ジェムケリーPART7

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794備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 13:31:40 ID:JoE9CUV40
 薔薇水晶の結晶が初めて発見されたのは1959年と比較的近年の事です。 いずれもブラジル,ミナス・ジェライス州のアラスアイ(Araçuai)の東方100km程のペドラ・アズール(Pedra Azur)とジェキチニョーニャ(Jequitinhonha)の鉱山,そこから南へ220km程の
ゴヴェルナドール ヴァラダレス(Governador Valadares)
の東50km程のサプカイア・ド・ノルテ(Sapucaia do Norte)
のいずれもペグマタイト鉱山でした。 とりわけサプカイア鉱山からは色が濃く,薔薇水晶としては異例の大きさの最大4cmもの結晶を産出しました。
 ジェキチニョーニャは1980年に鉱脈が枯渇して,サプカイア鉱山も1979年の大洪水で,水没し,共に閉山されましたが,その後1979年にサプカイア鉱山の南10km程のラランジェイラ(Laranjeira鉱山で見事な薔薇水晶の鉱脈が発見されました。
 その後,ナミビア,南アフリカ,マダガスカル,さらに日本(Iwaki−Gotoとあります。福島県いわき市三和町からかつて少量の薔薇石英が採れたとの記録があります。)からも薔薇水晶の発見が報告されていますが,現在市場で見かけるのは殆どブラジル産です。



795備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 13:33:00 ID:JoE9CUV40
合成薔薇水晶

   水晶の合成は1900年代初頭にイタリア,トリノ大学の鉱物学教授スペッチアが熱水法で長さ10mmの小さな結晶を作る事に成功しました。 
1930年から第二次大戦終了時までドイツとアメリカとでいずれもレーダー発振等軍事目的で開発研究が行われましたが,
アメリカが熱水法による大量生産技術を確立しました。 現在はアメリカ,ロシア,日本等が主な生産国で年間1000トン以上の
合成水晶が生産されています。 合成水晶はその殆どがエレクトロニクスの産業用途ですが,10〜20トン程度は紫,緑,青,オレンジ,黄色等が
宝飾用途に生産されています。 もちろん産業用の無色透明な結晶で規格外のものはカットされてネックレス等宝飾用途に用いられています。
796備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 13:34:52 ID:JoE9CUV40
 産業用の合成水晶技術が確立された1940年代には早くも紫水晶の合成が行われ,続いて黄水晶,緑の水晶,青い水晶等の合成が行われました。
 薔薇色の水晶は1980年代半ばに日本が最初に合成に成功しました。実験的にチタンを含むアルカリ溶液での水晶の合成を試みた際に3cm足らずの淡いピンクの水晶が出来たものです。
色を濃くするためには鉄を含む溶液の中で1200℃の高温で処理する必要がありました。 
こうして出来た薔薇水晶の結晶生成条件と発色の仕組みとは天然の薔薇石英のそれと近いものです。

宝石用の合成薔薇水晶

 様々な色の水晶合成に早くから取り組んでいたロシアでは1969年頃から薔薇水晶の合成の研究を始めていたようですが,実際に大量生産の技術が確立されたのは1992年のことでした。
 他の水晶と同じ,熱水法によるものですが,成長が一日当り0.1〜0.2mmと遅く,長さが100mm,厚さ20mmの平板状結晶の成長に2ヶ月かかります。 
無色の水晶なら1ヶ月で250x25x35mmの結晶が成長しますから,10倍以上も余計に時間がかかり,エメラルド並です。 
」天然に薔薇水晶が極めて稀なのはこのような成長が遅い事がその原因ではないかと思われます。
 薔薇色の発色は燐イオンによるカラーセンターと推定されますが,その詳しい仕組みは現在研究が続けられています。

1998年時点での生産量は150x40x20mmの大きさの結晶が年間200kgですが,需要があれば500kgまで増やせる生産能力があります。合成薔薇水晶の開発と生産とはモスクワ近郊にある
ロシア材料合成研究所で行われています。
 また製品はアメリカの企業を通じて"Flamingo Quartz”として販売しています。
 冒頭の写真のように,天然の薔薇水晶と比べると透明度が高く,モルガナイトやクンツアイトと見間違うほどの美しいものです。
しかし合成ですから値段は他の合成水晶と同じ水準です。 冒頭の10.4ctのルースと
93ctの結晶は1993年のミュンヘン・ショーにてペアで50マルクと信じられない程の手頃な値段でした。 
合成直後の試作品のプロモーション用の特別な値段かと思いましたが,
その後入手した240ctのルースも同じ水準でしたから,
ロシアの合成宝石はアレクサンドライトやエメラルドも含め,驚異的な低コストで出来るようです。
797備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 16:30:43 ID:JoE9CUV40
  煙水晶はモリオン(Morion)と呼ばれる事もあります。これにはいくつかの説があって,一つはその暗い色合いからラテン語の”Morrusos:不機嫌な”を語源とするもの。 またギリシア語で曼荼羅花(朝鮮朝顔)の黒い種を指す”morion”という説もあります。
 さらに宝石に関する著述で名高い古代ローマの博物学者,大プリニウス(AD23‐79)は煙水晶を”Pramnion”とも呼んでいました。これはエーゲ海のイカロス島にある丘の名前ですが,そこで産する豊穣な赤ワインの色に由来するとの事です。
またカーンゴーム(Cairngorm)と呼ばれた事もあります。この呼び名はスコットランドのカーンゴーム山が黄色,褐色,灰色,煙,黒色の水晶の産地であった事に由来します。 

 煙水晶はペグマタイトやアルプス型の熱水鉱脈に発見されます。ペグマタイトに産する煙水晶は長石やトルマリン,柘榴石と共に発見されますが,多くは漆黒で不透明なものが多く,共に産する鉱物の引き立て役のような存在です。
 一方アルプス型の熱水鉱床には単独,あるいは薔薇色の螢石等と共に発見され,その名のとおり煙がかかったような色合いですが,なかには大変透明度の高い美しいものがあり単独のコレクションとして高い人気があります。
水晶は量も多く,値段も手頃な事から何処の鉱物フェアでも中心となる鉱物です。 しかしアルプス産の透明度の高い標本は数が少なく,水晶のなかでは薔薇水晶と並ぶ稀少品です。

