吉村 昭スレ

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57無名草子さん:2001/04/09(月) 21:45
よっぽどうれしかったんだな。
58無名草子さん:2001/04/09(月) 23:54
>「羆嵐」
あれは面白いね。
ちなみに、銀オヤジの本名は山元兵吉だとか。

個人的に、文春文庫「死のある風景」収録の「白い壁」が好き。
生と死の間は紙一重だということを嫌というほど思い知らされた。
数年前に、十日ほど入院したことがあるけど、この作品を思い出したよ。

あと、「水の葬列」のラストシーンが非常に印象的。
大岡昇平からは思い切りけなされた作品らしいけど。
幻想世界に引き込まれるよ。
59AKIRA:2001/04/09(月) 23:57
>>53、54、55、56
激レスこちらも感動しました。
吉村昭先生に匹敵する作家、難しい質問ですね。
吉村先生のこのスレで紹介されているような文庫未読作品をつぶして行くほうが無難な気がします。
作品数は多い人なので当分読むに困らないかと思いますが。
わたしの方からも聞きたいのですが
(1)「高熱ずい道」は読みましたか?
(2)yasuさんオススメの戦記ものは何ですか?
60吉村ファン:2001/04/10(火) 19:32
以前,ロシアの潜水艦クルスクが乗組員を乗せたまま沈没したとき
「総員起シ」を連想した吉村ファンって多いのではないだろうか.
61AKIRA:2001/04/10(火) 21:32
>>58
「水の葬列」は異色作ですね。ちょっと横溝正史的世界というか。
>>60
激しく同意。わたしもあの作品を想いだしました。あれも迫力の
ある短編ですね。(文春文庫)

前にこのスレで紹介されていた短編「星への旅」を読みました。
わたしは、吉村昭の初期の短編は「透明標本」(学芸書林)という短編集でだいだい読んでいたのですが、なぜか「星への旅」は収録されておらず、今回新潮文庫を手にしました。
これは吉村昭風青春小説ですね。
ちょっと松竹ニューウエーブの「青春残酷物語」等大島渚あたりの撮る映画っぽい。しかし、もっと透明感がある。
ラストの集団自殺のシーンは正に鮮烈かつ清冽ですね。
しかし、もっと透明感がある。
62ふぉん・しいほると:2001/04/11(水) 07:52
 私も吉村昭を愛読しています。「ふぉんしいほるとの娘」、「長英逃亡」、
「彦九郎山河」は、自分で勝手に決めた吉村昭の幕末「三部作」で大好きな
作品です。「ふぉんしいほると・・・」、40さん、是非お読み下さい。
新潮文庫では上下二巻です。生来のアウトサイダー「イネ」のたくましい生
涯が吉村流に抑制された筆致で展開されますねぇ。未だに「性差別」、「人種
差別」旺盛な島国日本で、まして当時ともなると・・・。しかし、物語は、
何故か明るいのです。そこは九州長崎ですからね。映像化するのなら、是非、
失本いね=桐島カレンでやってもらいたい(笑)。

 もちろん、「高熱隧道」や「闇を裂く道」の「粘着質もの」も大好きです
が、あと「蚤と爆弾」の曾根(石井四郎)陸軍軍医中将の演説とその生きざま
には、心を「撃たれ」ました・・・。
63</b:2001/04/11(水) 09:19
まだでてきてないねニコライ遭難。
あれを読んで非常に親日的な皇太子だなと思った。
だけどその後に坂の上の雲を読むと日本人のこと「マカーキ(小猿)」
と呼ぶなど異常なほどの兼日と描かれている。
ものすごいギャップを感じた。
64AKIRA:2001/04/11(水) 13:22
>>62
>失本いね=桐島カレンでやってもらいたい(笑)。
いね=宮沢りえでNHKで映像化されてませんか?
わたしは観てないんですが。

>「蚤と爆弾」の曾根(石井四郎)陸軍軍医中将の演説とその生きざま には、心を「撃たれ」ました・・・。

例の731部隊ですね。わたしは、このテーマをあっかった作品では森村誠一「悪魔の飽食」のほうが、賛否はあるでしょうが興味深かったです。

>>63
うーん、司馬史観対吉村史観(?)ですね。
どちらが史実に近いのかな。
「街道をゆく」もファンなんで困りました(藁 
65無名草子さん:2001/04/11(水) 15:07
>>63-64
大津事件を扱った小説なら、
佐木隆三の「勝ちを制するに至れり」も良いですよ。
裁判をテーマにすることが多い人なので、これまた視点が異なっているのが面白い。

