1 :
無名草子さん:
立てました。まったりゆっくり語りましょう
2 :
無名草子さん:2012/04/07(土) 14:13:38.87
恥ずかしながら最近初めて読んだ
どうしてもっと早く読まなかったのか過去の自分を分殴りたい
3 :
無名草子さん:2012/04/08(日) 18:19:28.01
全部、読んでしまった。宝の山がある人は、羨ましい。
4 :
無名草子さん:2012/04/10(火) 01:44:51.55
俺も全部読んだ。読み返しになってる。
それでも何度も感心する。
小説文の上手さは特筆。わかりやすくてなお描写に過不足ない。見本だな。
同工異曲もあるが、それを感じさせない。
もうね、だから文章下手な作家は投げ出したくなるし、投げ出す。
時間無駄だから。それなら藤沢を読み返す。
5 :
無名草子さん:2012/04/15(日) 15:03:08.68
35〜40才くらいで、ほぼ読み通し。もう50過ぎ。再読すると、また、違う読み方ができている。
稀有な作家であるなあ。三屋清左衛門と同じ年になったよ。
6 :
無名草子さん:2012/04/15(日) 15:03:58.95
暗殺の年輪 文藝春秋 1973 のち文庫
又蔵の火 文藝春秋 1974 のち文庫
闇の梯子 文藝春秋 1974 のち文庫
檻車墨河を渡る 文藝春秋 1975
竹光始末 立風書房 1976 のち新潮文庫
時雨のあと 立風書房 1976 のち新潮文庫
義民が駆ける 中央公論社 1976 のち文庫、講談社文庫
冤罪 青樹社 1976 のち新潮文庫
暁のひかり 光風社書店 1976 のち文春文庫
逆軍の旗 青樹社 1976 のち文春文庫
喜多川歌麿女絵草紙 青樹社 1977 のち文春文庫
7 :
無名草子さん:2012/04/15(日) 15:04:33.26
闇の穴 立風書房 1977 のち新潮文庫
闇の歯車 講談社 1977 のち文庫、中公文庫
長門守の陰謀 立風書房 1978 のち文春文庫
春秋山伏記 家の光協会 1978 のち新潮文庫、角川文庫
一茶 文藝春秋 1978 のち文庫
用心棒日月抄 新潮社 1978 のち文庫
神隠し 青樹社 1979 のち新潮文庫
雪明かり 講談社文庫 1979
消えた女 彫師伊之助捕物覚え 立風書房 1979 のち新潮文庫
回天の門 文藝春秋 1979 のち文庫
驟り雨 青樹社 1980 のち新潮文庫
橋ものがたり 実業之日本社 1980 のち新潮文庫
8 :
無名草子さん:2012/04/15(日) 15:04:59.48
出合茶屋 神谷玄次郎捕物控 双葉社 1980 「霧の果て」文春文庫
春秋の檻 獄医立花登手控え1 講談社 1980 のち文庫
孤剣 用心棒日月抄 新潮社 1980 のち文庫
闇の傀儡師 文藝春秋 1980 のち文庫
隠し剣孤影抄 文藝春秋 1981 のち文庫
隠し剣秋風抄 文藝春秋 1981 のち文庫
夜の橋 中央公論社 1981 のち文庫、文春文庫
風雪の檻 獄医立花登手控え2 講談社 1981 のち文庫
周平独言 中央公論社 1981 のち文庫
時雨みち 青樹社 1981 のち新潮文庫
9 :
無名草子さん:2012/04/15(日) 15:05:31.94
出合茶屋 神谷玄次郎捕物控 双葉社 1980 「霧の果て」文春文庫
春秋の檻 獄医立花登手控え1 講談社 1980 のち文庫
孤剣 用心棒日月抄 新潮社 1980 のち文庫
闇の傀儡師 文藝春秋 1980 のち文庫
隠し剣孤影抄 文藝春秋 1981 のち文庫
隠し剣秋風抄 文藝春秋 1981 のち文庫
夜の橋 中央公論社 1981 のち文庫、文春文庫
風雪の檻 獄医立花登手控え2 講談社 1981 のち文庫
周平独言 中央公論社 1981 のち文庫
時雨みち 青樹社 1981 のち新潮文庫
10 :
無名草子さん:2012/04/15(日) 15:06:12.57
ささやく河 彫師伊之助捕物覚え 新潮社 1985 のち文庫
潮田伝五郎置文 東京文芸社 1985 のち光風社出版
小説の周辺 潮出版社 1986 のち文春文庫
本所しぐれ町物語 新潮社 1987 のち文庫
蝉しぐれ 文藝春秋 1988 のち文庫
たそがれ清兵衛 新潮社 1988 のち文庫
市塵 講談社「日本歴史文学館」 1988 のち文庫
麦屋町昼下がり 文藝春秋 1989 のち文庫
三屋清左衛門残日録 文藝春秋 1989 のち文庫
凶刃 用心捧日月抄 新潮社 1991 のち文庫
玄鳥 文藝春秋 1991 のち文庫
11 :
無名草子さん:2012/04/15(日) 15:06:38.11
天保悪党伝 角川書店 1992 のち文庫、新潮文庫
秘太刀馬の骨 文藝春秋 1992 のち文庫
藤沢周平珠玉選 全9巻 青樹社 1993-94
半生の記 文藝春秋 1994 のち文庫
夜消える 文春文庫 1994 のち文藝春秋
ふるさとへ廻る六部は 新潮文庫 1995 のち新潮社
日暮れ竹河岸 文藝春秋 1996 のち文庫
漆の実のみのる国 文藝春秋 1997 のち文庫
12 :
無名草子さん:2012/04/15(日) 15:06:58.04
早春 その他 文藝春秋 1998 のち文庫
静かな木 新潮社 1998 のち文庫
藤沢周平句集 文藝春秋 1999
藤沢周平未刊行初期短篇 文藝春秋 2006
海坂藩大全 上・下 文藝春秋 2007
帰省 未刊行エッセイ集 文藝春秋 2008 のち文庫
無用の隠密 未刊行初期短篇 文春文庫 2009
乳のごとき故郷 文藝春秋 2010
ひとまずどれから読めばいいの?
14 :
無名草子さん:2012/04/16(月) 22:11:46.48
用心棒日月抄 橋ものがたり あたりからで。
自分も初心者だが橋ものがたりを読んで魅了された
短編集の方が読み始めにはとっつきやすくていいと思う
山伏記が個人的にオススメなんだが
17 :
無名草子さん:2012/04/30(月) 22:38:56.33
短編集でも、初期作品は初読の人にはオススメしないなぁ
清左衛門、蝉しぐれ、
短編集なら「夜の橋」、「臍曲がり新左」、「本所しぐれ町物語」
悪党伝おすすめ
よろずやが楽しめた。
20 :
無名草子さん:2012/05/02(水) 12:28:24.38
橋ものがたりの表紙、めっちゃ青いやつあるよね
なんであんなのにしたの?
22 :
無名草子さん:2012/05/03(木) 08:13:24.25
>>23 人間失格とかもこういう表紙で出てるのいったよね。
名作を集めてこういう表装のシリーズにしてるんじゃない?
25 :
無名草子さん:2012/05/03(木) 15:14:08.55
>>23 ああこれかw
このシリーズ最近よく見るね
真っ白だったり真っ赤だったりするのも見た気がする
まるで買う気になれないわ
敢えて先入観もたせないようにするためかもしれんね
かなり微妙だけど。
個人的には文春文庫の表紙絵が好きだけど、時代の流れにのって萌え表紙絵でラノベ層を取り込むとかは。
逆に藤沢作品で現代物とかSF、ファンタジーものってないのかな?
昨年まどかマギカを見て思ったけど藤沢
周平的ヒロイズムって現代物との親和性もあるんではないかと思う。
>>27 萌え絵に描ける作品あんまないだろw
蝉しぐれくらいか?
>>28 蝉しぐれ、たそがれくらいやったら女性が表紙におってもいける…かな?
よく考えたら藤沢ヒロインズは妙齢の女性が多いような。
いっそ全員女性の海坂藩という設定で釣るとか。
萌え絵に一番シンクロするのは獄医シリーズのおちえだろうな、ツンデレの先駆けみたいな娘だし
もちろんそんなゴミみたいな表紙イラストにしたら出版社に猛抗議ものだが
佐知「・・・」
獄医と用心棒読んでないけど、そんなツンデレさんが藤沢ヒロインにいたのか。
個人的には祝い人助八のはつさんを推したい。
藤沢作品のツンデレ代表は臍曲がり新左をおいて他にない
登を追いかけて煎餅持って屋根の上にあがってくるおちえ可愛い
獄医シリーズでは、叔父さんが金にならん仕事だとこぼしながらも高熱の子供を全力で診るシーンに次いで好きだ
藤沢周平さんは、奥さんが亡くなったことにすごい落ち込んで、そのかなしさを紛らわすために小説を書いてたって聞いて、時々短編集などで出てくるいたたまれないほどの不幸な結末や話の行く末を見てると、あぁ、こうやって紛らわしてたのかな。
他人の不幸話を自ら創り出して、それこそメシウマじゃないけど、自分の悲しみを紛らわしてたのかなって思ってしまう。
短絡的すぎるからもっと深いところを読まなくちゃ作者に失礼だなw
奥さんが亡くなったとき
「一人では地図も読めなかったあれが冥土で迷わずに歩けるのか、いっそ私もついて行ってやるべきではないか」
と思ったという話がいかにも藤沢さんらしいよな
初期の短編集のバッドエンド連発についてもどっかでコメントがあった気がしたが失念
藤沢さんは「鬱屈したものを抱えてないと小説は書けない」みたいな事言ってたけど、本当だなと思う。
実兄の苦労といい亡き妻といい、人の痛みを誰よりも知ってるからこそ、
色々と発散して描けるものがあるんだろうな
漫画家だって売れる前は素晴らしい漫画描くけど、一度頂点に立ち、物欲が満たされると冴えない人居るもんな
藤沢さん、教師時代の生徒について
「私の教え子たちは皆堅実に慎ましく生きている。そのことを非常に誇らしく思う」
と言っていたそうだ
これもこの人らしい温かさだよなぁ
親父の遺品というわけでもないんだけど
5年前に死んだ親父の本棚に藤沢周平作品がたくさんあったので
せっかくだからちょっと前から読み始めてみた。
この人の作品は庶民よりも武士が主人公の話のほうが面白いなという印象。
そういう作品を中心に選んで読んでるせいもあるのだろうけど(蝉しぐれ、用心棒シリーズ、隠し剣シリーズ、よろずや平四郎など)。
読破するにはまだしばらくかかりそうなので意外な発見を楽しみにしてます。
あと初期の作品はやっぱり暗いかなというのも実感してます
>>39 同感 蝉しぐれは夢中になって読んだなあ。
用心棒シリーズ、よろずやも一気に読んだよ。
そして雪明かりとかに行くと、ガラっと雰囲気変わるんだよね。
いや、これはこれで嫌いではないんだけど、やっぱ活劇が好き。
41 :
無名草子さん:2012/05/19(土) 08:51:37.52
ラジオ文芸館よかったわぁ
若い連中に「何か面白い小説ありますか」と聞かれて藤沢作品を薦めると、
「時代小説ですかぁ?」と、八割方「マジかよ?」みたいな顔されるw。
で、読んだ奴は100%ハマって同世代の連中に勧め、同じように「マジかよ?」みたいな顔されて、
「いや、超面白いんだよ。一冊でいいから読めよ!」とか説得してるのを見てニヤニヤしてるw。
回天の門をこれから読むよ!!
