俺は去年まで、彼女いない暦が10年を越してました。
俺の外見は、過去に
「私、面食いなの」
と言って振られる程の外見です。
幼いころは気にもしてませんでしたが、思春期以降、俺は外見に極度のコンプレックスをもってます。
あたって砕けるしか無い俺は、ひたすら玉砕し続けました。
そんな中、高校時代生まれて初めてできた恋人ができました。
ありがちですが、部活のマネージャーです。
でも、2ヶ月後には親友に寝取られてました。
とりあえずその親友(だった奴)はボコりました。
その後、高校在学中から卒業後も玉砕を続け(って言っても回数はたかが知れてますが)
5年前、心底ほれぬいて、毎晩夢にまで見るほどの女がいましたが、当たり前のように玉砕。
俺はついに恋愛方面の心を閉ざしてしまいました。
その間にひとつのジンクスが生まれます。
「告って振られると1週間以内に事故る(怪我をする)」
と言うジンクス。
軽い場合は、捻挫とかですむのですが、過去の怪我のワースト3は
1 バイクで事故って右肩&右膝脱臼
2 喧嘩して鼻骨骨折
3 部活の練習中に鎖骨骨折
過去、玉砕後に怪我をしなかったことは一度もありません。
悪いけど続くよ
去年の4月。俺は彼女に出会いました。
チョットしたボランティアっぽい集団の中に彼女はきました。
ものすごい天然入ってましたが、結構かわいい子だと言う印象。
そのころの俺は、完全に恋愛をあきらめていました。
ただ、友人関係には兄貴分的な扱い(年上からも)です。(今でも)
そんな中、女の子と見れば手を出して食い散らかす奴が一人いました。
そいつの影のあだ名は「鮫」とか「シャーク」。
そして、当たり前のように彼女にロックオン。
女漁り自体をどうにかしてやめさせたいと思ってました。
そこは俺にとって、数少ない居心地の良い場所だったから。
そして、気心の知れた仲間5人程度で「彼女防衛作戦」を敷くことを決定。
その場所に常にいる一人が情報を集めて状況を逐一報告。
俺を含めた彼女に年齢の近い4人であの手この手で鮫の行動を阻害していきました。
まだ続くよ
鮫の行動様式は手に取るようにわかっています。
大体の作戦はうまくいき、たまに作戦がはずれ、
天然の破壊力の高さを思い知ったりしてました。
そして6月ころ。
7月のイベントに向けて準備が開始。
風呂なしの安アパートに住んでいた彼女は、よく俺の家に風呂を借りに来るようになってました。
防衛上、大変都合が良かったこともありますが、そのころ俺はようやく気がつきはじめました。
どうやら俺は彼女のことを好きに成っちまったらしい。
もう女性を恋愛対象として好きになることは無いと思ってた。
自分の心をどう扱っていいのかわからないままイベントは近づいてくる。
鮫はいまだにロックオン中につき、そっちも目が離せない。
また振られるくらいなら、こんなものはしまい込んだほうが良いと決めました。
書きながら泣けてきた。
イベント当日は、日々の努力の甲斐もあって大盛況。最後の花火もきれいに上がりました。
撤収を開始し、仲間たち全員、汗とホコリまみれ。
でも、連日の徹夜で疲れてるはずの顔は、どれも笑ってました。
撤収も完了し、打ち上げも終わり、いつものように彼女に風呂を使うか確認しました。
疲れてるので使いたいと言う彼女をつれて帰宅し、風呂上りにイベントの話などしてました。
俺に告白するつもりはその瞬間にすら微塵も無かった。
なぜか口をついて出てしまったその言葉。
「彼女。俺、彼女のこと好きだ」
シマッタ!と思った。
「・・・私も」
耳を疑った。
振られた記憶ばかりの俺は、何が起こったのか良くわからなかった。
どうすれば良いのかもわからなかった。
どんな表情をしてたのか、彼女は困ったような笑ったような顔でもう一度。
「私も俺さんが好き」
自分が涙を流しているのに気がついた。
「俺の恋人になぁSWでFRTGYふじこLP;」
何言ってるのかわからない言葉の意図を察してくれたのか
「うん」
「俺、こんな顔だけど・・・」
「顔で人を好きになるわけじゃないから」と。
人は顔だと。不細工ない俺に恋人はできないと。本気でそう思ってた。
そうじゃない人がここにいた。
俺に恋人ができた。
ただ、ひとつ気がかりなことは「防衛作戦」のこと。
影でそんなことをしてたことが俺の心に引っかかった。
1週間後。俺は、いつも以上の「振られる覚悟」をして恋人の家に向かった。
俺は自分のしたことをすべて話した。
最初は正しいと思ってやってたが、そのときは恥ずべきことだと思っていた。
彼女は俺の話を聞いてくれた。
最後に俺は、
「この話を聞いて俺の事を嫌いに成ったなら、今ここで振ってくれ」
といった。
彼女は真剣な顔をしていた。そして
「私、知ってたよ。正直に話してくれてありがとう」と。
防衛作戦のメンバーには他言無用と言っていたのだが、
チョット口の軽い奴が別の人に話していて、それをたまたま耳にしてしまったらしい。
そして彼女は
最初は激怒して、俺を問い詰めようとした、と。
でも、年上の女性に何で怒ってるの?と聞かれた、と。
原因を考えたら俺のことが好きになってることに気がついた、と。
そして、その日から俺は、本当に幸せだったんだ。
いろんなことがあった。
真夜中に茶色いアレが台所に出たと、泣きながら呼び出されたこともあった。
何かやって怒られるのはいつも俺だった。
でも、怒られた後、許してもらえると幸せだった。
この世界にこんな幸せな時間がある事を知らなかった。
小説や漫画の中だけの事だと思ってた。
現実にある話だとしても、俺には無縁だと思ってた。
「このまま時間よ止まれ」なんて少女漫画の台詞、迷惑だと思ってた。
この時間がずっと続けば良いのに。と思ってた。
様子が違ってきたのは4月。
俺と彼女がであった場所に彼女が就職した。
いろんな問題を抱えて、大変そうだった。
直接介入できない立場上、励ましたりすることしかできなかった。
そして・・・
6月の後半の日曜日。彼女が
「最近仕事がイパーイイパーイで、いろいろ考える時間がほしいから、しばらく会わないでほしい。」
といってきた。
ま、就職したばかりで大変なのもわかってたので、仕方がないか位に思ってた。
別れ際に俺に向かってこんな一言。
「私がこんなこと言ったからって、事故起こさないでね」
振られると事故るから振らないでね〜とか、冗談としてジンクスの話はしてあった。
その日から3日間、俺は泣き続けた。
その後、連絡が無い2週間は長かった。
俺は覚悟を完了した。
4日、彼女から電話が入り、呼び出された場所まで行った。
思ってたとおり、泣きながら別れ話を切り出す彼女。
そこに、冷静に彼女を見守る俺がいた。
最初に泣いたのは俺。最後に泣いたのは彼女。
667 :
名無しさん:04/07/09 02:14
俺の、おそらく最後になるであろう幸せな時間は終わった。
この場所には、波もないし風もない。
これ以上沈めないし、浮かぶこともない。
俺の心は今、とても穏やかだ。