2chで見つけたちょっと泣ける話

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1902ちゃんねる閉鎖
「2ちゃんで見つけた面白い文章」の過去スレ〜現行スレにて、
飛び飛びで紹介されていたものを拾い集めてきますた。
どちらかと言えばここのスレ向きの話でしたので…。
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テレビにニュース速報が入る。
俺は慌ててパソコンを立ち上げ、そして気付く。
「あぁ、2chは閉鎖したんだっけ……」
テレビからは現場の慌しい状況が伝わってくる。
もし2chがあったら、どういうスレが立っているのだろう。
重複スレが沢山できて、それで荒らしとかやってきて……
テレビでは相変わらず、レポーターが必死で現場の状況を伝えている。
可愛いレポーターだ。俺は、頭の中で「萌え〜」というレスを
つけている自分を想像した。
後ろの群集がテレビに向かって挑発的なポーズを取っている。
「なんだ、あのドキュソ」「厨房氏ね」……そんな言葉を無意識のうちに
発していた俺は、無いとは分かっていながら再び2chにアクセスした。
しかし、画面には一言「閉鎖したのです。。。」とだけしか表示されない。
何度リロードしても変わらない。あの日以来、2chは止まったのだ。
どうやら犯人が逮捕されたようだ。相変わらず可愛いレポーターが
その状況を伝えている。
「さよなら、2ちゃんねる」
俺はお気に入りから2chを削除し、そして騒がしいニュースを冷めた目で
見るのであった。
1912ちゃんねる復活!:02/10/08 23:00

「2ちゃんねる復活!」
俺はちょっとした友人からその事を聞いた。
まさか! 俺ははやる気持ちを抑え、PCの電源を入れるや否や
目的のアドレスへと飛んだ。
あの夏から一体どれくらいの時間が流れたんだろう。
もう二度と蘇ることはないと思っていたあの頃を懐かしみながら
検索にかけてみると……あった! 本当にあった! 万歳! 
2ちゃんねるが復活したんだ! 
俺は迷うことなくニュース速報版へと駆け込んだ。そう、あの時俺が
一番好きだった板へ。またみんなに……みんなに会えるんだ!
だが、その思いは一瞬にして打ち砕かれた。立ち並んでいたのは
醜悪なスレの数々だったのだ。

「韓国の皆さん!仲良くしましょうpart22(128)」
「田島陽子先生がんばって!(255)」
「ゴローちゃん復帰を応援するスレ part51(232)」

そう、新生2ちゃんねるは日本一の超健全サイトへと生まれ変わってい
たのだった。経営陣も一新され、後に聞いた話では、ひろゆきも
普通のサラリーマンとして暮らしているらしい。
2ちゃんねるの名の元に交わされる退屈な話題と馴れ合いの言葉。
そこには思い出の欠片さえ残ってはいなかった。
刹那、俺は抑えていた気持ちを吐き出すように書き込んだ。
「逝ってよし!」
「オマエモナー」
「(゚Д゚)ハァ? 」
周りの反応は冷ややかだった。いや、冷ややかどころか何の返答も
なかったのだった。誰にも理解されないまま、俺はその場所を
立ち去るしかなかった。もう、俺の居場所はどこにもないのかもしれない。
長い冬は、まだ始まったばかりだった……。

「旧2ちゃんねるメンバー集まれ!!復活祭だゴルア!!(1)」

それから数日後、俺はある一大決心の元、思い切ってスレを立てた。
もしかしたら俺と同じ気持ちの人達がいるかもしれない……。
いや、たとえいなくてもいい。俺の言葉に反応してくれるだけで満足だ。
懐かしいフレーズが脳裏に蘇る。

〜「クソスレ立てんなヴォケ!」
〜「駄スレ逝ってよし!」
〜「あなたを悲惨な1に認定します」

だが、新生2chにはそんな煽りの言葉さえ無かった。
誰からもレスを付けられることなく、急速に沈んでいくスレ。
それでも俺は待ちつづけた。
そして翌日、たったひとつのレスが付いた。