何か一言
↓
44 :
無名草子さん:2012/05/21(月) 00:00:21.14
↑
>>42 そうやって着々とフジサーを増やしてるんですね
>>43 回天の門は自分は途中挫折した。
藤沢さんの歴史小説は一茶は好きだけど(歴史と呼ぶのか分からんが)、
基本的になんかイマイチなんだよなー…
市井もの>武家>歴史な感じだ
イマイチといいつつ藤沢小説はコンプリートしてるけども。
まだ序盤だけど
掴みはなかなか上々 >書いてんのモン
『義民が駆ける』は面白かったよ。
藩内の治者、被治者、さらには幕閣と、それぞれの思惑が
すごくリアリティを感じさせる感じで書かれてた。
藤沢歴史小説って、歴史の傍流で翻弄される人たちはガシガシ描くけど
歴史の本流にはあまり触れんからどうしても派手さには欠けるよな
司馬作品の清河八郎の印象がいい意味でぶっ壊れて面白かったけどな、回天
藤沢さんの歴史小説は説明部分が多く、感情的というよりどこか理性的に書かれているような面があるんだよな。
ご本人曰わく、歴史小説は客観的事実を追求した上で書く、みたいなことをどこかで仰っていた気がする。
まぁ自分は元々、歴史小説よりも時代小説派な人間なのだけど
51 :
無名草子さん:2012/05/26(土) 23:06:02.16
蝉しぐれ読み終わった。
面白すぎて久々に食いつくように読んだよ
切なくて爽やかだな、読んですごく良かったわ
蝉しぐれ読んだ後に一青窈の「かざぐるま」を聞くと涙出る。
一青窈の曲は不思議と、藤沢周平の世界観にマッチしているんだよね。
多分、詩が婉曲的で独特であり且つ音楽が和風チックだからかもしれん
42じゃないが、初心者受けしそうなのはよろずや平四郎あたりかな。
文章はいつも通りしっかりしてるし、いい意味の軽さがある。セリフ回しもいいね。
【芸能】読書芸人・オードリー若林、純文学への愛語る
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1338182434/ 「たまにミステリーとかも読むんですけど、“面白いな”とか“巧いな”とか思っても、純文学ほどガッツリこないんですよね。
純文学って荒れ球っていうか、たまたま“バチッ!”と当たった時の気持ちよさがものすごいから。
あらゆる娯楽の中で、“あっ!”“あるある!”って思う時の共感のインパクトが、純文学って段違いなんですよ。
藤沢周さんの『オレンジ・アンド・タール』なんてあまりに共感し過ぎて、あれ? これ俺が書いたんだっけ?って思ったくらいで(笑)」
誤爆
藤沢作品、ラジオ深夜便の松平定知さんの朗読から。
文庫本を買って朗読といっしょに楽しむ。
三屋清左衛門残日録、用心棒日月抄
用心棒は次々読みたくて4冊読破
海鳴りは聞いたり聞かなかったりで本屋にもなくて完読していない。
橋物語など雪明りなどなどほんとうに次々と読みたくなった。
小さいとき、新聞の連載の挿絵の侍の絵なんかで見たときは
興味もなかったけれど、いいなあと思うのは年取ったからかな・・
文庫本で7〜8冊、読み返しては頭の中で又八郎が役所広司さんで
活躍していますよ。
用心棒シリーズは好きで読み返すけど、凶刃だけは開けない
細谷源太夫がもう無理
藤沢作品で一番好きなキャラクターなだけにあの落ちぶれぶりは悲しすぎる
61 :
無名草子さん:2012/06/01(金) 21:24:29.22
NHKでは又八郎は村上弘明だったので
今でも再生は彼。
NHKは92年ですね・・そのころはTVはとんと見ていませんでした。
村上弘明さんが又八郎でしたか。
蝉時雨の朗読から本屋に行けば藤沢作品を買っていましたから
私の頭の中では、用心棒は役所さんのお若いころの大胆かつ人情味のある
長身の又八郎が動き回ってるんです。
村上さんで見たかったです・・・92年、子育て真っ只中でした・・
64 :
無名草子さん:2012/06/02(土) 23:01:52.73
>>63 藤沢周平作品のドラマはどれも微妙だな
花の誇りも原作とちょっと違ったし。馬の骨、もたしか奥さん元気な設定に変わってなかったっけ?
清左衛門も好きな作品だけど敢えてドラマは見たくないな
本所しぐれ町物語のドラマがDVDレンタルやってて見たけど、
藤沢周平独特の最後の数行がナレーションされててまぁまぁだった
映像は陳腐だったけど。
民放の藤沢作品のドラマ化は原作ずれまくり。
それと、蝉時雨の映画は全然別物。
その点、NHKは忠実だと聞いたけど。
なにひとつ見たことはない・・・
>>65 自分は映画蝉しぐれを見て、藤沢周平にハマったけどな
原作では親父の遺体を運ぶシーンが友人とふくだったけど、映画ではふく一人出てきてなんか感動的だった。
NHKは音楽がイマイチだったな。少女少年時代も大人の俳優が演じていたのは頂けない…
民放での用心棒は小林稔待さんだった
原作と違いがっかり。再放送だったので
現在の小林さんと比べてしまうのか若さがないと思った。
NHKの村上さんも見てみたい、再放送してくれるといいな。
NHKはかなり藤沢作品をやってくれていたんですね。
NHK版は残念ながら見てないんだけど
村上弘明の又八郎、黒木瞳の佐知、坂上次郎の吉蔵あたりはなかなか良さげな感じ。
ただ大富静馬が片岡鶴太郎というのはさすがにイメージと違いすぎなんだがどうだったんだろう
時専で「悪党狩り」を観て、あまりの改変ぶりにのけぞった俺が通りますよ
70 :
無名草子さん:2012/06/16(土) 23:49:45.04
いろはカルタ
”い”いつも揉めてる海坂藩
”ろ”路銀作るに小柄売り
”は”春に生まれておはるちゃん
続く、かも
71 :
無名草子さん:2012/06/19(火) 19:01:24.20
つかぬ事を伺うわけだが、「秘太刀馬の骨」の解説の件、どのようにお考えか。
1995年以来折に触れて読み返すし、さまざまな説も読み申したが、いずれの説も腑に落ちんのじゃ。
と、申しますと
73 :
無名草子さん:2012/06/19(火) 21:40:00.18
おう。早速のレス忝のうござる。
かの書を読み終え、出久根達郎氏の解説を読む。と、
>秘太刀の名称とばかり思いこんでいたが、実は、この小説の「意外な人物」を示唆するキーワードであったのだ。
とあり、最終章の杉江の描写を引用し、とどめに
>読者の大半が、「真の犯人」を間違えて読まれていたはずである。
…これを、受けてネットで調べると諸説紛々。
わしは、馬の骨の遣い手探しよりも浅沼家の再生こそが本筋であると出久根氏は言いたかったのだと読んだのだが、自信がないのじゃ。
そう思った理由は、
・馬の骨の遣い手が雑誌掲載時と違う(誰が遣い手でも大差ないという示唆)。付け加えると、連載完結から単行本化に間がなく、また、物語のつじつま的にもどちらでも成り立つことからも、藤沢先生がはじめから遣い手の変更を考慮していたのではないかと思われる。
・出久根氏の解説で「真の犯人」と括弧付きで触れている。つまりこれは比喩で「主人公」と読み替えるべき。
・この解説は藤沢先生の存命中に書かれており、当然、先生もこの意見を了承されていたと思われる。
ここにお集まりの衆の意見を伺いたいと思ったのじゃ。どなたかご教示願えんかの。
謎解きは難儀でござる
諸説ござろうが読み手それぞれの思うことが
この物語の魅力なのでござろうか・・
皆様のご意見、私目も興味深深でござる・・
構成としては、五人の弟子のドラマをそれぞれ短編的に描いて、それを二本のタテ糸で繋いでいる。
一本は当然秘剣の遣い手探しの線で、もう一本が杉江さんの回復という線。
表向きの本筋はやっぱり前者だろうけど、ミステリー好きの藤沢さんにしては、結論に捻りがない。
秘剣の遣い手は矢野藤蔵よりも兼子庄六の方がしっくり来るけど、これとて意外性はない。
遣い手が誰かということは、この作品では確かに重要な点ではないんだろう。
杉江さんの話は確かに作品中で一番心に残るところだし、最後を締めてはいるけど、本筋というには
描写が控えめに過ぎる感じはある。
出久根さんの解説は、後者こそ本筋、と言ってるのではなく、この作品のタイトルは、表向きの筋の
他に隠喩しているものがありますよ、って趣旨だと思う。
あと、解説は、当然作者も見るだろうけど、だからといってその見方にお墨付きを与えたという証に
なるわけでもない。そういう風に見てくれても構いません、という程度じゃないのかな。
同意
『盲目剣こだま返し』の加世さんの情愛には胸を打たれる。
「・・・急に指をからめるような、強いにぎり方をした。小さく、しめっぽい掌だったが、
握りしめて来た指には力がある」
この辺の描写が美しくて好きだなあ。
78 :
無名草子さん:2012/07/08(日) 01:38:42.38
市井+浪人が好きだな
用心棒とかよろずやとか
藤沢と池波は俺の両巨頭
あとルビがウザいけど森村誠一
ラジオで偶然「神隠し」を聞いた
おタカの行方が気になって次週が待ちきれず買ってしまったわ
そして今日 最終回を迎えたわけだが
先日BSプレミアムでやってたNHK版の蝉しぐれを初めて見たんだが
加治織部正が出ないとはやってくれたな。
要所で文四郎を助ける大物感あふれる人物で原作で特に好きなキャラの一人だったのに
暗い、湿っぽい
司馬や池波と違って徐々に忘れ去られる作家だよ
それはないなあ
トトロは何回も見てしまうが、火垂るの墓は気が重くて見返さない
藤沢も同様
数冊読んだだけでわかった気になられてもな
85 :
無名草子さん:2012/07/20(金) 09:43:15.17
適当に録音しまくってたラジオに文芸館の雪明かりと深夜便の海鳴りが入ってたよ
時代小説は全く興味なかったんだけどまざまざと風景が浮かび上がってくる細かい描写と人情味が今時の作家と別次元で驚いたわ
20代でこの宝の山に気づけた俺は幸せかもしれない
今日は橋ものがたりと冤罪と海鳴り買いに行くよ(´・ω・`)
――いま、跳んだのか。
86 :
無名草子さん:2012/07/20(金) 19:33:51.02
藤沢が重いとか普段ラノベばっか読んでるんじゃないか?
87 :
無名草子さん:2012/07/20(金) 22:06:34.36
藤沢重平w
重いと感じる輩は多分、今流行りの書き下ろしものばっかり読んでるんだろうね。
佐伯の「密命」も「用心棒日月抄」からパクったって本人が言ってるくらいだし
濃密で読む時間を要することに慣れていないんだろう。
用心棒やよろずや、清左衛門、立花登にしてもシリーズにしてくれればもっと楽しめられたのにと
思ったりするが、敢えて止めたような気がしてならない。
いずれにしても新作がもう読めないというのは悲しいことだわな。
春秋山伏記も続巻があったらなぁ・・・という嘆きはかなり共感できる御仁も多数であろう。
藤沢で重いと感じるなら山本周五郎は全く受付られんだろうけど随分と勿体無い話だな。
89 :
無名草子さん:2012/07/21(土) 10:20:31.79
名前ばかり聞くけど山本周五郎も藤沢レベルの人情味溢れるじんわりくる作品あるの?
