===『秘伝』データベース===

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41秘伝王子
中拳と歩法の記事をチェックしていたら、最近「発勁力」で話題の藤松英一さんの論文記事を見つけた。長めの記事なんで、結論部分を少しだけ紹介するね。

「合気、なんば・・・日本武術を手がかりに解く 『発勁』の条件」
一般的日本人はかかとからガツンガツンと地面に着地する。これでは発勁は修得できない。体重移動が早すぎて(速いのではない)後足の勁道を形成できない。私は以前、なるべく遅く発勁せよと指導してきた。しかしこれでは効果が上がらなかった。歩き方から直すべきなのだ。
かかとから着地してもよい。しかしかかとに体重をかけてはいけない。かかとは柔らかく軽く用い、体重をスムーズに指の付け根に移動させる。かかとにアクセントを置くのではなく足の指の付け根を主に用いる。足の指も補助的に使う。弓歩や三体式(形意拳)の際も、両足のかかとはふわりと接地していればいい。心意六合の鶏歩では後足のかかとが地面から離れている。これでも発勁には全く問題ない。要するに、立つ時も歩く時も足の付け根に重心を置き、バランスを取るのだ。
指の付け根に重心を置いても前のめりになることはない。腓腹筋を軽く用い足を伸ばしてやればよい。実は指の付け根を用いる歩き方も、後足の腓腹筋を軽く用いる。そうでないとかかとからガツンとなる。言い換えると、前足のかかとが接地した瞬間、まだ体重は後足の指の付け根にある、と考える。
この歩行法は発勁の諸条件に合致している。勁道の出発点は足指の付け根であり、第一関門は腓腹筋だからだ。
(96年7月号)