エロティシズム In the case of her
わたしはいらない子なんだと。
そう悟ったのはずっと子供の頃だった。
煙草の灰が落ちる。
その数を数える。
指先が震えていた。
人の顔が見えない。
視力は悪い。
ただそれよりも人の顔が人の顔として感じられない事の方が多い。
煙を吸い込む。
彼はいやがるだろう。
解っていても、煙草だけはやめるわけにはいかない。
ありきたりなメンソール。こだわりなんか何も無い。ただ、必要なだけ。
輪郭を持たない人の群に、影がひとつ動いた。
それが、私にはわかった。
駅の階段を、いつもの大股で降りてくる。
気づくのは彼の方が早い。
やあ、と、彼は言った。
私は吸い殻入れに煙草を捨てて駆け寄る。
転ばないように、すこしもつれて。
「食事、どうする?」
答えはたいてい決まっていた。
それでも、彼はいつもそう聞いてくる。
私は同じように答え、いつもの道を行く。
何よりも。
不安が霧散していくのが実感できる。
彼の手を握る。暖かい。
彼はいつも辺りを見回しながら道を歩く。大股に、早足に。
私が見ているのは彼だけだ。
他の何も見ない。
コンビニへ入り、飲み物とパン、そしてお菓子を少し買う。
彼はチョコレートが好きだ。そして、煙草が嫌いだ。
「どうだった?」
聞かれる。
カウンセリングの事だ。
私は子余り代わりがないと伝える。
彼の言葉が少し濁っていた。
最近、良くないんだと言う。
多分薬の性だろうと。
何度も、どもっていた。
ろれつが回らなくなるという。
同じクスリを、私も飲んでいた。
それでも奇妙なモノで、効き方は子矢張り人によって違う。
たまに、酔ったようになる。
そういうと、彼は少し笑って、気を付けようね、と言った。
周りの輪郭が熔けだして、私は彼と二人になる。
>作者
読んでるよ
部屋に入ってすぐに彼と抱き合う。
いつものホテル。
いつもの時間。
いつもの唇。
いつもの匂い。
彼のこわばった部分が私のお腹に当たる。
あ、と息が漏れる。
背の高い彼に抱きすくめられ、よろけながらもますます腰が密着する。
受け入れたい。
衝動が、私の中を溢れさせる。
して。
ささやいた。耳元を吐息が愛撫する。
まだ入り口で、ブーツを履いたまま私はかがみ込み、彼のズボンのファスナーをおろした。
トランクスの先が塗れている。それが鼻孔をくすぐる。
ああ。
再び吐息が漏れる。
布地の上から、指先で彼の者を触る。くすぐり、這わす。
彼があえいだ。
可愛い、といつも思う。
背が高く、厳つい顔をしている彼が、私だけに見せる表情。
甘くねだる声、吐息、快楽の印。全てが私のものだった。
懇願する声に、少し意地悪をしてから、私は溜まらずに彼のものを直にさわる。
熱く脈打った陰茎は、標準よりやや大きい。皮は完全にむけていない。それがまた愛おしかった。
つっ、と、舌を這わせた。
先に溜まった透明な粘液をすする。
彼は又甘くあえぐ。興奮が体の真を熱くさせる。
指で剥いて、飲み込んだ。
彼の全てを、私の中に入れていった。
彼が私の舌で感じている。
彼が私の口の中で大きくなって行く。
彼が私だけに見せる顔が好きだ。
彼が私にだけ向けてくれている情欲が好きだ。
亀頭の裏の筋を舌先でくすぐる。
全体でこすりあげる。
息づかい。
求めている。
彼が、私の体を求めている。
私の中に入りたがっている。
その感覚にゾクゾクとした。
右手で陰茎をこすりあげる。
左手は後ろに回して這わせる。
顔を動かし、ストロークを早くする。
熱かった。彼も、私も。熱病のように熱かった。
それでも彼は、いったん私のアタマを両手でとどめ、この甘美な時間に小休止を入れる。
かと思うと、すぐにわたしを後ろ向きにして、壁に両手をつかせる。
多分、お尻を揺らしていただろう。
ああ、と、私は又高揚感の中息を吐いた。
入ってくる。
彼は決して乱暴ではなく、それでいて素早く私のスカートをたくし上げ、ストッキングとパンティをおろす。
挿れたいよ、と背中越しにささやく。
彼の囁きだけで、わたしは又溢れさせてしまう。
