスが動きを止めた。双眼がディスプレイの一点を睨んでいる。
「ふ・・・藤原さん、ヤバイです。
『ナマサ』というコテハンが犬まゆげを煽ってます!」
慌ててひろしの横から首を突っ込む藤原。
459:ナマサ◆hj/2r&m :02/01/15 18:37
ネタだろ。キティguy氏ね(ゲラ
460: :02/01/15 18:42
真性バカハケーン
461:ナマサ◆hj/2r&m :02/01/15 18:48
証明してみろよ(藁
逃げたか(藁
「このままでは犬まゆげは伊豆のどこかで『まゆげ』を描くでしょう。
ひろしは苦りきった表情を見せた。
「どうにかならないのか?」
真冬だというのに藤原の額には汗が浮かんでいた。
「『ナマサ』はどうやらラウンジャーのようですが・・・
くそッ! 選りによって犬まゆげを煽るなんて!」
ノートパソコンの電源を強制落ちさせると、ひろしはタクシーに乗り込んだ。
「藤原さん、とにかく皆月に行きましょう。
途中の猫・犬・馬は全チェックです。ヤツの足跡だ」
励まされるようにして、藤原は力強く頷いた。
161 :
親切な解説者:02/01/15 23:33
猫の目のように変わるストーリー展開と、現れては消える登場人物たち。
混乱している読者諸兄の為に、ここでざっと登場人物を紹介しよう。
―― あゆみと武田の章――
■あゆみ(ノドカ)…ネットアイドルを目指す女子高生。案外気が強い。
■武田…あゆみの幼馴染。持ち前の推理力で「まゆげキラー」を追跡するが
突如本編から姿を消す。体力は女の子に張り倒されて気絶するほどショボイ。
■ひろし…あゆみの家で飼われている雑種の白犬。
■ゆかり…同じくあゆみの家で飼われている白猫。
■佐々木…ペット板で「まゆげキラー」のコテハンを名乗る謎の男。ひろし
たちにまゆげを描いたのは、この男だというもっぱらの噂だ。
――知的生命体マドルの章――
■マルロ…ある目的の為に地球へと向かった戦艦ウルドリーブの新艦長。
■ラドック…マルロの恩師にしてマドル軍提督。
■山本ひろし…マドル軍最強の戦士。12年前地球で行方を絶った。
―― 藤原とひろしの章――
■板東ケン…若手一の人気俳優。時々壊れる。口癖は「演技・華・匂い」
■マネージャー…ケンのマネージャー。オカマが入っている。
■藤原…この章の実質主人公。かつては映画監督としてその辣腕をふるったが
映画界から追放される。現在、親友佐々木の仇を討つためにヒットマンを探している。
■明美…脚本家。トイレでオナニーしているところをケンに犯される。
■藤岡…2年前から藤原のマンションに勝手に住みこんでいる居候。その割に
主人をソファーで寝かせ、自分はベッドで寝たりする謎の男。現在放置中。
■ワルインジャー…大魔王らしいが登場は一回きり。
■チンコポ…ワルインジャーの僕。体長は80センチと意外と小さい。
■喪黒…藤原の生き別れた双子の弟らしいが登場は一回きりで放置中。
■玄関のドア…藤原のマンションの玄関のドア。人語を解する。どうやら♀らしい。
■佐々木…藤原の無二の親友。二人で出掛けた岩手旅行を最期に何者かに
よって銃殺される。
■後藤…ウンコを漏らすことで雨を降らせるという特殊能力を持つ。その雨は
自分を攻撃した者が心から反省するまで止まない。
■岩男…佐々木が岩手から連れかえった猿。藤原によって殉死させられる。
■赤ん坊…岩男が死の間際、産み落とした忘れ形見。メスらしい。
■山本ひろし…謎のタクシー運転手。何の説明もないまま、藤原のヒットマン
探しに協力する。二重人格時々電波。
■犬まゆげ…ペットに油性マジックでまゆげを描くことに無上の喜びを感じる
謎の男。「ヨーデル伍長」というコテハンで暗躍する。
■ゆかり…藤原の姪。叔父の歪んだ性愛の対象にされる。現在はグレている。
■山田…謎の召還獣。結構ダンディー。
■
ひた走るタクシーの窓から、藤原は道端の猫一匹さえ見逃すまいとした。
爆発寸前のエンジン音が凄まじい。
猫。猫。猫。道端にはまだ猫が現れない。
(居たッ!)と狂喜した藤原は次の瞬間落胆せざるを得なかった。
(ノーマルだ・・・)
しかしまだ一匹目。犬まゆげの犯行現場を押さえれば確実なんだが・・・と
藤原は柄にもなく歯ぎしりをしていた。
163 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/16 17:01
そうして島中の犬や猫を探して二時間半程の時間がたった。が、未だまゆげを書き込まれた
動物はいなかった。二人は必死の捜索に疲れきっていた。そこで少し車中で休憩を取ること
にした。
「見つかりませんね・・」
「ああ、やはり俺たちだけじゃ見つけるのは難しいか。ゆかりを呼ぶしかないか。」
164 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/16 19:19
「・・・どうしてもあなたはゆかりさんに会いたいようですね」
ひろしには藤原がゆかりに固執している理由がわからないようだった。
「さっきから『ゆかり』『ゆかり』って・・・
あなたには自分で何とかしようとする意志がないんですか!?」
「うるさいッ!!」
肩を震わせながら藤原は怒鳴った。
「山本ひろし、俺は自分でやると決めたらとことんやる。
だがな、あんたはゆかりを知らないんだ。
あいつは美々端麗で才色兼備。
粘着がウヨウヨするくらい魅力的なヤツなんだよ!」
藤原が演説をぶっている丁度その頃、
グレたゆかり――ノドカは、視界の端に、
まゆげの描かれた猫が映ったように思った。
(まゆげ?)ノドカは改造カブを一時停車させて、慌てて振り返った。
「ギコハニャーン」
ノドカの目の前には確かに「まゆげ」を描かれた猫がちょこんと座っていた。
「ちょっと待て、あれを見てみろ」
藤原はそう言って、窓の外を指差す。
山田にはなんのことだかわからなかったがとりあえず車を停車させた。
助手席側には小さな公園があった。
日曜の午後ということもあり、小さな子供を連れた家族がちらほらと、
殺風景な公園を楽しげな雰囲気に変えている。
「ほら、あそこだよ。ブランコに座っている女の子」
「ブランコ?どこ?」
ブランコは公園のいちばん奥。砂場の横にあった。
4つあるブランコのいちばん右端に高校生くらいの女の子がいる。
彼女は膝の上に猫を抱いていた。
「あの猫を見てみろよ」
「あ!あれは!」
ふたりはようやく気づいた。
この町の猫たちはまゆげに犯されている。
167 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/16 20:01
「なッ!? テメ、山田! いつからタクシーに乗り込んでたんだよ!」
ふと気付き、藤原が怒号した。
「フン、素人が。あんたの下にある座布団を回収しに来たのさ」
吐き捨てるように言うと、召喚獣山田はかき消すように居なくなった。
「あいつも、『ずうとるび』時代は活躍したのにな・・・」
うつむいて独り言のように藤原が言うと、ひろしも頷いた。
「『恋の夜行列車』、僕聴いてました・・・」
とりあえず二人はブランコ嬢が抱いている猫に接近を試みた。
その頃、一人取り残された感の強い藤岡のもとには、なんと謎のビデオテープが届けられていた。
…そう、まさに謎であるからして、もち差出人は不明。
いったいこのビデオの内容は…?
藤岡はおもむろにテープを藤原の部屋のベータに差し込んだ。
画像が始まる。
それは丁度、藤原のタクシーから座布団を回収した山田が消えるところだった。
もちろん藤岡には、それがつい十分前に起こった出来事だととは、知りようがない。
「な、何だ! この女は!」
思わず藤岡はうめき声を上げた。
無理もない。なんと突然、画面を男、…いや女の顔が覆ったからだ。
藤岡は直感的に思った。
この女の顔は、荒又宏に似ている…
そう、女は似すぎるくらい荒又宏に似ていた。
画面の中で荒又宏似の女は、藤原とひろしがタクシーから降りたのを確認すると、携帯を取り出した。
二回ほどの呼び出し音で相手につながった。
「たけむらたけこ」
「こけたらむけた」
それはきっと何かの合図だったに違いない。それから何か二言ほどいうと、女は携帯を切った。
それにしても、この荒又宏に似すぎるほど似てる女は、いったい何者なんだ?
そしてこの映像は、いったいどういう意図で撮影され、そして何故藤原の部屋に届けられたのか?
藤岡は一人自問した。が、もちろん答えなど出るはずない。とりあえず藤岡は押入れの中に戻ることにした。
が、ビデオを付けっぱなしだったのに気づいて、すぐに押入れを出た。
その視界にとんでもないモノが映ったのだ。
「こ、これは……」
藤岡は見た。僅か押入れに入ったり出たりする短い間に、テープの映像は切り替わっていた。
そして砂嵐の画面一杯に、
ギコネコ
という血塗られたゴシックが踊っていた。
「ギコネコ…」
藤岡は独り、そのまがまがしい響きの言葉を口にした。
170 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/16 22:43
「や、お嬢ちゃん、一人かい?」
その頃、藤原はブランコ嬢にさりげなく話し掛けていた。
「ちょっとその猫見せてくれるかな?」
171 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/16 22:55
「何やってんだ、貴様!」
ひろしと藤原の前に踊り出てきたのは、なんとあの板東ケンだった。
「け・・・ケン・・・!」
「ん? 何だ、アンタ藤原さんか。安心しな、俺は今は真面目にやってる。
それより俺のあゆみに手を出そうとしたんじゃないだろうな?」
唖然とするひろしを余所に、
藤原は黙って首を振り、猫をひったくると「まゆげ」を綺麗に消してやった。
「ケン」藤原は油性インキの匂いを払うように手を振り回しながら、
「まさかこんなところで会うとはな。
俺はもう映画監督じゃない。ただのリベンジャーだ。
お前への恨みはない。今は『犬まゆげ』がただ憎い」
それを聞くと、ケンは崩れ落ちるように膝を落とした。
「なあ、ケン。犬まゆげは伊豆のどこかに居るはずなんだ。
俺たちは情報が欲しい。
もしも『まゆげ』の描かれたペットを見かけたら連絡をくれ」
藤原が内ポケットから出した携帯の番号を受け取ると、
ケンは大粒の涙を流して頷いた。
「ケン・・・名優に必要な条件を覚えているか・・・」
ブランコ嬢も泣いていた。ひろしも泣いていた。ケンも泣いていた。
「演技・華・匂い」
「そうだ!」
「演技・華・匂い!」「演技・華・匂い!」「演技・華・匂い!」
みんなの心が一つになった瞬間だった。
藤原はうつむくケンの横顔に不敵な笑みが浮かぶのを見逃さなかった。
――こいつは何か知っている。
しかし、いまここでケンを問い詰めたところで何も白状させることはできまいと藤原にはわかっていた。
「雨のにおいだ」
ケンの言葉にみんなが空を仰いだ。
いつのまにか空は黒い雨雲で覆い尽くされている。
「一雨来そうだな」
そう言ってひろしはタクシーの運転席側にまわりこむとポケットからキーを取り出した。
そのとき、猫が叫んだ。気の狂った赤ん坊のようにありったけの大音量で一声鳴いた。
猫は空をさも恐ろしげな目をして睨んでいる。全身の毛が逆立っていた。
「いったいどうしたっていうの」
ブランコ嬢は猫の頭を撫ぜた。しかし猫には彼女のことなどまるで眼中にないようで、ただ空のある一点にのみ集中していた。
「あれを見ろ」
空のある一点から二筋の緑の光が射した。
ケンは空を仰ぎ、口の中で呪文のようなものを唱えている。そしてその顔には不敵な笑み。
藤原は悪魔の微笑のようなその横顔に背筋が凍りつく思いがした。
――おれはとんでもなく変なことに首をつっこんでしまったんだ。
藤原はたまらない気持ちになって、その場から走り去ろうとした。
「いや、待ってくれ、藤原さん」
去ろうとする藤原をケンが呼び止めた。
「もうすぐ彼女が来ますよ。俺たちの考えが正しければ」
「・・・彼女って?」
足を止めた藤原の耳に、けたたましい急ブレーキの音が届いた。
ゆかり――ノドカは、公園にたむろった一団の中の一人を見て思わずブレーキを踏んだ。
「え・・・お、叔父さん!?」
振り向いた中年の男は確かにノドカの叔父、藤原だった。
「ゆかり!?」
藤原の驚きの声が辺りに響いた。しかしゆかりは苦りきった表情で横を向いた。
「アタシは今はゆかりじゃない。ノドカだ」
「何だって・・・?」
呆然とする藤原を余所に、ブランコ嬢はつかつかとゆかりに歩み寄った。
「ゆかりさん・・・でしょ?」
「ん? ・・・何かアンタ見たことあるような・・・」
雨雲の気配が近づいて、曇天の下での5人は微かに震えた。
ケンの配慮で、一同は近くの喫茶店に移動した。
175 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/17 18:23
喫茶店の中は暖かだった。
ブランコ嬢は「あゆみ」と名乗り、話し始めた。
「私は数ヶ月前から不思議な夢を見ていました。
そこでは私はネットアイドル志望少女で、
『まゆげキラー』の尻尾を掴もうと躍起になっていました」
「俺もなんだ」とケン。
「俺は武田になってた。でもそれは脚本を頭に叩き込んだからだと思ってた」
あゆみは話を引き取って続けた。
「私の考えが正しければ、これはパラレルワールド――並行世界が存在するってこと」
「パラレルワールド?」藤原はだんだん頭が痛くなってきた。
「そうです。二つの世界には互いにリンクしている人物がいる。
佐々木さんが殺されたニュースを聞きました。
犯人はおそらくもう一人の佐々木――「まゆげキラー」です」
さすがの素人探偵山本ひろしも驚きを隠せなかった。
「ということは、『犬まゆげ』はもう一人の佐々木・・・?」
「ええ。向こうの世界の佐々木は、こちらの世界の一般人佐々木を殺して
完全な存在になろうとし、その通り実行したのです」
この時になって、藤原は藤岡の正体を知った。
「ギコハニャーン」
一同はその奇妙な鳴き声に一瞬恐怖した。いや、ノドカは別だった。
「この猫、まゆげが描かれてた・・・可哀想だから拾ったの」
言いながらリュックを開けると、猫が飛び出してきた。
猫はひろしを見ると、ひげをぴんと立てた。
「お、お前はひろし!ゴルァ!」
今度は完全に一同が突然猫が喋りだしたのに驚愕した。
わけても山本ひろしの驚きようといったらなかった。
「俺だよ、マルロだよ!
ラドック提督の言ったとおり、俺にはいつの間にか手術が施されてた。
気付いたら猫になっていたんだ。逝ってよし!」
「マ・・・マルロ・・・だと・・・」
突然の再会に喜び合うマルロとひろし。
見守る藤原とケンを余所に、あゆみはゆかり――ノドカに耳打ちした。
「あなたが、『ノドカ』を捨てきって本当の自分になれば、
あの『ネバーエンディングストーリー』から
『武田とノドカ』が来てくれるかもしれない・・・ね」
つまり、犬まゆげ佐々木も『ネバーエンディングストーリー』を利用したのだ。
「行きましょう、ゆかりさん、いやノドカさん!」
ひろしと藤原、そしてギコ猫「マルロ」は喫茶店を出て行くところだった。
「え? あゆみさんたちは?」の問いに代わってケンが答える。
「俺たちは脚本家の明美を訪ねてみる。
こっちの世界の『ネバーエンディングストーリー』はきっと彼女が持っているから」
ノドカは頷いてひろしたちと喫茶店を出た。
その前にケンが手を振りながら「君の単車を貸してくれ」と言っていた。
藤原、山本ひろし、ギコ猫、ノドカの四人はタクシーに乗り込んだ。
3時間後、ふたりは世田谷の住宅地に来ていた。
ケンは単車を止めて、あゆみに降りるように言った。
目の前にはカナダの街並みにあるようなとてもかわいらしい大きな平屋があった。
地下室があるのかもしれない。
「ここが明美さんのうち?」
「ああ」
ピンクの屋根。真っ白に塗られた壁には蝶がいくつか描かれている。
庭は一面よく手入れのされた芝生に覆われ、木製のフェンスがまわりをぐるりと取り囲んでいた。
ケンが呼び鈴を鳴らした。
中から現れたのは目も覚めんばかりの美しい女だった。
一本一本がとても細く、くせのない長い黒髪は胸の下あたりまであり、彼女の動作のひとつひとつにしなやかに反応して揺れる。
白い肌に一際大きな黒目がちな瞳がとても印象的だった。
彼女はケンを一瞥し、長い睫毛を伏せて言った。
「何しに来たの?」
明美はケンを見て、いぶかしがっているのだった。
脳裏には克明にあのときのことが焼き付いている。
けれど、今日のケンはちがう。あの獣のようなケンじゃない。
しかも、女連れだ。
177 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/18 17:48
「事は緊急を要する。とりあえず中へ入れてくれ」
ケンの豪気に圧倒された明美は、あゆみの存在もあって渋々二人を家に入れた。
洒落た西洋風の内装。書棚には数々の書物が並んでいる。
『針医・堀田と賢者の石』
『七人のおたく』
『1はどこに行った?』
などを、あゆみは目にした。
「で、何の用なの?」と明美が微かに眉をひそめて尋ねる。
一息吐いて、ケンはおもむろに切り出した。
「お前の一番大切なものが欲しい・・・」
178 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/18 17:57
「わたしには大切なものなんてないわ」
明美は考えてみた。ケンの言っていることばの意味を。
「はっきり言ってちょうだい。あなたはわたしの何がほしいの?」
179 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/18 18:06
「わかっているだろ」ケンは苦りきった表情を呈した。
「しらばっくれるな。お前はそうやって話を先へ先へと伸ばすんだ」
「『狭き門より入れ』とか演説ぶってんじゃないわよ!」
突如、明美はキレた。
180 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/18 19:36
あゆみは必死に明美をなだめた。
半時間ほどたって、ようやく明美は落ちつきを取り戻した。
ケンは、そんなふたりを横目にしながら、部屋の中を物色していた。
――きっとなにかあるはずだ。
本棚に「ネバーエンディングストリー」があった。そして、棚の上には砂時計。
ケンは何気に砂時計を手にしてみた。
「触らないで!」
明美が血相を変えてケンの手から砂時計を奪い返した。
「その砂時計に何か仕掛けがあるのね、明美さん」
あゆみの言葉に明美は何も答えない。
あゆみはケンに向かって言った。
「あの砂時計がこっちの世界ともうひとつの世界を繋ぐはずだわ」
181 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/19 04:22
「これではっきりしたな・・・」
ケンの相手を逃さない視線が明美を捕えていた。
「俺がココリコの田中なら、お前は島崎和歌子と言うわけだ」
明美はさめざめと泣き出した。
182 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/19 06:37
泣き崩れる明美を放っておいて、ケンは部屋の中を調べた。
危険そうな砂時計を慎重に机の上に置く。
『ネバーエンディングストーリー』が先決だな。本棚を開ける。
「こ、こいつは・・・」
そこにあったのはケンの求めるものではなかった。
『ネバーエンディングストリー』。
「・・・パチモンかよ!」ケンは明美を睨みつけた。
#メール欄みてね
「しかし、まだパチモンと決め付つけるには早計かも知れない。もしかしたら・・・」
ふとケンはあることを思いついた。
この『ネバーエンディングストリー』のカバーはもしかしたらフェイクなのでは?
このカバーを取っ払った中身こそが、そう、あの『ネバーエンディングストーリー』なんじゃあないのか?