 私自身も,水晶のコレクションは何時でも手に入るからと後回しになっていましたが,ミュンヘンの鉱物フェアで煙水晶の特別展を見てからその美しさの虜になってしまいました。とりわけ何個もの水晶を束ねたような透明度の高い平行連晶にはすっかり魅せられたものです。 
しかし,いざ捜し始めると,何時でも何処にでもあると思っていた透明な煙水晶は実はとてつもなく珍しいものであることに気がついた次第です。
 したがって目に止まったらともかく入手するしかありません。 少しくらい形が気に入らないとか,値段が高いとかためらっていると,1時間後に戻ってもかならずと言って良いほど売りきれてしまっているというのが現実です。

798備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 16:31:55 ID:JoE9CUV40
煙水晶の発色の原因

 煙(黒)水晶の発色の原因が何かは長い間の謎でした。 それが解明されたのは比較的最近の事です。
水晶は2個の酸素原子と1個の珪素の化合物の結晶ですが,珪素のごく一部がアルミニウム原子と置き換えられている場合があります。 このような結晶が数億年という
長い間に岩石中に存在する放射性物質からの放射線にさらされていると,アルミニウムと結合している酸素から電子が放出されます。このためアルミニウム原子の周囲の
エネルギー状態に変化が起きて,それがカラーセンター(着色中心)のような役割を果たして煙水晶の色となると考えられています。
 ペグマタイトにはウランやトリウムなどの放射性元素が濃縮されて多く含まれるので放射線量が多く,そのために真っ黒で不透明な水晶が多いのだと考えられます。
 アルプス型の鉱脈には放射性物質はペグマタイトほどは多くありませんから,放射線量も少なく,透明な煙水晶が多いのでしょう。

799備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 16:33:35 ID:JoE9CUV40
煙水晶の産地

 不透明な煙(黒)水晶は世界中のペグマタイトに産しますから,余り美しくないものなら何時でも手ごろな値段で入手できます。

 しかしアルプス産の透明な煙水晶は,殆どフランス・アルプスのモンブランやブール・ドワザンか,スイスからイタリア側に抜けるゴットハルト峠とその西のベルナーオーヴァーランドへ抜けるフルカ峠,グリムゼル峠周辺産に限られるようです。
 恐らく水晶はアルプス全体の何処にでも存在するのでしょうが,何しろ標高3000m前後の急峻な崖の割れ目を何ヶ月もかけて掘り進めなければなりません。 電動やジーゼル発電のドリル等を持ちこむために,交通の便利な峠付近でしか採掘が出来ないためでしょう。
 スイスの山岳地帯には昔から水晶ハンターと呼ばれる人々がいます。 それぞれの縄張りの山での水晶捜しを言わば生きがいとしていて,どんな天候だろうと,年中山に登っては水晶を見つける事を楽しみとしています。 
彼らの家族はゴルフならぬQuartz Widow(水晶未亡人)と呼ばれています。 実際,夫,父,兄弟,息子などを事故で次々と失った例も数限りなくありますが,捜すほうは楽しみでやっているのですから,
いくら引き止めても水晶探しにとりつかれた人々が山に登るのを止める事は不可能と言うものです。

 上記の絵はスイスのゴットハルト峠付近にあるティーフェン・グレッチャー(深い氷河)での採掘時の様子を描いたもので,ベルンの自然史博物館に1mを越える巨大な煙水晶と共に展示されています。
このとき発見された晶洞は幅4m,奥行き6mの大きさで,壁一面が巨大な煙水晶で覆われていました。
最大150kgの煙水晶を含む,全部で14トンの水晶が採れました。このときに採れた水晶の大半はシャンデリアを飾りとして使われましたが、一部の結晶はベルンやバーゼル,
チューリッヒ,ジュネーヴの他,ブダペストやモスクワなど欧州各地の博物館に展示されています。
スイスでは公立の博物館以外に,山岳地帯の鉱物産地には個人の博物館があって,特産の鉱物標本の展示を見る事が出来ます。

800備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 16:35:00 ID:JoE9CUV40
スター煙水晶

 黒水晶や煙水晶が宝飾品として使われる事は現在は殆どありません。美しい鉱物標本として眺めて楽しむべきものでしょう。
過去においてはしかし,透明度の高い煙水晶はシャンデリア等の材料として愛好されていたようです。ヨーロッパの城や宮殿にて見事な煙水晶製のシャンデリアを良く見かけます。

 こんにち宝石市場で良く見かけるのは,薔薇水晶と同じように,何か他の鉱物の微細な結晶を含む,スターやキャッツ・アイ効果を示す煙水晶です。 
薔薇色を例外として,かつては灰色がかった余り美しくないスター水晶が大半でしたが,1987年にブラジル,
ミナス・ジェライスのベロ・オリゾンテで発見された煙水晶は例外的に美しい水晶でした。
 透明度の高い明るい褐色の地にくっきりとスターやキャッツ・アイ効果を示し,まるで最上のキャッツ・アイクリソベリルを彷彿とさせるものでした。 
しかし水晶ですから値段はカラット当り100円〜300円程度と,博物館級の大きなものでもためらうことなく入手できるのが何よりでした。

801備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 16:35:48 ID:JoE9CUV40
合成煙水晶

 前述のように,微量のアルミニウムを含む水晶は放射線照射で煙水晶を作り出す事が出来ます。合成水晶は原料として天然の水晶屑や石英を使いますが,天然の水晶には必ず微量のアルミニウムが含まれていますから,ともかく放射線を照射すれば,
その量を調整する事で煙水晶や,黒水晶になるのです。 

 アメリカ,アリゾナ州ツーソンの鉱物フェアでは,屋外のテント張りの会場などに加工用の原石をドラム缶などに入れて売っている業者がいて黒水晶も山積みで置いてあります。 ただ,こうして売られている黒水晶は天然ではなく,
コバルト60のガンマ線を大量に照射したものが多いとの事です。 アルプスの墨絵のような透明な煙水晶と比べると,人工のガンマ線照射による黒水晶は,褐色を帯びた黒で何となく汚らしい感じがします。

802備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 18:54:16 ID:NVWTO9H1O
あと200がんばれよ!準備は万端。
803備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 19:39:56 ID:JoE9CUV40
 多彩な色を示す水晶の中で古来からもっとも人気があったのが紫水晶です。欧州各地の紀元前2万5千万年前の新石器時代の遺跡から加工された紫水晶が発見されています。また古代エジプト、ギリシア、ローマでも装飾品として紫水晶が珍重されました。

Amethyst is the most valuable and highly prized varieties of quartz since ancient times. Amethyst
was used as decorative stone bofore 25,000B.C. in France and has been found with remains of
neolithic man in different parts of Europe. Before 3100B.C. in Egypt, beads amulets and selas were made of this gemstone, and it was highly valued
in ancient Greek and Roman societies.