ちょっと読んでみたい
90 :
無名草子さん:2012/07/21(土) 11:01:58.23
周五郎は文体がちと古風なのが難
面白いけど俺は没入できなかった
周五郎は面白いけどちょっとくどいというか、説教くさいのが玉にキズ。
作者の個性もあるだろうけど、時代背景も影響してるかな。
周五郎は「ながい坂」がおすすめ
ここの住人なら「蝉しぐれ」と比べてみるのも一興かと
「女人剣さざ波」を寺島しのぶで見たい
「臆病剣松風」を堺雅人で見たい
>>95 そうだね、見下される下士が耐えながらっていう所は共通してる。
上下巻たっぷり時間かかるが何度も読み直ししたよ。
長編では他に「さぶ」「赤ひげ」を
短編では「あだこ」「かあちゃん」あたりを推薦しておく。
スレチで申し訳ないがついでに
藤沢をすべて読破してしまい、他に同じ匂いのする作家を見つけて読んでる人教えてくれないかな?
歴史ものは苦手なのでできれば武家、市井ものが希望。
ちなみに俺は今、多岐川恭をひたすら読んでる。
ただこちらも藤沢同様に新作は読めないのですぐ枯渇する・・・ハァ・・・
葉室さんは狙いすぎてるように思う。藤沢周平ほどの巧さは感じないな。
>>89-92 自分は元々山本が好きでその後藤沢を読むと物足りなく感じたな
山本ならしっかり結末まで書いてくれるであろうところを藤沢はぼやかしてはっきり書かない
好みの問題だろうが
人それぞれですから・・
>>95 同じ雰囲気というのでは 乙川優三郎 はどうでしょうか
五年の梅、蟹など
「蟹」は情景が藤沢作品と同じように頭の中で繰り広げられる思いでした。
95のアンカーは
>>92のミスでした、すんません。
>>96 ありがとう、1度読んでみますわ。
ウィキで見たら宮部なんちゃらって女作家が「藤沢のようだ」って言ったらしいね。
読む前からハードル上がるけど、そもそも宮部って女が偉そうに批評するのが納得いかないw
直木賞の選考作家って何であんなに変なのが多いんだろう?
>>100 乙川優三郎は何冊か読んでいます。
「安穏河原」「生きる」「早梅記」「霧の橋」あたりですが、とにかく泣かせる作品が多いですね。
「五年の梅」「蟹」はまだなので読んでみます、ありがとうございました。
昨夜は山本の「ちいさこべ」を読了。
なんとも言えない爽快感があってお薦めしておきます。
藤沢で言うところの「泣かない女」に共通するものがあると・・・<飽くまでも私見
>>101 宮部さんって貴志作品の評でも自分が書こうとしていた物を先に書かれたってあってもやっとした事あるわ
しかし藤沢作品全制覇すごいな
自分はまだまだだが楽しみが残ってると思っておこう
>>92 山本周五郎の小説は読んでるとムカついてくる
藤沢周平の小説はそんなことが全然ない
ながい坂より風の果て
>>64 NHKの腕におぼえありと残日録は傑作だろ
風の果てはひどかったが
>>81 まともに読んだことないだろ
むしろ池波のほうが消える
>>83 藤沢周平の小説は何度読み返しても面白い
>>75 秘太刀馬の骨は藤沢作品としては珍しく駄作だな
晩年の作だから衰えたのだろう
>>103 好きなものを持ち上げるのに
他を貶める必要はない
貶めたっていいだろ
現に山本周五郎の小説はつまらないのだからな
藤沢周平の主人公は心がみな小市民だからよい
心が小市民だから感情移入ができる
池波は過大評価されすぎだな
ストーリーが全く面白くない
筆がうまいだけ
小市民の話でも臭くならないのがいい
その意味でも話を臭くしたNHKドラマの風の果ては認められない
藤沢周平の小説は決して臭くも暗くもない
ここを誤解してるやつが多い
暗いのは本当のごく初期だけ
用心棒ですでに面白い
やはり池波よりシパレンだな
>108
普通なら華麗にスルーなんだが
参考までに山本の作品を何作読んでるのか教えてくれ。
できれば作品名もな。
藤沢作品の主人公は性格がいい
山本作品の主人公は性格が捻じ曲がってる
いい加減な奴と生真面目な奴が親友にいる場合
その中間の性格の主人公になることが多いような気がする
>>101 葉室作品は藤沢周平に似てるとよく聞くが、果たしてどうだろうなぁ…
葉室作品は武士とか、なんか精神の高みを描いた作風が多い。
直木賞と川〜と、実朝の首とあと何か忘れたが四冊読んだだけだけど…
藤沢周平の底辺に生きる人々の情緒を美しく豊かに、そして儚く描いた感じとどこか次元が違う。
どちらが勝っているかなど語るにもアレだが、やはり藤沢周平の読みやすく美しい文章を超える時代小説作家はまだないな
葉室さんは少し興味あるんだけど、まだ手をつけてない。
個人的な印象だけど、タイトルの響きにちょっと力みが感じられるというか。
でもそのうち読んでみようと思う。
藤沢の愛読者は実は謙虚でひたむきな登場人物に憧憬を持つ人間が多いのではと思う。
それは自分にないものを追い求めるかのように真反対の行き方をしてるから。
石原慎太郎が都議会の会議中に藤沢全集を読んでたとニュースを見た時感じた。
また山田洋次が美しい短編を勝手に単純につなぎ合わせた駄作映画を見た時にも感じたことだ。
前者の作品などは論外で読む気にもならないが、藤沢作品を読んで大衆の気持ちを組んだ政治とは無縁な
言動を見る度に嫌悪感を感じる。
後者は一見、人情味溢れる作風で大衆映画を製作してはいるが、実は浪花節を自己満足のために作り自分自身に
酔っているかのようにしか見えない。
という斜めからしか物事を見れない自分も同類項のひねくれ者に属するのだと思う。
謙虚にひたむきに生きる人間への道のりは長い・・・
藤沢のまで読んだ
>>119 清河八郎みたいな歴史上の人物を扱うのはあまり上手くないと思った
内面に拘りすぎて、歴史に残るほどの人物の魅力が無くなっているというか
122みたいなヤツが藤沢の純粋な作品を読んでいるという現実
文春文庫は藤沢周平の小説にまで差別云々の断り書きを入れてる
あまりにも作者をなめてるだろ
というより
>>121は藤沢作品読んでないだろ
謙虚でひたむきな登場人物と言ったら蝉しぐれの主人公くらいしかない
そいつも最後に殿様の妾と不倫してるしなw
藤沢作品が面白いのは話がとてもみみっちいところ
用心棒はちっこい藩のもめごとのわりには人が死にすぎて辟易するな
まあ面白いが
山田洋二が面白いのは男はつらいよシリーズ
晩年の作品で評価するべきでない
しかし時代小説で面白いのは藤沢周平だけだな
ほかに面白い作家っているのか
130 :
無名草子さん:2012/09/22(土) 19:03:00.29
山本周五郎も池波も小卒だからな
文才があっても構成力はなかったんだろ
藤沢は文章力も構成力もトップクラスだと思う
山田風太郎も「時代小説」のカテゴリにあてはめていいんなら
藤沢と肩をはれる
132 :
無名草子さん:2012/09/27(木) 13:02:00.95
藤沢ってそこまでいいか?
池波や芝練の方が面白いよ。
>>132 柴田錬三郎は今読むとさすがに古臭く感じる
池波正太郎は湿っぽい話でも読後感が爽やかだね
シパレンはおもしろいが時代小説というより伝奇小説
135 :
無名草子さん:2012/10/07(日) 06:29:33.51
じゃ周五郎の短編読むといいよ。ひとごろしなんて
みんな読んでないだろうけど
実生活に役に立つしなにより面白いすぎる。
136 :
五関敏之:2012/10/08(月) 01:45:04.62
せやのう
藤沢周平と山本周五郎は似て非なるもの
山本周五郎は主張が熱を帯び作中に著者が発言しだすこともしばしば
藤沢周平はそういった小説としての完成度を崩すことはしない
つまり山本周五郎の小説には人生論があり、藤沢周平の小説には人生そのものがある
138 :
無名草子さん:2012/10/08(月) 08:02:53.60
じゃ藤沢でなにか良いの教えてよ。読んでみる。
北原亞以子進めるよ。
>>137 同意。昔の人はよく、周五郎と周平は似てると言ったものだが全然違うよな
藤沢周平にはまってから、周五郎にも手を出したらあまりの違いにびっくりした。
嘘じゃねぇかよ!、て。
助平なおっさんの妄想を叶える小説
141 :
無名草子さん:2012/10/12(金) 00:28:43.40
藤沢はユーモアがなくてねぇ。周五郎は代表作はマジだけど
短編は笑うよ。
本所しぐれ町物語とか、よろずや平四郎活人剣とか、笑える場面も多いがなあ。
話の最初から最後まで笑いっぱなしというのはそりゃないけどさ。
ユーモアは池波だな
藤沢周平、ユーモアの代表は短編「臍曲がり新左」をおいて他にないだろう
短編小説は全て読破したが、何故か一番好きだ
「冤罪」も微笑ましくて最後、ほっこりします。
146 :
敗訴一声会さくら接骨院親歌代英二:2012/10/13(土) 03:39:37.95
>>137 それ、向井敏の解説書と同じじゃん。まあそう思うけどね。
人生があるって、でも、あんた臭すぎ。草葉の陰で藤沢も苦笑する。
小説は小説。時代小説はファンタシイ。楽しめばいいだけ。
たまたま人間心理の機微、機制を不自然にならない形で、
読者にあまり意識させずにすんなり提示できちゃう端正な小説つくり、
それが出来る資質、実力があるから読者もそんな気になれるだけ。
本来はそれが当たり前なのに、出来る作家が少なくて、
冗長にならないハードボイルドでそれが出来る藤沢が傑出してるだけなんだよ。
>>144 ああ、藤沢は一番好きな作家だけど、とくにユーモアなんて求めてない。
あの程度が順当の作風。
へそ曲がり新左と、あの異曲作品なんてったっけな、よくつくって出来てる。
でもそれが一番と思うなら、まだまだだと思うよ、正直。
ほんとはさあ、あの凡作の唯一の現代小説、早春だっけ、あれが藤沢なんだよ。
評論家の先生が多いですなw
>でもそれが一番と思うなら、まだまだだと思うよ、正直。
この辺が「俺様はすべての作品の善し悪しがわかる」と言わんばかりですな。
人によってお気に入りがあるのは自然のことだし、山本と藤沢の共通点も沢山ある。
それをどう思うかはそれこそ本人次第なのだから、それを批評するのは笑止千万。
「早春」だって自然な流れで市井の男の日常を描いた作品だと思うけどね。
それを「凡作」と評価するなら「まだまだだと思うよ」と言ってやりたいわなw
個人が何を好むかは自由だし勝手。
だが第三者がそれをこき下ろすのは具の骨頂だね。
「剣呑」と言った方が時代小説風でいいかもしれないが・・・
149 :
無名草子さん:2012/10/15(月) 23:44:48.09
変な流れだな
上から目線はどっちかというと
>>147だと思うが…
藤沢周平好きはわかるが他人の感想をこき下ろすような書き方は良くないと思うぞ
147だが、誰がこきおろしたんだ。
俺に、うん、というやつが多いと思ったんだがな。
ナイーブ(=バカ)なやつが多いな。
ナイーブってバカって意味なのか?