「ここはみんなの掲示板です。
以後、不適切な発言は削除させていただきます。(管理人)」

俺は静かにパソコンの電源を切った。
知らない間に、久しぶりの涙が頬を伝っていた。

……
あれから3年が過ぎた。
俺は家業の酒屋を継ぎ、分相応な女性と結婚した。子供も二人いる。
ささやかな、でも不満のない日々を送っているのだった。
昔程にパソコンを立ち上げる機会は減った。
俺にとってネット=過去の2CHだったのだから、
良識ある人々が集う退屈極まりない現在の2CHには
何の興味も起きないのだった。
俺の青春は誹謗と中傷に塗れた過去の2CHと共にあった。
そして、青春も2CHも二度と戻ってはこないと思っていた。
そう、一通のメールが届くまでは。

メールの内容は出会いを求める人々云々という、
よくあるくだらない広告メールだった。
だが、そこに書かれた一文は、
俺の平穏とした心を掻き乱すには充分すぎる程の衝撃を有していた。
『あの裏2ちゃんねるでも話題沸騰! 
嘘だと思うなら実際に裏2ちゃんねるにアクセスしてみて!』
裏2ちゃんねる……当時、初心者を騙す手段として利用された手だ。
実際にはそんなものなどなかったのだが、
汚れ無き者たちは率先して(そして純真に)言われるがままに
書き込みをし、自分のIPを晒していた。
瞬時に当時を思い起こした俺は懐かしさに急かされながら、
そのメールに書かれた裏2CHのURLにアクセスした。

そのURLは実在した。
そして、確かに『裏2ちゃんねるへようこそ!』という見出しが出ていた。
俺は妻の夕食を告げる声を無視し、『入り口』をクリックした。
すると、警告音と共に暗証番号を入力して下さいというダイアルボックスが出現した。
「真の2ちゃん住民であったおまいらなら、裏2ちゃんの行き方くらいわかる罠」
間違いない!! これは紛れもなく「あの」2CHだ! 
入力画面の下に記された懐かしい文章を何度も読みながら、俺は声を出して泣いた。
裏2ちゃんの行き方? わかるさ。当然だ。俺は震える手で入力した。

「fusianasan」

ENTERキーを押すと同時に、そこには当時のままの板があった。
昔の仲間に会うべく、俺はニュース速報版に行った。
「おまいらの考えた差別用語(362)」
「ネット犯罪のイロハPart12(866)」
「加害者マンセースレPart27(189)」
俺は顔を伝い落ちる涙を拭いながら、適当なスレッドにこう書き込んだ。


>>1は厨房。逝ってよし!」
195裏2ちゃんねるの逆襲:02/10/08 23:19

裏2ちゃんねるの管理人は、やはり(と言うべきだろう)ひろゆきだった。
『どもども、昔に比べると規模が小さいけど、
じゃんじゃん書き込んでくださいです。。。』
各板のトップに書かれたひろゆきの言葉にあるように、その規模は
過去の2ちゃんねるに比べると惨めなものだった。細分化された板の殆どは
類似するもの同士で併合され、半角系は昔程に盛況しておらず、人の出入りも
以前に比べると明らかに減少していた。
だが、それでもやはり「2ちゃんねる」という言葉に嘘はなかった。差別のデパート、
犯罪者の巣窟、引き篭もりの温床、サボリーマン、世捨て人、真性基地外……。
懐かしいあの頃の、あの匂いがそこにはあったのだった。

そんなある日、酒屋の配達を終えて家に戻った俺はいつものようにPCを立ち上げ
2ちゃんねるへアクセスした。行く板は決まっている。ニュース速報板だ。
昨日俺が煽ったコテハンのあいつはどんな返答をしているだろうか、
腹を抱えて笑ったメガトン級の誤爆レスにどのようなレスがついているだろうか、
そんな事を考えながらスレッド一覧に目を通すと、トップには昨日までなかったで
あろうスレッドが立っていた。

「【討伐】表2CH奪還計画!【特攻】(985)」

誘われるようにそのスレッドをクリックした俺は、そこで信じられない光景を見た。
1000獲りなどには目もくれず、熱心に議論を繰り返すレスの数々、
煽りのひとつもなく、皆が真面目なレスをつけていたのだった。
その内容はスレッド名の通り、いかにして表2ちゃんねるを潰そうか、というもの
だった。それぞれの専門分野から知識を持ち寄り、あれこれと議論する姿は俺の
想像する2ちゃんねるとは似て非なるものだった。だが、以前俺が表2ちゃんねるで
味わった焦燥感とは違い、純粋に旧2ちゃんねらーが一致団結している姿だったのだ。
俺はこれまで生きていて味わった事のない一体感を全身に感じ、同時に
表2ちゃんねるの討伐へと乗り出したのだった。