 アメチストの名はギリシア語の「否定接頭語の "a" と methustes:酔う」との合成語で”酔わない”を意味します。
即ちアメジストのグラスに入れた水はワイン色に見えるのでいくら飲んでも酔わないからというのです。
 また,ローマ神話にアメチストという美しいニンフの逸話があります。
ある日女神ディアナの神殿に詣でるため森を通るアメチストは,好色な酒の神バッカスに襲われます。
助けを求める声を聴いたディアナはバッカスの腕の中のアメチストを冷たく透明な水晶の杯に変えてしまいます。
怒ったバッカスは水晶の杯にワインを注ぎ紫色に変えてしまいました。酔いから覚めた後に,
バッカスは紫水晶の杯を持つ者に酔わない力を与えたという神話です。
 こうした逸話が示すように,紫水晶は中世にも王冠や高位の聖職者の指輪など,力の象徴としてまた戦場に赴く
兵士たちの安全を守る宝石として長い間特別な力を持つ宝石と見なされて来ました。
 犀の角を珍重する中国では晋〜唐代には紫水晶も同様強壮薬として珍重したとのこと。

804備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 20:21:51 ID:JoE9CUV40
 18世紀のフランスとイギリスでは高貴な色合いのシベリア産の紫水晶はとりわけ人気が高まり大変な高価で取引された宝石でもあります。

The name amethyst derives from Greek privative "a" and "methustes drunkness, meaning it prevent drunkness. The Greeks believed that amethyst would prevent ingtoxication. The Roman myth relates that the God of wine Bacchus was
about to insult a nymph, Amethyst who was on the way to worship at the shrine of Diana. As she cried asking for
help in the arm of Bacchus, the Diana tuned the girl into a transparent rock crystal. The Bacchus in an anger poured wine as a libation over the crystal, thus giving the crystal its beautiful purple color. The allure of
amethyst has been virtually universal as a symbol of power, protect soldiers in battle, guard against contagious disease , and bring peace of mind to the wearer.

Amethyst from Russia was very popular during the 18th century in France and in England.

ヨーロッパの紫水晶の産地 (Origin of European amethyst)


 ヨーロッパ古代の紫水晶の産地が何処であったかは定かではありません。恐らくキプロスの銅山や,イングランドの錫鉱山など古くから開発された金属鉱山やアルプスなどで発見されたものと考えられます。
15世紀以降になるとドイツのイダー・オーバーシュタイン周辺にて紫水晶や瑪瑙,玉髄の産地が発見され,今日に至るまで世界的な宝石加工産地となる基礎が出来ました。ドイツの紫水晶はおよそ2億5000万年昔,ペルム紀の火山噴火により流れ出た塩基性の
玄武岩流空洞の中に瑪瑙や玉髄に囲まれて紫水晶が結晶したものです。
 さらに17世紀にはフランスの中央山塊,オーヴェルニュ地方各地の火山岩の晶洞に小さいながら色合いの美しい紫水晶が発見されました。
 しかしヨーロッパでこんにち,伝説とまでなった高品質の紫水晶が発見されたのは18世紀初め,シベリア最西端,エカテリンブルグの北西120km程のウラル山脈の東山麓のネヴァ川流域のムルジンカ・ペグマタイト鉱床地帯です。
ムルジンカ一帯には無数のペグマタイト鉱床の露頭があり、100年余りにわたって世界的なトパーズ,アクアマリン,トルマリンと共に紫水晶を産出した産地です。
 シベリアの紫水晶は,昼の光ではロイヤル・パープルと呼ばれる深い紫の色合いが,また夜の白熱光では中で炎が燃えているような赤みを帯びたワイン色を示す顕著な二色性を示すことが特徴です。紫水晶は結晶軸の方向によってこのような二色性を示しますが,
とりわけシベリア産のそれは伝説となる程に見事であったようです。
 また南ウラルのChasawarka近くには5億年ほど昔の古生代初期の石英ー緑泥石−雲母層の中に長さ200m,厚さが3〜15mの豊穣な紫水晶の脈があり,当時は世界でもっとも重要な産地でしたが,現在ではすっかり掘り尽くされてしまっています。

805備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 20:26:08 ID:ItxSL5sZ0
ジェムケリー最近大丈夫????

 変な噂ばかり聞くんだけど
806備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 20:34:01 ID:JoE9CUV40
水晶の発色の仕組みと成因 (Mechnism of quartz colors)

 紫水晶の紫色の発色の仕組みが明らかになったのは比較的最近の事で,ほんの30年くらい昔の宝石の専門書では発色の原因は不明とされていました。 当時は宝石の第一人者として数々の一般向けの宝石に関する著書を出していた崎川範行教授も
マンガンによる発色としていました。
確かに消毒薬に使われる過マンガン酸カリウムの水溶液は紫ですから化学の専門家がそう思いついたのも無理のないことです。
 しかし専門の鉱物学者であった益富伊寿之助氏が1973年刊の保育社発行のカラーブックス,”鉱物”にて,精密な分析の結果,多くの不純物のうちで小数点以下二桁%以下の価で含まれる鉄が結晶格子間での光の吸収を起こすと推定していたのは流石です。

 水晶の様々な発色の仕組みが明らかになったのは1969年にSamoilovichが黄水晶の黄色から橙の発色が三価のアルミニウムイオンによる着色中心(カラーセンター)であると発表して以来のことです。
 紫の発色は1972年にHassanが,1977年にCoxが明らかにしました : 母岩に含まれる微量のウラニウムやトリウム、カリウム40等の放射性元素からのアルファ線を長年浴びた水晶からは結晶を構成する酸素から二価のマイナスイオンが分離し,
不純物として含まれる鉄が同じく放射線を浴びて安定な3価のイオン状態から
不安定な4価の状態になっている鉄イオンとの間で電子を交換する電荷移動(Charge Transfer)が起こります。紫水晶を透過する光はこの電荷移動によって橙〜黄〜緑に至る周波数帯の光を吸収されて,残った主に紫の周波数帯が見える仕組みです。
 その後1988年頃までに,緑,ピンク,黄緑,黒等々,全ての水晶の発色の原因が様々なカラーセンターや電荷移動等の原因で起こる事がようやく解明されたのです。
 水晶は多様な成因で広汎な地質条件に普通に発見される鉱物です。そして母岩中にごく微量ではあっても普遍的に存在する放射性元素から数億年の長い間放射線を浴び続ける事も良くある事です。また地殻中に大量に存在する鉄分は不純物として必ず含まれます。
 したがって,世界各地で広汎に発見される紫水晶は,
生成されたときは無色でしたが永年放射線を浴びる事で紫水晶に変わったものと考えられます。