>どちらが史実に近いのかな。
というより、それぞれ違う角度から事件を眺めてるのではないでしょうか?
66吉村ファン:2001/04/11(水) 23:51
「漂流」に感動して,思わず国土地理院の
2万5千分の1地形図「鳥島」を買ってしまいました.
67昭長生きしてくれ:2001/04/12(木) 00:51
海の史劇も大作
68ビッグママ:2001/04/12(木) 14:40
「破船」(新潮文庫)を読み終えた。
なんと言ってもキャラ立ってるのは主人公の少年伊作の母親。
ほとんどハードボイルドしてるよ。
しかし、この母ちゃんが出稼ぎ(身売り?)に行ってる父ちゃんには岡惚れなのがまたいい。
しかし、作品中で直接ふたりが会う場面って無いんだよね。
山行きした母ちゃんたちの続編(短編も可。)ギボンヌ!
69酒士小波:2001/04/13(金) 14:34
>>皆様

初レスですが、「深海の使者」は皆さんどう読まれましたか?
一部山崎豊子の「二つの祖国」に重なる部分がありましたが、
当方は大変面白く読ませていただきました。
70AKIRA:2001/04/13(金) 22:03
>>69
「深海の使者」、残念ながら未読です。この作品は小説ですか?

>>皆様
「北天の星 上・下」(講談社文庫)、未読なのですが読んだ人いるでしょうか?


71吉村ファン:2001/04/13(金) 22:26
「深海の使者」は文芸春秋読者賞を受賞した戦記物長篇小説です.

少し大きい本屋に行ったりすると,ついマニア向けの潜水艦関係の写真集
を立ち読みして「深海の使者」に登場する潜水艦などを探してしまいます.

72酒士小波:2001/04/14(土) 10:01
>>70さん

「深海の使者」は、第二時大戦中交通手段が封鎖された当時の日本とドイツ
との間を往航した、日本海軍潜水艦の苦闘を描いた物語です。その内容は
すさまじく、180日間の航海の間、敵の爆雷を避けるために限界潜水時間を
超えて深海に潜りこんで乗員全員が酸素不足に苦しんだり、生活水が制限
されるために士官を含めて1日にコップ数杯の水しか与えられなかったり、
疾病兵に艦内で原始的手術を施したり、現代の平和な時代を生きる我々には
想像を絶するドラマが繰り広げられます。本文のテーマは、多分に「戦艦
武蔵」に共通する「大いなる国家的無駄」を連想させるものですが、それ
でも本文に人間性を喚起する胞子が多いのは、やはり吉村氏の偉大なる構想
力と綿密な取材力、そして、慈愛に満ちた執筆手法によるものと思われます。

一読をおすすめいたします。
73無名草子さん:2001/04/14(土) 12:39
個人的には『冷い夏熱い夏』がいいです。ちょっとしんどいですが。

74AKIRA:2001/04/14(土) 18:47
>>73
これは闘病記ですか?(ご存知かもしれませんが吉村氏は若い頃結核だった。)
75AKIRA:2001/04/14(土) 23:11
残念な話しですが、「天狗争乱」(新潮文庫)は読破できず挫折しました。
「桜田門外ノ変」や「長英逃亡」のようなスリルを期待したのですが、ちょっと違ったみたいで。
また、「花渡る海」(中公文庫)も買ったきりのままです。
「朱の丸御用船」も上に同じ。
この辺の作品、再チャレンジする価値ありますかね?
読破した方是非レスください。

「生麦事件」、「アメリカ彦蔵」、「島抜け」、「敵討ち」等の最近の作品も語りましょう。
76吉村ファン:2001/04/15(日) 11:02
「朱の丸御用船」は結構いいよ.
「破船」に似ているけどこっちのほうが真実味があって面白い.

「朱の丸御用船」を読んで,舞台になった三重県大王町を
訪れてみたくなりました.そのうち旅行に行きたいな.
77ふーてなにー:2001/04/15(日) 14:09
3〜4年前の「本の雑誌」の投稿欄に吉村昭氏の作品で史実誤認があるって
いう投稿があり、次ぎの号でその投稿に対する回答がのったのだがその文が
素晴らしくて感動した。疑問に対する丁寧な回答でその投稿者を貶めるような
事を一文も書かず(その投稿文は作者が見たら多少怒るような内容だった)
歴史物を書く作家としての覚悟を表明した物だった。それまで氏を全然知らなかった
私は「まだ作家の中でもこんなサムライのような人がいるんだ」と感銘受けた。
そういう私は氏の作品は.....氏のエッセイが好きです。
78よださん:2001/04/15(日) 16:57
「三陸海岸大津波」(中公文庫)読んだよー。
日曜の午後いっぱいで十分読めたぐらいの小品。
わりとあっさりした、事実・資料の寄せ集めのような印象だったので
できればこのテーマで単行本の際のタイトルだった
「海の壁」(この方が「吉村」らしいよね)で小説を書いて欲しいな。