繊細とか純粋って意味だと思ったんだが。
難しい人の心は深くて理解できんな。
自意識過剰の中二病に人生の思い入れたっぷりに語られても困るだろうな
154 :
無名草子さん:2012/10/25(木) 19:20:11.90
10年ほど前、鶴岡に行って湯田川小学校でこの人の文が掘り込まれた碑
を見たけど、人柄が忍ばれる小さな石碑だったよ。
155 :
無名草子さん:2012/11/05(月) 19:18:03.95
>>154 渋いな〜
なにか思ったとか、心の中で声をかけたりした?
156 :
無名草子さん:2012/11/06(火) 18:36:23.86
>>155 失業して、新たな仕事について出張先でした。
失業中、あなたの本で励まされました。と、報告いたしました。
157 :
無名草子さん:2012/11/09(金) 18:44:58.79
じ〜んときたね・・
いいね
159 :
無名草子さん:2012/11/13(火) 18:15:59.09
特に励みになったのはどの作品?
160 :
無名草子さん:2012/11/13(火) 23:35:38.72
>>159 暗殺の年輪に入ってる「溟い海」
「周平独言」という随想集。藤沢さんが苦闘していた時期が綴られています。
「たそがれ清兵衛」所収のの多様な人生です。
161 :
無名草子さん:2012/11/13(火) 23:44:18.73
160です。「たそがれ清兵衛」所収の多様な人生です。
「の」がダブりました。すいません。
同じく失業経験のある身だが、『一茶』は心にグサリと来たな。
読んだのが失業中の時じゃなくてよかった。
藤沢さんも、物書きなんてまっとうな人間のやることじゃない、みたいなことを
どこかで言ってたけど、そういう健全な良識があるから書ける作品だと思う。
それでもラストの描き方なんかはキレイで、優しくて、ジンと来る。
163 :
無名草子さん:2012/11/15(木) 18:47:23.31
>>160 周平独言は実家にあったな
読んでみるかな
一茶、いいよな〜。。
>>164 一応訂正しておくお。
×北口景子
○北川景子
小説の方は大好きな短篇作品の一つだが、映画の方も結構よかったお。(´・ω・`)
この人は、いや、古い作家達は文章というものの流れ、わかりやすさ、美を追究して追究して・・
作品を生んでいたんだろうなと
168 :
無名草子さん:2012/12/06(木) 21:15:08.95
藤沢周平の作品はそんなに読んでないけど、周五郎はずいぶん読んだ方
で、周平について言えば、周五郎と違って登場人物全体にいい意味で
思春期の面影があるということか?やたら周五郎読んだ人間のいい加減な感想と思ってくれ
後周五郎のユゥモアも笑えるぞ、「明暗嫁問答」とか「わたくしです物語」とかいい
、後「風流化け物屋敷」。何ていうか(温かい目という意味で)天然ボケとか
ズレた人のこと書いてる。最近の挙動不審な人とかを意地悪に観察したりする形の下手な芸人や
ギャグマンがより数倍マシ
まずスレ違いですいません。
>>168 おいらは逆で、藤沢さんの作品はほぼ読んでいますが、周五郎さんのは「小説日本婦道記」しか
読んだことがありません。
周五郎さんの作品で、ユーモア路線ではなく、哀切感が漂うようなお薦めの短編集はありませんか。
よろしくお願いします。
みんなの中で、鶴岡市の藤沢周平記念館に行ったことある人っている?
藤沢ファンの端くれとしては、一度見てみたいななんて思うけど、
自宅(愛知県)からは遠いし、貧乏暇なしだし、むつかしいなあ・・・
行ったことがある人は、感想なんかを教えてほしいお。(´・ω・`)
171 :
無名草子さん:2012/12/09(日) 20:22:16.50
<<169
短編「町奉行日記」内にある「晩秋」などがいいです。
後、短編集「花匂う」、「おごそかな渇き」、「雨の山吹」がいい。
172 :
無名草子さん:2012/12/09(日) 20:23:35.36
>>171 169です。どうもありがとうございました。
まずは「町奉行日記」と「おごそかな渇き」の2冊を注文しました。届くのが楽しみです。
本レス主題の藤沢さんについては、最近文春文庫から「甘味辛味」という、
小説ではなくて、藤沢さんの業界紙編集長時代のコラム集と評伝からなる本が刊行されてたのを知りました。
これも面白そうなので、注文。これで年末までの読書予定ができました。
174 :
無名草子さん:2012/12/14(金) 19:25:40.00
記念館なるものがあるとはじめて知った。
そりゃ一度行きたいですね。
175 :
無名草子さん:2012/12/15(土) 00:55:32.47
いいですね、記念館!
僕としては、そのおまけ的な感じで、庄内の美味いものが食いたいかも。
風景も楽しめるし、作中に出てくるカラゲとか玉こんにゃくなんかも食べてみたいところですね
誰か庄内行った人以内のかなぁ…
176 :
無名草子さん:2012/12/15(土) 20:12:13.73
玉こんにゃくはタレによってかなり味が変わりますよ。
味噌タレだと、まあ、おでんのような感じ。
177 :
無名草子さん:2012/12/21(金) 18:17:53.54
ものがこんにゃくだけに美味ってものではないと想像してる。
でも一度は体験してみたいかな。
178 :
無名草子さん:2012/12/24(月) 11:39:24.70
>>175 カラゲとはエイヒレの煮物でして甘辛味だよ。
179 :
無名草子さん:2012/12/24(月) 12:16:23.33
検索するとでてきますね
カレイを丸ごと使ってそっくりなものを祖母が作ってたのを思い出しました
180 :
無名草子さん:2013/01/05(土) 13:07:58.88
山形の人はいないのかな?
帰省してからげを食べたかな?
用心棒では 1 の最後、台所で由亀がわらべ歌を口ずさんでいるところに
又八郎が帰ってくる、熱い茶を入れてくれという、由亀は奥の祖母にも声をかける
ばばさまもお茶を上がりますか・・ここがなんとも春の訪れ、いい心地の描写で
一番気に入っている。
2のこがらしの用心棒も好きだ、用心棒同士の心の通い、又八郎の情の熱さ、人柄。
182 :
無名草子さん:2013/01/06(日) 19:19:19.55
こんにゃくと聞いたらおでんが食べたくなったなあ。
こんにゃくはやわらかいが噛みやすくはない。
婆様には食べやすかったのか、そうではなかったのか、ふと考える。
鶴岡に行きたいなあ。
五間川の風景の中に、この身をあずけたいよ。
>>181 用心棒シリーズは、いいですよね。おいらはかなり前に読んだので大分忘れてしまっているが、
「用心棒日月抄」の中で小さなエピソードとして出てくる
夜鷹のおさきが殺されてしまう話が哀れで、一番心に残っているよ。
あと、4シリーズを通して、用心棒仲間の細谷源田夫と嗅足組の佐知を生かしておいてくれたことは、
藤沢さんに感謝している。どちらかが途中で死ぬなんてことになったら、
悲しくてとても耐えられなかっただろうな。
>>183 おいらも行ってみたいけど厳しいよ。
そのため、鶴岡市の鶴岡書店が出している「藤沢周平とその作品ゆかりの地図」っての
を買って暇なときに眺めては楽しんでる。
http://www.authen-net.com/tsuruokashoten/maptop.html ステマみたいなレスになって、ごめんね。
184です。間違えた。
×4シリーズ
○用心棒シリーズの4作品
細谷は用心棒パート、佐知は本来任務パートでそれぞれ欠かせない存在だからねえ。
用心棒シリーズの面白さはこの両パートの使い分けにあると思ってるので
両パートのキーパーソンであるこの二人はさすがに殺せなかったと思う
187 :
無名草子さん:2013/01/10(木) 19:21:45.26
職業が用心棒や探偵なんて、ロマンだよなあ
188 :
無名草子さん:2013/01/14(月) 20:32:25.86
記念館にはカラゲや玉こんにゃくのレシピもあるんだろうか。
赤かぶの漬物が食べたい。
日月抄の最終巻は書かないほうがよかった。
人はみな老いるけど、それを汚らしく書く必要はないだろう。
ちょうど父が脳梗塞で惚け、母が手術後に弱ったころで
シリーズの続きで明るさを期待して読んだときに暗い気分にさせられた。
東北人の限界なんだろうな。
191 :
sage:2013/01/26(土) 22:40:39.62
>>190 感じ方は人それぞれ
読む人に脳梗塞で倒れた人がいるかもしれないから
ここは省こうなんて思う作家はそういまいて。
たまたま、あなたがそういう境遇だったということ
その時の境遇感情によって同じ本でも感じ方って変わるから面白い
若い頃と今とじゃやっぱり違うしね
小さな頃はケンシロウが好きだったけど今はラオウの事もわかるとかそんな感じ
藤沢さんにすれば、あんたの親のことなんて知らねーよ
こっちが先に書いてんだから後付けで親の脳梗塞が辛い、あんなのはいらねって
言われてもなァ・・何言ってんだって呆れるだろうね
それだったら、五体不満足なんて、書くなよ、辛いじゃネーかよ!って乙武さんとこに大勢がデモしそうだよ
195 :
無名草子さん:2013/01/31(木) 21:53:21.55
>>188 カラゲという言葉に拘るとは鶴岡か?みたいな会話があの一帯では交わされるのかな
196 :
無名草子さん:2013/02/05(火) 20:16:49.80
カラゲと呼ぶのは鶴岡の人だけらしいね
198 :
170:2013/02/07(木) 13:55:49.95
>>197 ブログの記事の紹介、どうもありがとうございました。
藤沢さんの書斎が再現されているのですね。興味津々だなあ。
恥ずかしながら岸本葉子さんの本は読んだことがないので詳しくは知らないのですが、
もうガンの方は克服されたのかな。
一冊だけ「四十でがんになってから」という本が未読で積んだままになっているので、
時間をとって読んでみます。(´・ω・`)
199 :
無名草子さん:2013/02/09(土) 12:11:04.85
蕎麦美味そうだなあ
後で近所の蕎麦屋いこ
200 :
無名草子さん:2013/02/12(火) 20:31:54.33
書斎か。。
藤沢さんは煙草は吸う人だったのかな?
少しだけ黄ばみがかった本が並んでいたりして、味わいありそうな妄想をしてみた。
201 :
無名草子さん:2013/02/13(水) 21:06:16.56
煙管とか吸ってたら渋いね。
でも本を黄ばませちゃあいかんでしょ。
そのそも藤沢さんって煙草を喫ってたのかなあ。
確か結核で入院してたことがあるから、吸わないものだと自分では
勝手に思い込んでいたんだけど。
藤沢さんの『帰省』(文春文庫)の「ひとりで煙草を」っていうエッセイの中に、
山手線のホームで他人から煙草の火を貸してくださいと頼まれて、
「・・・いそいそと持っている煙草の灰をおとして相手に差し出す」なんてくだりがあるので、
喫煙者だったようにも思われるお。
知っている人がいたら実際のところを教えてほしいお。(´・ω・`)
すっごいヘビースモーカーだったけど、ある朝とてつもない眩暈に襲われて禁煙を決意したそうな。
エッセイにあるよ。
>>203 へえー、そうなんだ。教えてくれてどうもありがとうございました。
お手数だけど、そのエッセイのタイトルとそれが収載されている本のタイトルってわかりますか。
興味があるから、教えてもらえると助かるお。(´・ω・`)
>>204 新潮文庫『ふるさとへ廻る六部は』収録の『禁煙記』ですね。
ちょっとしたエピソードを知ろうと思ったら、阿部達二著、文春新書の『藤沢周平 残日録』がオススメです。
向井敏著、文春文庫の『海坂藩の侍たち 藤沢周平と時代小説』も良いですよ。
>>205 204です。ていねいなご回答、どうもありがとうございました。
『ふるさとへ廻る六部は』(新潮文庫)は読了して本棚に入れてあったので、
さっそく「禁煙記」を探して読み返しました。わーっ、藤沢さんがすごく煙草を吸うことが
ちゃんと書かれていました。
読んだはずなのに、すっかり忘れてしまっていた自分の頭の悪さに悲しくなりました。(´;ω;`)
向井敏『海坂藩の侍たち』(文春文庫)は、持ってはいるのですが、途中読みのまま
積ん読になっています。時間を見つけて読まなくては・・・
阿部達二『藤沢周平 残日録』のことは、まったく知りませんでした。早速注文しました。
こういうときに、スレの方々の知恵が借りられるっていうのはスゴイなあと改めて思いました。
どうもありがとうございました。(´・ω・`)
207 :
無名草子さん:2013/02/22(金) 20:36:50.62
当時で言うチェーンスモーカーなのはわりと有名だけどね
208 :
無名草子さん:2013/03/01(金) 19:45:27.28
煙草をくわえた著者近影を見たことがあったかな
209 :
無名草子さん:2013/03/12(火) 00:55:26.94
新潮文庫の橋ものがたり「殺すな」の277ページなんだけど、
>「お峰がいとしいか、吉蔵」
>吉蔵は、善左エ門を見た。善左エ門はその眼にうなずき、ごくりと喉を鳴らした。
これって
>吉蔵は、善左エ門を見た。吉蔵はその眼にうなずき、ごくりと喉を鳴らした。
の間違いではないの?
