<阪神大震災>自宅半壊は三井ホームの施工ミス 神戸地裁
阪神大震災で自宅が半壊したのは設計・施工ミスが原因として、兵庫県芦屋市の男性が、大手住宅建設会社「三井ホーム」(本社・東京都)に約7600万円の支払いを求めた訴訟で、
神戸地裁が判決で「『補強が必要』としていた施工前の地質調査報告書を同社が改ざんし、地盤改良を怠ったため被害が拡大した」と認定。
同社に補修費や慰謝料など約2900万円の支払いを命じていたことが2日、分かった。
判決などによると、男性は93年、同社に設計・施工を依頼し、94年に住宅を約6800万円で購入したが、居間などが沈下し始めた。
95年1月の震災で最大約13センチの敷地の沈下や横ずれが起き、家が傾いたり亀裂が入って「半壊」と認定された。
家族7人は住み続けているが、平衡感覚がおかしくなり、めまいやむかつきを起こすこともある。
同じ地盤の隣家は基礎工事が十分で大きな被害はなかった。
紙浦健二裁判官は判決で、同社の依頼を受けた地質調査会社が報告書で「補強が必要」としていた記述を「三井ホームが削除して改ざんした」と認めた。
さらに「地盤強化の必要はないと男性にうそを言い、地盤改良工事を怠った。誠に遺憾な対応」と厳しく非難。施工ミスがあったことも指摘し、
「構造上の安全配慮が不十分で、建築基準法施行令に違反する」と判断した。 【藤田文亮】
佐野孝雄・三井ホーム広報グループ長の話 結果として設計の判断ミスがあったことは甘んじて受けるが、改ざんという認識はない。
控訴を前提に検討している。
●消費者を裏切る行為
住宅問題に詳しい京都府立大人間環境学部の上野勝代教授(住環境学)の話
消費者を裏切る行為をはっきりと断罪した判決。専門知識の乏しい消費者が家という大きな買い物をする場合、「大手」ブランドはものを言う。
知識とスタッフが豊富な大手企業は特に高いモラルを持つべきだ。(毎日新聞)
[12月3日3時20分更新]