弓道総合スレ二十六立目

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374名無しの与一
月に一度の大役を
仰せつかったのは冬だった

めくるのが好きと言ったから

日めくりにという提案は
面白くないと断って

私が役目を果たすまで
あの部屋の時は止まって

めくることは誇りになった

月が欠けることを心待ちに
風が変わることを楽しみに

もうきっと覚えてはいなくて
止まるはずの無い時は流れた

めくる度に思い出す

時を愛した人だった
瞬間の思い出を

時を疎んでしまっていた
望んだのは確かなもの

欠けた季節の間の自由

雪も桜も新緑も
思い出が染み付いていて

美しいのは紅葉だけ
もう譲ることはできない

カレンダーに時を刻んで

あの部屋も
あの日々も
あの人も

めくった分だけ古くなる

空が高くなるように

少しずつ

遠ざかる