定番の朝のニュースにももっと視聴者目線が必要
ここ4、5年は朝5時前後に目が覚め、NHK「おはよう日本」を見ることが多い。民放の報道や情報番組も時刻でコーナーがほぼ固定されているが、同番組はよりはっきりしている。
5時前には3人の男性アナが日替わりでニュースを伝え、5時から江崎史恵がMCを務めて男性アナはサブに回る。6時台から7時台が阿部渉と鈴木奈穂子の出番。
たとえば、6時台なら鈴木の質問を受けながら、解説委員がニュースをひもとく「ここに注目!」が6〜8分ごろか。40分台は鈴木と鹿島綾乃の「まちかど情報室」。
7時台になると、ニュースと長めの特集コーナー。ここからが勝負だろうが、引き続き生ぬるさそのもの。相変わらず“時計代わりのNHK”をまんまやっている。
10日の特集は「新年度から中学校の体育の授業が変わる」で、柔道・剣道・相撲のいずれかが必修になるという内容。剣道は用具を揃えるのに経済的負担がかかる。相撲は裸になるのが恥ずかしくなる年頃で難しい。そこで柔道を選ぶ学校が増えそうだという。
問題は柔道が死亡や高度障害につながる危険性が高いこと。しかも、教えられる教師はほとんどいない。ところが、文科省の担当者は「研修をしてカリキュラムに沿ってやれば大丈夫」とお役所発言。
これに対して記者は「安全を現場に委ねることになる」と批判的に報じた。だが、安全、責任という前に、なぜ、柔道、剣道、相撲なのかそもそも論が必要だ。
NHKは8時台に例の「あさイチ」があり、4月から金曜夜に“よるイチ”を新設するとか。定番の朝のニュースも視聴者目線でもう少し踏み込んでいい時期だろう。(放送ジャーナリスト・小田桐誠)
日刊ゲンダイ 2012/1/16
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