そう思いついたケンが不敵な笑みを浮かべて明美の顔をのぞくと、
明美はバレてしまった!とでもいいたげに瞳を反らし、泣きながら床に突っ伏してしまった。
そんな明美を見てケンは、
「フッ・・・俺だってお前と熱く身体を重ねた仲さ・・・(レイプだったけど。)
お前のことはなんだって知ってるつもりだぜ?」
明美に優しく語り掛けるケンは確かにあの頃のケンとは違った。
昔は野獣だったが今は紳士なケンがそこにいた。
早速ケンは『ネバーエンディングストリー』のカバーを外し、
中身の表紙にゆっくりと目を通した。するとそこには大きな文字で
『ケミストリー』と書かれていた。
「・・・は?アサヤン出身??」
頭に来たケンはとりあえず明美を往復ビンタした。
「紛らわしいわ!ボケ!」
ケンは明美の胸ぐらを掴むと大技、地獄車を決めた。
ドスンと鈍い音がして、部屋全体が大きく揺れた。
その動きにつられてか、机の上に置いてあった砂時計がカタカタと振り子のように
揺れたかとおもうとそのまま机から落下してしまったのだ。
「しまった!!」
ケンがキャッチしようと手を伸ばしたが時既に遅し。
逆さまに着地した砂時計は、そのままゆっくりと時を刻み始めた・・・
185 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/19 20:20
どれくらい眠っていたのだろう。光が眩しい。
「あ、目覚めたみたい」
少女の声に続いて、誰かが近付いて来る気配を感じた。
「ここは・・・?」
からからの喉から出たケンの問いはどうやら相手に通じたらしかった。
ぼんやりとした視界が次第にはっきりしてくると、
ケンは狭いベッドに寝ていて、
両脇に白衣を着た女性と学生服の少女がいることがわかった。
「あなた、理科室で倒れてたのよ。ノドカさんがあなたを見つけて、ここへ」
ノドカというのが傍らの少女だと気付いたが、公園で会ったゆかりではなかった。
「軽い貧血みたいね」
保険室の先生と思われる女が言った。ケンは軽く首を振った。
「・・・ラベンダーの匂いが・・・」
「ラベンダー?」傍らの二人は顔を見合わせた。
「とにかく」女が小さなため息を吐いた。
「あなたが誰だか知らないけど学校が閉まるから出て行ってね」
「・・・ええ。わかりました」ケンは軽く頷いた。
「大丈夫?」とノドカ。答える代わりにケンは質問した。
「そこに砂時計はなかったか・・・?」
答えは簡素だった。
「理科室には何もなかったけど」
186 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/19 22:24
そしてモナがこういった・・・あぼ〜んしました
187 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/19 22:53
「? 何か言った?」
ケンは訝しげにノドカに問い掛けた。
「え・・・?だから理科室にはなにもなかったって言ったんだけど?」
「ああ、そうだったな。ごめんな。まだ意識がはっきりしてなくて・・・」
ケンには確かに何かが聞こえた。しかし、半ば強引にそれをねじふせた。
ここは紛れもなく「学校」だった。混乱した頭でようやく分かるのは
そのくらいのことだった。しかし、何故?
明美の部屋で謎を解こうとしていた。そして、つい怒りに任せて明美を
投げ飛ばしてしまった。その時、砂時計が逆さまに落ちて・・・。
そこまでは思い出すのだが、それ以降の記憶は全く抜け落ちていた。
いや、正確にはあるはずがないというべきかもしれない。
もし、これが「パラレルワールド」というヤツならば・・・。
ケンは駆け巡る推論で頭が一杯になるのを何とか押さえながら
ノドカに尋ねてみた。
「・・・た、武田はここに居るのか?」
「は?」ノドカの表情が歪む。それもそのはず。ノドカはケンのことなど知らないのだ。
「あなた、自分の名前も名乗らないの?」
焦るケン。「な、名前か・・・俺はケン。そう、ケン・ソゴルだ」
咄嗟に偽名を名乗るケンがそこにいた。
「ふーん、ケンさんね。じゃ、そこに座って」
命じられるままに、ケンはベッドから起き上がり、椅子に座った。
189 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/19 23:30
向かい合って座る二人。
おもむろにノドカが切り出す。
「・・・あなたのライフラインはあと2つ残っているわ」
「なに?」
「問題をもう一度言いましょうか?」
「おなが・・・お願いします」
「この中で、最もカウンターの回るサイトはどれ?
A:侍鬼 B:斬鉄軒 C:変人靴 D:☆★あゆみのほめぱげ★☆
」
「て・・・テレフォンを使わせてください」
「どうぞ」
ノドカはゆっくりと携帯をケンに渡した。
190 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/20 03:48
無意識に番号を入力していたケンだが、その手がふと止まった。
この番号は一体、誰につながるのだろうか・・・?
もしケンの推測が正しければ、ケンは「この世界」で誰の番号も知らないことになる。
誰も自分を知らない世界―― 人気俳優のはずの「板東ケン」を―― の重みがケンの
背筋に一瞬冷たいものを走らせた。
そんなケンの様子を黙って見ていたノドカが、口元に微笑をたたえてゆっくりと口を開く。
「掛けられるわけないわよね」
背筋の冷たいものは今や、はっきりとした悪寒に変わっていた。
「まさか・・・?」
191 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/20 04:36
ケンの手の中から声が聞こえた。携帯の小さな液晶画面が光っている。
無意識に押した数字が、どこかにつながったらしい。
「・・考えるな!常に動くこと、さすれば、すべての難を逃れる!・・」
ケンの顔に影が差した。ノドカが目の前にいた。
ノドカは手にナイフを構えていた。
ケンが何か言おうとした瞬間、ナイフはケンの胸に突き立てられた。
「・・・・・あ、あ」
痛くなかった。ケンはノドカの手をつかみ、ゆっくりナイフを引き抜いた。
血の一滴も出ない。薄い穴が見えたが、すぐに閉じた。
「あなたは、ここにはいないんだから。
いないんだから・・死ぬこともできないわけね」
ノドカはあくびをした。「それで・・問題にまだ答えてくれないの?」
192 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/20 20:28
ケンは怯えながら携帯の番号を確認した。
「どこに掛けたの?」とノドカ。
表示されていた番号は・・・110。
ケンは青ざめて叫んだ。
「通報しました」
193 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/20 20:40
その時、保健室のドアがガラッと開かれた。
「もうその辺にしておけよ、ノドカ」
入ってきたのは学生服の青年だった。
「これからが面白いんじゃないの、邪魔すんな武田!」
ノドカの言葉からして、この青年が武田らしい。ケンは彼らを見据えた。
「悪いね、板東ケンさん。こいつはあんたをからかってただけさ。
俺たちは『ネバーエンディングストーリー』であんたたちと共に冒険した。
だから大体のことはわかっているつもりだ。協力するよ」
武田の厚意によって、ケンは彼らと行動を共にすることにした。
194 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/21 16:22
「砂時計はどこにある?」
ケンが問うと武田はポケットに入れていた右手をケンのまえに差し出す。
「これだろ?」
それは、明美の部屋で見たのと同じ7色の砂が混ざった砂時計だった。
「底を見てみなよ」
ことり、と音がして、武田は砂時計を机のうえに置いた。
ケンは上から砂時計を見た。
油性マジックで『こっち』と書かれていた。
ケンは砂が流れないようにおそるおそる砂時計を傾けて、反対側の底を覗きこんだ。
油性マジックで『あっち』と書かれていた。
196 :
蒼鉛 ◆YtA3Gr1A :02/01/21 17:25
『あっち』と書かれている方を何気なく見ると、明美が見せてくれた
写真の人物−明美は、謎の人物と言ったが−が、こちらをのぞき見
ていた。あの写真は、バチマガの写真だったが、はたして彼は一体・・・。
197 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/21 21:44
と悩んでいても仕方ないので、
とりあえずケンはこの世界の佐々木――「まゆげキラー」についての情報を集めようと思った。
「ヤツはノドカの家の隣に住んでたんだ」説明しながら武田は歩き出した。後に従う二人。
「図書館から『ネバーエンディングストーリー』を借りたから、
今、本は僕の家にある。世界を行き来するにはもう一つ必要なアイテムがあるんだ。
その砂時計さ。佐々木の家にあったのを僕が見つけた」
「砂時計だけじゃダメなのか?」
「うん。仮に砂時計だけ発動させたとしても、もう一つの世界の砂時計付近に現れるだろうけど
あんたがそうだったように、気を失うとか何か弊害が出てくるようだ」
考え込むケン。次第に『ゼルダの伝説』の感覚を掴んできた。
「とにかくさ」武田が宣言した。「僕たちに残された選択肢は二つだ」
「何と何が残ってるって?」ノドカが不審そうに尋ねる。
「説明すると、通称『犬まゆげ』佐々木――「まゆげキラー」――は
図書館の『ネバーエンディングストーリー』に痕跡を残していた。
それには三つの筆跡があった。ということはヤツには仲間がいるに違いない」
「それで?」
「一つは佐々木の家に行ってヤツ自身の情報を探ること。
もう一つはヤツの仲間――謎の人物――を探ることだ」
198 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/24 03:30
乾いた車道をすべるタクシーのボディは赤く反射して、
海沿いのガードレールを後ろへ流していた。
滑らかにハンドルを回す山本ひろし。
藤原一行は伊豆の先端まで近づいていた。
助手席で藤原はふと眼を見開いた。
「なぁ、山本ひろし、俺は寝ていたんじゃないか・・・?」
「ええ」とひろしは頷いた。「三日くらい熟睡してましたよ」
ブラックな返答に藤原は苦笑を見せて、そろそろ沈む夕日に目をやった。
「おや、完全に沈むな・・・」
「ギコハニャーン」
「俺たちは犬まゆげを本当に探し当てられるのだろうか?」
憂鬱そうに窓を眺める藤原を、ノドカは一喝した。
「太陽は沈んでも、明日になればまた昇るのに!」
「そうですよ」ひろしが言葉を継いだ。
「僕たちは完全に沈んでしまったらもう終わりなんです。
沈みかけても、また昇ることが僕たちにはできる。
諦めないでください、藤原さん!」
199 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/25 18:14
というより藤岡に話を戻そう。
200 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/25 18:37
200げっと
201 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/25 19:48
と藤岡は叫んだ。
実は2002年の1月25日18:37分に「200げっと」と発言しないと藤岡は死ぬのである。
突然といっては突然なのだが、それが『藤岡流白魔術☆』なのである。
やり方としてはこうだ。
白い紙に五十音のひらがなと「はい」と「いいえ」という文字を書く、あと上方に鳥居のマークを忘れてはならない。
そして10円玉を用意する。神経を集中させたらその紙の上に10円玉を置き、軽く人差し指を添える。
「こっくりさんこっくりさん、おいでくださいましたら『はい』の方向に移動してくださいませ」
そう唱えるだけであら不思議。10円玉が勝手に『はい』の方向へ!?
どうしても動かない場合は自分で動かしてみるというのもひとつの手ですね。
その後は半狂乱になりながら包丁を振り回します。新○あたりでたてこもってみるのもいいと思います。
当然K察がきますが、落ちついて次のセリフを言ってみてください。
「・・・あうあ・・・こっくりさんが・・・こっくりさんが・・」
するとあら不思議。刑が軽減されていることに気づくはず!!「え〜!!ウソ〜逆転無罪☆!?」
そう・・・これが『藤岡流白魔術☆』なのです。(著書『藤岡流白魔術☆』より抜粋)
「多感な小中高生に、是非とも犯っていただきたいですよね。放火とか」(藤岡談)
とまあ、結局は自分の書いた本のPRの為に現れた藤岡なのだが
次回作となる『藤岡流白魔術2☆〜あの女と絶対犯れる白魔術〜』の執筆の為に
また押し入れにこもる藤岡であった。
203 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/26 02:04
だが、藤岡の耳にけたたましい喚声が届くのにそう時間はかからなかった。
「藤岡を出せ!」
藤岡が押入れから出て窓から外を窺うと、
十数人の黒頭巾たちが家の周囲を取り囲んでいるのが目に映った。
「藤岡を出せ!」「藤岡を出せ!」と連呼する黒頭巾集団。
「だ、誰だ、あんたたちは!?」
問う藤岡に答える黒頭巾其の壱。
「今から3時間後に何かが起こる!」
どうやら犯罪予告スレの1たちが結集したようだ。
「藤岡、とりあえずドンジャラを出せ!!」
黒頭巾の強固な姿勢に藤岡は為す術もなかった。
204 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/27 00:39
黒頭巾其の壱は渡辺トオルだった。
205 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/27 01:26
「ストーリーに無関係な一行レスに、『そんなことより』って
続けるのは禁じ手にしない?」
と、黒頭巾其の壱は言った。トオルのくせに。
206 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/27 01:50
妥協を問われた藤原は、態度を一変させた。
「何だよ、そんなことか。しかしな、黒頭巾ばっかで煽りが来ないじゃねーか」
確かに煽りは、いや、藤岡を取り囲む者たちは黒頭巾にしては少人数だった。
「大体生意気なんだよ、トオルのくせに」
藤原は鼻息荒く言い放った。ドンジャラ用意してたくせに。
207 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/28 07:26
渡辺トオルはメラゾーマを唱えた!
208 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/28 17:54
するとそこに7色の砂時計が現れた。
砂時計の底面には「こっち」、反対側には「あっち」と油性ペンで書かれている。
砂はいま、「こっち」の方に溜まっている。
藤岡は特に何の疑問も抱かず、砂時計をひっくり返した。
7色の砂が部屋の照明を反射しながら、きらきらと流れてゆく。
その様子を見ているうちに藤岡は気を失った。
「おい、藤岡。起きろよ」
朦朧とした意識の下で聞き覚えのある声がして、藤岡はゆっくりと瞼を持ち上げてみる。
そこには藤原とひろしがいた。
209 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/28 18:35
慌てて周囲を確認してみると、どうやら洞窟の中のようだった。
210 :
名無し物書き@推敲中?:02/01/28 21:06
はぐれメタルがあらわれた!
藤原はこのシチュエーションに見覚えがあった。
「そうだ!これはドラクエじゃないか!!」
昔、藤原が消防だった頃よくやったあの懐かしいゲームだ。
「フッ・・ならばここを抜け出すのは簡単かも知れないな」
そこにいたはぐれメタルを志村の顔マネで威嚇し、追っ払うと
藤原は大声で呪文を唱えた。「ルーラ!!」
するとどうだろう。フワリと藤原とひろしの体が宙に浮いた。
と思ったのもつかの間、「ゴン!」と鈍い音がして洞窟の天井に頭を強く打ってしまっただけであった。
「あ、そ、そうか・・・この場合は『リレミト』だった・・・」
よくこんなくだらないことで貴重なMPを消費していたなーなどと思い出しながら
藤原&ひろしはまた気を失った。
212 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/01 04:45
次元の食い違いで異世界に飛ばされた藤原・ひろし・藤岡。
1分遅れで渡辺トオルが洞窟内に転送された。
だが、藤原やケンにドッペルゲンガーとも言うべき異人格人間が存在するように
渡辺トオルにもそれは存在した。
しかし、ここはドラクエ。特異な人間がいる場所。
トオルの異人格はその脳内にあった。
つまり不活性の二重人格を備えていたのだ。
ドラクエ世界に降り立った今、彼はもうトオルではなかった。
――近藤マコト。
藤原パーティの中で唯一回復魔法が使えるキャラ・・・いや人物だった。
213 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/02 01:51
「ちょっとお前ら!起きてください」
マコトは藤原とひろしを蹴飛ばした。が、起きたのはひろしだけだった。
「誰ですか、あなたは?」戸惑うひろし。
「誰だろうと構わんだろ」
近藤マコトは主人格より横暴な性格だった。「ホラ、目ェさましてください!」
50回も蹴られただろうか。藤原は目を覚ました。
「誰だ、お前は」の問いに「うるせぇ、引っ込んでろ!」とマコト。
放置されがちな藤岡はただ傍観するばかりであった。
とにかく、そのマコトという男に無理矢理叩き起こされた藤原とひろし。
「おぉ?やっとお前ら起きやがったか!」
よく見るとマコトの手には一升瓶が握られていた。
明らかに酒に酔っているこの泥酔男。しかもまったくの全裸である。
パーティに、このままいてもらっても平気なのだろうか?マジで。・・・一抹の不安がよぎる。
「さ〜て、俺様に回復してもらいたい奴はいるか?」
マコトは手に持った一升瓶をドンと床に置くとその場にあぐらをかいた。
「じゃ・・・じゃあ、おながいします」
藤原とひろしは素直に従った。
何故なら先程彼に起こされたときに蹴られまくった為二人共血まみれだったからだ。
特に藤原の方は50回も蹴られたので重症というよりも危篤に近かった。
「あー、なんだお前ら、こんなに血まみれで・・・俺様がいなかったら大変なことになっていたな。」とのたまった。
”お前がいるからこんなことになってんだよ!!”と藤原とひろしは心の中でそうツッコんでおいた。
「さてさて、回復魔法でも唱えてやるとするか!」
マコトは面倒くさそうにやおら立ちあがり、両手を天にかざした。
「アナル!!」
するとどうだろう。突如金色の光に包まれた二人の傷がみるみる回復していくではないか!
「フ〜、全く・・・俺様がいなかったら大変なことになっていたな。」
なんとなく。そう、なんとなくだが藤原とひろしはマコトに礼を言うのをヤメた。・・・そんな気分であった。
215 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/05 19:59
マコトが悦に入っているところで、
「ところで藤岡はどうするんだよ」と藤原が呟いた。
幸か不幸か放置されがちな藤岡に目線が集まった。
(また俺かよ・・・ギコネコビデオと黒頭巾でもういっぱいいっぱいなんだよ!)
藤岡は視線をわざと逸らし、口笛を吹いた。
スライムベスがあらわれた!
「コイツ、遊び人だったのか!!!!」阿鼻叫喚する藤原とひろし。
すでにマコトは立ち上がり、一升瓶を片手に構えている。
(クッ・・・コイツに頼むのは気が引けるが・・・仕方ない)
「頼んだぜ!誰だか知らないが!」藤原の声援に応えるように、マコトが何やら取り出す。
マ ス タ ー ボ ー ル だ ! ! !
どこから取り出したのか、手のひらサイズのボールを取り出し、投げた!
ボールは見事命中。「ゲットだぜ!!!」
藤岡はゲットされた。
216 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/08 00:41
その頃、残されたギコネコとノドカは、ひろしのノートパソコンを起動させていた。
「犬まゆげがいるっていう板はここね」
ノドカはそこで重大な思い違いをしていたのだが、それには全く気づかなかった。
冬も空がそぞろ。
降り出した雪から逃げるようにしてタクシーに乗り込む一人と一匹。
ようやくディスプレイに映し出されたタイトルロゴは
【 創 作 文 芸 板 】
「さて、どこに犬まゆげがいるんだろう・・・」
ノドカは手当たりしだいにスレッドを覗いてみた。が、際立った書き込みはない。
「どうして・・・? 何か誰もいないような・・・」
無人の板。まさか。そんなものがあるはずがない。
F5キーを押す。ディスプレイが白一色に染まり、更新された。
だが、スレッドは1つとして動かない。
【 有 名 小 説 パ ロ デ ィ リ レ ー 】
「これに参加してるかも・・・?」外れた。無人である。
【 オ ン ラ イ ン 板 】
「これに参加してるかも・・・?」外れた。無人である。
再びF5で更新。動かない。五里霧中である。
「まさか・・・これが裏2ちゃんねる・・・?」
ノドカは戦慄した。しかし気を取り直す。いないのならおびき寄せればいいのだ。
新規スレッドを立てよう、そう彼女は決意した。
犬まゆげを釣るため、食いつきのいい名前にしなければならない。
ふと、雪がやんだ。それは奇妙なことだった。
瞬間、ノドカの脳に1つの文字列が浮かび上がったのだ。
【「書いてる=作家志望」とは限らない♪】
早速ノドカは新スレを立てた。
「2chデビューしたてで『ひよってた』ノドカ」にとって
それは緊張の一瞬であった。
【「書いてる=作家志望」とは限らない♪】
我ながらノドカはいいスレタイトルだな♪と思った。
確かに、【■ おまえら、無理矢理続きを書いて下さい】より全然いい。
1もそう思う。今だから明かすが「■」と「お」の真ん中にあるムダな”スペース”は必要なかった。
というか実は1はこうしたかった。
【■ おまえら、無理矢理続きを書いて下さい ■】・・・と。
・・・失敗だった。なんであのとき気づかずに送信ボタン押してしまったのか。
1の完全敗北を認めずにはおられない、そんな瞬間の出来事であった。
と、まあ話しを元に戻すが、とにかくノドカは新スレを立てた。
そして想いのたけをぶちまけた。
「アタシは、なんたらかんたらでどうたらこうたら〜・・・」
とにかく驚いたことにノドカの文字数は半端じゃなかった。
1もノドカの発言だけを目で追っていたのだが途中で断念した。いや。せざるおえなかった。
その【「書いてる=作家志望」とは限らない♪】スレの中で
『新スレたてるの、ひよってたの(w 叩きとか多そうだし(w』とか言ってる割りには
『「ただ単に文句言いたいがため」の批判なら、NO THANK YOUです。』と
ちょっと気取って「英語(しかも大文字)」を使ってみたり、(別にいいのだが)
その胸の中の想いを一生懸命長文で訴えてみたにもかかわらず、
9 :名無し物書き@推敲中? :01/12/29 14:32
ふーん…
で?
