407 :
名無しの与一:
大島桜が散り始め
染井吉野が綻び出す
沈丁花が息絶える
春は花咲き散る
花の命が終わる季節
ねえ、みんな浮かれているよ
花が咲いたと、浮かれているよ
花は死に逝くだけの為に咲き誇るというのに
ねえ、人は浮かれているよ
花に酔いしれ、浮かれているよ
もうすぐ死に絶えるというのに
あたしは寒椿が好きだと言った君は
春待ちきらずにぼたりと逝ったね
あたしは花のまま堕ちる
寒椿が好きだと
ねえ、みんな浮かれているよ
花が咲いたと、浮かれているよ
春だから、浮かれているよ
きみのいない春なのに
寒椿はとうに土に堕ちて朽ち果てたのに
花が咲いたと、浮かれているよ
椿の咲かない
木だけの春に
きみのいない
凍えそうな春に。
408 :
名無しの与一:2011/12/15(木) 21:10:22.35 ID:emZDGw5V
別に私は可愛くないし
別に踊りだって巧くないし
別にお話も楽しく出来ない
それでも君はいいと言ってくれる
別に私は優しくないし
別に私はピアノだって巧く弾けないし
別に私は機嫌だってうまくとれない
それでも君はいいと言ってくれる
私の心の奥にある悲しみに優しく触れて
温めてくれる
別に私は綺麗じゃないし
別に私は・・・
それでも君は笑ってくれる
それでも君は手を繋いでくれる
それでも君はいいと言ってくれる
409 :
名無しの与一:2011/12/15(木) 21:11:40.52 ID:emZDGw5V
綺麗なドレス買ってもらって着せてもらった
だけど不細工にしか笑えない私には似合わないから
タンスの奥に閉まってあるの
フワフワのぬいぐるみ買ってもらって抱いてヘベットに入った
だけど心臓の音が聞えないし
温かくないから 余計淋しくて眠れないの
ママ 本当は私、プレゼントなんか欲しくなかったの
ママ 本当は私、何も欲しいのものなんてなかったの
ピアノだって ダンスだって お勉強だって
うまくやってみたけど
ママ どうして笑ってくれないの?
私がダメな子だから?
私が要らない子だから?
ママ 本当は私、プレゼントなんか欲しくなかったの
ママ 本当は私、ママに愛されたかっただけなの
ママ お願い
一度でいいの
大人になった私を抱きしめてください
あの頃の私を抱きしめてください
410 :
名無しの与一:2011/12/15(木) 21:13:14.72 ID:emZDGw5V
今 何処にいますか?
君はまっすぐいきてますか?
時々 くじけたり 泣いたり
死にたくなったり 消えてしまいたくなったり
そんな日々を過ごしたりしていませんか?
今 何処に生きてますか?
君は君として生きてますか?
時々 自分が分からなくなったり
歩けなくなったり 立ち止まったり
そんな日々を過ごしたりしていませんか?
君は世界中の誰よりも優しいから
君は世界中の誰よりも無垢だから
苦心して傷ついたり 笑顔無くしたり
・・・そんな風に生きてませんか?
もう苦しまなくていいよ
もうそんなに責めなくていいよ
笑ってよ 笑ってよ
笑っててよ
私は生きてるから
私は生きるから
笑ってよ 笑ってよ
笑っててよ
411 :
名無しの与一:2011/12/15(木) 21:13:53.10 ID:emZDGw5V
髪を伸ばして お人形さんみたいになりたいの
白くて 細くて 可愛らしいお人形さんみたいになりたいの
あなたに愛されたいの
赤い靴 赤いコート 赤いスカーフ
あなたが好きな色身に装とって
いつだってあなたに愛される用意は出来てるの
赤いピアス 赤い口紅 赤い 赤い・・・
私が一番好きな色は白なんだけど
あなたが好きだから
あなたがしかいないから
目印になるでしょ?
そこからだって見えるでしょ?
