374 :
名無しの与一:
月に一度の大役を
仰せつかったのは冬だった
めくるのが好きと言ったから
日めくりにという提案は
面白くないと断って
私が役目を果たすまで
あの部屋の時は止まって
めくることは誇りになった
月が欠けることを心待ちに
風が変わることを楽しみに
もうきっと覚えてはいなくて
止まるはずの無い時は流れた
めくる度に思い出す
時を愛した人だった
瞬間の思い出を
時を疎んでしまっていた
望んだのは確かなもの
欠けた季節の間の自由
雪も桜も新緑も
思い出が染み付いていて
美しいのは紅葉だけ
もう譲ることはできない
カレンダーに時を刻んで
あの部屋も
あの日々も
あの人も
めくった分だけ古くなる
空が高くなるように
少しずつ
遠ざかる
375 :
名無しの与一:2011/12/14(水) 10:15:28.37 ID:VPa8dpEm
自分の足で立って 踏ん張って
色んな事に抗って 逆らって
途中で止めて
やっぱり走って 時々歩いたり
寄り道したり 海へ出たり
高い所から眺めたり
遠くに手を伸ばしたり
近いのに見えなくなったり
蹴っ飛ばしたり
崩したり
壊したり
溶かしたり
少しだけ愛しくなったり
要らなくなったり
忘れたくなったり
忘れられなくなったり
はっきりしなかったり
模糊として見失ったり
ギラギラしたり メソメソしたり
ワクワクしたり シュンとしたり
疲れちゃって休んだり
ストレス溜まって踊ったり
幸せだったり 苛々したり
愛されたり 愛したり
私って大変
毎日って大変
私って人間なんだ