上は、吉蔵の眼を見て彼の気持ちを善左エ門が納得したという意味で通じるし、下は吉蔵が善左エ門に頷いて返事をしたとも取れるけど。
あと、「まぼろしの橋」の286ページの、急にいそいで祝言をはやめたのであった。
ここ読んでて「…?」と思ったんだけど、「急に」「急いで」「早めた」って何か変な感じがしない?日本語的に正しいのかな。
驚愕して驚いた と似た引っ掛かりを覚えたんだが。藤沢周平がそんな間違いはしないか。
まだ冤罪と橋ものがたりの2冊しか読んでなくて、ほとんど藤沢作品を知らないんだけど、こういう言い回しはよく使われてるのですか?
違和感はない、早めたことを強調、時間的に流れが、今までゆったりと
流れていた川が岩場に差し掛かって急流になり水が盛り上がり
水の流れがドンと速くなった・・という印象
話しの流れと捉えたが。人それぞれだから、個人的なものですが・・
>>209 >吉蔵は、善左エ門を見た。善左エ門はその眼にうなずき、ごくりと喉を鳴らした。
ごくりと喉を鳴らしたのは善左エ門でOKだと思います。
ここは、次の言葉(「いとしかったら、殺してはならん」)がつかえそうになるのを、喉を鳴らしてやり過ごしたところなので。
>急にいそいで祝言をはやめたのであった。
これは指摘されるまで気づかなかった。俺もおかしいと思います。
こんな書き方はしない作者ですが、橋ものがたりは作者初期から中期ごろの作品だから
まだ雑なところがあったのかもしれないですね。
>>209 209さんが鋭い語感をお持ちの方であることはわかりましたが、俺はいずれも特に違和感は感じませんでしたよ。
「殺すな」の方の
「吉蔵は、善左エ門を見た。善左エ門はその眼にうなずき、ごくりと喉を鳴らした。」
については、211さんのような解釈になるんじゃないかな。不義の噂のために自分の妻を
殺したことがある善左エ門にとって、「いとしかったら、殺してはならん」という言葉を吐くには
それなりの覚悟のようなものがいるから、
それが、"善左エ門はその眼にうなずき、ごくりと喉を鳴らした"っていう表現につながったんだと思います。
「まぼろしの橋」の方の
>急にいそいで祝言をはやめたのであった。
209さんは、これは重複表現になっているのではないかとおっしゃりたいと理解したのですが、
まず「はやめたのであった」の部分は、この文の前の方にある「...今年の秋にでも、と言っていたのが、...」が
係ってきていますから必要な部分になり、これで問題はないと思います。
残る部分の「急にいそいで」って箇所は、
http://blogs.yahoo.co.jp/huzi2149/61459043.htmlにあるように、
「急に」「急いで」をそれぞれ副詞的連用語と捉えた場合、似通っている言葉を重ねて強調するってことは、
ありますから問題ないと思います(重複表現ではなくて)。
このあたりは英語なら、suddenly and quicklyって表現が該当するような感じですね。
俺自身、藤沢さんの言葉使いで気付いたのは、藤沢さんは「後じさりする」っていう言葉を使うところかな。
俺は「後ずさりする」を使う方だから。
あと斬り合いの場面などで「たたらを踏む」っていう言葉を藤沢さんはたまに使うけど、この言葉を知らなかった
から勉強になったなあ。
いずれにしても、209さんは「冤罪」と「橋ものがたり」の2冊を読まれたということですが、
違和感を感じる表現があるからといって藤沢さんの作品を読むのをやめることだけは
ないようにしてくれると嬉しいな。この2冊以上にもっと感動する作品がたくさんあるからね。
大変な長文になりまして失礼いたしました。
213 :
無名草子さん:2013/03/13(水) 13:43:36.32
どうでもいい
214 :
無名草子さん:2013/03/13(水) 15:18:39.85
いやこういう所を見つけたり意見を言い合うのもまた楽しみでしょう
>>213 212だけど、そうやって突っ込んでもらうと、自分一人で熱くなって語ってしまったことが
間抜けな感じがして恥ずかしいよ。
だけど
>>209さんが話題を提起してくれたおかげで、『橋ものがたり』所収の「殺すな」と「まぼろしの橋」を
読み返せたことが、ちょっと得した気分。前に読んだはずなのに、話はすっかり忘れてしまっていたからね。
とにかく、自分でよく読み返すいくつかの短編作品を除いたら、読んだという事実があるだけで、
大部分の作品の内容を忘れてしまっている自分のポンコツ頭に腹立たしくなってくるな。
もう一度藤沢さんの全作品を読み返す手もあるけど、時間には限りがあるし、
ほかにも読みたい小説はたくさんあるしで、悩ましいかぎりだお。(´・ω・`)
深夜便で橋ものがたりの朗読が無かったら20代で藤沢作品に触れることも、最悪一生時代小説を読むこともなかったかもしれない。
水戸黄門、暴れん坊将軍、金さんとかのように、絶対負けない主人公が剣で悪党とドンパチやって最後は皆ハッピーエンド。
これの単なる活字版だと思ってたものw
あとで知ったけどその時の朗読は川霧だったが、人情味溢れる登場人物たちの言動が衝撃だったよ。
ラジオ聴きながら寝る習慣があってよかった。
「会いたかったのよ」
「おれもだ」
>>216 同じ、自分も深夜便の蝉時雨から藤沢作品を読むようになった
松平さんの朗読も良かったのかな・・
三谷清左衛門残日録、用心棒日月抄、どれもよかったなぁ、本と比べながら
朗読を聴いていた。楽しみだった。
用心棒は2、3、4と楽しめて藤沢作品ばかり読んでた時期があった
情景がいいよねぇ・・・
218 :
無名草子さん:2013/03/17(日) 11:48:09.11
三屋・・・は白石一郎の十時半睡シリーズから影響を受けたように感じた。
パクリとまでは言わないが、構成はかなり似ている。
>>218 禁煙記によればマイルドセブンとある。
缶ピースというのもどこかで読んだ気がする。
霧の果て を読み出した
後書きには児玉清さん
児玉さんはTBSラジオの藤沢作品の朗読をされて解説もやってらした
昭和55年ごろの作品、蝉時雨でも用心棒でもない切り口すっぱり、情景からの印象がない
222 :
無名草子さん:2013/03/26(火) 21:08:38.11
223 :
無名草子さん:2013/03/29(金) 09:22:03.22
私は20才の大学生ですが
藤沢さんの小説が好きです
小学生だったか中学生くらいの時の校長講話で
校長先生がとある印象深い短編を紹介されていて
高校生の時には見つからず大学生の時に探し当てて
よんだのが『三月の鮠』
藤沢さんは本当に綺麗な物語を書く人ですね
224 :
無名草子さん:2013/03/29(金) 09:51:50.75
>>223 すみません説明不足でした
校長先生のお話を聞いた時には大人の本だと思っていて読まず
いざ読もうと思い立った時には題名を忘れていたのです
先生はどんなお話をされたのでしょうか?
226 :
無名草子さん:2013/03/29(金) 19:28:13.94
>>225 うろ覚えですが
お話にあたって、たしか大きなプリントが配られたと思います。
表には本の表紙のコピーと先生手書きのあらすじが、
その裏には一部始終の文章のコピーが印刷されていました。
秋の読書週間だったので、先生が単にお好きな本を紹介しただけだったのかも。
でももしそこから何か学んでほしかったのだったとしたら、それは何だったんだろうって不思議に思います。
『三月の鮠』を生徒に紹介した理由……
「読みやすく、分かりやすい短編。情景等の描写が見事で、読んだ人の背筋が伸びるようなお話」
をチョイスした
からじゃないかと推測してみる。
>>223 20歳の大学生の方ですか。
人生の早い時期に藤沢さんの作品に接することができるなんて、何かうらやましいですね。
私なんかは40過ぎたオヤジになってから読み始めたものですから、
もっと多感な若い頃に出会っていたら、どんな感想を持っただろうか、どんな影響を受けただろうかと思います。
「三月の鮠」は『玄鳥』(文春文庫)の2番目に収録されていたので、読み返してみました。
藤沢さんらしい端整さが表れている佳作ですね。
私の場合は、『時雨のあと』(新潮文庫)のはじめに収録されている「雪明かり」を初めて
読んで一気に藤沢ワールドにはまりました。
>>225さん同様に、校長先生がされたという話の内容が気になりますね。
229 :
無名草子さん:2013/03/29(金) 19:45:25.97
>>227 読みやすく分かりやすいですよね。勧善ではないにしろ懲悪ですし……
情景も見事です。着物に葉が降りかかり、女性の目に涙がもりあがる……
一方で背筋が伸びるというのはどういう意味ですか?読み込みが足りなくてすみません。
230 :
無名草子さん:2013/03/29(金) 19:59:53.05
>>228 まだ20年しか生きていない私でも、価値観というものは少しずつ変わっているんですよね。
だからしばらく生きてみて、また藤沢さんの作品を振り返った時、どんなふうに見えてくるのか楽しみです。
多感……かどうかはわかりませんけれど(笑)
「雪明かり」、私は『雪明かり』(講談社文庫)の最後のものを読んだんです。
あの雪はいい雪ですよね。二人には幸せになって欲しいです。
>>229 読んだ後、自分もまっとうにきちんと生きよう (背筋伸ばしてぴしっと前向いて) と、思わなかった?