と言われる始末。
ひよっているノドカはちょっと泣きそうになったりもしたが
とりあえずそのスレで頑張っていこうと決めた。
219 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/09 04:33
ノドカは、
しかしまぁ1とあと一人くらいしか駐在していないスレよりマシだろう
と開き直った。
犬まゆげを釣ることが目標なのだが、どうも
アヒャ! と フーン しか釣ることが出来ない。
「一体何なの? この板は!?」
雑談スレでそれとなく訊いてみたものの、返答はこんなものだった。
75 :名無し物書き@推敲中? :01/12/30 22:22
俺、電波板から来たからよくワカラン
もうダメだ・・・ノドカはため息を吐いた。
それとなく、あるリレー小説スレッドを覗いてみると
そこの1がかなりノドカを気にしていた。
だが、そのスレではノドカをかなり好人物に仕立て上げていたはずである。
思い出すと、ノドカはパラレルワールドのもう一人のノドカに思いを馳せた。
それはともかく犬まゆげは釣れず住人も少ないので
ノドカは立てたスレッドを一時的に(?)放置することに決めた。
「ネットじゃダメだ。行動あるのみ!」決意したノドカだった。
運転席のシートに移り、キイを回す。
無免許運転。
だが今はそれどころではない。
アーケード板で神と言われたドライブテクニックを解禁する時が来たのだ。
ハンドルを握るノドカの手が震えた。
「疾風」と書いて”かぜ”のごとく車を飛ばすノドカ。
途中、市場でピラミッドのように山積みされた缶やリンゴなどに突っ込み
派手に散らばせると、店の奥から「アイヤー!ナニスルアルカー!」などと言いながら
店主(ラーメンマンぽい人)がカンカンになって出てきていた。
ノドカはそんな店主をミラー越しに一瞥すると
「・・・なんか、ジャッキーチェンの映画みたいね」とポツリとつぶやいた。
”みたいね”とは言ってみたものの、先程の山積みされた缶に「突っ込んだシーン」は
お茶の間で3回は流れた。しかもスローモーションで流れた。
ノドカは自分がそんなトゥルーマン・ショー的な事になっているとは露知らず、
のんきに「香港警察」のテーマをアカペラで歌ってのけた。
とりあえず通行人をひき殺すと2千点だった。特に砂かけババアは高得点だった。
たまにしかでてこないがUFOを迎撃すると1万点あるらしい。
とにかくノドカはカンストを目指した。
『カウンターストップ』それは永遠のテーマといっても過言ではなかった。
「私ももう若くはないのかも知れないな。・・・”名古屋撃ち”とか知ってる時点で。」
そんな想いが、無免で爆走する「珍走団ノドカ」の胸中に去来していた。
――その時だった。
『これより先、犬まゆげ』
それは今までみたこともない標識だった。
正直、ひよった。
「なんなの!・・・これは一体?!」
もうノドカはひよるしかなかった。
ひよらずにはおられなかった。
しかしこの先に「犬まゆげはいる!」そう確信したノドカはひよる心を押さえ
ただ突き進むのであった。
それが本当の恐怖の始まりとは知らずに・・・
「よし、カンスト達成ー!」
香港系ノドカがひよっているのも露知らず、武田はゲーセンで小躍りしていた。
すっかり影の薄くなった板東ケンはまだ悩んでいたのだった。
もともと『夢オチ』の嫌いなケンだが、
彼自身が夢オチのような登場をしたこともあって、それがトラウマになっていた。
『 畜生、世間が真面目すぎるんだ・・・ 』
新人の頃、幾度となく呟いたセリフ。
今になってなぜよみがえってくるのだろう。ケンは自暴自棄になっていた。
「僕、21世紀の高橋名人になれるかも」浮かれる武田を余所に、ケンは悩み続けた。
「ケンさん、早くしてよ。アタシはゲーセン興味ないし」
急かすネットアイドル系ノドカを煙たがるようにケンは手を横に振った。
「おまえら、無理矢理続きを進めたがり過ぎなんだよ!俺にも考えさせてくれ」
「バカじゃないの」応戦するノドカ。
「あなた今の段階で物凄く自由なのよ。
あたしのゆかりなんかいつもまゆげ描かれて辛い思いしてるんだから」
「それはお前の猫だろ!俺は人間なんだよ!」
「フーン、その割には想像力に乏しいのね」
何だと、とケンは憤慨した。ノドカは冷たく言い放った。
「あなた昔は『俺には才能がある』とか言ってたみたいだけど、
口でなら誰でも言えるのよね。悔しかったら、現在の状況を打破してみせなさいよ!」
その言葉の刃から逃れるように視線を逸らすと、そこに武田が立ちはだかっていた。
「ケンさん。もう後には引けないよ。犬まゆげの住んでた家に行ってみるしかないよね」
航路は武田の口からもたらされた。少しだけ肩を落とす元俳優の男。
・・・今度はあんたが活躍すればいいさ。
囁くような声で武田に励まされ、己の情けなさに思わず顔を背けたケンだった。
俺は本当に情けない男だ・・・
ケンは心の中でその言葉を何度も何度も連呼していた。
1だってそうだ。
このスレ、誰も続きを書いてくれない。
煽りどころか荒しさえもこない。
というか誰にも相手にされちゃあいない。
1と善意ある”一人”で構築されている。
なんとなく週一連載連続小説[ルナ・バースト] の方が面白いような気がしてきたから不思議だ。
俺は本当に情けない男だ・・・
「なんだ!1に比べたら俺全然情けなくなんかないじゃん!」
一気にトラウマから開放されたケンは「演技、華、匂い」
お決まりのセリフを大声で叫ぶと空を飛びながら犬まゆげの家に直行した。
「ここが犬まゆげの家か・・。」
そこはなんの変哲もない普通のアパートだった。
204号室――
「ここか。」
高鳴る胸を押さえ、静かに、そしてゆっくりとその扉の横にあるチャイムを押した。
225 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/13 00:26
ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ
226 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/13 02:55
―― 閑話休題――
「相変わらずグチってやがるな」
男はデスクトップの脇のテーブルの上に置かれたカップを左手で軽くつまむと
皮肉めいた微笑を浮かべる口元に近づけた。
中はなみなみと湛えられたブラックコーヒー。男の好物だ。
男は何度かこのスレに書き込みをしたことがあった。
―― 「登場人物紹介」。あの書き込みは男の手によるものだった。
そして、作中の「藤原」の生みの親。それもこの男だった。
実は男はこのスレがお気に入りであった。
しかし、ストーリーのあまりの飛躍に考えていた展開を白紙にされる
ということがあまりに多いため、最近では傍観者に徹していたのだ。
しかし、このスレの1があまりにグチをこぼすため、いたたまれなくなって
姿を現してしまったのである。
「1の書き込みは面白くはある。しかし、自らストーリーの腰を折るのが環に傷だな」
男は誰に聞かせるでもなく、独り呟いた。
「さて、これからこのスレも盛り上がっていくのか。それとも・・・」
目を閉じながら男はデスクトップの電源を落とした。
227 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/13 04:52
―― 閑話休題其の弐――
914という男が電源を落としてから約2時間後、ネットの向こう側に
探偵小説『オランダ靴の謎』を片手にPCを起動させる青年の姿があった。
彼は思いがけない書き込みに新鮮さを覚え、表題の通り、続きを書き始めた。
彼――この平凡な【名無し】もこのスレッドがお気に入りであった。
電波板から来たにも拘らず、この独特の雰囲気にはまだ味わったことのない魅力があった。
煽りならばいざ知らず、突如として物語がSFに変化した直後にはある衝動が込み上げた。
「このパラドックスにオチをつけてやる――」
かくして冒頭で『まゆげキラー』を生み出した【名無し】はこの作業に没頭した。
夢オチ、増殖する登場人物、誤植による新たな人物――話題は尽きない。
「俺も構想が白紙に戻されることは多々ある・・・。しかしだ。
この一気に崩壊させられた世界を練り上げて新しく再生させることが
ここのテーマなんじゃないだろうか・・・」
彼は三谷幸喜『ラヂオの時間』を観てそういう観念を抱いていた。
228 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/13 04:53
テスト
229 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/13 04:59
いこうか?
間近の武田はこのチャイムの音に敏感に反応した。
「これからが本番か・・・」
返答がないのを確認し、ドアノブをゆっくり回してみると
鍵のかかっていないドアは簡単に開いた。
だがそれは逆に不気味でさえあった。
機先を制して足を踏み出そうとする武田の前にケンは立ちはだかって、
そのまま自分のからだをドアの隙間に滑り込ませた。
231 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/13 05:02
aa
233 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/13 16:38
ケンは目を疑った。そして、下品な言葉使いでそう答えた自分を恥じた。
人の気配も微塵に感じられなかったドア越しに、訝しそうな表情の美女が
立っていたからだ。その美女はもう一度同じ質問を繰り返した。
「何を見ているの?」
ケンはもう答えられなくなっていた。
生来ケンは女性に不自由したことなどなかった。
卓越した演技力。端正な容姿。そして、人を惹きつける魅力。
そう、「演技・華・匂い」の三要素を生まれながらに備えていたのだ。
だから、ケンにとって女性とは放っておいても近寄ってくる存在でしか
なかったし、下半身に飢えを覚えれば、それを満たしてくれる「モノ」で
しかまかった。
そのケンがまるで男子中学生のように、顔を紅潮させながら挙動不審に
陥っているのである。それは、ケン自身もはじめて経験する感情だった。
234 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/15 19:38
これが恋というものかしら?とケンは上気した頬を隠そうとしながら女に目をやった。
犬まゆげの自宅に何故か留守番をしている美女。謎が謎を呼ぶ。
そういうミステリアスな女性に弱い性質があったのかもしれない。
ケンはもう彼女から視線を逸らすことができなかった。
―― 閑話休題其の参――
ってゆーか、CM!いったんCM入ります!
ある男がいた。名前を『1』と言った。
1は、深夜仕事から帰ってくるといそいそとPCを立ち上げ、
文芸板に立てたスレ「おまえら」を覗くことを楽しみとしていた。
ところが最近は、1の書き込みが最後となっていることが多々あり、
「オレは一体トラックを何周走ればいいんだ。なぜオレのバトンを誰も受け取ってはくれない・・・。」
そうぼやく日も多かった。
確かに
>>226の言うように1がストーリーの腰を折っているのかも知れない。
しかし本来リレー小説といった類のものは誰かしらから受け取ったバトンを、また次の走者へと預け渡す。
例えそのバトンが意味不明の形をしていたとしても・・・。
受け取った側はそこからまた、新たにストーリーを作り上げるもよし、または元の状態に戻すのもよし。
そこにリレー小説の醍醐味があると思う。それは
>>227の意見と同じである。
「オレだったらこうしたが、この人はこう切り返すのか。」と、勉強になることも多い。
でも
>>226のように注意を促してくれる人がいるということは自分にとって大変ありがたいことである。
「そうか・・・オレのバトンの渡し方が悪かったのか(w」と。
みんなのせいではない。オレが悪いのだ。(反省)
天然に、そしてナチュラルに話の腰をバキバキと折りまくるオレからだが、ひとつ頼みがある。
【■ おまえら、無理矢理続きを書いて下さい】・・・と。
はい。CMあけです。あけました。
てゆーかね、アンタ。CMあけからいきなり放送事故ですよ。放送事故。
228 :名無し物書き@推敲中? :02/02/13 04:53
テスト
・・・ほらね?なんスか?これ。
なんのテストしてるんですか?あんたは。
>231と>232はちょっとした突発ゲリラです。
こういうのをね「キラーパス」って言うんです。
ですがね、
>>230と
>>233は頑張ったよ。エライよ。ホント。乾杯だよ。抱かれてもいいよ。
「煽り、荒しは一切無視」というスタンスはこのスレではとっていない。
あんたらの文章力と気転にはホント頭が下がりますですよ。
というわけで気を取りなおして
>>234の続き。
それから、二時間程が経過した。
2人ともいまだ視線を合わせたままである。
「正直俺、ホの字かも。」
あえて口には出さなかったが、ケンはそう思っていた。
もしかしたらこれがケンにとって、生まれて初めての『初恋の相手』になるのかも知れない。
確かに、ケンは俳優になる前からモテていた。いつもSEXする相手に不自由することはなかった。
いつしかケンは女性を「性のはけ口の対象」として利用するようになっていた。
それを裏づけるには、こんなエピソードがある。
昔、それほど好きではないがつきあっていた女性と待ち合わせをしていたときに、
「ごめんね〜!待った?」という彼女の問いに対し、ケンが
「いや〜今来たとこだよ。肉便所♪」と、うっかり名前ではなくNGワードを言ってしまったことがあった。
それくらいケンにとって、「女」とはそれぐらいの「モノ」でしかなかったのである。
それが、今、目前の女神に対しておどおどとして何も言えない形無しな自分がいる。
先ほど彼女の「何をみているの?」という問いに対して
「へへへっ、いいモノ!」などと、スケベったらしく勃起しながら”乱交-07.JPG”を見ていた自分をひどく恥じた。
そんなケンを察してか知らずか、彼女の方から口を開いてきた。
238 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/17 06:37
「君は小宇宙を感じるか?」
ん?
ナンダッテ?
いや、落ち着け、俺。板東ケンは男で御座る。こんなことでひるんではならない。
武田の前ということもあって、ケンは必死に頭脳回路を働かせた。
美女イコール小宇宙は絶対に当てはまらない。
ということはこれは何かの暗号・・・もしくは合言葉?
「そうか!」 と口の中で呟いた。
つまり彼女にとって未知なる人物(ケン)が現れたのだ。素性を尋ねるのは当然である。
しかしここは犬まゆげの住居だったはず。
とあれば、その仲間内での合言葉は成立するし、必要でもある。
この局面でケンが合言葉を見事言い当てることができれば、きっと中に入れてもらえるに違いない。
ケンは意を決して、咄嗟に思い浮かんだ言葉を返した。
239 :
名無し物書き@推察中?:02/02/22 20:34
「ダダイスト鏑木」
240 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/24 21:50
静寂がケンたちの周りを包み込んだ。
そして数秒後、それは圧倒的な重圧をもって場に閉塞的な均衡をもたらした。
誰もが一言も言葉を発することが出来ない。否、正確にはそれを憚っているようだった。
口を動かすことを暗黙のうちに禁じられた風の一行は、自然に目を動かし始めた。
三人の視線がこの言葉を発したケンに集中する。
それは非難にも似た重圧を伴っていた。
241 :
名無し物書き@推察中?:02/02/25 00:06
だが時として緊張は決意を促すものだ。
ケンの口から洩れ出る吐息は、わずかながら冷静さを帯びてきているように思われた。
「・・・ダダ・・・ダダイスト鏑木・・・」
搾り出すようにしてようやく出てきた声は、ケンの声帯を異常に震わせた。
武田とノドカの非難の念は注目に変わり、その矛先は目の前の美女に向けられた。
「・・・どうぞ」 と確かに女は答えたのだ。「お入りなさい」
242 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/26 12:55
だが女は突然服を脱ぎ始め
243 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/26 15:07
ケンは自らの目を疑った。
女の透けるような白くて滑らかな肌が露出してゆくにつれ混乱が渦巻く。
厚い胸板、割れた腹、威風堂々たる男根。
ケンは悟った。犬まゆげ現れたり。
244 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/26 17:22
犬まゆげとはそもそも何なのであろうか。
ケンにはその疑問が頭に浮かんだ。
245 :
名無し物書き@推察中?:02/02/26 22:44
ケンは健忘症だったので、犬まゆげの人となりをすっかり忘れていた。
246 :
◆eQv2Uyew :02/02/26 23:33
確か・・・犬まゆげとは・・・
記憶の奥底にある、ほんの少しの記憶の欠片。
拾い集めようとするたびに激痛が襲う。
247 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/27 18:28
最近はまっているコカインのせいか。
そこにチラシが降ってきた。
それには『宇宙開拓者大募集』と載っている。
そして赤線で、かわいい子が沢山参加するよって書いてある
長い沈黙を打ち破ったのは犬まゆげだった。
「実は頼みたいことがあるんじゃが」
女の美しい顔にそぐわぬ言葉遣いにケンは困惑する。
美しい女には美しい言葉を使ってほしいものだ。
眉をしかめたケンに気づき、犬まゆげは言いなおす。
「その、実は・・・お願いしたいことがあるのですが・・・」
ケンははっとした。犬まゆげは人の心を読めるのか!?