彼が望んでいる。
彼に望まれている。
熱い。
私の中も、彼のものも、例えようもなく熱く、塗れていた。
それが、ぬらぬらとじらすように私のクリトリスや膣の入り口の辺りを上下している。
かすれた、悲鳴。
懇願の吐息。
いやらしく、娼婦の腰使いで彼のものを飲み込もうとしていた。
あ、というまもなく、急にそれが入ってくる。
彼がささやく。
私は、吐息の速度でそれに応える。
上り詰める限界で彼は引き抜く。
嫌になるほど、心得ているのが憎らしかった。
彼は自覚していないが、そう少なくともわたしに対してあらゆる点で悩ましかった。
追いすがるように、お知りを動かす。
浅ましい。牝の動き。まるで私の母。
ねぇ、とだけ漏らす。懇願。今此の時点でのそれは、まるで神にすがる殉教者。
彼はまたじらすように、ワギナからついっとアナルの辺りまでペニスを這わせ、それでも貫いてはくれない。
ベッドに行こう、と。そう行ってズボンを履く。
振り向いて、彼の頬が上気しているのが解る。
求めている。
私を求めている。
彼の情欲と。
そして、寂しさ。
上着を脱がしていく。脱がしつつ、首筋、耳、そして乳首へと吐息を絡め、舌を這わせる。
ああ、と。官能を刺激するあえぎ声。
私は彼の上に乗って、再びキスを求めた。
彼の口蓋を舌で責める。はしたなく、涎が口の周りを汚している。
右手で再びスカレの股間をまさぐる。
この感触が好きだ。この熱が好きだ。
私はおかしいのだろう。ペニスをさわるときが、一番心が安定する。
相手が私にペニスをさわらせてくれているというそのコト。それが、私の気持ちを心地よい位置に引き上げてくれる。
先ほどの、私の愛液は既に乾いていた。それでも、ズボンの先から黒いシミがでている。
凄いね…。
耳元を愛撫しながらささやく。
「もうこんなに堅くなって…ぬるぬるしている…。いやらしいなぁ」
小さく、彼は応える。
いやらしい彼が好きだ。
いやらしく私の体を求める彼が好きだ。
可愛らしくもだえる彼が好きだ。
私の手で、口で、舌で、そしてワギナで感じてくれる彼が好きだ。
わたしは彼が、わたしの手の中で大きくなることに例えようもない至福を感じていた。
彼が私を思っている、証拠のひとつとして。
ベッドに寝ている彼は、あるいは王様のよう。
私はその彼に尽くす奴隷だ。
甘えたがりの王様は、すぐに私を抱きしめる。
抱きしめて、もしかしたら壊してしまいたいのかもしれない。
彼は私の背に回した手を、ゆるゆると肌を伝って、おしりに回す。
そうして、濡れたワギナを両手で開くのだ。
私は今彼の上にいる。
下から、彼のペニスが私の入り口を彷徨う。
ああ、と、溜まらなく私は彼の唇を求める。
息を求める。
唾液を求める。
そして、吸い尽くす。
ああ。私は彼の言葉を待つ。彼が、私の望むことを問いただすのを。
問われ、それから答え、そうしてから、私と彼の熱が混ざり合う。
言葉の熱が、体の熱が、そして粘膜からあふれ出る、情欲の熱が。
いれてほしい。
耳元で懇願する。
もしかしたら、いれたい、と懇願されたのかもしれない。
覚えていない。
覚えるつもりも無い。必要もない。 互いが求め会うという事に、その事に、私の芯が濡れるからだ。
彼のペニスは、易々と私の中へと入る。
私は悲鳴を上げている。そう、喚起の悲鳴だった。
そして彼は私の下でもだえ、あえいでいる。
腰を動かす。
膝建ちで、彼のペニスを上下させるように。
ああ、ああ、と、彼は繰り返している。
同じように、ああ、ああ、と、私も繰り返している。
「だめだよ」
彼がささやいたような気がした。
「止めて…もう出ちゃうよ…」
彼の顔を見る。彼の、切なくあえぐ顔を。
「いいよ。いいから。だして」
「だめだよ…できちゃうよ…」
「大丈夫…薬…飲んでるから…ねぇ…私の中でイきたいって言ってたでしょう? ねぇ、出して。いいよ。沢山出して。おまんこの中に、沢山出して。ねぇ。出して。出して……」
熱病に浮かされ、私はそう続けていた。彼の精液が、私の中に出される。
