978 :
多聞天inシベリア:
実際の話。最初に体側でかい込む従来からの廻し蹴りを教えちまうと、その人
は身体の使い方で迷宮に嵌り込み審査の為にのみ廻し蹴りはある状態になる。身
体の使い方で悩み腰や膝を痛め気の毒な事になる。中々組手用の実際に使える廻
し蹴りを覚えない。
処が、最初に前でかい込み、軸足の踵を前に向ける位に開き、蹴り足側と反対
の肩を前に残さず背中側に回す蹴りを壁や手摺を活用して教えると、無理なく足
も上がりメンフォー組手なんかで恐怖心が軽減されている場合、ホイホイ中段廻
し蹴りが蹴れる様になる。
先に前でかい込む廻し蹴りを習熟させた後、「昔はこうやったんだよ」と笑い
話的に体側でかい込む廻し蹴りを見せて、「教養としてやっておこう。」と言っ
てやらせると古文の様な『教養として』出来る様になる。
岡野友三郎先生は、私が「真横にかい込む廻し蹴りは使えませんね。」と言う
と、「蹴りは全部前蹴りと同じかい込みからやるもんだ。」と言われたが、何か
戦前の船越大先生直弟子の理論的凄さを感じた。後に矢原先生が前蹴りと同じか
い込みの廻し蹴りをやっており、岡野先生を思い出したものだ。