【【【BOXER ROYAL】】】

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1 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:44
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│         この物語はフィクションです。           │
│                                    │
│登場するすべての個人・団体・競技等は架空の物であり  │
│                                    │
│     実在する名称とは一切関係ありません。        │
└────────────────────────┘
2名無しさん名無しさん@腹打て腹。:03/02/14 18:45



新世紀のはじめ、ひとつの格闘技が壊れた。


3 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:45
世界挑戦試合での相次ぐ惨敗、安易な国内マッチメーキングに
危機感を覚えた日本ボクシングコミッションは
ある暴挙に出た。

現役、OBを問わず96名のボクサーを
瀬戸内海に浮かぶ周囲8kmの無人島に拉致。
3日分の水と食料、それに各々武器を配布し、
島中に散開させた。

島から出る方法はただひとつ。

「最後のひとりになるまで生き残ること」

いま、鍛え上げられたボクサーたちの
命を賭けた戦いが始まる……
4 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:45
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│    B O X E R      │
│    R O Y A L     │
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5 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:46
「これで殺し合えって言われてもなぁ……」
歌舞伎町の路上でワゴンによって拉致された
渡辺純一(楠三好=SB)は、考え込んでいた。
湿り気のある薄暗い草むらには、植物特有の匂いが満ちている。
彼に配られた武器は5尺の木刀。
入門前にはヤンチャで知られていた渡辺には
いかにも使い慣れた武器である。

しかし渡辺には、いまだにこの状況が信じられなかった。
当然だろう。
リングの上では命がけで戦うボクサーだが、
実際に人を殺せる奴がいるとは思えない。
さきほどの集合場所(古い校舎か?)には、元世界王者を含め
多くの有名ボクサー・関係者が集まっていた。
きっとセレモニーか何かの余興にちがいない……
手にした木刀を軽く素振りし、
ヤンチャ時代の感触を微笑ましく思い出していた渡辺の身体は、
その瞬間、大きく跳ね上がった。


【残り96人】
6 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:46
「い、痛てェ……」
胸が熱かった。振り返る間もなかった。
背後からの銃弾は渡辺の肋骨の間を貫通し、
次の瞬間、渡辺から意識と身体機能のすべてを奪った。

渡辺は相手を確認することができなかった。
しかしそれは、このゲームが確かに転がりだしたことを
意味していた。


【残り95人】
7 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:47
震える手でベレッタM92Fを握り締めたまま、
柳光和博(CQ渡辺=SF)は動けずにいた。
まさか本物だとは思っていなかったのだ。
「やばい……だろ、これは……」
柳光は慌てて渡辺の亡骸に駆け寄った。
とりあえず死体を隠さなければならなかった。
たとえ不可抗力とはいえ、柳光には人を殺してしまった事実が
重くのしかかっていた。
渡辺の身体を抱え上げようとした、そのときだった。
柳光は激しい嫉妬を覚えた。渡辺の左肩に触れた瞬間である。
見事にパンプアップされたその筋肉は
紛れもなく国内最強の左だった。
同じサウスポーとして……俺にこの左があれば……

ガサッ。

柳光の背後に草を踏む足音がした。


【残り95人】
8 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:51
柳光は反射的に落ちていた木刀を拾い上げ、
音のした方向へ振り向けた。
「なんだぁ、柳光さんじゃないっすかぁ?」
驚くほど能天気な声の、金髪の青年が立っていた。
その青年、徳山昌守(金沢=SF)の手には
小型の目覚まし時計が握られていた。
「なんなんすかね? これ。こんなんで人殺せって、ハハ」
くったくなく笑う世界王者の目には、微塵の疑いも恐怖もなかった。
まだ渡辺の死体にも気がついていないようだ。

柳光の目の奥が疼いた。眼底骨折、忘れられない痛みだった。
そしてこの異常な状況における世界王者徳山の精神的余裕が、
たったいま人を殺してしまった柳光には
耐えがたい侮辱のように感じられた。


【残り95人】
9 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:51
「こういうことでしょ? ねえ、徳山さん」
小さく呟くと柳光は左足を踏ん張り、
利き腕に握った木刀を徳山の金髪めがけて振り下ろした。
柳光の目に殺意を感じ取った徳山は、とっさにバックステップを切った。
追いかける柳光。しかし相手は世界王者であり、
柳光の追い足が徳山を捕らえられないことは、
すでに試合で証明済みである。
木刀の大きなスィングを見切った徳山が、
右ストレートを柳光の顔面にカウンターした。
「ウッ……」
顔をしかめたのは徳山の方だった。
「ハッ、得意の右も素手じゃ諸刃の剣だな」
しかし徳山は素早くステップインすると柳光の左肩に組み付き、
木刀の動きを封じてそのまま覆い被さるように倒れこんだ。
地面に軽く後頭部を打った柳光。刺すような視線で徳山を見上げている。


【残り95人】
10 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:52
徳山は柳光を押さえ込んだまま、冷静に尋ねた。
「なんのつもりっすか? 柳光さん……」
すでに木刀は地面に転がっている。柳光は口を開かない。
「まさか、試合に負けたから、とか……?」
「冗談じゃねえよ! 試合に負けたから相手を殺す?
 そんなことするわけねえじゃねえか!
 ……俺は、お前が嫌いだったんだよ。
 試合のずっと前からだ。試合が決まったときは狂喜したぜ。
 やっとお前を叩き潰せる、ってな……」
徳山は戸惑った。心当たりがなかったのだ。
徳山は大阪、柳光は東京が本拠である。
私的な会話など、ほとんどしたことがなかった。
「柳光さん、いったいなんで……? 俺、なんかしました?」
柳光はここでやっと、徳山から目をそらした。


【残り95人】
11 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:52
「あの彼女だ……」
「……ハニーっすか?」
「そうだよ。あんなかわいい彼女、見せびらかしやがって。
 5年前のレセプションで見たときからだ。
 ずっと心に残っちまって夜も寝られねえ。
 やっとお前を潰して彼女を奪おうって試合のときもだ。
 おかげでオーバーワークになって
 生命線の右肩を壊しちまった。
 アレさえなきゃ……」
「ちょっと待ってくださいよ柳光さん。
 ハニーのことはいいっすよ。
 アレさえなきゃってなんすか?
 右肩さえ怪我してなきゃ俺に勝てたって言うんですか?
 それはちょっとボクサーとして……」


【残り95人】
12 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:53
「ハッ。優等生だなホンチャンス」
徳山は柳光の目を見据えた。
「左だけでも……強い奴は強いっすよ。
 柳光さん、アンタは俺より弱かった。
 だから負けたんです。
 悔しかったら、またここまで
 這い上がってくりゃいいじゃないですか」
それは徳山の優しさから出た言葉だった。
徳山はボクサー柳光を尊敬していた。
そしてもう一度、万全の柳光と戦いたかったのだ。
「ホンチャンス、お前ひとつ忘れてるよ」
「え? なんすか?」
「あのときは確かに左一本だった。そしてお前に負けた。
 だが、今の俺は……」
「あ、ちょっ……」
徳山の返事を待つまでもなく、銃声が響いた。
徳山の後頭部からは、脳漿が噴出していた。
「……右手も使えるんだぜ?」
柳光の右手で、ベレッタM92Fが硝煙を吐いていた。


【残り94人】
13 ◆BR/q.Ebj96 :03/02/14 18:58
誰か続きを。
14名無しさん名無しさん@腹打て腹。:03/02/14 23:56
最後に生き残ったのは中野さんでした


おしまい







脳 内 で や れ
15重複です
てより、削除依頼でてたが・・・
ということで、めでたく終了。