807備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 20:35:00 ID:JoE9CUV40
アジアの紫水晶 (Asian Amethyst)

 古い宝石の本には朝鮮半島からも宝石質の紫水晶を産したと記述されています。日本も古い宝石の本には産地として挙げられていますした。
主に金属鉱山の副産物やペグマタイト鉱床の産出でしたが,量も少なく,宝石質の結晶は殆どありませんでした。
 冒頭で述べたように,シベリアとウラル山脈の紫水晶はその赤みを帯びた色合いと顕著な色変わりとで”シベリアン・カラー”と呼ばれる最上の紫水晶を表す言葉になっています。
 残念ながらかつての鉱脈は枯渇してしまいましたが,広大な国ですから,最近新たな鉱脈が発見されたデマントイドのように,新産地が発見される可能性は充分あります。
 中央アジアは近年,主にペグマタイト性の美しい結晶の産地として注目を浴びています。アフガニスタンからはごく最近,伝説のシベリア産を偲ばせる大きく深い色合いの紫水晶の産地が発見されました。
 スリランカもありとあらゆる宝石の産地で,時にはシベリア産に匹敵する紫水晶が発見されます。しかし量は少なく,市場で見かける機会は余りありません。

808備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 20:38:22 ID:JoE9CUV40
ザンビア(Zanbia)

 今日、世界で最も高く評価される紫水晶がザンビア、カーリュー鉱山産です。片麻岩を貫く熱水脈に生成した紫水晶は殆ど真っ黒に見えるほどですが、カットすると深い紫の色合いが見事です。
惜しむらくは平均で2カラットと小さいのが難点です。その上インクルージョンが多く色むらも目立ちます。
それでも濃く深い紫は魅力があり、稀に採れる10カラット級の透明度の高いルースは普通の紫水晶の10倍もの高値(と言ってもカラット当たり60ドルに過ぎません)で取引されます。

809備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 20:43:14 ID:JoE9CUV40
 ナミビアのブラントベルク産も深い色合いでアフリカを代表する紫水晶の産地です。上の写真はおそらく一般にブラントベルクと呼ばれる地域と思われますが、
ナミビア北西部のナミブ砂漠にあるサルーサス鉱山の様子と産出する黄水晶と紫水晶です。
紫水晶が玄武岩中の晶洞に産します。
淡色の黄水晶も稀に発見されるとのことです。したがって写真の黄水晶は紫水晶を加熱処理したものです。2004年後半の半年で1500kgほどの原石が採取されましたが、
宝石質の部分は1%以下に過ぎません。
 南アフリカのマハリーズベルクはグーグルで調べるとプレトリア近郊の観光地のようです。
どんな産状か定かではありませんが、写真のような水晶の表面に無数の小さな結晶が成長している「サボテン」水晶の産地のようです。
やや色が淡く宝石にはなりませんが標本として面白いものです。
810備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 20:57:23 ID:JoE9CUV40
ナイジェリアとマダガスカル(Nigeria and Madagascar)

 近年,ナイジェリアはトルマリンやトパーズ等,色石の分野では質,量ともに重要な産地として台頭してきました。写真の結晶とルースは2000年に東部のタラバ州で採掘が始まったばかりですが,
月産120〜150kg程を産出しています。
ファセット質の歩留まりは1%程度と低いのですが,品質は人気のある赤みを帯びた深い色合いの紫水晶です。
 一方アルプス型の熱水鉱脈、ペグマタイト鉱床、広域変成鉱床等々多彩な地質構造に富むマダガスカルからは大小様々の煙水晶,黄水晶,松茸水晶,日本式双晶等々,多彩な水晶を産します。 
紫水晶も他では滅多にない両端をもつ結晶や,
松茸水晶等,コレクター垂涎の美しい結晶の産地です。世界の最上級品に匹敵する宝石質の紫水晶も量は多くありませんが知られています。
811備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 20:59:24 ID:JoE9CUV40
4 Peaks鉱山 (Four Peaks Mine, Arizona)

 アリゾナ州の古い鉱山が1998年に半世紀振りに紫水晶の採掘を始めました。鉱山経営の経験のない鉱物マニアが20世紀初頭以来,細々と稼動していたFour Peaks Amethyst鉱山を買い取ったというわけです。 
この鉱山はアリゾナ州フェニックスの東北東およそ80kmに遠望出来るMazatzal山脈(標高2200m)の頂上付近にあり,徒歩かヘリコプターで行くしか交通手段がありません。
こんな僻地の鉱山を敢えて再開発しようとするのは偏にその品質にあります。写真のように大きな結晶が採れますが,インクルージョンと色むらのためにカット出来るのはほんの一部に過ぎません。
しかしその品質はシベリアの紫水晶に匹敵する赤みを帯びた深い紫なのです。
 この鉱山からは,年間10万カラットのルースが産出されると期待されています。
812備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:01:02 ID:JoE9CUV40
 アメリカ。ジョージア州の州都アトランタから真東に150km、通称Jackson's Crossroadsと呼ばれる地域から見事な紫水晶の結晶標本とルースとが2005年のツーソン・ショーに登場しました。実はこの地域の紫水晶は1920年代にティファニー宝石店が採掘を手がけていました。
その後1966年代から繰り返し採掘が行われていました。現在は2000年から重機による本格的な採掘によって
2004年末に新たな鉱脈が発見され、写真のような世界屈指の品質の結晶と産出とが報告されました。紫水晶は長石が風化して粘土化した変成石英安山岩の堆積中に地下6mに達する晶洞を成して発見されます。
晶洞は主に垂直のチューブ状に連なっているものですか、
それからから水平に派生したもの、また独立した晶洞もあり、
最大では長さが60−80cm、幅が25−30cmあります。The Mineralogical Record Nov-Dec 2005の報告では「鉱床はペグマタイト起源では決してない」と断定しています。
しかし鉱山のホームページからは宝石質の薔薇水晶や、
非宝石質ですがトルマリン(ショール)や緑柱石も採掘されていますから、ペグマタイトと熱水鉱床からなる複雑な鉱床と考えた方が妥当でしょう。
研磨された紫水晶は白熱光下では紫ですが、自然光では青みを帯びています。産状から判断して、重要な紫水晶の産地が発見されたと言えます。
813備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:10:35 ID:JoE9CUV40
メキシコ(Mexico) 