250 :
名無し物書き@推察中?:02/03/02 02:09
「アンタ、ウチのひろしに『まゆげ』描いといて頼み事ってムシがいいんじゃない?」
突然ノドカが口を開いた。困惑する犬まゆげ。
「ひろし・・・?」
ノドカは静かに詰め寄った。「あなた、ウチの犬に『まゆげ』描いたでしょう?」
「ええ」
「フフフ・・・死ねッ」
素早いノドカの右ストレートが炸裂した。
閃光を帯びたノドカの右ストレートは犬まゆげの左頬にヒットした。
鈍い音がして犬まゆげは後方にひっくり返った。
鼻骨骨折をした犬まゆげ。鼻血がとめどなく噴出していた。
しかし瞬時に体勢を整え、血を親指で拭いさりながら犬まゆげはこう言い放った。
「お前の右ストレートを受けて倒れなかったのはオレが初めてだぜ。」・・・と。
ケンは悩んだ。
この犬まゆげのマサルさん的ギャグにツッコむべきか、ツッコまざるべきか。
意を決したケンは・・・
「でも、星をみたぜ。漫画の話じゃなかったんだ。うれぴーーーーーー」
253 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/06 00:11
と、言うことはドラえもんは実はリアルな話だったらしい。
254 :
名無し物書き@推敲中? :02/03/06 01:35
そうしてぼくの手許には、擦り切れてもう字の読めなくなったピンクチラシだけが残された。
朝が来たらぼくは、旅立つだろう。
その前に、どうしても君に伝えておきたいことがある。
255 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/06 14:10
トイレに入ったら、手を洗え、と。
目の前のエベレストが朝日を受けてオレンジの稜線を描き始めていた。
汗に塗れたくしゃくしゃのピンクチラシを占い師リャードフの教え通り丸めて口の中へ突っ込んだ。
256 :
名無し物書き@推察中?:02/03/06 19:42
「とりあえず中を調べましょう」
武田に促され、ケンとノドカはドアの内側へ足を踏み入れた。
257 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/06 21:46
犬まゆげを無視して、大胆にも住居侵入を敢行する三人。
不意に後ろでドアがロックされるような音がした。
外界から完全に遮断された空間は、日の光も一切通さず
迫り寄る暗闇に、ノドカは軽い目眩に似たものを覚えた。
それは自身に迫る危険を本能的に感じ取ったからなのかもしれない。
ドアをロックしたのは、武田だった。
258 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/06 22:03
そして武田はロックを解除した。
259 :
名無し物書き@推察中?:02/03/06 22:21
「いい鍵を使ってますね」
犬まゆげのセキリュティに感心した武田は、窓の錠も調べた。
残り二人は先へ進んだ。
260 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/07 18:10
「バカどもが。どうしてオレが『砂時計』を犬まゆげが持ってることを知ってるのか
疑問にすら思わないのか?」
聞き覚えのある声。しかし、その声は恐ろしく威圧的だった。
声の主は他ならぬ武田ではあったものの、この男のこんな話し方を聞いたのは
ノドカにとっても初めての事だった。
眼前で冷笑を浮かべるその男は、幼馴染の武田と同一人物だとは思えないほどに
冷たい眼をしていた・・・。
261 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/07 18:25
いつもは勝気なノドカの顔に、ありありと焦燥の色が浮かぶのを確認すると
武田の冷笑は、心持ち喜悦の表情に変わった。
「ようやく事態が飲みこめたようだな」
ノドカの右ストレートでグロッキー気味だったはずの犬まゆげも、いつのまにか
ノドカの背後に回り、同じく歪んだ笑みをこぼしている。
「なに急に強気な発言しちゃってんの?私にこんな口聞いて、ただで済むと
でも思ってんの?今なら謝れば許してあげなくもないわよ」
いつもの調子で武田の態度の豹変振りを詰るノドカだったが、わずかに声が震えていた。
そして武田はその場で窒息死した。
263 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/07 18:44
振りをした。
264 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/07 19:04
後ろに手をやったノドカは次の瞬間に刃の細長い刀を右手に持っていた。
次の瞬間彼女は刀を自分の側頭部に突き刺した。
武田と犬まゆげは「あっ」と声をあげた。
刀は右耳を貫通して右耳から出てきたのだった。
「手品かよ!」
265 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/07 19:05
×刀は右耳を貫通して右耳から出てきたのだった。
○刀は右耳を貫通して左耳から出てきたのだった。
266 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/07 19:51
「ん?」一瞬錯覚に陥ったが、刀は無事、左耳から出て来た。
そして武田は
268 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/07 20:52
それはないか、、、
269 :
名無し物書き@推察中?:02/03/07 21:17
と外科手術に向かう人々に注意した思い出を語った。
270 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/07 22:29
「よし、じゃあ俺が若いときに冒険した時の話を話してやろう」
「まあ、面白そう!ぜひ聞かせて下さるかしら?」
ホンダラは自分の自慢話(と言っても全部でたらめですが)をリーサ姫に得意げに話しました。
彼をからかうつもりだったリーサ姫は、いつの間にかホンダラの話に夢中になりました。
外の世界を知らないリーサ姫に取ってホンダラの話はとても興味深いものです。
そして、数時間後。
「…それでな、俺は世界に眠るオーブを集め不死鳥を蘇らせたのさ。
と、今日はこれぐらいにしておこう。また明日続きを聞かせてやるよ」
「とっても面白いお話でしたわ!続きが楽しみです!」
リーサ姫の満面の笑顔を見てホンダラは少し嬉しくなりました。
「ああ、姫さんがよければいつでも話してやるぜ!」
その日以来、リーサ姫はホンダラの話を聞くのが日課になりました。
唯一の王位継承者を狙っていたホンダラですが、その目的はどうでも
よくなってきたのです。
そして一ヶ月後、
いつものようにリーサ姫に自慢話を聞かせてるホンダラさん。
「…それでな、俺は天空の剣を手に取り地獄の帝王と戦ったんだ!
それは、長い戦いだった。しかし、俺は………ん、なんだ!?」
「ワァァァーーー!」
その時、グランエスタード城に歓喜の声が上がりました。
「何か…あったのでしょうか?」
リーサ姫は立ち上がり、城門の方に向かいました。
「おい、まだ話は終わってないぞ!……って行っちまったか」
やれやれと、ホンダラはリーサ姫の後を追いました。
そして城門についたホンダラは、意外な人物がいることに気づきました。
「あれは、キーファ王子……なのか?この城に戻ってきたのか?」
城門にいたグランエスタード王とリーサ姫が泣いてます。
もう二度と会えないと思っていた王子と再開できたのがよほど嬉しかったのでしょう。
しかし、ホンダラはキーファ王子に違和感を感じてました。
武田は童話「ホンダラの憂鬱」を読み上げた。
そしてタバコに火をつけ、ボロボロの北欧家具に腰掛けて静かに口を開いた。
「おれはMr.マルガリミスッタと協定を結びに行くため、実はあと30分後のロス行きの便で発つ」
マルガリという名前を聞いて、ケンの表情は一瞬にして硬直した。
ノドカはそんなケンの様子を見て言った。
「知ってるの?」
ケンはうんと肯いた。
「マルガリという男は・・・」
とそのとき、一瞬のスキを見て武田は部屋から抜け出した。
「ヤバイ!あいつをマルガリに会わせてはいけない!」
ケンはすぐに武田の後を追った。ノドカはわけがわからなかったが、とりあえずケン
についていくことにした。
武田は大通りに出て、タクシーをつかまえた。ケンとノドカは数分遅れてタクシー
をつかまえた。
「お客さんどちらまで行かれます」
二人は迷った。武田は成田空港か羽田空港どっちへ行くのだろう。ノドカは、成田
の方が近いからという理由で、成田空港までお願いします、と言った。
「成田までは何分ぐらいかかりますか」
運転手は、大体30分程度で着きますかね、と答えた。
「え、30分?・・・あいつ間に合うのか?」
武田は焦っていた。
272 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/08 11:47
焦りついでに尿意を感じ始めた。
「ちっ、こんなときに!」
274 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/08 14:44
「トイレはどこだ!」
275 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/08 14:51
「申し訳ございません、トイレは有料となっております」
276 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/08 18:08
「カンケーネーヨ」
武田はそのままタクシーの中で放尿を始めた。
「ちょっ・・・!お客さん、何してるんですか!?」
運転手は当然、武田の『行為』に非難を加えたが、
武田は逆に運転手の方を一喝した。
「人の弱みにつけこんで汚い商売してるからだろうが!ボケが!!」
運転手は無言の抗議―― 走行拒否―― を敢行した為、
武田はとうとうロス行きの便に乗り遅れることになった。
その頃、ケンとノドカは既に飛行機に乗ってロスを目指していた。
278 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/08 19:01
「最近差し歯がすぐ取れてね、入れ歯にしようと思うんだけど、どうかねケンさん」
279 :
名無し物書き@推察中?:02/03/08 23:22
飛行機の中でよく出会う、おりん婆さんが話し掛けてくるのを、適度にかわして
ケンはマルガリのことを考えていた。
「そうか・・・犬まゆげの後ろには奴がついていたのか・・・」
次第に明らかになってくる事件の真相。
犬まゆげ宅に戻る武田を尻目に、ケンたちの飛行機は一路ロスに向かって飛ぶ。
それは彼らにとって重要な交差であった。
280 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/09 01:26
そしてロスに着くと、犬まゆげとはぐれてしまった。
281 :
名無し物書き@推察中?:02/03/09 01:45
「あれ? 犬まゆげは飛行機に乗っていたんだっけ?」
ケンは時々白昼夢を見る癖があった。
282 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/10 21:49
ケンの中に何か違和感が残っていた。
ロスへのフライトの途中、いつものようにさして興味を持つこともなく
流した、おりん婆さんとの会話。
それが、妙に引っ掛かっていた。
「!」
ケンは重要なことを見落としていたことに気付いた。
そう、ここは「パラレルワールド」。
誰一人として、「人気俳優 坂東ケン」を知ることのない世界。
なのに何故、婆さんはケンに普通に接してきたのか?
283 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/10 21:57
「おりんのおを取って、語尾にごを付けるとりんご、まさか、りんご婆さん!?」
284 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/11 20:09
「ど〜して〜、れ〜きし〜のうえに〜♪
こ〜と〜ばが、うまれたのか〜♪」
りんご婆はいきなり椎名林檎の「本能」を歌い始めた。
実は幸福論だった。
286 :
名無し物書き@推察中?:02/03/11 22:53
りんご婆さんの謎は深まるばかりだったが、考えていても結論が出ないので
ケンとノドカの二人はMr.マルガリミスッタの行方を追った。
「こんなとき、武田の推理力があれば・・・」
思わず、憔悴したケンは呟いた。
時同じくして、武田は犬まゆげの家に到着していた。
その足が敷地内に入るかは入らないかの瞬間、彼は背後からの声を聞いた。
「ヤア、武田君。・・・いや、藤岡君と呼んだほうがいいかな?」
本物の武田の姿がそこにあった。
287 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/12 00:34
本物の武田の姿は変わり果てていた。
変わり果てすぎていて、もはや本物の武田とは分からなかった。
武田だよ、オレは武田だよ。
その武田は言ったが、あまりにも本物の武田とは違う。
違う、違う。そんなの武田じゃない、武田じゃ。
と藤岡は言った。
うるせえなぁ、武田武田。武田武田。
武田がそんなに大事か?
変わり果てた武田は言った。
じゃあ、こいつと武田と、お前とおれ。
お前はどっちを選ぶ?
変わり果てた武田は指をパチンと鳴らした。
288 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/12 01:15
すると武田の背後に給仕登場。
「フルーツパンチ二つね」
289 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/12 01:39
怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒!!!
290 :
名無し物書き@推察中?:02/03/12 02:42
「フルーツパンチ二つ」という暗号を合図に
給仕の隠し持っていたトカレフが火を噴いた。
乾いた音が響いた。
二度と動かない藤岡と犬まゆげ、そしておびただしい血の海だけが残った。
悲しいときー
ゴリラが死んだときー
292 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/13 12:08
「ん?何だ。今の声は」武田が振り返ると、
「よー武田、しっかりと見させてもらったぜ」
今、目の前に倒れているはずの藤岡と犬まゆげが佇んでいた。
「・・・・・どうして?」
「ほぉっほぉっほぉっ、わしじゃよ」
「お前は・・・・りんご婆さん!!!」
293 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/13 13:30
りんご婆さんは、自らの顔の皮膚をはがし始めた。
ぺりぺりと音を立ててはがれるそれを見て武田はすぐに気付いた。
こいつ変装していたのか!
その下から現れた顔は…
294 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/13 13:42
「ぼくドラえもんです」
295 :
名無し物書き@推察中?:02/03/13 22:17
大山のぶ代だった。
296 :
名無し物書き@推察中? :02/03/14 18:00
一方その頃、ケンとノドカはマルガリミスッタの居所を探るため、インターネット
で情報を集めていた。
[Mr.マルガリミスッタ]
本名-アンディ・マルガリミスッタ・リー・茂、国籍-アメリカ/メキシコ/中国/日本、
職業-マフィアのボス、性別-男、年齢-46、既婚、離婚、再婚。
嫁の名前は「高橋珍子」
「ねえ〜ノドカのどかわいた〜」
「いやそんな下らないギャグはいいから、え〜と、と言う事は」
「ねえ〜ノドカお腹いた〜い」
「ガマンしろ!!」
と言ったものの、さすがにノドカの異変に気付き、彼女をトイレに連れて行く事にした。
298 :
名無し物書き@推察中?:02/03/15 10:00
「申し訳ございません、トイレは有料となっております」
299 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 10:34
「カンケーネーヨ」
ケンはその場でノドカに放糞させ始めた。
「ちょっ・・・!お客さん、何してるんですか!?」
インターネットカフェの店員は当然、ノドカの『行為』に非難を加えたが、
ケンは逆に店員の方を一喝した。
「人の弱みにつけこんで汚い商売してるからだろうが!ボケが!!」
「ここは、ロスです。郷に入らば、郷に従え。警察を呼びますよ」
300 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 10:50
全くついていない。持ち合わせが無いのだ。
仕方なくモンスターを殺し、金貨を略奪する事に決めた。
しかし肝心の武器が無いではないか。ノドカの限界が近づいてくる。
焦りの色が濃くなる。
振り返ると大山のぶ代が微笑を浮かべて佇んでいた。
オレは意を決してのぶ代に声をかけた。
「何かイイ道具は無いか?」
のぶ代のデカイ腹には脂肪ではなく、未来の道具が詰まっている。
そう専らの噂を思い出したのだ。
301 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 11:05
「はい、タケコプター!」
「使えねーだろ!」
オレは思わず叫んだが、いいことに気付いた。
タケコプターを売れば金が手に入る。
さっそく道具やに売りにいったが、
残念ながらタケコプターはイベントアイテムの為
売る事ができなかった。
302 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 12:57
噂には続きが有った。
「のぶ代の行動には間違いはない」
自分が気付かない、何か。打開策がタケコプターには秘められている筈なのだ。
終わり
304 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 14:30
第二部 まさぐりあい・宇宙
「キャ〜。やめて、来ないで〜」
306 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 16:23
ノドカの脳裏に支離滅裂な言葉が次々と浮かぶ。
排泄欲求をぎりぎりまで押さえ付け、すでに彼女の意識は朦朧とし始めていた。
「タケコプター…そうよ!」
ノドカはケンの手からタケコプターを奪い取ると、すごい勢いで飛び出していった。
「トイレ…トイレトイレ!」
ノドカはタケコプターで近くの民家の塀を越えると、
開いていた縁側から勝手に家に上がり込み、トイレに駆け込んだ。
ノドカがすっきりした頃、インターネットカフェに取り残されたケンが
ノドカを追って民家にやって来た。そして、ふと表札に目をやった。
『アンディ・マルガリミスッタ・リー・茂
順子
梢
ポチ』
307 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 16:28
おそるべし大山のぶ代――。
思わぬ展開に胸が高鳴る。
308 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 16:41
ケンのいるインターネットカフェへ戻るノドカ。
「アンディをみつけたのよ!」
「――アンディってだれ?」
「アンディ・マルガリミスッタ・リー・茂よ!」
「おお!あいつか!」
鈍いケンを尻目にノドカは店内をぐるりと見渡す。
「のぶ代はどこに行ったの?」
「――のぶ代ってだれ?」
「大山のぶ代よ!」
「おお!・・・さあ、どっかその辺にいるんじゃない?」
「じゃあ、あなたはのぶ代を探して。わたしはアンディに会ってくるわ」
「――のぶ代ってだれ?」
「あんたねえ・・・刺すわよ!」
「あ、大山のぶ代のこと?はいはい・・・ってなんであんなデブおれが!?」
「ずべこべ言わず頼んだわよ。彼女は今後何かと役に立ちそうなのよ」
309 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 16:47
ノドカはケンの異変に気づいた。
ケンはここまで鈍くない。
「あなたは何者?ケンじゃないんでしょ?」
310 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 16:50
そのころ、本物のケンはアンディ・マルガリミスッタ・リー・茂家のまえで
なかなか出てこないノドカにしびれを切らしていた。
その頃、藤岡と犬まゆげはのぶ代を探していた
「いったいどこに行ったんだ、助けてもらったお礼と、それに聞きたい事があるんだ」
「――おい、逃がさないぞ藤岡!!」
目の前には拳銃を構えている武田が立っていた。
「――一体、どうなってるんだ、何でお前は生きてる」
「武田よ落ち着け、説明するからその銃を下ろせ、大山さんの行為を無駄にするのか!!」
「――だから、その理由を聞いてるんだよ、早く教えろ!!」
藤岡の額から汗が滴り落ちる、二人の間に奇妙な時間が流れた。
「どうしよう、本当は俺も良く分からないんだ・・・・そうだ」
藤岡はとっさに犬まゆげを抱えた
「武田、撃てるもんならこれに撃ってみろ!!」
「――何のつもりだ、何を考えている!!」
犬まゆげは藤岡の腕の中で必死にもがいていた。
「さあ撃ってみろ、射的ゲームの感覚で撃ってみろ」
武田はカチンと来た
「ああ撃ってやる、水鉄砲の感覚でな、死ね〜〜〜〜!!」
パン、パン、パン、
その頃、大山のぶ代はテレビスタジオで、芋ようかんをそば茶で楽しんでいた。
313 :
名無し物書き@推察中?:02/03/15 20:31
ゲーセン荒らしだけあって、武田の射撃の腕は伊達ではなかった。
硝煙の立ちこめるトカレフの銃口の先には、藤岡の屍体が転がっていた。
「なぜ私を殺さなかった・・・?」 地べたに尻をついて腰の抜けた犬まゆげの呟きだった。
あんたにはまだ訊きたいことがあるからな、と答えて武田は銃口を犬まゆげに向けた。
「あんたに辿りつくまで、長かった。僕には真実を知る義務がある。
同級生のノドカが『まゆげキラー』を見つけた時、僕はあんただと確信した。
するとあんたは行方をくらました。ご丁寧にもパラレルワールドへのヒントを残したまま。
さっき僕の仲間――給仕の変装をしていた男だ――が大山のぶ代とやらを追っていった。
今は僕とあんただけだ。さぁ、教えてもらおうか。マルガリの陰謀とやらを」
314 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 21:09
「ふ…今更知ってどうする?」
銃口を向けられているというのに、犬まゆげは冷静だった。
唇を歪め、まるで嘲笑うかのように武田を見上げている。
そのつぶらな瞳の上には消えかけていたはずの眉がくっきりと現れていた。
「阻止してみせるさ。この俺の腕で、マルガリを葬ってやる」
「ふん、自信家だな。よほどマルガリに殺されたいと見える。
…まぁいい。死にたいというなら望み通り死にに行かせてやろう」
犬まゆげは「きゅ〜ん」という鳴き声と共に溜め息をついた。
「まだわからないか?マルガリの陰謀…マルガリ…まるがり…丸刈り…」
315 :
名無し物書き@推察中?:02/03/15 21:21
316 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 22:23
「ここへ逝けばわかるということか…?」
武田の問いに、犬まゆげはうなずいた。
地図に示した犬まゆげの指は、箱根の上にあった。
しかしそこは箱根防衛線の拠点であり、
一般人の立ち入りは禁止されている区域だった。
319 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 02:11
だが、犬まゆげは一般人ではない。
320 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 02:16
「オマエは行けるかしらんけど、ワシは行かれへんやんけ!」
武田は思わず叫んだ。武田はツッコミをいれるときはどうしても大阪弁になる。
321 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 02:23
武田は中学の修学旅行で自由時間の2時間だけしか大阪に行ったことはなかった。
322 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 02:35
「ほな何かい。ワイがついていったらなあかんゆうんかい、ワレは!」
なぜか犬まゆげも大阪弁になった。
「2時間程度の大阪弁ユーザーになめられるワケにはいかんさかいなあ!」
犬まゆげは強気だ。しかも武田のインチキ大阪弁を見破っていた。
323 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 02:47
「ふ…おまえとは気が合うかもしれんな」
武田は標準語に戻った。
「ワン。ワンワンワンきゅーん」
犬まゆげは犬語に戻った。
「そうか…わかった。一緒に行こうぜ」
なぜか武田は犬語が解った。
しかも敵だったはずの『まゆげキラー』と意気投合している。
2人は懐かしのキックボードに乗って箱根を目指した。
324 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 03:27
武田のキックボードはすでに箱根防衛線の特殊センサーに捕捉されていた。
「司令。奇妙な陸走物体が接近中です。分類コード、該当なしです。」
若い男が報告した。
司令と呼ばれた、冷ややかなメガネをかけた男は、静かに言った。
「発進準備だ。2号機をな。」
325 :
名無し物書き@推察中?:02/03/16 03:46
スッタモンダ2号機・・・
富士山荘事件で大破したスッタモンダ1号機に代わって導入された新兵器である。
ちくわを象った従来の型と違い、ちまき寿司をイメージして造られている。
ここ、箱根防衛線では、異星人マドル(ログ11を参照)の侵入を防ぐため、
あらゆる防御システムが施されているのだった。
『スッタモンダ2号機、発進準備完了。発進許可を』
新米パイロット東海林少尉の声が凛と響いた。
326 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 11:14
「もうすぐ箱根だ。」
武田の快速キックボードは巡航速度毎時85キロで、旧東名高速を激走していた。
「待て〜〜〜〜」
328 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 19:48
「スッタモンダミサイル用意!」
スッタモンダ2号機は武田の快速キックボードをロックオンした。
「発射!」
しかしスッタモンダ2号機は誤って宇宙に発射されてしまった。
その後、スッタモンダ2号機を見た者は誰もいない。
一方、便器が詰まるほどの爽快な大便を排出したノドカは、
ふと気付いて、トイレに置いてあった1冊のノートを手に取った。
ノートには黒いマジックで『丸刈りの陰謀〜眉は残せその1〜』と書いてあった。
329 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 22:09
これがその全文である。
君のバジリスクの視線を浴びた僕はウロボロスの寓意。カタリ派のような僕の清廉な心は、
アストラル体となっても、グラチエの悲観論に染まった君には届かない。サルトルのよう
な。美しきソフィアは僕の聖杯グラールを探すのに、目隠しをするフリーメーソン。天使
ガブリエルの妖計に落ちて理神論に走るのと同じこと。ああ、僕の魔女よ。君のサバトに
僕の賢者の石は必要かい? テンプル騎士団にはなれないが、これでも口は達者なドルイド
僧。何にでも意味を見出すカバリストの視線はやめて、一緒にグノーシスを探そうよ。神
智学の人智学にはなりたくないのさ。だからモレーの心は捨てて、僕とソロモン神殿を建
てようね。君がヤキンで僕がボアズ。そう、いつだって愛は錬金術。
330 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 23:06
む。これはノドカが『☆あゆみのほめぱげ☆』に掲載していた
自作小説の序章ではないか。
盗作である。
ノドカは怒りに震えた。
331 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 23:17
「だってさ。どう思う?」
ケンの目を覗きこむようにして、ノドカはこともなげにそう言った。
乱暴に引き千切られた、数分前まではノートの一ページと呼ばれたそれを
前にして、ケンは二の句をつげないでいた。
「オマエ、これ破って持ってきちゃったのかよ?」
「うん。なにか手掛かりになるかもって思って」
「だからって破って持ってきたらまずいだろ。せめて書き写すかなにか・・・」
「ペンもなにも持ってないもん。こんな長い文覚えられないし」
「確かに意味不明な文だけど・・・」
「なに?あんたにも分かんないの?ツカエネー」
「あのな・・・」
その時、無心に話しこむ二人の背後に何か人影のようなものが近づいた。
332 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 23:24
岩男だった。
岩男といっても猿ではない。ケンの馴染みの友人だった。
彼はロスに留学中の身で、ケンの連絡を受けてやって来たのだ。
「おい、ケン、またやっちゃったな」
岩男は苦笑して、ゆっくりと二人のもとへ歩み寄った。
「ホラ、君の本体は今帰ってくるところだぜ」
岩男に指し示された方向からケンが息を切らせてやって来るのが見えた。
「するとコイツはやっぱり偽者・・・」 青ざめるノドカを岩男は制した。
「いや、ケンは時々ドッペルゲンガーを出すのだよ。一種の超能力みたいなものさ。
さ、お前は本体に戻れ」
岩男に言われて、ノドカの隣のケンはかき消すようにいなくなった。
334 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 23:45
ドッペルゲンガーのケンが消えたと同時に、岩男の姿も消えた。
「岩男?どこいった?」
335 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 23:48
岩男は瞬間移動により、箱根へ飛ばされた。
武田の快速キックボードの真ん前へ、突然現れた。
きききー!