その事を想像してますます私は感じた。
ああ、と、彼は悲鳴を上げる。
私の濡れた場所が、別の粘液でさらに熱くなった。
はずれ
10 :
名無し物書き@推敲中?:01/12/17 13:40
age
借りたお金を返す、というのはただの口実だと彼は言った。
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
ただ、わたしは彼に再び会い、お金を返し、それから居酒屋に行って話をして、ホテルへと連れていかれた。
初めて会ったとき、彼はとても頼もしい人に思えた。
背が高かった。
みんな初対面だというのに、巧くリードをして纏めていた。
短くて太い指は、しかし無骨と言うほどでなく程良く男らしく感じた。
眼鏡の奥にある小さな目は、ともすれば鋭く射すくめるようで。
そして、儚げだった。
彼に求められることを望んで、彼と体を重ねた。
それから、幾度と無くそういう関係を続けた。
彼は心を病んでいた。脆く、傷ついていた。
彼はわたしを望んでいた。
わたしは、いらない子ではなかった。
昔母から言われ続けたかの様な、いらない子では無くなっていた。
彼の精液で汚れたお尻を、彼はティシュで優しく拭いた。
彼は全てに置いて優しかった。
「なんで…?」
わたしはそう聞いた。
「いや…だって…」
「ピル、飲んでいるから大丈夫だって言ったじゃない」
「…でも…怖かったから」
目線を合わせずに、彼は言った。
「よく解らない。でも、出来ちゃったら困るっていつも言っていたし」
そう言った。
確かに、わたしはそう言っていた。
わたしと、わたしの今の人の血液型は共にO型だった。
彼はA型で、もし出来たらごまかしは利かない。
そうも言った。
それでも。
わたしは彼が私の中で出してくれなかったことを、寂しく思った。
-了-
2
初めて彼にあったとき、彼は太陽のようだと思った。
けれど、そうではなかった。
口づけは激しく、そして官能的だった。
はじめてだ、こんなキスは。
我を忘れて、舌を絡め、口蓋を愛撫し、きつく抱きしめる。
既に潤っているのが解った。
息が出来ないほど。
息をする間もないほど。
求めている自分がそこに居た。
大柄な彼。
向き合って座るわたし。
そして抱き合い、舌を絡める。
煙草の匂いを、彼は嫌うだろうと、ふとそんな考えがよぎり、すぐさま去っていった。
初めて合ったときの彼。
行動的で、おおらかで、優しく、会話が巧かった。
わたしとは違う世界の人だ。
そう思った。
けれど意外に、音楽の話が合った。
去年急逝した、一人のアーティスト。
彼の死を二人で嘆いた。
破壊的で、どちらかといえば世の中に対する鬱屈と不満を吐き出すスタイル。
自虐的な破壊願望。
それらを内包するアーティストを彼が何故好んで聴いているのかが、少しなぞめいて感じられた。
それから数ヶ月後、再び彼と会った。
友達数人と遊園地に行った。
別ルートで、彼もそこに混ざっていた。
大きな背中。
早足で、自信満々で歩く後ろ姿。
絶望的に、この人は私とは違う。
それでも、叫びたくて溜まらなかった。
好きだ、と。
貴方のことが、好きだと。
それでも、告白をしてきたのは彼だった。
会って、3回目の事。その後の電話。
ただ、彼は別れたばかりだった。
恋人と。
わたしの後ろには、いつも醒めた別の自分が居る。
そして冷ややかに嗤っているのだ。
わたしという存在の無価値さを。
わたしという存在の無意味さを。
そうしてその冷ややかな自分が、今も“わたし”を睥睨して居る。
“彼は違うよ。わたしとは、まったく違うよ”
“彼はわたしの本当の醜さを知らないよ。知れば傷つくよ”
囁きはしかし遠く高く、わたしの芯を焦がしている熱にゆらめく陽炎。
決して刹那的になれない自分が、今はただ忘我して求めている。
熱を。
ぬくもりを。
肌を。
愛撫を。
そして、口づける。
こんなキスは初めてだ。
そして。
こんな優しく抱きしめてくれる人も、初めてだった。
18のときに初めて抱かれた。
