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無名草子さん:
景山氏のプライドのよりどころに、権力者の息子という他力本願なキーワードが
何度も見え隠れするのが、とても気になった。
初期のエッセイに、アメリカ留学からの帰国の際、わざとあやしい中近東ふうのベールをかぶり、
入管に身柄を拘束させておいて父親に電話を入れ、係官の慌てぶりを楽しむという
品性のかけらもない厚顔無恥な遊びを自慢していた。
死の直前のTVトークショウで、三谷幸喜にその話を嬉しそうにした時の
三谷の景山氏を心底から軽蔑した表情が印象的だった。
それはまるで、死刑宣告にすら見えた。
三谷の目は「あなたの時代は、とっくに終わってますが?」と語っていた。
番組の最後まで必死にはしゃいで1人でしゃべる景山氏。
冷めた目で、返事もしない三谷氏。
景山氏の死は、それから一年もしない時だった。
プライドの高い彼が、自殺を選んだとしか思えなかった。
宗教は、選民意識をもつ心弱い人間には劇的に効く麻薬だ。
彼は最後まで、等身大の自分を直視できなかった人だと思う。