232 :
無名草子さん:2013/04/01(月) 16:52:53.07
>>231 もしかして、おもとの事でしょうか。
信次郎と葉津のことを重点に考えていましたが、読み返してみると
おもとの徳も大事に描かれていますね。
「素朴な人情味」を持つ彼女に抱く信次郎の感想が、一連の出来事の前後で全く変わっています。
しかし、その徳が信次郎を救ったとは思いません。
葉津と出会ったときの「名状しがたい清らかなもの」が「流れ込んで来る」と対照的に、
おもとは、おたねばあさんの世話を焼いているだけで、「ほほえましい」どまりな気がするのです。
一方で葉津も、かなり受身の存在で(それが可憐ではありますが)信次郎に与えたその影響が具体的に何なのかはわかりません。
信次郎の行動も、葉津のため、勝之進への敵意(こう言っても構わないでしょう)のため、
つまりるところ男の誇り、矜持のためだと思います。
ですから、私は背筋が伸びるという感想を持ちませんでした。
せっかくのご意見を否定するようで申し訳ありません。
しかし、今私の周りに、こんなに藤沢作品について話せる人はいません。
感激しております。ありがとうございます。
読後感想は人それぞれでいいんだから
気にしないことです
いっぱい読みましょう
234 :
無名草子さん:2013/04/01(月) 20:08:19.18
235 :
無名草子さん:2013/04/01(月) 20:41:26.32
今三月の鮠をざっと読み終えました
校長先生は何を子供たちに言いたかったのでしょうか
書き出しの情景は綺麗です、日の光がクルクルと川面に遊んでいる様子などは目の前に
再現されるようです
しかし、若者のそれも男の心の描写などは子供小学生、中学生、1年には・・
中学2年、3年ならしっかりと受け止められるでしょうか、女子には。
校長先生に直にお尋ねしてみたい、多分先生ご自身がこの短編に魅せられたのでしょう
しばらく手元において何度も読み直すことになりそうです
まだまだ藤沢作品を読破とは行きません
237 :
無名草子さん:2013/04/05(金) 13:30:14.80
238 :
無名草子さん:2013/04/05(金) 18:34:48.03
>>236 信次郎の機微は中学生には理解しきれないかもしれませんね。
私も校長先生とお話ししたいです。
今だったらきっと当時と違うように接するでしょうし。
しかし藤沢さんは本当にいいお話を書く方ですよね……。
4回読みました、(飽きなかったですね)
で、先生はなぜこの本を薦めたか
わかりました
大事な場で失敗し人とも接触を避けて自分を責め人の噂や嘲笑が若者を
孤立させていく。鬱々として魚釣りに逃げる
そこで出会った娘に心が軽くなっていく
ティーンエージャー向きの青春小説でしょうか
挫折、自責、恋、真っ向立ち向かおうとする青年の心の弾んだような日常が
春先の日の光の動きと重なります
先生は若者の挫折、ここから立ち直る日の光のような弾んだ若さを
今一度、君たちはこんなもんなんだよ、若さってこんなもんなんだよ と
知って欲しかったのでしょう。
きれいで、穢れのない 青春小説 です
少々の色っぽい描写は・・必要でしょう
今、私も若い人には薦めたいと思いました
240 :
無名草子さん:2013/04/07(日) 07:18:58.72
>>239 四回も読まれたのですか!
私はまだまだですね。
冒頭の光の動きなどはとても綺麗で、春の日差しは青春小説にピッタリかもしれませんね。
今の若者でも『三月の鮠』を好きになってくれる人は大勢いるでしょう。
>>若者の挫折、ここから立ち直る日の光のような弾んだ若さ
果たしてそれを私達にあてはめることができるかどうか、そう思うと何となくこそばゆいです。
ところで、大人の挫折というのは立ち直ることができないものなのですか?
だとしたら、いっそうこの短編の「青春」小説としての意味が深まる気がいたします。
青春は振り返るものと申しますし。
すると大人向けという側面もあるかと思います。
三月の鮠に関してはテーマが 若者 ということになると考えます
大人の 挫折 は 用心棒然り、玄鳥然り、藤沢作品にはたくさん描かれていますよ
山桜 然り、こういう初恋、何の穢れもない若者に焦点を当てたというのがこの 三月の鮠 でしょう
釣り上げた時の鮠の姿の美しさを作者も言っていましたね
雪明りは女性側からのやり直しの物語でした、藤沢作品はラストはどれも(わたくしが読んだものでは)
希望のあるものでしたよ
大人の挫折、これは努力で、生き様で、また友情で、また親の愛、男女の愛で、兄弟愛で希望に変えていますね
絵本も大人が読んで涙するものもありますね、昔からこの本大好き!というものが
誰しもあるかと思います 宝物の絵本が。
本というものは何時読んでも、何を読んでも感銘すれば それはその人にとっては
人生での訓えと成り得、また感動の書、また喜びの書、楽しみの書になるのではないでしょうか
242 :
無名草子さん:2013/04/08(月) 17:24:00.01
>>241 若者がテーマ……本当にそうですね。
大人の挫折については、私が個人的に話を膨らませてしまいました。
でもよかったら、それに関して「暗殺の年輪」所収の『冥い海』をいつかお読みになってください。
宝物ですか。それを見つけている人は幸せ者ですね。
藤沢作品を読み出すと、ホント、止まらないね。
244 :
無名草子さん:2013/04/25(木) 19:06:41.79
ロマンチスト過ぎて、そんな奴いねーよって思っちゃってハマれない
池波の方がいい
245 :
無名草子さん:2013/04/25(木) 21:44:19.11
今、日本国内では、「戦争」が勃発している。しかし、この「戦争」に気づいている人、
この「戦争」の恐ろしさに気づいている人はほとんどいないだろう。
なぜなら、この「戦争」は、長い年月をかけて、用意周到に、徐々に徐々に、仕掛けられたものであり、
これを「戦争」と(正しく)認識することは極めて困難だからである。
もちろん、「女性専用車両」や「クオータ制」などの女性優遇策を目の当たりにして、
「今、日本で、おかしなことが起こっている」と察知している人はいる。しかし、まさか、それが「戦争」
だとは思っていないだろう。私・ドクター差別にしても、これが「戦争」だと自覚したのは、つい最近である。
その「戦争」とは、「女性」対「男性」の戦いである。この「戦争」を仕掛けてきたのは「女性」であり、
「女性は差別されてきた」あるいは「女性は差別されている」などと称して、「聖戦」気取りで、際限のない「女権拡大」
を目指している。一方、男性にとって、この「戦争」は、自分たちの(当たり前の)権利を守る防衛戦である。
ただし、相手は、「女性」だけではない。と言うか、本当の相手は、その裏にいる「似非フェミニスト軍団」
と「反日勢力」である。「似非フェミニスト軍団」が、「女性」をそそのかし、男性に戦争を仕掛けている、
それを「反日勢力」は(「棚からボタ餅」とばかり)利用しているのである。
この「似非フェミニスト軍団」は、陰に隠れているのだが、実は、判別しやすい。彼らは、「女性の視点」とか、
「女性の目線」などという言葉を多用するので、すぐわかる。これらの言葉を聞いたら、「要注意」である。
ところで、「似非フェミニスト軍団」は、どんどん、兵力を増強している。「女性学」という似非科学を用いて、
学生を洗脳し、毎年、多くの似非フェミニストを世に送り出している。政治家、官僚、マスコミ、裁判官、
検察官、弁護士、学校の先生、大企業の社員など、社会的に影響力のある職業に、多くの兵士を送り込んでいる。
246 :
無名草子さん:2013/04/25(木) 22:17:59.08
しかも、厄介なのは、「クオータ制(女性枠)」などというインチキ制度を用いて、それらの兵士を増強しよう
としていることである。それらの兵士は、能力なんぞなくていい、能力なんぞ求めない。何しろ、
「似非フェミニスト軍団」にしてみれば、似非フェミニズムに洗脳された「頭数」が増えればいいだけだからである。
と言うことだから、「似非フェミニスト軍団」が、能力主義を否定する「クオータ制(女性枠)」に賛成する、
その導入を推進するのも頷ける。彼らには、はなから、「優秀な人材を採用する、登用する」なんて気は
サラサラないのである。むしろ、「能力のある男性」は、足手まとい、と言うか、「敵」なのである。
この意味では、「似非フェミニスト軍団」は、「反日勢力」と利害が一致している。能力のある男性が蔑ろにされ、
能力のない女性が優遇される、これは、日本の弱体化に繋がるので、「反日勢力」にとって、好都合である。
しかも、この「戦争」によって、男性と女性がいがみ合うわけだから、直接、(「反日勢力」が)手を下さなくとも、
日本がどんどん自滅していく、反日勢力にとっては、さぞ、笑いが止まらないことだろう。
「熱湯に投げ込まれたカエルはビックリして飛び出るが、水から徐々に温められたカエルは茹でられて
死んでしまう」と言われるが、今の日本は、まさに、その状態である。「聖戦」気取りで、際限のない「女権拡大」
を画策する連中の悪業に気づいて、早く手を打たないと日本は「一巻の終わり」である。
「反日勢力」に(完全に)乗っ取られてからでは、何をやっても、もう遅い。
もし、あなたも、「今、内戦が起こっている」との認識をお持ちであれば、是非、私らの「戦い」
に参加していただきたい。この「戦い」は、むしろ、私ら(男性)にとっての「聖戦」である。
http://blogs.yahoo.co.jp/sabetsu5555
247 :
無名草子さん:2013/04/27(土) 19:16:33.09
>>222 メビウス。藤沢作品のタイトルにはならないが推理物のタイトルにはよくありそうな。
248 :
無名草子さん:2013/05/31(金) 17:47:31.48
ホシュ
249 :
無名草子さん:2013/06/02(日) 06:21:00.97
250 :
無名草子さん:2013/06/02(日) 19:03:49.58
藤沢さんはメビウスに名が変わったマイルドセブンをどう思うだろうか
・・どうも思わんか
251 :
無名草子さん:2013/06/03(月) 19:48:07.33
池波の方がどう考えてもロマンチストだろうが(笑)
ま、池波はそこがいいんだけどな
252 :
無名草子さん:2013/06/23(日) 11:23:27.92
253 :
無名草子さん:2013/06/23(日) 21:59:06.04
平穏に淡々と、ね
254 :
無名草子さん:2013/06/25(火) 18:56:58.07
メビウスって名称とと藤沢世界は繋がらないこともなくないかな?
255 :
無名草子さん:2013/06/25(火) 22:19:05.21
まだ缶ピが普通に買えた時に逝ってるけどね
256 :
無名草子さん:2013/06/25(火) 23:57:55.46
>>178 亀さんだけど、からげなんざよう知ってるねぇ
いたまないように工夫された調理のひとつでもあるのよ
257 :
無名草子さん:2013/06/27(木) 19:35:30.87
258 :
無名草子さん:2013/06/29(土) 10:11:58.76
鶴岡とフランスが繋がった
259 :
無名草子さん:2013/06/29(土) 23:56:06.23
おふらんす は藤沢作品にはでてこないのでは
260 :
無名草子さん:2013/06/30(日) 12:13:42.27
その前に保存食の発想は世界のどこにでもあるよ
261 :
無名草子さん:2013/06/30(日) 20:15:18.30
からげ、食べてみたいですね
262 :
無名草子さん:2013/07/02(火) NY:AN:NY.AN
俺は醤油の実を食べてみたい。できれば炊き立てのご飯で
263 :
無名草子さん:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN
フランス&からげ
いやさ、からげ&フランスか
ワインでからげ、どうよ?
264 :
無名草子さん:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN
神の雫
なりね
265 :
無名草子さん:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN
・・ワインによるとおもうけどおいらにゃとんとわからねぇ
266 :
無名草子さん:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN
山形弁でどうぞ
267 :
無名草子さん:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN
ワイン?
わっがんね
268 :
無名草子さん:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN
藤沢さんはワインはたしなんだのかな?
269 :
無名草子さん:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN
作品及び談話の中ではワインは出てこないね
270 :
無名草子さん:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN
好きそうな気はするね
煙草をくゆらせワイングラスを地味に傾ける
271 :
無名草子さん:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
渋くでなく、地味になんだ・・(笑
272 :
無名草子さん:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
ワインをたしなんでいたかどうかは判らないが
それが似合う気もする
273 :
無名草子さん:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
日本酒ではないのか?