この手の「大災害・大事故」ものって、妙に惹かれるんだよね。不謹慎だけど。
フィクションでは及びもつかないドラマというか。
その最たるものが「泡雪崩」だと思う。
79吉村ファン:2001/04/15(日) 18:18
>>77
それ読んでみたいなあ
そうなんですねえ.吉村氏って古き良き時代の古典的日本人紳士
ですよね.吉村氏のような生き方に憧れます.
80AKIRA:2001/04/15(日) 20:06
>>77
エッセイといえば「東京の下町」、「昭和歳時記」(共に文春文庫)読みました?
この手ものは昔は良かった的内容のものが多いなか、吉村氏の小説やノンフィクションを書く時と変わらぬクールな視点が出色です。
正に、昭和初期の下町の匂いがします。
81無名草子さん:2001/04/16(月) 21:19
なんと吉村昭スレがたっているとは。
私がはじめて読んだのは「戦艦武蔵」でした。学校の図書室にあった古い文庫本
で、武蔵の図解つきで、色々想像しやすかったのですが、今の本には何でついて
ないんでしょう。
前のほうにもありましたが、あの淡々とした文章が良いですよね。でもそれでい
て熱くさせてくれる。小説版プロジェクトXって感じですね。
82名無し:2001/04/17(火) 16:28
>>81
>武蔵の図解つきで、色々想像しやすかったのですが、今の本には何でついて ないんでしょう。

俺の持ってる新潮文庫には、本の最初に「武蔵被害ならびに浸水範囲推定図」が載ってるよ。
平成10年の版だから、今、書店にあるのと同じだと思うけど?
ただ、細かくて見にくいけどね。

>小説版プロジェクトXって感じですね。

えっ!という感じ。あの番組、テーマはともかく、泣かせをねらったヤラセっぽいじゃん。
プロジェクト遂行・完成の陰にあるドロドロした人間模様はネグってる感じがする。
その点、吉村昭の小説は「戦艦武蔵」にしても、「高熱ずい道」にしても、陰の部分もきちんと描かれてるよ。比較しちゃ悪いよ。

クボ・ジュンのファンなの?それならわかるけど。
ちなみに、俺、クボ・ジュン萌え。だから、この番組観てるわけ。
83AKIRA:2001/04/17(火) 19:55
スレの趣旨に関係ないけど「プロジェクトX」の評価は、82さんに同感だな。
久保純子のファンでもないし。
84AKIRA:2001/04/17(火) 20:07
日曜日に図書館に行って、このスレで紹介されている未読の吉村作品のチェツクをしてきた。
「間宮林蔵」(講談社文庫)
「ふぉん・しいほるとの娘」上・下卷(新潮文庫)
「北天の星」上・下(講談社文庫)
「孤独な噴水」(文春文庫)
以上4作品計6冊をレンタルした。
貸出中の「深海の使者」はリクエストしてきた。
これから常時吉村作品を携帯していこうと思う。
読了したらレスします。
85無名草子さん:2001/04/17(火) 20:30
10何年も前に 「細菌」 という題の小説を読んだのですが
記憶では吉村作品なんですが、ここ数年探しているのですが
ありません。 内容は731部隊の話です。
知っている方いませんか?
86無名草子さん:2001/04/17(火) 21:16
「深海の使者」、良かったですね。
87AKIRA:2001/04/17(火) 21:50
>>85
「蚤と爆弾」(文春文庫)です。
雑誌連載時のタイトルは「細菌」でした。
ただ、文庫本の初版が1989年8月ですから、新刊で入手できるかが心配ですが。
この作品はレス62と64でも取り上げていますので是非参考にして下さい。
8885:2001/04/17(火) 22:47
有難う御座います
探しても無いはずですね。
この本は私がはじめて読んだ吉村作品なので気になってました。
89皆さん,はじめまして:2001/04/18(水) 08:57
戦記ものだったら「背中の勲章」,「遠い日の戦争」も面白いですよ。
前者は捕虜,後者は戦犯を扱った小説です。
ちなみに私は,今日から「蜜蜂乱舞」を読み返し始めました。
あまり話題にならない小説ですが,マターリしていて良いです。
90AKIRA:2001/04/18(水) 19:34
>>
91AKIRA:2001/04/18(水) 19:44
>>89
「遠い日の戦争」は読みました。
事実に忠実なんでしょうが、主人公にはもっと逃げて欲しかったな。後半に「プリズンの満月」の萌芽がみられますね。
「背中の勲章」も読んでみたいと思います。