この身体に流れる血だって
まっかっか まっかっか
あなたが好きだから
あなたしかいないから
私はいつだって
まっかっか まっかっか
412 :
名無しの与一:2011/12/15(木) 21:14:47.70 ID:emZDGw5V
その眼だよ その眼だ
私が好きな眼
私が嫌いなその眼
私を否定しないで
私を見限らないで
私を否定しないで
私を見放さないで
うまく踊るから
今夜はうまくやり過ごすから
その眼だよ その眼だ
私が好きなその眼
私が嫌いなその眼
私を否定しないで
私を見限らないで
私を否定しないで
私を見放さないで
うまく踊るから
今夜はうまくやり過ごすから
その眼で私を見て
その眼で私を私を生かして
その眼で私を殺して
その眼で私の息の根を止めて
その眼で 私を 私を・・・
413 :
名無しの与一:2011/12/15(木) 21:16:37.01 ID:emZDGw5V
あんたのその手は私に夢を見せてくれる
いつだって温かい夢をみせてくれる
いつだって私を包んでくれる
ねぇ まだ目を醒まさないで
ねぇ もう少しだけ一緒に眠っていようよ
朝なんかきてないから
あんたのその手は私に愛をくれる
未来なんか見えやしなかったよ
ずっと ずっと
大きな背を私にぴったり合わせて屈めて
私といることを感じて
私を見つめていて
今だって十分大きな手なのに
これから先 もっと大人になって今より大きな手になっても
私以外の何かを抱えて 私を一人ぽっちにしないでね
私を溢さないでね
あんたのその手はいつだって私に生きる意味を与えてくれた
淋しそうに笑って私を生かしてくれた
あんたのその手は魔法の手
ギターより煙草より一番に私を抱きしめてくれる
あんたのその手は魔法の手
414 :
名無しの与一:2011/12/15(木) 21:17:53.75 ID:emZDGw5V
私は知っている
もう歩けそうにない日も
真っ暗で怖くて消えてしまいそうな夜も
私は私を立ち上がらせる呪文を知っている
あなたの名前ばかり呼んでいる
あなたの名前しか口に出来ない
私はあなたが生かしているのだと
私はあなたを想う為に生をうけたのだと
そう思ったら呼吸が出来る
人は誰も強くなんてないから きっと
どこかで泣いているから
私はあなたの涙も悲しみも何もかも幻に出来る
仮初めの日々に変えられる呪文を知っているから
あなたの名前ばかり呼んでいる
あなたの名前しか口に出来ない
あなたの名前しか私は知らない
415 :
流祖:2011/12/16(金) 00:30:35.51 ID:AEYWdLtY
「星のリング」・・・アチャの書き下ろしショート・メルヘン
ぼくが、初めてきみに会ったのは、
冷たい星が、たくさん降り積もった夜だったね。
おじいちゃんのソリに乗せられて、
風よりも、森のささやきよりも速く、
空を走ったよ。
カギのかかっていない窓を見つけると、
ぼくが、そおーと、プレゼントを置いてくるんだ。
とても楽しいお手伝いだったよ。
きみは眠っていると思ったら、起きていたんだね。
・・・。
ちがうよ。
驚いたのは、ぼくの方さ。
だって、ひげのないぼくを、
きみは、あんなに笑うんだもの。・・・・・
あの時、また、会おうねって約束したね。
でも、この贈り物は、君の小さなおんなの子にだよ。
僕とのことは、クリスマス・イヴの、
そう、今夜だけの記憶だから、
君は、長い間、忘れていたんだね。・・・・・
僕は、もう、つけひげじゃない。
本当に、おじいちゃんだよ。
3度目の今夜は、ドアをノックして、君に出会いたい。
でも、僕に気付いてくれるだろうか。
ここまで続く、長い足跡の訳に、
気付いて、くれるだろうか。
むかし約束した2つ目のプレゼントを持って来たよ。