武田は急ブレーキをかけた。
「なんだ、コイツは!」
当然、箱根防衛線でもそれは感知されていた。
336 :
名無し物書き@推察中?:02/03/16 23:52
「スッタモンダ3号機、出撃用意!」
司令の言葉に、防衛線オペレーターは戦慄した。「まだ早すぎます!」
「構わん!出撃させろ」
司令は半ばヤケになっていた。スッタモンダ3号機、出撃!
しかし出撃と同時に浮力を失ってしまった。
「どうした?」 焦る司令。参謀が呟いた。「腐ってら・・・まだ早すぎたんだ」
一方、ネットカフェ。
「どうなったの?」とノドカ。
「うん? ああ、いや、やつは気まぐれにテレポートするんだ。スナフキンみたいなやつさ」
突然の岩男の出現と消失に、振り回されっぱなしの二人だった。
337 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 23:55
そこへまた岩男が。
「やぁ、時々テレポートに失敗したんだよ。困ったもんだねアッハッハ」
338 :
名無し物書き@推察中?:02/03/16 23:57
二人は岩男を無視してネカフェを出た。
マルガリについての資料はこれだけでは足りないのだ・・・。
339 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 23:58
ノドカは岩男の妙な日本語が気になったが、
何も言わないでおいた。
さて、武田の方といえば、スッタモンダ3号機の残骸に進路を塞がれていた。
「どないせーっちゅうねん。」
武田のインチキ大阪弁がまたでた。
340 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 00:04
ノドカの目からとめどなく涙が流れた。
岩男は冗談の続きを言おうとしたが、言葉は出なかった。
仕方なく椅子に腰を下ろし、メニューを眺め、
大根のスティックがたっぷりと入っているサラダを注文した。
ノドカの涙は止まらなかった。
ぬぐってもぬぐっても目からあふれていた。
岩男はウィンストンに火をつけた。
ゆっくりと肺へ煙りを送ったあと、言った。
「泣くなよ」
えっ、えっ。
ノドカ嗚咽はしんとしたネットカフェの中に響いた。
「泣くな、って」
岩男はまた同じことを言った。
341 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 00:14
岩男の引き出した時間のねじれは、過去の世界を異次元空間に呼び起こした。
そこに流れ着いてしまった岩男。彼は永久にここが過去の世界だとは気付かないだろう。
342 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 00:14
インチキ大阪弁を駆使して慌てる武田だったが、犬まゆげは冷静だった。
「これでいい、これでいいんだワン」
低く呟き、頷く犬まゆげ。震える右手で機体に手を触れた。
機体の一部が、淡く輝きだす。
「この一見、鉄クズの兵器はスッタモンダと言って、地球外物質で構成されているのだワン。
マルガリはこの物質を利用して、全人類を小動物に変化させる計画を立てた・・・。
丸刈り・・・丸刈りにされる動物・・・すなわち羊が彼らの頂点に立つ。
人類どころではない、宇宙のどんな存在さえ、マルガリに匹敵するものなどいなくなる」
そうか――武田はわれ意を得たりといった表情を浮かべた。
「あんたが犬にまゆげを書いていたのは、もとは人間だった犬を区別するためか」
犬まゆげは渋く笑った。
「その通りだ。だが、偶然にも我々はパラレルワールドという面白いものをも発見した。
マルガリミスッタがそれを利用しない手はない。今となっては真意は誰にもわからないのだワン」
343 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 00:17
そこで岩男が
「そんなバカな!」
344 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 00:21
岩男はやはり数テンポ遅れていた。
345 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 00:24
それは彼の時間軸がおくれているからだ。
が、
346 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 00:26
ちょーん
谷啓のギャグを持ってしても、岩男の遅れた時間軸は戻らなかった。
347 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 01:08
さて、武田と犬まゆげであるが、彼らはすっかり意気投合していた。
「このスッタモンダの装甲素材は、人間のあんたには有害だが、
犬の僕には有益なんだワン。」
犬まゆげはそう言うと、装甲の一部を右前足を覆うようにつけた。
不思議なことに、それはそのまま犬まゆげに同化してしまった。
犬まゆげの右前足にシールドのような板がついた。
「うお、なんやそれ、むっちゃカッコいいやん。」
武田がいった。
「なんかおまえ、狂四郎に出てくるバベンスキーみたいやな。」
「しつれいな。」
犬まゆげが言った。
348 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 01:09
「谷啓かよ!」
さま〜ずのつもりだったが似ていなかった。
しかも名前を覚えていなかった。
その天罰なのか、宇宙に消えていったスッタモンダ2号機から発射された
ミサイルが、岩男を直撃した。
349 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 01:14
悲しい哉、岩男は完全に時間を見失っていた。
すでに過去の遺物である。
またこの話は別の話であり、岩男を紹介したある人物に迷惑がかかるとも限らないので
詳細は明らかにしない。
読者は偶然私がそれを知っていたと考えてくださればよいのである。
350 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 01:30
岩男はミサイルの熱と衝撃の中で、誰かの声を聞いた気がした。
・・よいのである。・・・
何が良かったんだ?
おれの人生・・。
岩男は分子レベルに砕かれ、その個体は消滅した。
351 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 01:42
「まぁ、春だからな」
え? と振り向いたノドカに、廃れた元俳優は悲しく答えた。
「何でもないよ」
352 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 01:48
「あ、また来た!」
ノドカは再び下腹を押さえてうずくまった。
すると突然ノドカの太腿の間から、小さな赤ん坊が生まれ堕ちた。
それは消滅したはずの岩男だった。
「岩男はもういいよ…」
ケンは空を仰いだ。
353 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 01:52
いわゆる、想像妊娠・想像出産だった。
二人は何事もなかったかのように、ノートの切れ端を片手に喫茶店へと向かった。
354 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 01:57
犬まゆげは武田のバベンスキー発言に立腹していた。
「あのなあ、俺は犬のかっこしてるけど、前は人間やったんや。
ワードッグって知ってるか? 狼男の犬版や。」
「はあ。」
武田は威圧された。
「こう見えても、ヨーデル伍長のコテハンで、ブイブイいわしとったんや。」
武田は、また「はあ。」としか言えなかった。
でも、「伍長」なんて控えめなコテハンをつける犬まゆげに、ますます親近感をおぼえた。
355 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 02:00
武田は犬まゆげにそっとくちづけた。親愛のしるしとして。いいや、愛のしるしとして。
356 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 02:06
ゆっくりと手を後ろに伸ばす武田。
瞬間、トカレフが火を噴いた。
血に染まった犬まゆげの屍体が転がった。
情報は手に入れた。それでどうして彼を生かしておく法があろうか。
自らの手で、異常な世直しの片棒を担いだ男を裁いた。それだけのことだ。
その若さからは程遠い冷徹な眼を光らせ、武田は捨て台詞を残して去った。
「語尾に句点を付けるようなヤツは死んだ方がマシだ」 と・・・。
357 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 02:27
「なるほど、春厨をみわけるコツってやつですか?」
甲高い男の声に、武田はふりむいた。
358 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 02:34
驚きと、殺人現場を見られたいたたまれなさに顔を歪める武田だったが、
現れた若い男はそれを避難するようなそぶりは見せなかった。
彼は東海林と名乗ってから、この辺り一帯を取り仕切っている防衛局の少尉だと自己紹介した。
「あなたが現れてから当局の兵器は塵と消えたんですよ。何かと思えば一般人だ。
付け加えて言えば、失礼ながら子供のようですね」
東海林の表情に嘲りの感情を読み取った。武田はいつになく憤慨していた。
この突然現れた防衛局少尉とやらに、皮肉をぶつけられたのは、彼のプライドが許さなかった。
努めて冷静に、武田は東海林に話し掛けた。
359 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 02:35
振向いた瞬間、武田は眉間にナイフが突き刺さるのを感じた。
立っていたのはケンだった。
いや、正しくはケンのドッペルゲンガーである。
「な…う……ぐあっ」
眉間を押さえてのたうちまわる武田を尻目に、
ドッペルゲンガーはスッタモンダの破片を手にした。
人間ではない彼にもまた、スッタモンダは有害ではない。
「力がいるんだよ…俺には」
スッタモンダがケンの身体を包み込んだ瞬間、
ノドカの目の前で本物のケンは消滅した。
本物とドッペルゲンガーの立場は、逆転した。
360 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 02:36
武田にもドッペルゲンガー現象が起きていた。
361 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 02:41
時をおなじくして、藤原にもドッペルゲンガー現象が起きていた。
362 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 02:45
「ん? いや、俺のドッペルゲンガー、藤岡は死んだはず・・・」
薄暗いダンジョンの中でも、藤原は藤岡の死を感じ取っていたのだった。
363 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 02:47
「はっ」
ノドカは自分が箱根にいることに気付いた。
これは岩男の呪いなのか。
364 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 02:49
ついでに岩男の記憶をシャットアウトした。
なぜだかわからないが、あってはならない記憶だと思った。
「ここはどこ?」
「わたしはだれ?」
誰かがまぜっかえした。ケンだった。
365 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 02:53
ぎゃあ、俺の好きなキャラ、犬まゆげが死んでいる!
犬が死んだのは
ケンが 昇竜拳を出したせいのようだ…
367 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 02:56
「何を言っているの?」 不審そうにケンの顔を窺うノドカ。
「え・・・いや、何でもないサー」 沖縄生まれのケンはそうごまかした。
368 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 02:59
「サーターアンタギー食べるサー」
後ろで声がした。
新たな登場人物か?
ケンはふあんになった。
369 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 03:00
誰だか知らないがファンのついた犬まゆげは、
無敵のスッタモンダのプロテクターによって守られていた為、
死んではいなかった。
注目が他に逸れている間に起き上がり、
犬まゆげは残りのスッタモンダの破片を取ってそっと逃げ出した。
370 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 03:01
新たな登場人物? 俺は何を言っているんだ? そしてなんだこの金属は?
俺はきっと疲れているんだ・・・・・・
もごもごと口の中で呟いて、ケンは失神した。
371 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 03:06
本物の武田はといえば、半ば強引に東海林によって防衛局に案内されていた。
372 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 03:13
これらの一部始終を箱根防衛線は捕捉していた。
「司令。現場は混乱してますが、わが方の損害は2号機および3号機です」
司令は無言だった。戦力の3分の2を失ったからだ。
「しかし、我らには1号機があります。これさえあれば・・」
「いらん!」
司令はオペレーターの意見をさえぎった。
「今回の顛末は我らの敵、異星人とは無関係だ!3号機はすぐに自爆させろ!
民間人に3号機を知られてはならん!・・報告?霞ヶ関には誤爆と言え!」
コンソールパネルに3号機自爆用特殊ボタンがせり上がった。
「ボタン押し係のセコビッチを呼んで来い」
司令が大声で命令した。
373 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 03:18
「ここです、司令」
セコビッチはすぐ後ろにいた。
そして何も聞かずいきなり3号機自爆用特殊ボタンにソフトにタッチした。
374 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 03:23
「ぽちっとな」
375 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 03:23
それで終わりだった。司令は飽くまでドライだった。
「ご苦労、セコビッチ、もう戻ってよろしい」
その言葉が終わらないうちに、東海林が入ってきた。
呼ばれて振り向く司令。
「何だ?」
「この少年でしたよ、防衛線に無断侵入したのは」
前に押し出された武田は不愉快そうに舌打ちした。
376 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 03:28
3号機の爆発によって直径500メートルのクレーターが出現していた。
ノドカやケン、犬まゆげ、サーターアンタギー売りはどうなったのだろうか。
377 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 03:31
「俺は問いたい、それは小説の書き方なのかと。たんなる合いの手ちゃうんかと」
退室するセコビッチの捨て台詞だった。
378 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 03:34
「え?こっちのまゆげのある犬でしたよ?」
「このカップルです。ケンとのどかと名乗っています」
「自分はこの怪しい男を発見しました。
『サーターアンタギーを売りに来ただけだ』と主張しています。
買ってもいいでしょうか?」
東海林に続いて、3人の部下がそれぞれに不審人物を突き出してきた。
379 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 03:37
「何しに来た」
司令は武田に冷たく訊いた。
「知るか!」
武田はぶっきらぼうに答えた。
「なら、教えてやろう。キミはな、選ばれたんだ」
司令が抑揚の無い声で言い放った。
「何にだ!」
武田は大声で怒鳴った。
380 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 03:45
司令は不敵な笑みを浮かべた。
「忘年会の幹事がなかなか決まらなくてね・・・」
381 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 03:50
「次だ」
司令は犬まゆげに向かって言った。
「何しに来た、そこのまゆげ犬」
「ワンワンワーン、キャインキャイン!」
犬まゆげは犬形態にしていたが、あまりに不自然だった。
そもそも、右足のシールドを外していない。
「貴様。そのシールドは3号機のものだな!」
司令はすぐにわかった。
「この犬ころを拘束、監禁しろ!監禁係のセコビッチを呼べ!」
382 :
名無し物書き@推察中?:02/03/17 03:53
「また俺かよ」
煽ったついでにグチをたれながら、セコビッチは入室し、犬まゆげを捕えると、退室した。
まるでツーショットチャットのオヤジのようだった。
383 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 03:59
セコビッチは眉毛が薄いので、
犬まゆげがうらやましくなった。
「放してやるから、綺麗な眉の書き方教えろよ」
セコビッチは犬まゆげに熱いまなざしで迫った。
そしてセコビッチは、自らの顔の皮膚をはがし始めた。
ぺりぺりと音を立ててはがれるそれを見て犬まゆげはすぐに気付いた。
こいつ変装していたのか!
その下から現れた顔は…
「ばぁーぶー」
いくらちゃんだった。
387 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 11:28
司令の尋問により、ノドカとケンも勾留されることになった。
サーターアンタギー売りは、持っていた沖縄菓子をすべて司令へ渡すという条件で
釈放された。司令はまたわめいた。
「このアベックも連れて行け!セコビッチはどうした!」
「アベックだって、ププ」
オペレーターが失笑した。
「貴様。笑ったな!」
バ〜〜〜〜〜ン
389 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 11:33
もとい、いくらちゃんの真似をしている武田だった。
素早い変装でセコビッチと入れ代わっていたのだ。
先程司令の前に引き出されたのが本物のセコビッチである。
390 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 23:20
「意味ありげな登場した割には、オマエってホント使えねぇよな」
他人への配慮というものを全く欠いたような、容赦のない罵声がひろしを抉った。
藤原は明らかに苛立っていた。それも当然のことだろう、親友が殺されているのだ。
そんな藤原の憤りを痛いほど感じているひろしは、ただ黙って俯くことしか出来なかった。
「オレはなぁ、こんなところで酔っ払いと一緒にドラクエごっこをしてる暇はないんだよ。
早く佐々木を殺したヤツを見つけ出して、この手で裁いてやりたいんだ。それがなんだ。
犯人の手掛かりも全く掴めないままで、無為に時間を浪費しているだけだ。いつのまにか
藤岡のヤツも居なくなってるし、オレに協力してくれるんじゃなかったのか!?」
今にも溢れ出しそうな涙が、藤原の瞳孔を歪ませていた・・・。
391 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 23:36
「ていうか、ひろしって誰だっけ?俺は?俺は誰なんだ?」
泣いた拍子に、藤原は記憶喪失になった。
ひろしはドラクエ好きだったので、別に一生このままでもいいと思った。
「大丈夫だ、藤原。人は誰かになれる…」
392 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 00:12
「ララァならわかってくれるよね」
藤原の脳内にメッセージが響いた。
「う、く、ぃ・・・・!」
藤原は激しい頭痛に襲われた。
抱えた頭のすぐ横で
「ぷすん」
と乾いた音がした。
394 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 05:11
薬局でもらってきた風船が割れたんだ!
395 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 05:13
「ぼくドラエもん」
396 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 05:20
風船の中から青いヤツが!