 メキシコは17世紀末ごろから銀山や晶洞からの美しい紫水晶の産出で名高い産地です。しかし金属鉱山の紫水晶は量が少なく大半は鉱物標本として市場に登場します。
 メキシコの紫水晶ではなんといってもベラクルス州ラス・ビガスの安山岩の割れ目に発見される素晴らしく透明で美しい結晶でしょう。
透明度の高さで名高いアメリカ,アーカンソー州の無色の水晶の紫水晶版で,掛け値なしに世界で最も美しい紫水晶と言って差し支えありません
。この紫水晶は,しかし,あるいは,むしろというべきでしょうが幸いな事に宝石にはなりません。ルースにカットすると色が淡すぎて宝石としての
魅力が薄れてしまうからです。宝石としては例えばナイジェリアやナミビア産のような,色が濃すぎて結晶標本としては余り魅力のない原石がカットされると深い色合いで高く評価されます。
ラス・ビガスの紫水晶は結晶標本として,自然のままの美しい姿と色合いとを愛でるのが何よりです。

814備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:11:33 ID:JoE9CUV40
   世界に紫水晶の産地は数多くありますが,質,量ともにブラジルが世界を圧倒します。
左の地図の黒点は産地を示しますが主にブラジル東部の海岸に沿って東西に幅500km,南北にほぼ4000kmに渡り,ウルグアイから連なる南のリオ・グランデ・ド・スール州,パラナ州,
サンタ・カタリーナ州,マト・グロッソ・ド・スール州,リオ・デ・ジャネイロ州,
ミナス・ジェライス州,エスピリト・サント州,バイア州,ゴイアス州,セアラ州,パラ州に至る,広大な地域に無数の産地が存在します。
 また産状も多様で火山性の玄武岩の晶洞中の群晶,漂砂鉱床,珪岩層への紫水晶脈の貫入,ペグマタイト性,熱水鉱脈性等々,多彩な地質条件下に発見されます。
 19世紀初頭に南部のリオ・グランデ・ド・スール州に広大な産地が発見されて以来,その後次々とブラジル各地に多様な産状で紫水晶の産地が発見され,毎年数百トンの紫水晶が産出され続けています。
815備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:12:39 ID:JoE9CUV40
 ブラジル最南端のリオ・グランデ・ド・スール州に紫水晶が発見されたのは1800年代初頭の事です。発見したのは奇しくも南ドイツのイダー・オーバーシュタイン近郊からの移民でした。紫水晶や瑪瑙の発見がヨーロッパの一大宝石加工地として栄える発端となったのですが,
その土地からはるばるやって来て住みついた人々が,
地質も気候もそっくりの土地で,全く同じ産状の紫水晶を発見したことになります。原石の鉱脈が枯渇して衰退を辿っていたイダー・オーヴアーシュタインはブラジルから輸入される紫水晶や瑪瑙によって再び世界の宝石加工の中心地として復活したのでした。
 ブラジルといえば,一般にはアマゾン地方のような熱帯の気候風土を想像する方が多いかもしれませんが,サンパウロから南の土地は高原の爽やかな気候と森や草原が延々と広がる,南ドイツのような土地です。したがって,
ドイツや東欧系の移民が多く暮らしていて,人々も家並みもヨーロッパを思わせます。因みにブラジルを代表する航空会社VARIGとはリオグランデ航空のことです。
816備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:13:46 ID:JoE9CUV40
 さて,紫水晶は1億2000万年ほど昔にパラナ盆地一帯に起こった火山活動によって流出した120万平方kmに及ぶ広大な玄武岩の溶岩流中に出来た晶洞の中に結晶しています。
晶洞は大きいものでは直径が1m,長さが数mにも達します。
セラドン石(Celadonite)と呼ばれる雲母状の鉄に富む珪酸分の多い緑色の皮膜状の
鉱物に包まれた晶洞の瑪瑙や石英の外壁の内部にぎっしりと,最大で10cmに達する紫水晶の結晶がひしめいています。
この空洞にはしばしば方解石や石膏,時には金の結晶が含まれることもあります。
 またフラワー・アメジストと呼ばれる花びらのように発達した平板状のアメジスト晶群が見られます。背面に緑色のセラドナイトが付着していますから,
晶洞の表面にサボテンに咲く花のようについているのではないかと思われます。
817備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:14:14 ID:ItxSL5sZ0
すごいことやね。 うんうん。
818備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:14:48 ID:JoE9CUV40
 またリオ・グランデ・ド・スール産の紫水晶は加熱加工でガーネットのような濃い赤みや橙色を帯びたシトリンになるため,生産量の3分の2はシトリンとして出荷されます。
 天然に加熱作用が加わってシトリンになった晶洞が発見される事がありますが,それは採掘している鉱夫が一生に一度遭遇すれば幸運といわれるほど稀な存在です。

イライ産の紫水晶はカラースケールでは1〜9ctのルースが5〜6,10ctを越える大きなルースは7,と宝石業界では中級程度の評価です。したがってそれほど高価ではありません。
 がこうした宝石業界の評価とは別に,普通に売られているカラットあたり2〜3ドルのルースでも充分魅力があります。

819備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:15:37 ID:rnicvOzW0
ふんふん。で?
多少は進んだようだが?
まだ200弱あるでよ。
820備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:16:34 ID:JoE9CUV40
   ミナス・ジェライス州の北部からバイア州南部へ南北に300km程伸びるエスピニャーソ山脈は別名"紫水晶山脈”とも呼ばれます。この山脈の東山麓各地に世界でも
最高品質の紫水晶の崩積鉱床が散在するからです。
 中でも最も名高い産地がブレジーニョです。
この産地は先カンブリア代に大規模な地殻変動が起こって,厚く堆積していた片岩層が破砕されました。その空隙に石英岩脈が貫入した形成された水晶脈が紫水晶となったものです。
永年の風化により紫水晶脈が露出した崩積鉱脈となったもので,15mを越えるラテライトの層の中に結晶塊が発見されます。
 左の写真は4kgを越える,紫水晶としては極めて大きなものですが,さらに黒味を帯びるほどの濃い色合いで,最上級の評価を得ています。
 ブレジーニョの紫水晶は加熱処理で橙色のシトリンになり,バイア・トパーズとも呼ばれます。
821備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:17:43 ID:JoE9CUV40
 ミナス・ジェライス州とバイア州は先カンブリア代の大規模な地殻変動により数百mに達する褶曲により折り曲げられ,破砕された片麻岩,雲母片岩,珪質岩等中に貫入した熱水により
形成された熱水鉱床やペグマタイト脈が無数にあります。
 バイア州の州都,サルヴァドールから北西に300kmのジャコビーナ(Jacobina)近郊のラヴラ・ド・コショに紫水晶の鉱脈が発見されたのは20世紀初めです。
数十立方mから数千立方mに達する巨大な空洞の中の壁一面を底面が乳白色で,
先端が黒ずんだ,大きなものでは直径が10cmを越えるピラミッド型の結晶が覆い尽くしている様は自然の驚異としか言えません。
 その黒ずんだ深い色合いは紫水晶の中ではブレジーニョ産と並び,最上級に評価されています。
822備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:19:47 ID:ItxSL5sZ0
宝石の情報はポータルサイトでされては…