こんな自分を抱いてくれる人がいる事。
こんな自分を好きだと言ってくれる人がいること。
それだけがただただ天から降ってきた奇跡のようにわたしを高揚させた。
それでも、彼とは半年もせず別れた。
私は今までにない人生の転機に溺れた。
チビでブスでデブ。
それがわたしの後ろにいるわたしがいつもささやいている評価。
ずうっと、自分の世界に埋没していた。
私を取り囲む悪意ある世界を憎むことで、その憎しみから逃れるために者を描き続けることで、わたしは私という存在を守った。
母はわたしを切り捨てて、弟に愛情を注いでいた。
父はそんな家庭の内情に無頓着だった。
思春期というドス黒い時間帯が、凍結されて私の中に居座っている。
怨嗟と憎しみの熾火をいつまでもくすぶらせている。
初めての時のように、いそいそと服を脱ぐ。
彼は私を抱き留めて、それを手伝う。
カーテンは既に閉めた。
壁の薄さはは気にならないといえば嘘だ。
上気した胸が、あらわになるのを隠すべきか逡巡した。
ふれられるまでもなく、乳首が堅くなっている。
ああ。
こんなにも求めているのは。
こんなにも熱が体の中を駆けめぐっているのは。
一体どれほどの年月を経たのだろう。
私の熱が、彼の熱と混ざり解け合う事を望んでいる。
それなのに。
はだけた半身を重ね合わせてみても、彼は未だ、熱くなかった。
彼は眼鏡を外して私の目を見た。
射すくめられるようだった。
彼の顔は、あるいは猛獣のそれに似ていた。
面長だが、鼻梁は太く、鋭角的な印象がある。
何よりも目。その目が、切れ長で鋭い。
再び、彼は唇を重ねた。
その空いた右手は、私の乳房を愛撫している。
強ばりを認められることが恥ずかしかった。
そして溢れている愛液も。
程なく私の一番敏感な部分へと彼の手は伸びる。
そしてどうしようも無くあふれ出た愛液に濡れる。
それを考えただけで、体温が又1度あがった。
ああ。
私は思う。
こんなふうに抱かれるのは初めてだ。
こんなにも、優しく、優しすぎるほどに優しく。
こんな風に抱かれるのは、本当に初めてだ。
17 :
( ゚д゚):02/01/23 19:33
続けろ。
18 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/07 09:39
Dragonballの魔人ブウ→チビブウと戦闘ブウ どっちが強い?
魔人ブウは
・最初のデブブウ
・デブブウを吸収した戦闘型体型の戦闘ブウ
・デブブウを引き剥がされて本来の状態に戻ったチビブウ
大きく分けて、この三段階に分かれるが
DBの議論になるとすぐ、戦闘ブウとチビブウで
どっちが強いか?の解釈がまっぷたつに分かれる。
ある人は「戦闘ブウのが強い」といい、ある人は「チビブウのが強い」という。
完全に真逆で対立しているのだが。
あなたはどっち??
さあ!!議論はこちらで!!↓
DBの魔人ブウ→チビブウと戦闘ブウ どっち強い?
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1013014577/
どうしたいのだろうと自分に問う。
鏡の中。
そこには昔からわたしにまとわりつき、或いは睥睨して居たわたし。
もう一人のわたし自身が居る。
ばかだね。
冷たい目で、そう言ってくる。
ばかだね。わかっているはずなのにね。
無意味だって───。
駅についても、学校に行っても、課題をやっても、離れなかった。
いつもよりも強くそれを意識している。
家に戻ると、彼が夕飯の準備をしてくれていた。
普段は、インスタントラーメンくらいしか食べない。
誰かと、一緒に作ったものを食べる。
そんなごくふつうの事を、わたしはずっと忘れていた。
忘れていて、思い出して。
そして、美味しいはずのその夕飯は、何故か砂のように歯に絡まって胃に落ちていった。
彼が帰って、一人になって。
私は電話をかけた。
どうしても、伝えたくなった。
せせら笑う、鏡にいるもう一人の私。
20 :
名無し物書き@推敲中?:
age