274 :
無名草子さん:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
意外にワインも雰囲気だと思う
275 :
無名草子さん:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
日本酒だと似合うようで似合わないな
記念館に行ったら意外にワイン好きなんかが知れたりしてね
276 :
無名草子さん:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
記念館を訪れた人はいる?
277 :
無名草子さん:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
缶ピースかマイルドセブンにワインか
渋いのだかそうでないのか
278 :
無名草子さん:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN
別に常に同時に嗜むわけでもあるまい
その前にワインは想像だろ
あの文体のにはワインも何もないのさ
279 :
無名草子さん:2013/07/08(月) NY:AN:NY.AN
現在はワインも広まったが藤沢さんの当時はそうでもないだろ
ウィスキーじゃないかな
280 :
無名草子さん:2013/07/08(月) NY:AN:NY.AN
誰か記念館のお話を聞かせてください
281 :
無名草子さん:2013/07/08(月) NY:AN:NY.AN
あ〜
時代的にウィスキーかもね
ワインも似合うきがするけど
282 :
無名草子さん:2013/07/08(月) NY:AN:NY.AN
作品の世界では醸造酒だけどな
283 :
無名草子さん:2013/07/17(水) NY:AN:NY.AN
>>282 昔の酒はいまのモノと比べて薄いとゆうか弱かったらしいと聞いたことがある
大酒をくらうって描写でもそんなにアルコールは摂取していなかったようだがどうなんだろう
284 :
無名草子さん:2013/07/18(木) NY:AN:NY.AN
質問です。
映画「隠し剣 鬼の爪」で片桐宗蔵が狭間弥市郎を葬った技は、隠し剣の第一話に収録されている「邪剣 竜尾返し」ではないかと思ったのですかどうなのでしょうか?
映画の話題で申し訳ないのですが……
285 :
無名草子さん:2013/07/22(月) NY:AN:NY.AN
私も竜尾返しを連想しました。
「鬼の爪」と同じ孤影抄ですから、監督が読んでないはずはないと思いますし……
286 :
無名草子さん:2013/07/23(火) NY:AN:NY.AN
監督の山田太一は何作か藤沢作品を映画化してるけど、脚本に藤沢の他の短編のエピソードを援用して再構築することが多い。結構な換骨奪胎をしていて、これには原作ファンには賛否両論がある。
鬼の爪については指摘の通りだと思う。ちょっと記憶が曖昧になってるので確約は出来ないけれど。
因みに「たそがれ清兵衛」は「竹光始末」のエピソードが援用されてる。映画は何だか無理矢理感動作に仕立てられており、原作の飄々とした味が失われていて、個人的には凄いガッカリしたのを覚えている。世間的には評判良かったけれどね
>>286 たそがれ〜の女子の教育に関するくだりは興醒めしました。
女性の自立は大賛成だけど、テーマとしてこの原作にくっつけるのは違和感がある…。
288 :
無名草子さん:2013/07/23(火) NY:AN:NY.AN
289 :
無名草子さん:2013/07/23(火) NY:AN:NY.AN
日本の酒は薄かったのかな?
290 :
無名草子さん:2013/07/23(火) NY:AN:NY.AN
日本酒は薄かったとは聞いたことはないな
291 :
無名草子さん:2013/07/23(火) NY:AN:NY.AN
醸造酒だからな
292 :
無名草子さん:2013/07/28(日) NY:AN:NY.AN
>>290 そうか。酒問屋が水であり小売りの酒屋が水で割りだったからかなり薄くなっていたと聞いたことがある。
特に安酒を売る飲み屋の酒は薄かったそうな。
今と違って,酒税法もなにもないからな。
293 :
無名草子さん:2013/08/01(木) NY:AN:NY.AN
>>285-286 レスありがとうございます。
やはりそうですか。竜尾返しで死んだ狭間のセリフも似ていたし、もしや!と思いましたが、同じように思っていた方がいて嬉しくなりました。
ありがとうございます。
294 :
無名草子さん:2013/09/02(月) 00:32:35.40
9月3日の火曜日21:00、NHKのBSにて映画『花のあと』やるようですよ!
……原作は好きなのですがさてさて。
原作を大幅に変えるのはお嬢さんは反対してましたね
蝉しぐれの映画版、ひどかった
たそがれも原作壊し
NHKが原作に忠実だと言われてるけどまだまだ
民放の用心棒もひどかったわ
俺は篠原哲雄監督の映画「山桜」(2008年)や「小川の辺」(2011年)あたりが結構すきだな(原作も好きだよ)。
映画の方はそんなにいじってなくて、原作を忠実になぞろうとしたような感じを受けたけどなあ。
両方ともにその分やや地味な印象を受けるため、興行的にはどうだったんだろう・・・
「花のあと」は、主演の北川景子による殺陣のシーンを見て、頑張ってるなあって感心したわ。
映画そのものも比較的よかったし。
山田洋次は藤沢は撮らないのだろうな。
篠原はトーキー時代のチャンバラみたい。
この人絶版本が一冊もないよね
有難いことだけど読み集めるのが大変だ
299 :
無名草子さん:2013/11/15(金) 01:00:10.60
短編小説がむちゃくちゃ面白いな
蝉しぐれ良かった
最近読んだ本の中で一番だわ
父親の最後の対面後文四郎が泣くシーンでウルッと来たわ…
父親の遺体を運ぶシーンが秀逸だわ
一番上り調子の頃な作品はどのあたりですか?
用心棒日月抄あたりかな
天保悪党伝のオチがいまいち分からない。
305 :
無名草子さん:2013/12/05(木) 17:14:09.63
晩年以外はどれも傑作
天保悪党伝は本当はあと1〜2回続くはずだったんだけど、角川の不誠実な対応に嫌気がさして打ち切った
みたいな話をどっかで読んだ気がした
三屋清左衛門残日録は藤沢のベスト3に入れたい
蝉しぐれ、風の果て、三屋清左衛門残日録が俺的ベスト3
正月から、順次、読み返してるけど
歳食ったせいか「海鳴り」が実にしみる
隠し剣シリーズは悲劇的に終わるのが多いけど
後味よく終わる「臆病剣松風」と「女人剣さざ波」が好きだな
寺島しのぶ主演で「女人剣さざ波」を映画化してくれんかな
ヒットはきついかもしらんが、カンヌとか賞は狙える
311 :
無名草子さん:2014/02/02(日) 19:38:05.25
藤沢周平は天才だな
さざ波に寺島しのぶは良いキャストかもしれんな
こっちは剣客の三冬と違ってちゃんと醜女だしなw
>>312 そうなんだけどねw
最後には健気にちょっと良い女に見えるように撮る技量のある監督にお願いしたい
石田純一だと、ラストで改心してもハッピーエンドに見えないw
せめて谷原章介(若いようだけど寺島と同年)ぐらいで
316 :
無名草子さん:2014/02/23(日) 19:28:43.16
ドラマ版の清左衛門残日録も実によくできてる
これと腕におぼえありは時代劇の双璧
週刊ポストでなんとかいう落語家が
「藤沢は池波正太郎、山本周五郎に劣る。なぜなら説明文が多いからだ」(意訳)って書いてて、
落語家として読めばそうなのかもな、と思った。同意はできんけど。
318 :
無名草子さん:2014/02/24(月) 16:46:11.35
説明と言うより、風景や食事の描写は多いよね。それから斬り合いのシーンも
スローモーションのような描写だからなあ。
319 :
無名草子さん:2014/02/24(月) 18:35:24.65
>>308 風の果ては最高に面白いな
ドラマ版は似て非なるものだったが
>>317 その落語家は小説というものがわかっていない
小説としての面白さは圧倒的に藤沢周平が上
ちゅうか比べる事自体おかしいだろ
手法が違うんだから
>>319 似て非なるものといえば、ドラマの清左衛門も腕におぼえありも、上で絶賛している人には悪いが俺には糞だった
藤沢、池波、山本、それぞれに
情景や人のぬくもりや、小さい息遣いまで活字から
受け取れるから、それぞれに重きあり趣向あり先々があり魅力です
藤沢作品で三屋清左衛門残日録はNO1
NHKBS時代劇 神谷玄次郎捕物控 2014年4月4日〜
324 :
無名草子さん:2014/03/25(火) 10:05:19.48
時代劇専門チャンネルでよろずや平四郎また始まったな。
テレ東だけど配役がどれも素晴らしい。特に北川弘美はみっけもんだった。
用心棒の「債鬼」の話見てて思ったんだけど、最後あの金貸しはよく手間賃払ってくれたな
又八郎が後ろからどついたのには気づいてなかったとしても、結局集団でボコられたわけだから、
用心棒役に立たねえ、手間賃なんて払うか、とか言い出してもおかしくないと思うんだが
あの性格なら特に
シリーズ4読み直してる
細谷のアル中はいつも気の毒になるなぁ・・
妻も子も3人亡くなってるし
細谷にはいい展開を残しているんだよね、長男の仕官先の新潟で
暮らすという結末
327 :
無名草子さん:2014/05/07(水) 14:42:55.12
藤沢周平読むとほかの作家の小説は読めなくなる。
だから過去に読んだ藤沢作品何度も読み返すことになる。
ほんとに困ったもんだ。
三屋清左衛門残日録は何回読んでもいいね
329 :
無名草子さん:2014/05/25(日) 15:41:10.39
「密謀」や「漆の実のみのる国」みたいな上杉家題材の作品もナイスよ
330 :
無名草子さん:2014/05/26(月) 19:20:40.27
密謀はいまいちだった。藤沢作品で唯一何が面白いのかわからなかった作品
331 :
無名草子さん:2014/05/26(月) 21:41:43.06
そうですか。まあいくら義の旗を掲げても中途半端な動きしか取れず負けてしまっては話のオチが厳しいかな
「密謀」(下)で「茂助の体から捨て犬のような汚臭が立ちこめてくる」というくだりを呼んだときは笑いを堪えるのが必死だった
332 :
無名草子さん:2014/05/31(土) 00:49:27.36
「密謀」の直江兼続と石田光成は恋人のようですね
文通から始まって聚楽第(?)でデートして……みたいな
333 :
無名草子さん:2014/05/31(土) 15:00:01.01
石田は知らんが、直江はそちらの道も達人だろうな
あ‥いぃ
愛!