 聞くわけないか(w
823備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:19:52 ID:BMrwb3gCO
うんこたべたよ
824備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:19:57 ID:JoE9CUV40
 1979年,アマゾン川の支流の支流,パウ・ダルコの村の近くでボア狩りをしていた村人たちが,岸辺近くの狭い穴に逃げ込んだボアを捕らえるために穴を拡大していた時に見事な
紫水晶の結晶を掘り当てました。
これが,現在では世界でも屈指の品質を誇るパウ・ダルコの漂砂紫水晶鉱床発見の発端でした。
 パウ・ダルコはブラジリアから北におよそ1000km,ベレンから南に650km,ゴイヤス州とパラ州境を流れるアラグアイア川の岸辺にあります。
紫水晶はアラグアイア川沿いの熱帯のジャングルのラテライト層の深さ2〜6m程の地層の中に
結晶塊が発見される典型的な漂砂鉱床です。
原鉱脈は,恐らく北西400km程のカラジャス山脈に由来すると考えられています。
 鉱床は広汎な範囲に広がっていると考えられますが,採掘は1.5平方kmの狭い範囲内で行われています。
紫水晶は20kgもの大きな結晶も珍しくはなく,最大では40kgにも達するものがあります.しかしカラーゾーンとインクルージョンのため歩留まりが低く,最終的にファセットされると平均では2カラット以下と小さくなります。最大では50ct以上のものも得られます。
 このため宝石質のルースの産出は年間7トンと少ないのですが,1カラットの小さなルースでもカラースケールで最上の10と深い色合いが特徴で,同じく堆積鉱床のブレジーニョ産と同様に,世界で最上の紫水晶と評価されています。
 また加熱処理で色を失い,黄水晶にならない事もパウ・ダルコの紫水晶の特徴です。
825備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:21:44 ID:JoE9CUV40
 パウ・ダルコから北に250km,アラグアイア川沿いの交通の要所であるマラバ(Maraba)の町があります。マラバから西に130km程イタカユナス川を遡ると1981年に発見されたアルト・ボニート鉱山があります。 
 この一帯は豊かな鉱物資源が埋蔵されるカラジャス山脈に属しています。 1970年に発見された驚異のセーラ・ぺラーダ金鉱床も同じ地域にあります。 紫水晶もこの一帯が現在ブラジルで最大の生産地で,一般にマラバの紫水晶と称されています。
 この一帯は17億〜20億年昔,古生代初期の古い地層で,変成作用を受けた硬い珪質岩と溶岩流との堆積岩が巨大な褶曲と破砕作用を受けて形成された無数の割れ目と空洞に貫入した紫水晶が発見されます。
 採掘は何層にも分かれた縦坑をはしごを伝って果てしなく降りると突然1000立方mを超える巨大な空洞があり,その壁に紫水晶の結晶が列をなしています。
826備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:23:53 ID:JoE9CUV40
 何故水晶が紫色になるのか、長い間の謎でした。試験的には1940年代末から1950年代にかけて,偶然放射線を照射されて合成水晶が紫色になったことが報告されています。
しかし,当事の研究者は,発色の原因はマンガンの不純物によるためと考えてそれ以上追求しなかったようです。
 1960年代になり,理由が未解明ではありましたが,ソ連で鉄を含む合成水晶に放射線照射によって紫水晶が出来ると確認されました。その仕組みが解明されたのは前述のように1970年代に入ってからのことでした。
発色の仕組みの解明と,大型の紫水晶の製造法の研究が進んだ1980年頃から,合成紫水晶が大量に市場に出まわるようになり,大きな問題となりました。 ブラジル市場に出まわる天然の紫水晶の10%以上が,
パーセルによっては25%もの合成水晶が混入している事が判明したためです。
827備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:24:52 ID:JoE9CUV40
天然と合成の識別 (Identification of synthetic from natural amethyst)

 このため,天然と合成とを識別する事が急務となり,世界の宝石学者や鉱物学者がその研究に没頭しました。
 しかし合成水晶はもともと天然の水晶を材料として使い(天然ですから当然不純物の鉄が含まれている),天然と同じ条件の熱水中で時間をかけて合成したものに放射線を照射すれば出来るわけで,
殆ど違いがありません。
 天然の結晶は一般に内部に様々なインクルージョン等,結晶成長の痕跡を残しています。一方合成水晶は電子部品として使われるために,材料を精製して精密に温度や圧力を調整して成長させるため,
大変きれいな結晶となります。
したがって10倍のルーペで調べれば,インクルージョンの有無によって識別は可能となります。
けれども,天然でも最上級のルースは結晶のきれいな部分だけを選んでカットしますから,高級な天然品ほど合成品と識別が困難になります。

828備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:25:48 ID:JoE9CUV40
 合成水晶は電子部品として発振素子を得るために作られます。したがって天然には少ない単結晶であり,結晶形も成長を早めるために天然にはない平板状になるという特徴があります。
 もっとも結晶の形状はカットされてしまえば分かりません。
 しかし,天然の水晶は殆どが双晶で,とりわけ紫水晶にはブラジル式双晶が大半である事から,カットされた石でも偏光下で見ると結晶の特徴が現れるという事で,
もっと有力な,恐らく唯一の識別法が,1986年,GIA(アメリカ宝石学協会)
の宝石研究所長Robert Crowningshieldとハーヴァード大学の鉱物学名誉教授,Cornelius Hurlbutとの共同研究が発表されました。
 写真のようにブラジル式双晶の天然のルースと単結晶の合成水晶のルースでは偏光下で見たときに歴然とした違いがあります。
偏光フィルターで見るだけで大量のルースを簡単に識別できますから,これで事態は一見落着するかと思われました。

