「紗和子から最初に親が決めた婚約者がいるって聞いたときは、
それを言ったときの素っ気ない紗和子の態度もあって、内心
婚約者のことを好きじゃないんだな、なんて思ったけど・・・」
それは違っていたとA美はいいました。
「紗和子って自分のことに関して自慢げになることがないじゃない?
成績よくても、何かスポーツしててうまくても、容姿ほめられても。
でも、Kさんのことはほんと、自慢っていうか誇りに思ってるのが
伝わってくるんだよね」
「自慢・・・? 」
そんな態度をしていたのでしょうか。わたしは暫く考え込みました。
「あ、Kさんが○大出てるっていうこととかじゃなくて・・・それは
あたしの彼氏とかが訊いたから紗和子が答えただけで。
紗和子にさ、Kさんの仕事について訊いたことがあったよね。
そしたらさ、紗和子は大まかに仕事の内容について話してくれた後、
『残業も休日出ることも多いけど、人の力になれたって実感できる
仕事らしいの』って言ったんだよ。そのときのね、紗和子の顔がね、
なんていうの、誇りに輝いてて・・・。あたし、それまで紗和子のそんな顔
見たことなかったから」
「それからもKさんのこと話すとき言葉や態度の端々に仕事のこと
だけじゃなくって尊敬が伝わってくることがあったし、紗和子、
卒業してから忙しいKさんの生活のサポートも嬉しそうにやってたし、
ああ、紗和子好きな人と結婚するんだ、よかったなって思ってたよ」
じっくり考えたことはありませんでしたが、確かにわたしはKの
仕事に取り組む姿勢を尊敬していました。
Kがあまり多くではありませんが、仕事のことを話してくれたとき、
Kの顔もまたやってきたことへの誇りで静かに輝いていたように
思います。
そして、K自身も尊敬していたといってもいいのかもしれません。
探究心があること、知識が深いこと、根気があること、それも尊敬
の対象ではありますが、なによりKはわたしには全くないものを
持っていました。
「なんで木登りしないの?」
「こわいから」
こわい、と正直に言える強さをわたしは持ってはいませんでした。
あのとき、その強さに憧れました。
「で、でも尊敬してたら好きだっていうの?」
すがりつくようなわたしの問いにA美はまた事も無げにいいました。
「尊敬イコール、じゃないかもしれないけど、尊敬できない人、
好きにならないでしょう」
A美の顔をじっと見つめるわたしの心の中にA美の言葉が降り
注ぎ、そして静かに沁み込んでいきました。
「尊敬のない恋愛なんて、勘違いかエゴか見栄だと思うけど」
そして、ゆっくりとわたしの苛立ちや怒りの理由が解き明かされて
いくのを感じました。
結婚祝賀会でのキス。年末のKの部屋でのキス。
「わたしのこと好きじゃないくせに」何度も叫んだあの言葉。
わたしは、自分の結婚についてずっと苛立っていました。
わたしは、Kに対してずっと怒りを抱えていました。
「わたしのこと好きじゃないくせに」結婚しようとするK。
「わたしのこと好きじゃないくせに」わたしが来ることを拒まないK。
「わたしのこと好きじゃないくせに」キスしたK。
わたしはKに「わたしのこと好きに」なって欲しいのに。
わたしはKのことが好きだから。
いつからだったのかわかりません。
Kが縁人に決定したとき「ふーん」と思ったのも事実です。
Sのことを好きだと思っていた気持ちも確かです。
でも、あの幼い日、Kの図鑑を汚したのはわたしだと勘違いされ
冷たく突き放されたときの鮮烈な胸の痛みを思い出すと、わたしは
あのころ既にKを好きになっていたのかもしれません。
こわいものをこわいと言えるKを、心のどこかで尊敬しつつ愛し
はじめていたのかも知れません。
一昨日、Kから携帯に電話があったとA美が言いました。
田舎の母にA美の電話番号は伝えてはありましたが、Kは
何と言って教えてもらったのでしょう。
「紗和子に会いたいって。うちに来たいって言ってたけど、
紗和子がいいって言わないとって答えといた」
今日は朝からA美はバイトに出かけていきました。
わたしはずっと考えていました。
考える、というよりはいろいろなことを思い返していました。
Kのこと、A美の言葉、T川さんの言葉、そして家のこと。
わたしは『紗和子を跡取りに』との曾祖父の言葉を「呪文」と
呼んできました。
わたしは運命に身を任せると潔いことを言っておきながら
その運命を呪い自分を不幸せな人間だと思っていました。
不幸せにしていたのは運命ではなく自分自身だと気づかずに。
愛されてもいない相手と結婚する自分の身を嘆くばかりで、
自分の気持ちに蓋をして、自分が傷つくのが怖くて、運命と
いう言葉に逃げて、無駄なプライドばかりを大事にして、
自分を不幸にしていました。
これから、Kに会いに行こうと思います。
T川さんの話は未だに信じられないというのが正直な気持ちですが、
わたしの気持ちだけは伝えようと思います。
Kは怒っているかも知れません。あの図鑑の件のときのように冷たく
突っぱねられるかも知れません。
怖いです。
でももう運命のせいにも誰のせいにもしません。
紗和子は意外と熱い女だったんだなーーー。。。
277 :
(-_-):02/01/23 16:11
ツ、ツヅケテオクレヨ......
紗和子、きっと最後まで書いてくれるよな?
age
280 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/17 00:51
いなかかえった?
初めて読んだが、フィクションなのか実体験なのか判断できないな。
乙女の頑なさ
283 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 00:14
今年の桜はとっても早いですね。
花霞に見惚れてしまいました。
今、東京にいます。
285 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 20:23
つづけれ
さわこ、かけ。
288 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/16 08:57
懐かしい。
ケコンシナカッタテコト?
290 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/16 19:32
紗和子age
無粋な上げ方しないでまとうよ。四月で忙しいんだよきっと。
サワコーカムバク
293 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/29 17:22
紗和子
さわこ、ごーるでんうぃーくもおわったぞい
梅雨がくるぞいー。
296 :
名無し物書き@推敲中?:02/05/25 20:06
ワールドカップはじまっちゃったぞえ
九州は入梅だべし
299 :
名無し物書き@推敲中?:02/06/14 04:47
ワールドカップみてるかーー?
300ゲット
キタ━━(゚∀゚)━━( ゚∀)━━━( ゚)━━( )━━(゚ )━━(∀゚ )━━━(゚∀゚)━━!!
301 :
名無し物書き@推敲中?:02/06/30 12:07
302 :
名無し物書き@推敲中?:02/07/16 03:22
さわこ、Kにフラレル→ここに戻ってくる ってのはどない?
さわっち…夏休みだよ
304 :
名無し物書き@推敲中?:02/07/22 19:07
さわこストーリー
お盆が来るぞ。
306 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/02 01:53
佐和子逝去。
佐じゃなくて紗だろ
でも本名は佐がつくんじゃなかた?
309 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/24 04:57
夏が過ぎ〜
かぜあざみー
311 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/26 04:02
そっから先がわからないのか?>311 なんとかなんとかさまよう〜 だった気が
313 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/12 16:02
314 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/20 20:52
sawako
316 :
名無し物書き@推敲中?:02/10/17 14:37
sawako
317 :
名無し物書き@推敲中?:02/11/04 22:54
(^^)
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