日本ブレイク工業

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237どうせバカですよ、わたしゃ
6:00(ポーン)
       危険解体企業ブレイカー (仮題)

http://www.up-loader.net/riz.2ch.net/source/up2029.wma  (OPテーマ)

「この番組は、『あなたの街で一役買いたい』日本ブレイク工業の提供でお送りします。

第一話「序曲・前編」(仮題)

俺の名前は「井伊 工事(仮命)」、信頼と安全の総合解体工事会社「日本ブレイク工業に勤める
正義を信じる熱血漢だ。
「工事兄ちゃ〜ん!!」
「お、なんだマモル(仮)じゃねえか、どうしたんだ!?」
コイツはマモル、近所の子供の小学生で、俺が正義の心を叩き込んでやった教え子とでも言える子供だ。
「明日新しい、引っ越すことになったんだ! だから兄ちゃんにもあいさつしとこうと思ってさ」
「そうか、ついに完成したのか、マモル楽しみにしてたもんなあ。 なんだか寂しくなるなあ。」
「なに言ってんだよ兄ちゃん、その気になればいつだって会えるところじゃないかよ。」
「ハハッ、まあな。 それにしてもお前の親父さんがんばったなあ、あの年で一戸建てなんてなかなか建てらんねえぞ。
 まあ、まじめにコツコツ努力してきた人だからな。正義の人だな。」
「そうさ、パパは正義の人さ。 じゃあ、兄ちゃんバイバイ! きっとまた遊びに来るからさ!」
「ん、じゃあ、またな!! 正義の道を精進しろよ!!」










  
238バカの2:03/10/28 03:32 ID:???
【一ヵ月後:日本ブレイク工業本社】
「お〜い!、工事!! 早くしろ現場行くぞー!!」
会社の先輩の土方さん(仮)の声だ
「はい!土方先輩! 今日の現場はどこでどんな建物なんすか!?」
俺が聞くと、土方先輩の表情が急に暗くなる。
「隣町さ、モノは一戸建て住宅、築一ヶ月・・・欠陥住宅だな・・・コイツは嫌な仕事になりそうだぜ」

現場に着くと、そこには真新しい家が建っていた。壁も屋根もピカピカで生垣も手入れされ、とても解体を
待つとは思えない家だった。・・・唯一つ明らかに30度以上傾いていることをのぞけば。
家の前では、中年の夫婦らしき男女が呆然と立ち尽くしていた。
男は頬が痩け、無精ひげは伸び、目の下にはくまを浮かべいたが、瞳は澱んでいる。
女のほうはひどく老け込んでいた、察するに三十代後半位らしいが十歳は老けて見える。
二人とも土方先輩がユンボで家の解体を始めるのを呆然と見つめていた。

そのとき、一人の少年がユンボの前に両手を広げて立ちふさがった
「やめろー!! ぼくの家をこわすなー!! やめてよぉ〜」
俺は耳を疑った・・・・・・・それはマモルの声だった。
239バカの3:03/10/28 03:34 ID:VpVMi7RC
「・・・そうか、ここはマモルの家だったのか」
俺とマモルは庭の脇に並んで座っていた。
いまだに信じられなかった、何より信じられなかったのはマモルの両親の姿だった。
マモルの父さんは、決してハンサムではなかったが、いつもニコニコ笑顔を浮かべ、
何よりも努力と勤勉をを尊び、それでいてそれをマモルに押し付けようとはしない人だった。
深く妻と子を愛しており、二人のためにマイホームを建てられることがうれしくて仕方が無いと、
俺に恥ずかしそうに語った丸顔がなんとも幸せそうだったのを覚えている。
しかし、それ以上に俺はお母さんの変わり様に驚いていた。マモル自慢の若くて綺麗なお母さんで
服装によっては女子大生でも通じるといっても良いほどの人だった、なんであの親父がこんな若くて
綺麗な人を嫁さんに出来たんだと何度も思ったほどだったのに・・・。

「家ができて・・・すぐにおかしなことばかりおきて・・・ボールがかってにころがったり
 ドアがあかなくなったり、水が出なくなったりして・・・お父さんとお母さんがおこって
 家をたてた大工さんのいる会社に言ったら、だれもいなくて・・とうさんしてて・・・
 お金をさきにいっぱい払ったのに・・・うっうっっ(涙)・・・おどおさんもおがあざんも
 いづも怒ってばっがになってケンカばっがで・・・ズズッ・・正義の味方のはずのおまわりさんも
 べんごしさんにもどうにもできないって言われて・・・・。」
「マモル・・・・・、あのさ、その・・・元気出せよな、なんて言っても元気でないか・・ははっは・・は・・・」
240バカの4:03/10/28 03:35 ID:VpVMi7RC
俺が言葉に詰まっていると、マモルは立ち上がり俺のほうを見た。」

「兄ちゃんっ!!正義なんて・・・正義の味方なんて!!! いないんだよっ!!!」
「あっ、おい、待てよ、マモ・・・」

俺は走り去っていくマモルにそれ以上声をかけられなかった、俺には何の力もなかった
いつもあいつに正義・正義と言っていながら、俺には正義どころか、あいつを慰めることすら
できなかった・・・・・俺は無力だった。                             
                                      <つづく>
                              
              【次回予告】
自らの無力さと、正義に対する信念の揺らぎから、荒れる工事。
そんな工事を呼び出した日本ブレイク工業社長は言う。
「力なき正義は無意味だ・・・工事よ・・・力が欲しくはないか?」

次回、危険解体企業ブレイカー(仮題)第二話

   「序曲 後編(仮題)」でBreak Out !!