829備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:35:15 ID:JoE9CUV40
 ところが,1990年頃から中国やロシアにてブラジル式双晶による合成紫水晶を作り出すようになり,事態は再び紛糾しました。
成長時間や条件が異なるため,合成の双晶が天然と全く同じ特徴を示すとは限りません。したがって熟練した専門家が精密な検査を行えば天然か合成かの識別が出来る場合があります。
 アメリカの「Gems & Gemology誌 Summer 2004」に合成水晶では世界の先端を行くロシアのバリツキー等の専門家たちによる16ページに及ぶ長大な論文が掲載されました。
主に3543cm−1の波長の赤外線吸収特性による天然と合成の紫水晶の識別を検討したものです。
結果は合成に用いる水溶液や結晶面の方向により合成と識別できる事もある。
しかし異なる水溶液や、天然の産地にも同様の吸収特性が見られるために確実な断定は不可能と、改めて天然と合成との識別が困難であることを認識させられました。
830備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 21:59:36 ID:JoE9CUV40
 天然であれ,合成であれ,その美しさにも拘わらず大量に産出する紫水晶は非常に安価な宝石です。天然の紫水晶は普及品ではカラット当たり1ドルから10ドル程度、
10カラットを越える大きさの最上級品でもカラット当たりの値段は60ドルを超えません。
熟練した専門家が手間暇かけて鑑別していたのでは,その費用の方が石そのものより高くなってしまいます。

 かくして,現在の宝石市場にはかなりの量の合成紫水晶が天然に混入して流通していると考えられます。前述のように合成とは言え,
天然の最上級品と全く同じ,
本物には違いありませんから,美しい紫水晶が手頃な値段で入手できればこれに越した事はないと割り切るのが一番かもしれません。
 しかし,高価な紫水晶の宝飾品を買い求める場合は素性の知れた信用の出来る店を選ぶべきでしょう。
間違っても香港,タイ,その他の国の怪しげな店,ディスカウント店,アウトレット店などで高額な品を買わない事です。

831備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 23:53:28 ID:V65zea2A0
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832備えあれば憂い名無し:2006/11/30(木) 23:58:17 ID:NVWTO9H1O
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833備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 02:20:03 ID:ClZGtodj0
 天然そのままにしか価値を認めないと言う意見もありますが、しかし天然に産出する美しい色の宝石も実は生成の過程で熱や圧力の作用にて美しく着色したものですが、
全ての結晶に十分な時間と温度で加熱作用が加わったわけではありません。 したがって天然の結晶は余り美しくないものが大半です。
 すなわち、自然に結晶する過程で中途半端な熱作用を受けたものを、もう一度人間の手をかけて完成させて、本来の美しさを引き出したものと考えれば良いでしょう。
 以前は役に立たずに放棄されていたスリランカ産の乳白色のゲウダというサファイアの原石がこうした加熱処理によって素晴らしく美しい宝石に変身して市場に出るようになりました。
 今日、各種のサファイアが比較的に手ごろな値段で手に入るようになったのはこの加熱処理技術の発展により、飛躍的に供給量が増えたためです。
 また、この熱処理の結果は極めて安定していて、処理された後の色は半永久的に保たれます。
ただし、熱処理をしたものは専門家が調べれば識別できるので、すばらしく大きく美しい石や高価なものについては、天然か加熱処理されたか否かを確認した方が良いでしょう。
834備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 02:23:44 ID:ClZGtodj0
半透明の薔薇石英は,主にビーズやカボション加工されて手頃な値段の宝飾になります。上記に述べるように,
恐らく薔薇色は微細なデュモルチエ石あるいはルチルの針状結晶の
インクルージョンによる発色と思われます。
包有する微細な結晶のために光の散乱が起こり,やや透明度に欠ける白濁した感じになるものと考えられます。
 インクルージョンが結晶軸に沿って多く含まれる場合にはスターやキャッツアイ効果を示します。
 このような光学効果は水晶には珍しくありませんが,とりわけ薔薇色の石英の場合には魅力ある宝石となります。
 冒頭の写真のように5500カラットのスター薔薇水晶の右下に小さく写っているのは1カラットのダイアモンドですから,その巨大さが際立っています。こんなに大きなものは特別ですが,直径2cm程度のスター水晶なら1個20ドルくらいと手頃な値段です。
835備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 02:27:25 ID:ClZGtodj0
(*3)結晶構造とは、原子が規則的に配列している構造を指します。
全ての鉱物は7つ(分け方によっては6つ)の構造に分類でき、これを
結晶系と呼びます。研究者によって鉱物の定義が異なるのは、「通常」
の文字が入るか、入らないかです。例えば天然ガラスであるオブシディ
アン(黒曜石)。これは火山活動に伴う噴出物が、空気中で急速に冷却
されて固化したものですが、急冷されたために、原子が規則的に配列す
る時間がありませんでした。つまり、オブシディアンは結晶構造を有し
ません(*4)。日本の多くの鉱物学のテキストには「通常」が入っており
ませんので、天然ガラスは鉱物とは分類されませんが、アメリカでは比
較的多くの研究者が「通常」の文字を入れ、天然ガラスも鉱物としてい
ます。
836備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 02:53:48 ID:zbTwHImEO
銀座店のお姉さんたち!また遊ぼうね。なんだったら全部暴露っちゃう。
837備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 04:39:59 ID:ClZGtodj0
ダイヤモンドの原石に内在する、光の屈折率が最も効果的に映し出されるカット方法。他のカットと比較すると、モザイク模様の強い輝きが放たれる。このカットをするためには、
ダイヤモンドの原石は約半分まで研磨される。それだけの犠牲を払わなければ得ることのできない、神秘的な輝きや煌めきとも形容できる。
他のブリリアントカットとの違いは、丸形をしている点である。頂部と下部の平面部分をそれぞれテーブル、キューレットと呼ぶが、ラウンドブリリアントカットの場合、
この2つの平面が正八角形になっていなくてはならない。カッターの正確無比な技術が要求される。
838備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 04:40:34 ID:ClZGtodj0
 ところが,1990年頃から中国やロシアにてブラジル式双晶による合成紫水晶を作り出すようになり,事態は再び紛糾しました。
成長時間や条件が異なるため,合成の双晶が天然と全く同じ特徴を示すとは限りません。したがって熟練した専門家が精密な検査を行えば天然か合成かの識別が出来る場合があります。
 アメリカの「Gems & Gemology誌 Summer 2004」に合成水晶では世界の先端を行くロシアのバリツキー等の専門家たちによる16ページに及ぶ長大な論文が掲載されました。
主に3543cm−1の波長の赤外線吸収特性による天然と合成の紫水晶の識別を検討したものです。
結果は合成に用いる水溶液や結晶面の方向により合成と識別できる事もある。
しかし異なる水溶液や、天然の産地にも同様の吸収特性が見られるために確実な断定は不可能と、改めて天然と合成との識別が困難であることを認識させられました。
839備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 10:39:31 ID:I2G9qOdx0
>>836
kwsk
840備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 11:45:58 ID:9tBP2AJ00
 ルビー,サファイア、エメラルドを花に例えれば、それぞれ豪奢で華やかな薔薇や、蘭、牡丹か芍薬に相当するでしょう。いずれも長い年月をかけて人間の手で改良を重ねて、
完璧なまでの姿と色合いとに仕上げられた,花の世界の貴婦人の風格を備えています。
 一方では、しかし人の手を借りることなく,自然の中で多様な美しさを競い合う高山植物や野の花も無数にあります。山や森の散策の途中で、
名も知らぬ野の花の思いもかけない姿や色合いの
美しさに歩みを止めて見とれた経験を持つ方も多いのではないかと思います。
 宝石の世界にも,一般に余り知られることなく、野の花のように多彩な姿と多様な色合いをもつグループが存在します。
今回は,とりわけ素晴らしい結晶形と色彩の変化を持つ、トパーズ、トルマリン、スポジューメンとスピネルとを特集しました。