397 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 06:37
だが、ドラエもんにしてはずいぶんと小さい。
ほとんど手乗りサイズのそいつは、短い手とほとんど見えない指をを使って
体に張り付いた風船のゴムをはがそうとしていた。
「オマエ、ドラエもんにしてはちっこくないか?」
「そうかなー?」
ドラエもんの声は甲高く、まるでコロスケのようだった。
「オマエ、ドラエもんだったら、異次元ポケット付いてんのか?」
藤原は手の平に乗せたドラエもんに、何気なさを装って聞いてみた。
398 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 06:57
夢か・・・・・・
「夢じゃないよ」
「のぶ代さん!!」
401 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 14:44
age
「えっ?ageって、あげぱんの事ですか?」
遂に藤原は幻覚を見始めたのだった。
猫の目のように変わるストーリー展開と、現れては消える登場人物たち。
混乱している読者諸兄の為に、ここでざっと登場人物を紹介しよう。
―― 集結と分岐の章 ――
■藤原…映画界から淘汰された監督。親友佐々木を殺したスナイパー、犬まゆげを追う。
■山本ひろし…素人探偵。タクシードライバーでもある。かつての"マドル"の英雄。
■ノドカ(不良系)…猫好き。藤原の姪。愛車はカブ。
■マルロ…ギコネコの姿だが、"マドル"の戦艦艦長。
■板東ケン…元俳優。明美を犯した後行方知れずだったが、
どうやら精神異常は治ったらしい。
■あゆみ…ケンの恋人。
■藤岡…藤原の並行存在。放置されたり呪いのビデオを見せられたりと散々な存在。
■渡辺トオル…黒頭巾集団の一人。ドラクエ好きらしい。
近藤マコトという酔っ払いの顔をも持つ。
―― ケンとノドカと武田の章 ――
■板東ケン…藤原たちに触発され犬まゆげを追う。マルガリを知っているらしい。
■ノドカ(ネトア系)…第一章でのノドカ。ネットアイドル志望の少女。
個人サイト「☆あゆみのほめぱげ☆」を運営している。
隣の佐々木(犬まゆげ)は彼女のネットストーカーだった。
■犬まゆげ…佐々木、まゆげキラー、ヨーデル伍長の3つの名を持つ男。
武田は予期していた(
>>21を参照)。
外見は美女だが、死の恐怖のためか犬に姿を変えてしまった。
■藤岡…藤原の並行存在。ギコ猫ビデオの影響か、犬まゆげの仲間になっていた。
しかしその横暴さは相変わらずであった。
■武田…推理力抜群だが体力はからきしない少年。
しかし愛用のトカレフの腕はなかなかのもの。犬まゆげと因縁があるらしい。
■大山のぶ代…通称りんご婆さん。 便利な道具を持っている。マルガリの一味。
敵かな味方かな?
■Mr.マルガリミスッタ…本名アンディ・マルガリミスッタ・リー・茂。
46歳にしてマフィアのボス。犬まゆげの黒幕。
■司令…箱根防衛局の司令。対異星人用筒型兵器"スッタモンダ"を造った。
■東海林…"スッタモンダ"の新米パイロットだが、どうやら乗らなかったらしい。
ちなみに"しょうじ"と読む。
■サーターアンタギー売り…沖縄の商人らしい。
■給仕…武田の仲間の変装。大山のぶ代を尾行している。
■岩男…ドッペルゲンガー現象について語った後、異次元に入り込む。
いわゆる"リロード"ができず、顰蹙を買う。
■セコビッチ…多々ある係名で雑用をこなす。
武田と入れ替わったところからすると、武田より貧弱。
―― ドラクエ?の章 ――
■藤原…犬まゆげが捕まったことを知らず、ドラクエのダンジョンをさまよう。
その口惜しさから幻覚まで見るようになった。ドラえもんが好きらしい。
■山本ひろし…本作の既出人物の中では最も役立ちそうな人物だったが
本人のドラクエ好きがたたって事件を放置中。
■近藤マコト…渡辺トオルのドラクエ名。
ゲームの中では酒豪で気丈夫と、現実世界とはかけ離れている。
前解説ログは
>>161を参照
405 :
名無し物書き@推察中?:02/03/18 20:24
国境の長いダンジョンを抜けると雪国だった。靴の底が白くなった。
一瞬のことで、目が慣れず、眩しかった。太陽がぼんやりと真上にある。
「寒いな」
思わずひろしはそう呟いていた。近藤マコト・・・いや、渡辺トオルは身を震わせて服を着た。
なにしろ寒いのだ。藤原だけがぼんやりと雪山の彼方を眺めていた。
一面の雪景色である。雪野原である。近くに見える建物のつららが映えていた。
一行は、とりあえず建物に走り寄った。誰かが中にいるだろう。そう期待した。
建物には、大きなプレートが掲げてあった。それにはこう記されていた。
「 友好の家 」
「友好の家」
一行は休憩を取らせて貰う為に、玄関のドアを叩いた。
暫くするとゆっくりとドアが開いた。
そこには禿げた、丸っこい輪郭の中年男が立っていた。
いかにも訝しげな顔で彼は一行に語りかけた。
「どなたですか?」
「し、失礼しましたあ」
408 :
名無し物書き@推察中?:02/03/18 21:10
小心者に戻ったトオルが逃げようとしたのも束の間、すぐに引き止められた。
「あのですね、まぁ、お茶でも飲んでいきなさいよ」
その言葉に甘んじて、ひろしと藤原はドアの向こうへと入っていった。
ドアを入ると、トオルらの目に飛び込んできたのは
その中年男の禿げた後頭部と
「鈴●さん あなたは私達のともだちです」という看板だった
410 :
名無し物書き@推察中?:02/03/18 21:17
どうやらこの中年男が鈴●さんらしい。かなりフレンドリーな人物のようだ。
山本ひろしは冷静に推理した。
411 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 21:30
禿げた中年男の鈴●さんは3人を居間に通して
ソファーに座らせた。そして彼は独り言みたいにこう呟いた。
「いやいや、こんな偏狭な雪国にこられる奇特な方もおられるんですなぁ・・・
これは失礼、寒かったでしょう。今温かいお茶を持ってきますからね。」
彼はそう言うと台所へと消えて行った。
412 :
名無し物書き@推察中?:02/03/18 21:38
しばらくしてガタガタと階段を下りてくる音が聞こえた。
早いな、とひろしが呟いた時、部屋のドアがいきなり開いた。
現れたのは2メートルはあろうかという大柄な黒人だった。
413 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 21:42
目的はもちろん集団レイプである。
414 :
名無し物書き@推察中?:02/03/18 21:43
藤原は咄嗟にそう思った。
415 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 21:44
むしろそう願った。
416 :
名無し物書き@推察中?:02/03/18 21:45
だが、意外にも2メートルの黒人は鈴●氏の秘書だと名乗った。
トオルとひろしは、ゆっくり頷いた。「ふーん」
417 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 21:48
「サアミナサン、アタタカイお茶デス。オセンべエモドウゾ」
その2メートルはあろうかという大柄な黒人は
白い歯を覗かせながら、茶と茶菓子の入ったお盆を3人の前に
置くと、鈴●さんが部屋に入ってきた。
そしてその黒人に対し、「ムル★カくん、しばらく席を外してくれないか?」と
言うと、ムル★カは一礼し部屋を出ていった
418 :
名無し物書き@推察中?:02/03/18 22:02
さてと、と鈴●さんは一息吐いて一行を見回した。
「君たち、どうやってここに来たんですかな?」
彼自身もソファに座ってから、もう一度、一行の顔を順に眺めた。
「私が説明しましょう」 ひろしが身を乗り出す。
「実は、この近くのダンジョンに迷い込んでしまいまして、とにかく前進しました。
そうしてはるばるこの雪野原に到着したいうわけです」
「そうですか。君たちは、ええ、ダンジョンに迷い込んで、ここまで来た。と、こういうわけですな」
三人は一様に頷いた。鈴●さんは低く鼻を鳴らした。
「あのですね、ダンジョンのことですがね、あれは北方四島をつなぐトンネルなんですよ」
419 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 22:13
驚愕の表情を浮かべる一行を前に、鈴●さんはこう続けて語った。
「そうだ自己紹介がまだだったね。私は議員をやっていてね・・・・」
彼は名刺を差し出した。一行は身を乗り出してその名刺を見た。
そこにはこう書かれてあった
「衆議院議員 鈴●宗男」
ひろしは冷静に推理し、ある一つの結論に達しそうになっていた
420 :
名無し物書き@推察中?:02/03/18 22:25
「そうか・・・」
ひろしの頭脳で何かが溶解した。
静電気を帯びた電球が一瞬輝くように、池の波紋が広がるように。
すべての事象は明確になった。途切れ途切れのヒントは一本に繋がった。
よく考えれば簡単なことではないか。なぜ今まで気付かなかったのだろう。
気付かなかったのが不思議なくらいだ。そう、この人は、雪が大好き。
421 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 23:20
「まあパパ、お客さまなの?」
ひろしが窓の外をしげしげと眺めていると、奥から2人の背の高い女達が出て来た。
この寒空というのに、胸元が大きくあき、背中は尻まで見えそうにくれ、
足の付け根までスリットが入ったサテンのドレスを着ている。
「おお、順子、梢、来たのか」
「またポチが庭を駆け回っているようですわ。お父様に似て雪が好きなのね」
もしもひろしがケン達と話す機会があったなら、彼等の名前がある古い民家に
かかっていた表札のそれと一致する事に気付いたかもしれない。
そう、この鈴●宗男こそが、あのMr.マルガリミスッタ…本名アンディ・
マルガリミスッタ・リー・茂の正体だったのだ。
本当のフルネームを、宗男・アンディ・マルガリミスッタ・リー・茂・鈴●
という。
422 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 23:43
宗男は淡々と語り始めた。
「ことのおこりは、ちーいさい事だったんですよ。ま、それはそれでいかがなものかと思うのですがね」
ここで一呼吸置いた。
「あのですね。北方四島はですね。すでに要塞化されてたんですね。
だから日本の建設業の落札などあり得ないと。ところがですね」
ここで涙をぬぐった。
423 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:01
「異星人マドルの対惑星攻撃によって・・・グシュグシュ
草一本生えない土地に・・・・グシュグシュ」
宗男はもう声にならない声をあげていた。
「そうだったのか」
ひろしはつぶやいた。
424 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:11
「日本政府は箱根の防衛局にすべて任せきり。その防衛局の対異星人兵器も
この前戦力の半数以上を失ったんだと。聞いております」
宗男は言った。
「え?そんなことニュースで言ってなかったぞ。なんでわかるんだ?」
ひろしが問う。
「あのですね。蛇の道は蛇と。局内に私の同調者がおりましてね」
「スパイですか」
「そうでして。雑用係をちょっとばかり買収などしましてね。ま、それは
ともかく、防衛局はたよりにならんと。そこで、あんたがたに、日本の未来を
託したいと、そういうわけでありましてね・・・・」
425 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 00:19
「な、なして俺たちなんですか?」
尻込みするトオルに、宗男はその理由を答えた。
426 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:23
早い話が篭絡だった。
この宗男ことマルガリミスッタは、ひろしたちを味方に引き込もうと
しているのだった。
しかし、何故?
ひろしは眠りかけていた洞察力と推理力をフル回転させて、注意深く
辺りの様子を窺った。
その時、ひろしの目に飛び込んできたものがあった。
「砂時計」だった。
427 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:27
「あのですね。ひろしさん。私は知っているんですよね、アナタの素性を」
宗男は言った。
「この砂時計の砂の色、見覚えあるでしょう?」
428 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:34
瞬間、ひろしの頭脳であらゆる事象が一つに結びついた。
ひろしたちがダンジョンで頭部を痛打して気を失いかけていた頃、
ただ一人難を逃れた者がいた。藤岡である。
藤岡は天井に頭をぶつける瞬間、藤原を身代わりにして一切の衝撃を
逃がしていた。
そして、その際にひろしのポケットからこぼれ落ちた、例の「砂時計」が
逆に時を刻み始めた。混濁する意識の中、確かにひろしはそれを見た。
だから、ここは新たなるパラレルワールド。
そして、目の前にいる人物は間違いなく事件の鍵を握っている者だ。
429 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:36
「これはですね。択捉島の砂ですよ。アナタがたの攻撃によって、
こーんな赤い色の砂になったんですと、こういうわけです・・
マドルの戦士のひろしさん・・・・」
催眠術が始まっていた。
430 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:38
そのころ。スッタモンダ2号機は火星軌道に到達していた。
431 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:47
ひろしは今までの経緯を洗いざらい宗男にしゃべってしまった。
「よろしい。もうアンタに用はないのですが。このまま極寒の地に捨てるのも
いかがなものかと思いますので。パチ」
ゆびぱっちんで黒人の秘書を呼んだ。
「箱根へおくってやんなさい」
黒人秘書は、二人を抱えると、おかしな棺桶のような箱に押し込めた。
考えてみればトオルはナンにもしていない。作者が忘れていたのか。
どの作者の責任か。
432 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 00:55
「さて、あなたは要らないんですよ」
ギラリと眼光を鋭くさせて宗男はトオルを見据えた。
ああ俺は何て臆病なやつなんだ。
ゲームの中ではあれだけいきがっていて、現実ではもう足が震えて立てない。
俺は役立たずだ。人間、何かの役に立たなきゃ生きてる価値なんてないんだ。
ヒト一人は社会の歯車の一つだ。・・・・・・そうだろうか。
トオルの眼が冴えた。宗男は無表情のまま、トオルの心境を読み取ったように言った。
「ええ、君のような何の役にも立たない人間は沢山います。そして必要なんだ。
みながみな、役に立つ人間なら、代議士など要らない。
君は帰ってよろしい。故郷に帰って親孝行でもするんですな」
なぜかトオルは静かに泣いていた。
433 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:57
トオルは息を潜めて隠れていたのだ。
ひろしになにがあったら己の命に変えても守らなくては
いけない。
「箱根か・・・」
トオルはつぶやいた。
「よし。ロマンスカーに乗れるぞ♪」
434 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 00:59
すみません被りました。
無かったことに。。
435 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:14
「いえいえ、トオルさん、これはロマンスカーより乗り心地いいですよ。
では、良い旅を」
宗男の声が遠くなった。棺桶ボックスが閉められた。
奇妙な音が辺りを包んだ。
ぶぃぃぃぃぃん・・。
436 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:16
被りました。無かったことにして下さい。
トオルは箱根のレーダーに引っ掛からないようアフロを被ったことを
後悔していた。トオルの涙に影響されて、砂時計の力によって
ドッペルゲンガーが作り出されたのである。
彼は箱根にいるケン、ノドカ、武田たちにひろしの危機を告げる為
ひた走った。
437 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 01:16
と、宗男の部下が謝っている電話が聞こえた。
「すみません。ええ、ですから、被って・・・え? 一番上をちゃんと見ろ? 在庫のコトですね」
周りを取り囲む黒スーツの男たち。
どうやら、宗男の権力は想像以上のものらしい。
438 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 01:21
ん? ケン、ノドカ、武田って誰だっけ?
トオルはあまりの衝撃的な「友好の家」での出来事に錯乱していた。
439 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:23
トオルはもともと記憶力のあるほうでは無かった。
特に最近では昨日の晩御飯が何だったか思い出せないことも
良くある。って良くかい!
トオルはこう見えても今年で78なのだ。
440 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:26
スッタモンダ2号機は、マドルの偵察部隊に見つかった。
「隊長。妙な物体が浮遊しています」
「むう、何だありゃ。近づいてみろ」
「わかりました。あ、武器らしいものを装備しています。攻撃します」
「待て。われわれは偵察が任務なんだぞ」
「どっかで聞いたような台詞をいわんでください。敵を倒すには早いほどいいってな」
「いいってな、じゃないだろう、ため口かよ!」
「撃ちます!」
「おい待て!」
宇宙空間なので、発射音を聞けるのは発砲者のみだった。彼が聞いた音は
バリバリバリバリ・・・・! だったが、その後、スッタモンダ2号機の爆発によって
その周囲200宇宙キロの範囲のすべての物質が気化した。
ところで宇宙キロってどういう単位じゃ?
441 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 01:31
「ふぅ、自分突っ込みカヨ。おめでてーな」
何とはなしに、トオルは呟いた。彼も今年で78の偏差値である。
彼はこっそり波止場へ向かい、船をチャーターした。
汽笛がしみるぜ
443 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:37
「箱根? 相模湾までなら5500万ペリカだ」
意地悪そうな船頭が言った。
444 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:40
今だっ!444ゲットォォォォ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∩ ∩
〜| ∪ | (´´
ヘノ ノ (´⌒(´
((つ ノつ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(´⌒(´⌒;;
ズザーーーーーッ
445 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 01:42
猫がすっとばされた波止場で対峙する二人。
「いいや。何で俺が箱根行かなきゃならねーの? 東京に帰るんだよ」
すましたトオルが言った。
446 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:43
突然現れた444ゲッターも船に乗りこむことになった。
船賃は折半だ。
447 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:44
「東京湾なら5000万ペリカだ」
船頭は少し負けてくれそうだ。
448 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 01:45
ここでトオルは思った。船頭を海に投げ込もう。
449 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:47
しかし、知能指数78のトオルには投げ込み方が思いつかなかった。
450 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:48
そして、おれも飛び込もう!
451 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:49
いやまて、ネコを船頭にぶつけるって方法があるぞ。
452 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:51
(´´
∧∧ ) (´⌒(´
⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
 ̄ ̄ (´⌒(´⌒;;
ズザーーーーーッ
ネコは脱出を図った!
453 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 01:52
「偏差値と知能指数の区別のつかない厨房ハケーン」と
トオルは口に出しそうになったが、あえて言わなかった。
454 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:54
言ったところで、
「じゃあ、どうちがうんだよ!」
と突っ込まれると答えられないからだった。
455 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 01:56
「ま、マサカ本当にわからないんじゃないだろうな」とも言いたかったが
そのままだと脳内で喧嘩になりかねないのでやめておいた。
「俺はAAや電波なんかやってる場合じゃない。帰るんだ」
そんな簡単なことが、できなかった。
456 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 01:59
何時の間にかネコは消えていた。
くだらんキリバンゲッターやら厨房やらに付き合っていては
話が進まない。
トオルは船頭に宗男の名刺を見せた。
457 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 02:03
瞬間、船頭の顔が青ざめ、それから頬が上気した。
「こ、これは鈴●先生の、・・・いやいやお見逸れしました。どうぞお乗りください」
ちゃんと定額の料金は払うと言うトオルに、船頭は首を振って受け取ろうとはしなかった。
458 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 02:38
「それでは、足元にお気をつけてお乗り願います」
途端に船頭の態度は慇懃なものに変わった。名刺の効果は想像以上のものだった。
しきりに顔色を窺う様子の船頭。トオルは生まれてから味わったことのない至福感に
酔いしれ、横柄な顔つきで船に乗りこんだ。
意識せず、トオルの胸に去来する様々な思い出。
小学生時代は近所のガキ大将に、無理矢理スカートめくりをやらされた。
中学生時代はクラスのいじめっ子に、写生大会だと称して教壇の前で
オナニーをさせられた。
高校時代は密かに憧れていた女子に、肛門に突っ込んだ割り箸の匂いを
かがされたあげく、原稿用紙三枚分の感想文を書かされたこともある。
それが今、明らかに自分にビクついている人間を目前にしているのだ。
トオルの態度が少しばかり大きくなるのも無理はなかった。
459 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 02:58
川の中ほどまで、トオルの天下は続いた。
世界には二種類の人間しかなく、それは奴隷と支配者だ。
そして、トオルは後者であり、船頭は間違いなく前者であった。
我が世の春を束の間謳歌したトオルに、船頭が口をきいてきた。
しかし、その口調はこれまでの態度からは想像もつかないほど乱暴なもので
トオルは一瞬、耳を疑った。
「さて、この辺でオマエには降りてもらおうか」
トオルは訳も分からないまま、固く太い鎖につながれた。驚くほどの早業だった。
そして、その鎖の先にはおよそ50キロはあろうかと思われる錨がつながっていた。
「……!? こんなことして先生が黙っているとでも思っているのか?」
トオルは思わず宗男のことを「先生」と呼んでいた。権威にすがるしかなかった
とも言える。
船頭は口元に残酷な冷笑を浮かべると、憐れむような目でトオルを見下ろした。
「先生の名刺の意味が分かってないようだ。最期だから教えてやるが、
それは、それを見せた相手を『始末しろ』という指令書なんだ。まあ、
オマエには分からなかっただろうがな」
宗男ことマルガリミスッタの冷酷さにようやく気付いて蒼白になるトオル。
しかし、もう手遅れだった。
まだ冷たい水の底に沈んでいきながら、トオルは己の人生を呪うことしか
出来なかった。
460 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 03:23
そのとき不思議な声をトオルは聞いた。
・・・なぁ・・・
「ん?」
極寒の水の底に沈みゆくトオル。
最早、身体中の関節が凍りつき、泳ぐどころかあがくことすらままならないでいる。
しかし脳の中枢神経を刺激するような・・・いや、
本能ともいえるであろう海馬に直接訴えかけているようなその声に、不思議とトオルは耳を傾けていた。
それは死を目前とした、人間にしか聞こえない”幻聴”というものなのかも知れない。
だが、生き残るためのヒントを模索していたトオルにとってそれは
『もしかしたらこいつは”神様”って奴の声に違いないかもな。』
元々無神論者ではあったが今はそれにすがるしかない。
そう思いながらトオルは更に耳を澄ませ、その声に聞き入った。
・・・なぁ・・・ハリウッド版の実写、ドラゴンボールの配役ってどうなるんだろうね?