「蜜蜂乱舞」はあとがきにあるとおり、吉村氏には珍しいハッピーエンド調の明るめの小説ですね。
この点少し違和感がありました。特に印象がないんですが。
92無名草子さん:2001/04/19(木) 03:24
>>74
73ではありませんが、「冷たい夏熱い夏」はたしか、
小説家の主人公(=吉村氏本人?)の弟が、
肺癌にかかってから死ぬまでの話だったと思います。
多分実話ではないかと。違ったらスマソ
93名無し募集中。。。:2001/04/19(木) 04:57
へ へ
 の の
  も
  へ

94AKIRA:2001/04/20(金) 00:18
「孤独な噴水」読了しました。
これハードボイルド(特に前半)ですかね。
作者自身によるあとがきに「へミングウエーが好き」
とも書いてあるし。
とにかく、面白く読み終えました。
吉村氏は戦争(究極の極限状況)、土木工事等極限状況に
をテーマにすることが多いようですが、
これは、日常生活における極限状況(主人公の家庭環境等)
書いてる思います。
95お!:2001/04/21(土) 01:03
近所の図書館で偶然「島抜け」をみつけ早速借りました。
相変わらずの吉村節を堪能している所です。
「***の目に穏やかな光りがうかび・・・・」
なんつー必殺のフレーズに痺れます。
96AKIRA:2001/04/21(土) 03:39
「島
97名無し:2001/04/21(土) 05:32
「島抜け」はいい
98AKIRA:2001/04/22(日) 23:38
>>95
昨日は失礼しました。
「島抜け」、図書館でゲットできましたか。
わたしは、予約が多いので買いました。

>「***の目に穏やかな光りがうかび・・・・」
なんつー必殺のフレーズに痺れます。

そうですね。TVの初期必殺を思わす凄みのある作品です。
しかし、主人公には逃げ切って欲しかったなあー。
99名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/24(火) 00:03
「長英逃亡」の忠吉親分&米吉が格好イイ!
100名無しは無慈悲な夜の女王:2001/04/26(木) 23:27
箒木蓬生の「逃亡」と、吉村昭の「遠い日の戦争」の類似が気に
なって仕方がないです。
101文責:名無しさん:2001/04/27(金) 12:35
海軍乙事件もいいでっせー
先日家の本棚で昭本数えたら25冊ぐらいあった。
大学2年のときはまったよなー
通学時間の1時間があっという間だったな
102吉村ファン:2001/05/01(火) 18:08
先日,Book・Offで「遠い幻影」を100円で買いました.
いま読んでます.
103無名草子さん:2001/05/01(火) 23:05
ちなみに奥さんは津村節子さんです。
104AKIRA:2001/05/03(木) 19:01
GWのおかげで、
「ふぉん・しいほるとの娘」と「北天の星」を読破出来ました。
前者は文庫本上・下巻1200頁以上の超大作ですが、
主人公いねの女一代記にとどまらず、彼女をとりまく歴史の
うねりがたっぷり書きこまれており読み応え充分です。
後者も上・下巻の大作ですが、大きい活字の版でしたので
読むのは楽でした。前半はリアル冒険アクション、後半は
医道ものっぽい少し異色の作品ですが、やはり楽しめます。
105AKIRA:2001/05/04(金) 16:56
午後に「海軍乙事件」を一気に読んだ。
4つの短編が収録されているが、どれも面白い。
特に表題作はサスペンスフルな戦争秘話でオススメ。
続いて過去スレで紹介されていた「間宮林蔵」にもとり
かかった。
今、100頁越えたところくらいで、いよいよ林蔵が樺太探検
に出発するあたり。面白くなりそう。
106AKIRA
「間宮林蔵」を読了。前半はリアル冒険アクション、後半は
リアル時代スパイ小説かなという感想。
どちらかひとつのテーマで書いても、面白い作品になったの
ではないかと思う。これも単なる間宮林蔵の伝記的作品に
とどまらない異色作だね。
登場人物が交叉するので、「ふぉんしいほるとの娘」、
「北天の星」と続けて読んで良かった。