  化学組成 結晶系 モース硬度 比重 屈折率
トパーズ Al2[F.OH/SiO4] 斜方晶系 8 3.53 1.62-64
トルマリン Na(Mg,Fe,Li,Al,Mn)3Al6(BO3)3Si6O18(OH,F)4 三方晶系 7 - 7½ 3.0-14 1.62-64
スポジューメン LiAl[Si2O6] 単斜晶系 6½ - 7 3.18 1.66-68
スピネル MgAl2O4 等軸晶系 8 3.60-90 1.711-730

841備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 11:48:11 ID:9tBP2AJ00
尖晶石(スピネル)


 スピネルという宝石について、それが一体どんな宝石で、どれほどの価値があるのかご存知ない方が殆どと思います。
実は下記の写真の様に、英国王室やロシア皇室の王冠を飾る主要な宝石がスピネルなのです。
 英国王室王冠の巨大なスピネルの下にはこれまた巨大な世界で最も大きなダイアモンド原石,カリナンからカットされた2番目に大きな317カラットのカリナン第2が飾られています
(最大のカリナン第1、530ctは同じく王笏に飾られています)。同じく”チムール.ルビー”の名の、エリザベス二世所有の見事なネックレスも、スピネルです。
ロシアのエカテリーナ一世の為に1724年に作られた王冠の頂にある鳩の卵大、414カラットもの赤い宝石もスピネルです。
 こうした、最も由緒ある宝飾品に使われている程の宝石なのですが、しかし長い間、これらはいずれもスピネルではなく、
ルビーと考えられていたのです。
 誰もが目にする王権の象徴である王冠に在って、その豪奢な美しさを称えられながら、しかしルビーの影武者として何世紀にも渡って、
その本名も知られずにいた宝石がスピネルなのです。

842備えあれば憂い名無し:2006/12/01(金) 11:50:28 ID:9tBP2AJ00
 スピネルという名はラテン語の”スピナ(Spina)=とげ(棘)”に因んで,16世紀ドイツの鉱山学者,アグリコーラ(Agricola)が1546年に命名しました。上記の写真の様に、
まさに薔薇の棘のような鋭く尖った美しい八面体の結晶で産出します。
 スピネルの化学組成は酸素とアルミニウムとマグネシウムで、これらの元素は着色成分ではありませんから、純粋なスピネルは無色透明です。が,自然界に無色透明なスピネルは稀で、
普通は鉄,クロム、コバルト等の着色成分となる遷移金属の不純物を含んで、
冒頭の写真のような赤,ピンク,青,緑、紫と多彩な色で産出します。
 スピネルが長い間ルビーやサファイアと混同されていたのは、火成岩,接触変成岩にコランダムと共に産出するためです。
 モース硬度,屈折率 、比重と、いずれもコランダム(ルビー、サファイア)よりほんの少し小さいだけで、色合いがそっくりの鉱物が、同じ場所で採れるのですから,
長い間スピネルがルビーやサファイアと混同されていたのはやむを得ないことでした。
 アグリコーラによって、スピネルがルビーとは異なる鉱物である事を確認したにもか拘らず、宝石業界でさえもその後200年以上,18世紀末まではとりわけ赤いスピネルはルビーと同一の宝石として混同されていました。
 更に、スリランカ産の赤いガーネットはカンディ・スピネル(Kandy Spinel)、ルビーの様に赤いスピネルはRuby Spinel、ピンクのスピネルはBalas Ruby(バラス・ルビー),ラズベリー色はフランスでルビセル(Rubicelle)、帯紫赤色はAlmandine Spinel、
菫赤色はAlabandine Ruby等々、
その正体が何なのか、いたずらに混乱を招くような名称で呼ばれていたわけで、これでは宝石商はもちろん,一般にスピネルと言う宝石の存在すら認識されなかったのも当然でしょう。
 今日ではこうした呼び名は廃れてしまい、色毎にピンク・スピネル,ブルー・スピネル・・・・と整理されるようになりましたが、それでもスピネルと言う宝石の存在が認知されるには至っていません。
843備えあれば憂い名無し
世界のスピネル産地

 名前の混乱もさる事ながら、実は産出量が圧倒的に少ないこともスピネルが一般に知られない大きな理由です。
世界的にスピネルの産地は極めて限られているうえに、宝石級のスピネルはほんの少ししか採れません。
 恐らく紀元前から採掘されていたバダフシャン(今日のアフガニスタンとパミール高原)のスピネルが世界各国の王室の宝飾品として使われていたと思われます。
 またビルマはモゴク、,カチン高原、シャン高原等広範にスピネルを産する世界有数のスピネル産地です。とりわけモゴクからは大理石中や漂砂鉱床から8面体の結晶を産します。 
色も姿も美しい結晶は、
その表面を研磨しただけのエンジェル・カットと呼ばれて宝飾品に使われることもあります。
 そしてスリランカもビルマと並び、昔から多彩な色のスピネルで知られていました。 更にカンボジアのルビーとサファイア鉱床からスピネルを産し、
1990年代初頭ヴェトナム各地で次々と発見されたルビー産地からもスピネルが採れる等、
中央アジアと東南アジアが古来から現在に至るまで代表的なスピネル産地でありました。