「ハァ?・・・知らねーよ!!」
とにかくトオルは渾身の力を込めて泳ぎまくった。
動かなかったはずの末端に、怒りからか熱が込み上げてきた。
なんかバシャバシャやってたらなんとか対岸まで泳ぎ着くことが出来た。
「畜生、同じハゲだからってべジータ役にブルース・ウィリス起用したりしねーだろうな。」
いや、正直それもアリかな?などと考えながらびしょ濡れになったシャツを力一杯絞った。
それを200メートル先の船上から目撃していた宗男ことマルガリミスッタ。
「ちっ!失敗だったか・・・仕方ない。『あの方』に始末を依頼しよう」
宗男ことマルガリミスッタは胸ポケットから携帯を取り出すと
その『ある方』に電話をかけた・・・
「もしもし・・・・・のぶ代さんですか」
463 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 14:47
「ぼぉ〜くドラえもん。」
のぶ代は言った。
464 :
女性雑誌にも載ってるよ♪:02/03/19 14:47
465 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 15:15
「ぼくは今、ここにいるよぉ〜?」
「いや、そうではなく。ある奴を始末する道具を貸していただきたいのです」
「ふ〜ん。じゃあそっちに行くよ」
宗男の目の前にどこでもドアが現れ、のぶ代が現れた。
と思ったら…。
「馬鹿が!」
トオルの手にした銃が火を吹いた。弾きとばされた宗男は、おびたたしい
血液をまき散らしながら川に転落した。
「ありがとう、のぶ代さん。助かりました」
「ぼくドラエもん。のぶ代さんって呼ぶなよ」
ちょっとのぶ代の目が怒っていたので、トオルは寒さも手伝って
背筋を震わせた。
466 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 15:24
ふと、トオルは、あることに気が付いた。
「のぶ代さん、何かプレゼントしますよ」
「じゃあ、そば茶と芋ようかんプリーズ!!」
469 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 15:33
「そんなもんあるわけないっすよ」
がたがた震えながらトオルが答えると、
「寒いの?」
のぶ代は真顔になってトオルに訊ねた。
「ええ」
トオルの返事をまたず、のぶ代は服を脱ぎだした。なかなかかわいい体をしている。
「いや、そうじゃなくて、あの、アベコベクリームとか、ともかく、体をあっためる何か
道具出して欲しいんですけど」
「あったまるって」
のぶ代のパンティーは黒のレース。のぶ代はパンティーのゴムに指をかけた。
「いや、俺、困ります」
「あっためてほしいんでしょ? そのままじゃ死ぬよ」
「ですけど、いや、俺なんかますます寒気がしてきたっす」
のぶ代はとうとう全裸になると、川べりに正座をし、太ももと下腹で構成される空間に
川の水を注ぎはじめた。
「あんたなにやってんすか?」
「ほら、そこのキャップとって」
「キャップ? これですか?」
「それホンワカキャップ。それを通すと真水がお酒にかわるんだよ。さぁ、飲みなよ」
「まさか‥‥‥」
のぶ代は満面の笑みで宣言した。
「ハーイ、☆わかめ酒〜」
(そんなの・・・飲めねぇよ!)
と、心の中で思いつつも、トオルは助けられた手前、飲まないわけにも
いかず・・・・
鼻から吸い込んだ。
「なして?なしてんなことするのさ、正好」
「えっ、正好?僕はトオルですが」
トオルは鼻を抑えながら言った
「今のは忘れて、なんでもないから、さようなら」
のぶ代はその場を慌てて去ろうとした。
「待って、待ってよのぶ代さん」
どんどんのぶ代との差が開いていく、
「どうすれば良いんだ・・・・そうだ!!」
トオルは押さえていた鼻を全開にした
鼻から血に塗れた酒が物凄い勢いで噴射した
ズビョビョビョビョ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンポ
476 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 16:09
と、すっかり吐き出してしまって
わかめ酒によってもたらされた酔いが覚めたその時
ふと、トオルは気が付いた。
「別に止めることもないか」
477 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 16:14
「はっ!何なのあれは?」
物凄い勢いで向かってくる得体の知れない塊に、のぶ代は怯えた
「ど、どうすればいいの」
何かを思いついたのぶ代はとっさに自分の秘所に手を突っ込んだ
「あの道具で回避出来るはずだわ・・・あった!」
そしてのぶ代が取り出したものは
478 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 16:15
芋ようかんだった
479 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 16:15
「ちっが〜〜〜〜う」
480 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 16:36
と、自分にするどい突っ込みを入れながら
もう一度取り出したそのものとは!
481 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 16:48
「床でもドア」
482 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 16:52
――床でもドア。
それは、床に貼り付けるだけでそこにドアができるという代物だった。
実際には、ドアではなく四角い穴がぽっかりと口を開けるのだが…
ともあれ、のぶ代は床でもドアをそっと降ろした。
483 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 16:57
「早く入らなきゃ、よいしょっと・・・えっ入らない」
484 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 17:02
ところ変わってここは田代まさしの自宅。
田代はすっかり薄くなった頭をなでさすりながら、過去に自分が
犯した罪を回想していた。
「なんで男湯なんかのぞいちゃったんだろ‥‥‥」
田代は頭をふり、立ち上がった。
(風呂でも入るか)
田代がバスルームに近づいたとき、ドアの奥で人の声がした。
女のようだ。
「‥‥‥」
不審に思った田代がドアに近づいた瞬間、ドアが開き、
すっぱだかの中年女の下半身がにゅっと突き出した。
485 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 17:06
「だっふんだ!!」
田代は気絶した、そしてそのまま目を覚まさなかった。
田代の章、終了。
487 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 17:39
次回新章突入
〜脱獄の田代〜
トオルは考えていた
「のぶ代さんは一体誰なんだ、確かに俺の事を正好と言った」
ふと視線を落とすと、どこかで見た事があるものが落ちていた
「これは、芋ようかん?」
トオルは手に取るとためらいもせず口に運んだ、すると自然と目から涙があふれた。
489 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 17:48
「田代とのぶ代の衝撃的な出会いは放置かYO!」
厨房は叫んだ。
どこかで声が聞こえたような気がした、そのまま聞き流した
「ヤバイな、そろそろあいつも気付いて来たみたいだな、始末するか」
怪しい男は携帯電話を取り出した
「もしもし、ミスター田代、仕事だ」
怪しい男は不敵な笑みを浮かべた。
その頃、のぶ代はまだ床でもドアにつっかえていた。
どこかで感謝しろよ〜という声が聞こえた。
新章
トオルとのぶ代の正体、そして迫り来るミスター田代
ちなみに田代尚子は酒豪らしいぞ。
ミスター田代は自分に言い聞かせていた
「これは仕事だ、仕事なんだ、大丈夫だ」
だが仕事として割り切る、というのは表面的な言い方で、
実際は、現実の出来事と、自分の感情を切り離していた。
ふと、どこがで声が聞こえた気がしたが、さほど気にとめなかった
田代は怪しい男から手渡されたメモを頼りに、あるマンションに辿り着いた。
「ふ〜」
田代は小さく息を吐いた
「いよいよか」
ミスター田代は怪しい男の指定された一室の前に立っていた
周りを見渡して誰もいない事を確認したミスター田代は、恐る恐る手を伸ばした
ミスター田代は窓に手をかけるとゆっくりと開け始めた、辺りに緊張感が走る
誰かがシャワーを浴びているようだ、
田代はカバンからビデオカメラを取り出し、撮影を始めた
「誰なの!!」
(気付かれた!!)
田代は慌ててその場を逃げ出した。
田代は無我夢中で走った。
わき目も振らず、一目散と。
ダダダダッーーーーー!!!!!!!
「ヌリカべーーーー!!」
なおも田代は走る。
♪RUNAWAY〜〜♪
501 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 19:41
♪とても好きさ〜♪ ♪RUNAWAY〜〜♪
ミスター田代は焦っていた。何故なら、彼には前科があったからだ。
やっと芸能界に復帰し、某大学で講演したりバラエティで
全国を旅したりと、ようやく自分の地位を取り戻しつつあった
のに、クスリの・・・・クッ・・クスリの影響で強迫観念が
四六時中彼を蝕んでいた。幻覚症状ともいえるが
「けっけっけっ、貴様はくだらない人間だ。つまらないギャグばかり
言いやがって。誰も貴様など面白いとはおもっていないんだよ。
ミニにタコ ミニにタコ ミニにタコ ミニにタコ・・・・・・・・・・・」
そして妻や子供からも見放され、ギャグ作りと盗撮のみで頭が
いっぱいになっていた。哀れな男である。
更には今、こうして民家を盗撮して逃げているのだ。
しかもその対象が中年男性であったのだ。
田代は逃げた、逃げた。力の限り逃げつづけた。
額から流れ出る汗、抜け落ちる頭髪。
そこに、あの芸能界で活躍していた「田代まさし」の面影は無かった。
悲惨な四十男の哀れな姿がそこにあった。
そして追ってきた男に取り押さえられた
抵抗する気力も なかった(プロジェクトX風)
「おい、俺だよミスター田代」
「あっ三上さん!!」
ちなみに三上さんとは、怪しい男の名前である
三上はミスター田代の肩に手を回した
「長くてつまんない文は書くな、まあこれは置いといて、無事成功したようだな」
「はい・・一応」ミスター田代はビデオカメラを三上に渡した。
すると三上は報酬と共に、ミスター田代にアメリカ行きのチケットと
パスポートを手渡し、「しばらくお前は身を隠せ、また何かあったら
連絡する」と言うと、姿を消した・・・
三上はメモをミスター田代に渡した
「これからが本当の仕事だ、ここに記してある場所にトオルという男がいる」
「トオル??」
ミスター田代はその名前に覚えがあったが、何かの間違えだと言い聞かせた
「こいつをやれ、我等の組織にとって、こいつは危険な存在だ」
「これをやれば、もう私は普通の生活に戻れるんですね」
三上は笑みを浮かべながら
「ああ、お前の好きなようにしてやるよ」
「はっ!!夢か・・・何だったんだ今のは」
ミスター田代は三上の手はずにより、アームズを移植された
ベットの傍らには2つの箱があった
一つはアメリカ行きと書いている箱、もう一つはトオルと書いてあるメモ
「どっちを開ければ良いんだ」
ミスター田代はなぜか、トオルの文字に引かれた
トオルと書かれてる箱を開けると、辺りが霧に囲まれた
511 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:12
白昼夢を見ている間に、田代の周りを警官が取り囲んでいた。
ミスター田代は再び逮捕されてしまったのだ。
しかも腕に残っていた注射針の後から麻薬常習犯であることがバレた為、
ミスター田代は再び人前に姿を現すことはなかった。
捜査担当の刑事はこう言っていたという。
「今更田代かよ」
そして霧はやがてトオルの幻影となり、一種のサブリミナル的な暗示が
田代にかけられた
「トオルを殺れ・・・トオルを殺れ。殺ら無ければお前が死ぬ」
「ここは・・・ネバーランド。」
(新章)千と田代の神隠し
砂時計により、
>>511の出来事は現実世界で起こっていることだった
516 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:16
「ここか、ここにトオルがいるのか、トオルを殺せ、それが命令だったな」
田代は自分の腕の異変に気付いた。
「なんだ、この腕は、そうか、これでトオルを・・・」
そして腕が共振した。トオルに対しての激しい憎悪と怒りがそうさせるのか?
「汝は力が欲しいか・・・・?力が欲しいのなら・・・・くれてやる!!」
518 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:19
「ミスター田代」
「誰だ!!」
田代は振り返った、そこには白髪の少年が立っていた
「君が、トオル君・・・なのか?」
「違う、私は仲谷昇。やあみなさん、私の研究室へようこそ」
520 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:21
「そうか、やっと分かったよ、君はやはり私の息子だったんだね」
田代の右腕が暴走し始め、形を変えた
「私は、君を殺さなければ、いけないらしい」
521 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:21
白髪の少年はこう答えた
522 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:23
「うおおおおおお〜〜」
田代は全速力で向かっていった。
すると突然目の前に床が現れた。
「おいしょっと」
ふぐべっ!!!!!!!!!!!!!
524 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:25
>>521 「お好きにどうぞ」
目の前に変な物体が現れた、田代は問い掛けた
「お前は誰だ!!」
「僕どらえもん」
525 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:26
(´´
∧∧ ) (´⌒(´
⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
 ̄ ̄ (´⌒(´⌒;;
ズザーーーーーッ
ネコが現れた
526 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:26
大山のぶ代だった
527 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:27
その場にいた猫を丸かじりして言った
「そば茶と芋ようかん御くれ」
528 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:28
,: 三ニ三ミミ;、-、
xX'' `YY"゙ミ、
彡" ..______. ミ.
::::: ::;
,=ミ______=三ミ ji,=三ミi
i 、'ーーー|,-・ー |=|,ー・- | ,-v-、
>>527よ!まあこれでも食え!!
i; ':: ::: ーー" ゙i ,ーー'j / _ノ_ノ:^)
ーi:: ::i: /`^ー゙`、_ ..i ,.、,、,..,、、.,、,、、..,_ /i
|:::. ゙"i _,,.-==-、;゙゙i ;'`;、、:、. .:、:, :,.: ::`゙:.:゙:`''':,'.´ -‐i
〉::.:.. 丶 " ゙̄ .'.ノ _'、;: ...: ,:. :.、.:',.: .:: _;.;;..; :..‐'゙  ̄  ̄
/ i, `ー-、.,____,___ノ\____(" `"゙' ''`゙ `´゙`´´
ー'/ 'i. ヽ、 ,二ニ/ \ ``ー-、 ゙ ノ
/ 'i、 /\ / > ( `ー''"ー'"
\ 'i," (__) / / \ /ノ
529 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:31
のぶ代はエビフライ親父を丸かじりした。
530 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:33
田代は状況を混乱していた。
「大山のぶ代?、のぶ代なのか、本当にのぶ代なのか」
のぶ代は無心にエビフライ親父を食べていた。
「こんな姿になって、ほら見ろ、私とお前の子供が目の前にいる」
531 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:33
そして誰もいなくなった
532 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:34
「どこに言った、トオル、トオル〜〜〜〜」
のぶ代はいつまでもエビフライ親父を食べていた
「
533 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:35
新章
すべての謎が解ける時
534 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:37
場所は変わってここは毛利探偵事務所
535 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:38
ここらで遅れて来た解説者に整理を願いたいと言う声が聞こえた
現在準備中
537 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:43
過去レス読めよ。クソ厨房どもが。
538 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:44
突然、誰かのヤジが聞こえた
539 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:49
だが、私は走り続けた。そう、もう走り続けるしかないのだ。
540 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:50
ひろしはあくまで冷静に推測した
541 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:51
そんな下らない低俗極まりないヤジは無視して、
ノドカは名探偵コナンを読みながら走った。
542 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:52
「ノドカはなぜ走りながら名探偵コナンを読んでいるのか」
543 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:52
ネットアイドル志望の少女だからだ
544 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:53
そしてひろしは悟った
すべてが繋がる鍵はそこにあるかもしれない
545 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:55
「過去レス読めよ。クソ厨房どもが。」
突然、ひろし脳内にこの言葉が過ぎった。
546 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:56
「すべての答えはネットアイドル、そして過去だ!!」
547 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 20:57
事件の鍵を握りっ屁
548 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:00
「いかん、いかん、」
そんな下らないギャグを思い浮かべてしまった自分に、
ひろし恐ろしく腹が立った。
549 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:00
事件の真相を悟ったひろしは、じきに命を落とすことになる
550 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:03
思えば、楽しみにしていたヨーグルトを、
大仁田あつしにに食べられていたのが、
すべてを物語っていたのかも知れない。
551 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:04
ひろしの運命を握るのはまあやというばあやだった。
その頃、別の組織「闇の医師会」が動いていた。彼らの知らぬ所で
まあやは真綾と書き、かって歌手として活躍した婆やである
554 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:06
そう、彼の知らない県で・・・・・
555 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:07
志村けん 高倉健
556 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:07
まさかこの婆さんも?と一瞬、嫌な考えが浮かんだが、恐ろしくて口には出せなかった
557 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:09
>>555 最近、ひろしは変な妄想が浮かぶらしい、
558 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:09
ひろしはこうも思った「そういえば他の連中は何処にいったんだ?」
559 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:11
「ひろし・・・こっちを見るがいい」と真綾ばあや
560 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:13
真綾ばあやはひろしと対峙した
561 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:14
「ん?何だここは、なぜいきなりこんな所に、無理矢理過ぎないか」
562 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:15
真綾ばあやは「1行リレー小説町には行かぬほうがいい・・・あの町は・・・」
563 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:16
「あの町は・・・・」
564 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:16
「なにがあるっていうんだい?」
565 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:17
真綾ばあやが口を開こうとした瞬間、ばあやの胸に
メスが突き刺さった。「ぐふっ・・・・」
そう、遂に「闇の医師会」が始動したのだ
566 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:17
「コードネームARASHIがたった一人で住んでおるのじゃ!」
567 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:18
「もう近県まできていたのか!?」
568 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:20
ひろしの目前で、真綾ばあやは息絶えた
ばあやは
>>566の言葉を発する前に、組織により消されてしまった
569 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:20
「ひろしは死なす事は出来ません、謎を解く重要な人物だ」
なぜか闇の医師会達以外にも、この言葉が届いた
570 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:22
しかし、ばあやのダイイングメッセージがひろしの腕に刻み込まれていた。
571 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:23
「しかし、奴は危険だ・・・・。その危険を冒してまで解く価値のある謎なのか?」
572 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:24
「謎は謎であることを見破れる人でないとむずかしい」
573 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:28
ひろしはダッシュした。腕にばあやのメッセージを残したまま。
574 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:32
ダ〜ンクシュート
575 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:33
ひろしのダンクシュートが決まった。喝采が彼を包んだ
猫の目のように変わるストーリー展開と、現れては消える登場人物たち。
混乱している読者諸兄の為に、ここでざっと登場人物を紹介しよう。
―― 雪国の章 ――
■藤原…映画界から淘汰された監督。親友佐々木を殺したスナイパー、犬まゆげを追う。
■山本ひろし…素人探偵。タクシードライバーでもある。かつての"マドル"の英雄。
■渡辺トオル…ゲームの中では近藤マコト。気丈夫で酔っ払い。ちなみにケンたちとは関係がない。
現実世界では臆病で優柔不断と、弱々しい少年。偏差値78と、頭はいい。
■鈴●宗男…マルガリミスッタの仮の名前。本名は時々変化するので不定。権力者。
本編に度々登場する「砂時計」は択捉島の特殊な砂で働くらしい。
■ムル★カ…鈴●宗男の秘書。身長は2メートル。
■順子と梢…マルガリの娘たち。
■船頭…鈴●氏の部下。
■大山のぶ代…マルガリの一味だったが、ボスを裏切った。敵か味方か誰も知らない。
渡辺トオルを正好と呼ぶ。過去に何かあったのだろうか。
■田代まさし…厨房に大人気。三上の部下。
■三上…某プロデューサーのような言動の男。何かを始めると「新章」と言う。
ちなみに本編は章ごとに分かれておらず(解説は別)、読者は混同されないように。
―― ひろしの夢の章 ――
■山本ひろし…マルガリによって棺桶に入れられ悪夢をさまよう。
■真綾ばあや…歌手だったばあや。番号付き名無しや春休み中の名無しに大人気。
■ひろし…山本ひろしの少年時代の姿。悪夢の主人公。いつ覚めるのかは誰にもわからない。
いつもご苦労様<解説者
田代のお話で禿しく笑った読者が反省した、という空耳が聞こえた
579 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:39
ダンクシュートをした瞬間、空耳が聞こえたひろしは真綾ばあやのダイイング・メッセージを解読しはじめた。
580 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:41
ひろしはあくまで冷静に推測し、ばあやのメッセージを解読した
ひろしは改めて、ばあやのメッセージを声に出して読んだ
582 :
名無し物書き@推察中?:02/03/19 21:48
「謎は謎であると・・・」
口に出して呟いてみて、それから指で空中に書いてみた。
謎。
・・・謎? 謎という字は・・・「言う」に「迷う」。
まさか。「言葉に迷う」?
