380 :
名無しの与一:
例えばここが 深く暗い海の底だとしたら
私達は永遠を誓い合う事が出来たのだろうか
少し濡れた砂に混じって欠けた貝殻が流れて
次の瞬間波に浚われてゆく
もうすぐ陽が落ちるね
あなたの笑顔が見えなくなる
あなたの匂いが海風に消えてしまいそうになる
もっと寄り添って
車の音も騒音も陳腐な話しも聞えない
二人だけの静寂を手に入れたような気がして
あなたが煙草に火を付ける度ハッとする
永遠が欲しくて
このまま波に浚われてしまいたかった
欠けた貝殻のように
きっと海の底には素敵な世界が待っていて
あなたを傷つけるものなんて在りはしないから
どんどん堕ちていけばいい
どんどん沈んで 泡になって
一つになって・・・
例えばここが 深く暗い海の底だとしたら
私達は永遠を手にする事が出来るのだろうか
無常の世を生きていく力なんて
どこにも残されてなくて
儚い誓いに身を委ねて
例えばここが 深く暗い海の底だとしたら・・・