583 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:48
「コードネームARASHIがたった一人で住んでおるのじゃ!」
だが、それではまだ見えてこない。「言葉に迷う」とは?
「食虫動物のように?あの町に俺が来るのを?舌なめずりして待っている・・・?」ひろしは表面的に読める言葉ばかりを追った。
いや違う違う。若き素人探偵はもう一度メッセージを思い出した。
「言葉・・・迷う・・・言葉・・・迷う・・・言葉・・・」
頭の中で、延々とその文句が反芻した。
「迷う・・・ロスト・・・・」
その頃、闇の医師会は新たなる刺客を送りこんでいた、その名は
桃太郎侍。
ひとつ 人よりちょっとでかい
ふたつ ふたつの金玉を
みっつ みせてあげよう ホイのホイのホイ
591 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 22:00
戻って、ひろしはまだ考えていた
ふと、ひろしは思った。接続語も句点も使えないやつは死んだ方がマシだ、と。
593 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 22:07
だがそんな事は今は関係無い、まずは真綾ばあやの真意を汲み取るのが先決だ
そうだ、騙されてはいけない
595 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 22:12
ひとみ閉じたら ふたりになれる
いまたとえ この部屋独りでも
It's my only Destiny
ひろしはポエムを独りごちた。いわゆる陶酔状態。
「分からない、どうしても分からない」
その時、ひろしに奇跡が起こった。
闇の医師会の送りこんだ使者 桃太郎侍は
600をゲットするのが使命である
「ハア? この板でゲッター気取りかよ。医者逝け」
そんな言葉と共に、後光の眩しい女神が降り立った。
「あなたは・・・?」
驚きを隠せないひろし。
600ゲットに失敗した桃太郎侍は、体内に埋め込まれた時限爆弾で
地中海沖で爆死した
602 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 22:22
桃太郎侍には家族がいた。
家族は桃太郎侍の死を悲しむに違いない。
603 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 22:23
女神はひろしにこう告げた
「卵から卵油を作りなさい」
憔悴したひろしの耳にその言葉は届かなかった。
小説で句点の付けられないやつと同じくらい、女神は死んだ方がマシな存在だと思った。
桃太郎侍は逝った。だが闇の医師会の幹部達は次なる手を必ず打ってくるだろう。
606 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 22:28
ともかく女神はひろしに重要な示唆を与えてくれるはずである。
ひろしは、2種類の厨房が、自分の事を見ている事に気が付いた。
その2種類とは、こうである。
仕切りに桃太郎の名を流すロドムと、文章の基本を説くまさ爺だ。
ひろしはその2種類の厨房は無視して、女神から話を聞こう思った
しかし、ひろしの推理は当たっていたらしい。目の前が明るく開けた。
女神のからだが二つに割れ、天への道ができた。
謎は解けたのだ。「言葉に迷う」・・・イコール「他人の文章への薀蓄」。
悪夢の真実が明らかになった。
遂にひろしは謎を解いた。そして今、自分がしなければならない事を考えた。
現実の奪還。そうだ、自分の使命は闇渦巻く汚い陰謀を阻止することだ。
暗い閉鎖的な空間でひろしは目覚めた。そしてそこが棺桶の中だと知った。
しばしの静寂がひろしを包んだ
振り返れば色々な出来事があった
多くの人と出会い、そして別れてきた
今こうしてここにいる自分の意義を
改めて考えてみると、やはり自分は
何かの使命を持って生まれてきたのでは
ないかと思えてきた
「俺は・・・一体何なんだ」
棺桶の中で目覚めたひろしは、そう呟いた。
「そうか、俺はマルガリの企みでこの棺桶に・・・・」
618 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 00:38
「それで思い出したけど、フローズンマルガリータ飲みたいな♪」
と、ひとみが言った。
ひとみとは、のぶ代の9つ下の妹で
異母姉妹なのでのぶ代とは全く違うタイプの
すらっと伸びた足とおへその形が格好いい
今時の女の子だ。
ひとみは、棺桶から出てきたひろしに気が付くと、
「んちゃ!!」
620 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 10:16
「がっちゃん今日も元気だね〜」
って、アラレちゃんかい!
621 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 11:34
がっちゃんは今日も元気そうだったが
数日後には病に倒れたという。
ひろしはふと思った。
623 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 12:01
「なぜ今日はあったかいんだろう」
624 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 13:49
ひろしの手のひらには、ほかほかのうんこがのっていた。
つんつん、アラレちゃんがそのうんこを突付いていた。
626 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 19:39
その時だった、ペンギン村上空に雲のマシンに乗った少年が現れた
627 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 19:50
「おっす」
628 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 19:51
うーん。
「君、ボキャブラリーがないね」
ひろしは呆れ顔で言った。
630 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 21:18
「ボキャブラリー?それって美味いのか?おら、食ったことねぇな。」
それより、おめぇこれに乗れるか試してみるか?
と、言われてひろしはその雲のような乗り物に乗ってみることにした。
これに乗って、あいつの背後から忍び寄れれば・・・
「なわけねーだろ」
いきなり田中に蹴られた。いてて
すると、見る見るうちに、田中のキン○マは、増幅していった。
いきなり医者が現れた
「これは片方の玉を切除しなければいけませんね」
「田中かよ!!!」
634 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 11:21
と、ひろしが怒鳴った。
田中はひろしが田舎にいた頃の近所の悪ガキだ。
そこでひろしに一つのいい案が浮かんだ。
635 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 13:18
「そうだ。あいつのキソタマを全部取って、そこに
マソコをつけてやれ!お〜〜い!看護婦さん。マソコ
をもってきてくれないか!」
636 :
名無し物書き@推敲中? :02/03/22 19:39
田中はキンタマをとったら、インポになってしまった。
「インポというな!EDと言え!」
田中は、大声で怒鳴った。
所変わってここは池袋駅前、ここにある人物が来る事を聞きつけた三郎は駅前で張り込んでいた
639 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 23:03
「一体誰がくるんだ?」
上からマシンガンの嵐が降り注いだ。スコールの如く襲い掛かる鋼鉄の爪。
咄嗟に三郎は前に跳ね出た。
641 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 00:47
そのはずみでおならが出た。
消え入りそうな音とは対照的に、すんげ〜においじゃった。
地球中に充満するその臭い。
643 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 00:53
あわれ、地球には酸素がなくなってしまったようじゃ。
644 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 01:16
「なわけねーだろ!?」
タバコに火がついているのを見ると、酸素はまだ残っているようだ。
しかし火の持つ光は弱々しい。
急にタバコがしゃべり始めた!
646 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 01:34
「ったく、てめえ息臭いんだからよぅ・・ブツブツ」
647 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 02:21
「俺のハートに火をつけたようだな!」
「ひゅうー萌え〜。」
648 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 02:26
タバコが絨毯に燃え移った。火は次第に大きくなる。
ひろしは慌ててそのタバコを消した。でもタバコの火を
消したところでどうにもならない。しばらく考えた末、
消防車を呼ぶことにした。
649 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 02:31
受話器をとりあげてすばやくダイヤルする。
「もしもし」男の声だ。
650 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 02:36
「もしもし」火はもうカーテンにまで燃え移ろうとしている。
完璧に手遅れだ。僕は焦った。
「救急車一台回してください。場所は・・」
651 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 02:39
「ニューよ〜クシティ93−48−3」
そうだ、ここはニューヨークだったんだ。
でもなんで救急車をよんでしまったんだろう?
「違う、俺だよ、お前が待っているはずの男だよ」
653 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 10:57
「俺は男には興味ない」そう言ってひろしは受話器を置いた。
そしてまわりをみわたす。
激しく燃えるカーテン。窓ガラスも変形してきている。
絨毯からはドス黒い煙がたっている。急にむせこんだ。意識が飛びそうだ。
呆然と立ち尽くすひろし。
なんて妄想をしてみたが、すぐに気を取り直して
「何でばれたんだ、この情報は漏れてないはず」
この情報は漏洩していないはずだったが、ひろしはピチ糞を漏らしていた
656 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/24 19:42
■■■■■■■■■■■■第一部 完■■■■■■■■■■■■
提供 シオノギ製薬
657 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 07:05
第二部〜KANON〜
658 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 08:01
12人の妹達
659 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 09:51
某スレ1の運命やいかに!?
660 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 15:37
映画館を出て、ノドカは言った。
「そう言えば、あたし、アメリカでマルガリミスッタに会ったのよね」
「そうそう!おまえが便所借りた家だろ?俺もおまえ追いかけてってマルガリの家発見したんだ」
「こんなとこに来てしまったのも岩男のせいなのよね」
「岩男どこ行ったんだ?おーい!い〜わ〜お〜!!」
ケンは空に向かって叫んだ。
「ぼくドラえもんですー!!」声と共に女が降ってきた。
「あ!のぶ代!」
「のぶ代、どこでもドア出して。あたしたちアメリカにもどんないと」
のぶ代は右手で四次元ポケットをまさぐりつつ言った。
「マルガリミスッタに会いたいんだったら択捉にいるよ」
「え、そうなの?」
「ともかく、どこでもドア早く出せよ」
ケンにせっつかれ、ポケットの中からいろんなものを出しては投げ捨てるのぶ代。
23番目に彼女が手にしたのはネコだった。
「あ、あたしのネコだわ。のぶ代、これをどこで?」
「択捉の海で、船から落ち、溺れていたのです」
「いいから、早くどこでもドア出せよ!」ケンは痺れを切らしていた。
661 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 15:48
ようやく出てきたどこでもドア。
これで一気に箱根から択捉へ――そう思いきや、扉を開けると公衆トイレだった。
「ケン、トイレに行きたかったの?」
「わるいかよ!」
662 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 15:52
「ちょっと待って」
トイレに駆けこむケンをノドカが引き止めた。
「ここ、見覚えがあるわ」
「うっせーよ!」
ケンは走り去った。
663 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 16:21
ケンはトイレの中でポツリと呟いた。
「3度の飯よりうんこがLIKE」
664 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 16:23
そこに麗しきサトゥリヌスが現れた。
「汝を食ってやろう」
665 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/01 18:23
武田は叫んだ
「ジュリア・ロバーツってなんかヤな感じだーーー!」
666 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/01 18:50
麗しきサトゥリヌスはケンの背中から尻にかけて
バターナイフでゆっくりうんこを伸ばし、
ちゅるりと玉から精子を吸い出した。
「さ、いただきます」
「・・・てゆーか、めっさ精子やんけーー!」
麗しきサトゥリヌスは自分で最も麗しいと思う自分ツッコみをした。
668 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/02 16:23
「今日は氷川きよしのコンサートだぁ」
武田はうんこまみれの背中をウォシュレットで流し、コンサート会場へ向かった。
するとサトゥリヌスは「待ぁてぇ〜」と言って武田を追いかけてきた。武田は
バスに乗り込んだ。サトゥリヌスも同じバスに乗り込んだ。それを確認した武田は
バスを降りた。サトゥリヌスも降りた。すると武田は再びバスに乗り込んだ。
サトゥリヌスも乗り込んだ。しばしの沈黙のあと、二人は笑みを浮かべた。
「サトゥリヌス、君の執念には頭が下がるよ」
「何を言うんだい、武ちゃん」
バスの扉が閉まろうとしたその瞬間、武田はサトゥリヌスをバスから突き落とした。
サトゥリヌスは信じられないといった形相で武田を見つめた。武田を乗せたバスは
無情にも走り去っていく。サトゥリヌスは74年間生きてきて、初めて屈辱を味わった。
「武田ああああああああああああああああああああああああ!!!!」
目には涙が溢れていた。そしてサトゥリヌスは夕日に向かって走り出した。
「ジュリア・ロバーツの真っ直ぐな感じが嫌いだーーー!!」
サトゥリヌスもジュリア・ロバーツが嫌いだった。
669 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/02 17:32
サトゥリヌスとは、マルガリミスッタの部下の変装であった。
ケンを追うサトゥリヌスも、武田を追うサトゥリヌスもマルガリミスッタの手先である。
670 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/05 22:33
ついでに、武田もサトゥリヌスの変装である。
671 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/05 22:38
「ついでとは何かね?」
突然武田が振り向きこういった。
あまりに突然だったのでサトゥリヌスは一歩ひいて刀を構えた。
「貴様、やるのか?」
「いや、どっちにしろ次俺の番だし。やるやらねえじゃ無くてやらなきゃいかんのよ。」
愛銃「ポルチーニ」を構える武田。
673 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/06 11:54
「バン!」
武田は自殺した。
674 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/06 13:50
サトゥリヌスは叫んだ。
「ちょっと、まだ入れてもいないじゃない!」
675 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/06 16:05
なんと武田に変装していたサトゥリヌスは
マルガリミスッタの手先の変装だったのである。
676 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/06 21:03
あっかんであっかんで
677 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/06 21:09
「先が触っただけでイッたとはな。フフフフ・・・・・」
木の陰に怪しく立つ男が一人。
678 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/07 14:53
ー完ー
679 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 22:42
あとがき:
1よ、
一応筋の通った部分までを保留しておいて
またスレ立て直して続きを書くのもいいと思うのだが
その前にこのスレ、このまま放置しておくのか?
それとも後書きを加えるのかはたまた白昼の下にさらすのか?
閑話休題
あと2日くらい待って1が来なかったらリンク張ってみるか
いや別にリンク張るくらい1の確認取る必要ないだろうが
1がこれを続けたい場合を考えて、付け加えてるんだと自己弁論。
1です。立て逃げしてました。
僕は2度とこの板には来ませんので後は勝手にして下さい。
686 :
名無し物書き@推察中?:02/04/23 20:23
保守
俺が
>>678で「完」とか書き込んでしまったばっかりに・・・
このスレ好きだったのになぁ
閑話休題
うわー。オレが2ヶ月近くネットに繋げられない状態に陥ってから
このスレ、こんなことになっていたのか。
しかもこのスレッドがここまでみんなに愛されていたとは・・・。(訂正:×みんな ○一部のマニア)
感謝の意を込め、1宛てに送られたと思われるであろうメッセージのみにレス。
>>680 あわわ・・・遅れて来た解説者さんホント申し訳ないです。
貴方様が一所懸命考えてくれてるときにオレエロ動画とか観てたかも知んないッス。
ホント申し訳ないです。
>>682 あーごめんなさい!2日も猶予をくれたのに、オレ2日どころか2ヶ月もネット繋げられなかったです。
でも昨日からネット再開と共にADSLも導入しました。今更かよ?と思われるかも知れませんが
今更?です。ごめんなさい。ADSL導入とか生意気なことしてごめんなさい。
>>683 ってゆーか、一瞬日付けみて「オレこんときまでネット繋げてたっけ?」とか勘違いしちゃっただろうがよ
騙るんならもっと面白いこと書きやがれ。そしたら堂々と「オレが書きました」ってことにするからよ。
「騙り」ってのはそもそもそんなもんだろ?そんな感じだろ?違うか?違うだろ?・・・違うね。
>>684 多分やさしい684はオレのことを気遣ってそんなことを言ってくれたんだと思う。ありがとう。
確かに683は完全に人生に挫折しているが、オレは挫折してないよ。今のところ。
>>685 何だよ「投げキッスを送る」て。おまえんとこのトップページのポエムみて帰ってきたよ。
「投げキッス」とかって言葉、安易に使うなよ。恥ずかしいよ。送られる方が恥ずかしいよ。謝れよ。
>>688 一応、こうして帰ってきたのだが果たして他の人達の反応はどうなのであろうか。
もしかしたら「ジェイソン]」みたいな扱いにはならないだろうか。
『あの13日の金曜日のジェイソンが、今度は宇宙で大暴れ?!』みたいな。ホントどうでもいいよ。これ。
閑話休題
>>689 わーい、1だ。
>>680 >>682 >>684 としつこくこのスレ見てたよ俺。
鯖2回も変わるし、ログ3種類保存されてるよ(w
正直、こんなに飽きずに待った1はキミが初めてです
でね、勝手ながら
>>680の通り今このスレのリライト版を作ってます
というかある板で連載してます
勿論、このスレでそのままリレー小説続けてもいいんだけど
キミが 「 >ホントどうでもいいよ。これ。 」
と思ちゃったなら、リライト版に参加しないか?
リレーじゃないんだけど1の文章好きなの俺。
ちょっと用事があって数日間俺不在なんだけど
興味があったら
http://news.2ch.net/test/read.cgi/news7/1022164842/に行って 誰か固定ハンドルに「迷探偵へ了解(or断わる)と言伝て」とでも伝えて呉れ
長文&回りくどくて失礼。必死なんだけど不在でしょうがないんですよ
―― 閑話休題――
おおっ!1ハケーン!この文は紛れもない1のものだ。一部のマニアのオレが言うんだから
間違いないよ(笑)いやいや、おかえり。
1がいなくなってからのこのスレの荒廃振りは筆舌に尽くしがたいものがあったよ・・・。
過去レスもまともに読めずに他人に解説を依頼する厨房やら、どこかの一行リレーのノリで
脈絡のないレスつける厨房やら、流れや空気の読めない厨房やらがわんさか沸いて。
・・・でどうする?遅れてきた解説者の言うように筋の通った部分から再開するか、新しく
パート2でも立てるか、それとも全く新しいリレーを始めるか?リライト版も興味あるな。
690、出来たらどの板でリライト版やってるのか教えてくれないか?
ここで言っちゃったらまた厨房に荒らされるか・・・。
まあ、とにかくおかえり1。オレもずっと気になって覗いてたんだよね(笑)
失敬ながら閑話休題
おや親切な解説者じゃないですか。ご無沙汰。推察中?です。
古参は見てるんだなぁ。1が訪れたその日にレスだもの(w
で、親切な解説者君(ゴメンネ君付け)、君の言う通りリライト晒すと荒らされそうです(w
それに、言い難いんだけどこの板の住人はプライドが高いでしょ
高尚な文章、とか、語尾の統率、とか、古い趣向の人も居れば
勿論、自分なりの新感覚を求めたり、もしくは独り善がりの文章の人も。
リレー小説は個々の相違ありきだけど、認めない人も居るんだよね。
かく言う俺もそんな発言したし。
それから、俺はちょっとネット不在になるので上記のスレを張っておきました。
dat落ちしてても同じようなスレタイ捜せば絶対あるので。
親切な解説者君にも参加して欲しいですよ。
ボクはニュー速7の「迷探偵」です。よろしく。またもや長文失礼。
694 :
名無し物書き@推敲中?:02/06/18 19:50
695 :
名無し物書き@推敲中?:02/06/28 10:15
「ぷぷぷっぷろれすにゅーす」
今度の更新が楽しみです。
応援してます。頑張ってください。
どうもありがとう。もう少しで新編を載せますね。
698 :
名無し物書き@推敲中?:02/07/15 18:03
699 :
名無し物書き@推敲中?:02/07/26 23:19
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
700 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/07 15:09
700
701 :
あぼーん巡査長:02/08/08 21:22
そしてこれが701回目の逮捕だ。
罪名は児童買春、児童ポルノ所持、少女淫行・・・
702 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/08 17:16
703 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/15 22:04
あーあ^−
その叫び声の平坦さはもはや諦念すら滲み出していて、
私の心はどんよりと落ち込んだ。
が、しかし。
そんな考えをも吹き飛ばす、大きな発見に私は凍りつくほどの驚きを覚えた。
「『^』が付いている・・・・!」
705 :
名無し物書き@推察中?:
保守ageしてくれた皆さん、ありがとうございます。
新編「復活編(上)」をうpしました。
全話は以下の通りです。
序章→探究編→対決編→究明編→回想編→叛乱編→復活編→野望編
現在の復活編と、予定の野望編で、この話は幕となります。