335 :
無名草子さん:2014/06/22(日) 23:54:38.45
>>286 割り込んでスイマセン…、感動が大きかった。みんな同じ事と思ってるんだ
なって…
山田洋次作品はみんな褒めてると思ったけど、案外、批判してて疑問視して
た僕は安心した…。
自分の弱い意見を言えば「隠し剣 鬼の爪」は、冴えない若者のアイデンティテ
ィの確立的なテーマだと思ってて、愛に生きる侍は、一寸ズレてるよね。
狭間弥一郎が旧友だったり、昔の仲間を切れって宗蔵が言うのも一寸な…
観る限りあれは、「ロミオとジュリエット」的なものじゃない。
あれは狭間弥一郎、堀直弥、狭間の妻と言った派手なものじゃなく、きえ
というジミで慎ましやかな存在が自分にとっての”人生”なんだと言うメ
タファー的なものなんじゃないかな…と思う。
それに「隠し剣」って浅田次郎さん的な泣ける奴じゃなくて、幾何学的な
美しさの、良く出来た剣豪小説だと僕個人は思ってる…。
一度真似にして書いたことあったけど、大失敗…。
長文ごめんなさい…。上が僕個人の僻み的な意見だと思ってて閉塞感があったんだ
泣いてる…
後、関係ないけど、どこかの本で藤沢周平や山本周五郎がホームドラマって
書いてる人がいて、今の時代劇はこんなのものでいいのか?、書いてて
寂しい気持ちになったな…。
俺は映画の「たそがれ清兵衛」も「隠し剣鬼の爪」もどっちも好きだけどな
元になった短編はどれも映画より先に読んでるし、もちろん好きだけど、
映画は全然別物だと思ってるので映画として面白ければ原作とどれだけかけ離れても気にならない
逆に原作読み返しても、頭に浮かぶのは映画のキャラとは全然違うし
映画は時代劇だというだけで応援したいとこだけど、原作との乖離とは関係なく不満もある
たそがれ…は岸恵子のナレーションが余計だし
隠し剣…は役者の力量だろうが殺陣の迫力がたそがれに比べて数段落ちる
>藤沢周平や山本周五郎がホームドラマ
ちゃんと読んでるのかな
そういうのがあっても極一部だと思うんだけど
用心棒日月抄 3 刺客 いいね
シリーズ1と3が面白い
339 :
朝田弓之助:2014/07/15(火) 23:43:37.57
スレの進みが鈍い
340 :
無名草子さん:2014/08/02(土) 05:47:46.38
何度も書き込んでスンマセン
「日和見与次郎」は、いい意味でトラウマになれた作品だった。
まさか、慕情をつのらせていた従姉妹があんなえぐい死に方するとは思ってなかった。
ユーモラスな話が多い分、(だんまり弥助もそうだけど)こういう切ない系の
話はいい意味で暗い気持ちになれる。
最後のシーンで、与次郎は自分の老いを感じるわけだけど、あそこも良かった。
2ちゃんねるになれてないのか、痛いことを書いてるかもしれないけどごめんなさい。
用心棒シリーズの「凶刃」での細谷の描かれ方が痛ましいって感想があるけど、
思い出したのが市井ものの短編で(タイトルは失念)、若い頃、だらしないけど
面白い男と一緒になったが、結局は別れて、女の方はどこかの店のおかみさんに
収まって年を食ったが、ある時昔の亭主が物乞いになってるのを見てしまうという話。
「こうなる人だったんだ」って。
藤沢さんは、だらしないままでちゃんとしてない人間には、結構厳しい描き方もする。
『一茶』とかもそんな視点があるよね。
>>341 文春文庫「日暮れ竹河岸」に収録の「三日の暮色」ですね<こうなる人だったんだ
女人剣さざなみってハッピーエンドとよく言われるけど
藤沢さんが最後まで(あえて)筆を進めなかっただけで
結局ヒロインは直後に命を落としたのだろう、と思ってる。
……違うかもしれない。でも、たとえ悲劇に転んだのだとしても
好きな一編なのには変わりない。健気さに胸を打たれる。
死んじゃいないだろうけど、鬢を切られたり顔もかなり傷つけられみたいだから
ただでさえ美人じゃないのに、見た目にかなりなダメージかも
改心した夫はそれでも二度と心変わりしなかった、と心の中で付け加えていい話度を勝手に増している
345 :
無名草子さん:2014/08/22(金) 19:45:10.69
まだ読んでない人の為にも気をつけて書き込みしましょうね
346 :
344:2014/08/24(日) 22:43:00.83
ごめんなさい
347 :
無名草子さん:2014/08/25(月) 06:52:35.17
用心棒のシリーズ2を初読中なんですけど
>>326みたいな書き込みはやめてほしいです
このスレを覗かなければよかった
348 :
無名草子さん:2014/08/26(火) 03:47:56.51
ドラマ版だと自分は蝉しぐれがとてもいいと思ってます。
nhkの通販で1万円位でdvdが売ってるので是非買ってみては。
あえて魅力は語らない。映画もいいけど、やっぱりドラマは偉大。
役者目指してる人はモチロン、時代劇ファンなら間違いなく、1万
払う価値はある。
ただ家についた後、しばらく、nhkdvdの広告がしつこく送られてくる。
後、内野さん主演の大河「風林火山」に少年時代の主人公を演じた人が少し出てる。
ここは読んでいない人のスレ?じゃなんにも話せないね
これから○○読みます
文庫本、いくらしてましたか
どこの本屋が在庫ありますか
アマと本屋どちらが安いですか
こんなやり取りが多くなるのか?
読後感想、ここであ〜思った、ここはこれが良かった
この展開、思いもかけずよかった・・
こういう展開は腑にに落ちない
こういう話しができないんだね、詰まらんスレだ
>>1さんはいろんなことを話しましょうって書いてなかったっけ
日月抄に限らずみんなネタバレや主人公対する思い入れ
またそれを助ける人々への感想はみんな述べているけどなぁ・・・
すごい自分中心の人がいるんだね、何を期待してるんだろう
なんでここを覗きにきたんやらw
>>1さんはまったりゆっくり語りましょう だね
その中には色々な思いを語りましょうってことでいいと思うけど
中身言うな、はどういう神経してるんだろう
実況板で映画の結末言うのと違うのにね
昨日今日出た本でもあるまいし
ほんとそう
本能寺で信長が死ぬって言ったら怒られるようなもんですわ
352 :
無名草子さん:2014/08/28(木) 17:57:35.34
その緩急が難しいね。双方の気遣いの問題もある。
確かに、初めて読もうと言う人は、結末を言われたくないし、だからと言って
読んできた人にとって自分の思ったことを書くには、それなりのテキストが必
要なのはたしかで、その分ネタバレもありうること。
若しくは、読む人の方も、平家の「敦盛」や芥川の「羅生門」の如く、作品の
結末をスデにある型として知り、その上で一作家を極めるのもまた一読者の
あり方と心得て、かえって、その感想一つ一つの個性を知り深めるか…
それもまた重要だと思う。
予断だが、筋を知りえて読むのもまた読書だとも思う。「阿部一族」や「宿命剣鬼走り」
なんかは、かえって筋が分かっていたほうが登場人物の観察にはいいかもと
自分個人は思う。
ラジオ朗読、TVや映画見て原作読むのもありだしね〜
サブ主人公の顛末何行か書き込んだレスに「これから読むところなのに酷い!」はないわ
なんでこのスレ覗きに来たのか理解できない
何を共有したかったんだろう
どんなレスを期待してるんだろう
私もこれからシリーズ2読みま〜す、どっちが早いか競争ね とかだろうかwww
354 :
無名草子さん:2014/08/31(日) 23:50:02.15
物故して20年近くにもなる作家の小説に「ネタばれやめて」はないだろうw
2chでネタバレ配慮しろとか()
356 :
無名草子さん:2014/09/01(月) 20:28:33.79
宿命剣鬼走りは山田洋次監督とかで映画になってほしいよな。
結局は監督が好きそうな「家族」と言うテーマに行き着くしな。
主演は加藤剛か、きたおうじ欣也か…
ダークな清左衛門っぽいよね。
ただ仲代じゃ品がよすぎる。
三屋清左衛門、読み直したけど
どれも秀逸、人物像が生き生き
また部下も人柄がいい、清左衛門の情の細やかさ、緻密さに
こういう誠実な人物が周りを固めるんだろうね
358 :
無名草子さん:2014/09/06(土) 19:01:16.43
失礼間違い。宿命剣の主人公役が、仲代じゃ無理だと言うこと。
俺は何気に獄医シリーズ好きなんだよね。ラストの「約束」とかきゅんとするw
藤沢も楽しく書いてたんだろうなって思う。ある意味藤沢らしくない作品とも言えるけどね
俺も獄医シリーズ好きだよ
ヒロインが最初やな女なのが面白い
周りが紋切り型の心温まる人々じゃないのに、全体としていい話で
真っ当な青春時代劇になってるのは、やっぱりうまいんだなあ
映像化は二度とご免。たそがれ清兵衛なんか酷い様だった。
いや、どうせ見ないから構わんか。
たそがれ清兵衛よかったよ
岸恵子のナレーション以外はw
363 :
無名草子さん:2014/10/31(金) 19:36:04.68
361>>
必死剣は結構良かったぞ。
「たそがれ」の場合は、山田監督の考え方が読者向きじゃなかったのかも…
この人は、飄々としたチャンバラ的な時代劇ではなく、今の大河的な、江戸時代版
大草原の小さな家的な、温かいホームドラマ要素で撮ろうとしたんだな、きっと。
実際監督は藤沢作品をお読みになって、「これなら僕でも撮れる」と
おっしゃってたそうだ。
恐らく「たそがれ」シリーズは同じホームドラマでも、アルフやフルハウス
に近いと思うけど…
後、岸さんは優等生過ぎたんだな。いい女優さんなんだが…
364 :
無名草子さん:2014/10/31(金) 19:58:01.72
続き
それに貧しいとか惨めだかという環境を生きるという価値観においても
その生活を受け入れるという姿勢は、人によって違うことにも気づくな
…
原作の場合は、優等生的な「貧しくても、誇りを持って…、」的な物で
はなく、この生活をシニカルに受け入れ、自分自身のある意味独りよが
りの哲学を持って、飄々と生きてみせる的なある意味子供っぽい部分を
持ちうる主人公ばかりである分けだが(そこに武術の達人が乗っか
るからカッコイイ)
主役の清兵衛は前者として描いているとしても、やはり全体的に、父
を誇りにしますとか、愛に生きるとか、監督優等生的な受け取りが多い
気がする。
優等生だから、という偏見は嫌いだけど、眠狂四郎とか、木枯らし紋次郎
とか、要は異端者、もしくは阻害された人々的な、悪く言えばエキセントリックなテーマではなく、
主持ちで家族がいる主人公は、優等生にはとっつきやすい内容なんだろう…
次の大河も貧しくても誇り高い家族的なテーマもあるらしく、品格ある
女性が主人公なのだろう。
今、流行ってるんだろうな…
といっても、氏が何故、主人公に役と家族を与えたかは、リアリティーの追求
という事務的なことであって、上の理由じゃないんだけどね…
ともかくも青江又八郎は、主持ちであったゆえの常識人のカッコよさが
あるな。
殺人鬼の机龍之介や、転びバテレンと武家の娘の間に生まれた、眠狂四郎
では、ああはいくまいて…
俺も映画「たそがれ」はダメだった。原作読んでなければまた違ったんだろうけどな。コレジャナイ感が強過ぎて、何だか原作が冒涜されてるような気分になった。無理矢理「竹光始末」のエピソードを持ってきてるのも興醒めだった
映画版「蝉しぐれ」もダメ。これはドラマ版の方の出来が良かったからだろう
「武士の一分」はキムタクということで全く期待してなかったが、存外良かった
他媒体ではラジオドラマが一番好きだ
文章が良いから朗読にも堪えられるしね
>>362 >>365 山田は原作を読みこんでもいないし、封建制度がどんなものかも知らんのだろうね。
@藩の禄を食んでいる侍が、上意に逆らうなどあり得ないでしょ。累が及ぶのは自分ひとりじゃ済まないんだから。
A更にその上意討ちの相手が、自分がかつて淡い思いを寄せた友人の妹を責め苛んでいる酒乱よ?
それを上意討ちに逆らって逃す?もっとあり得ないでしょ。
まるでそれぞれが旨いからって、寿司と麻婆豆腐とラザニアをごちゃまぜにした様なもんよ。
>A更にその上意討ちの相手が、自分がかつて淡い思いを寄せた友人の妹を責め苛んでいる酒乱よ?
な、なんの話?
369 :
無名草子さん:2014/11/04(火) 04:09:53.88
重箱だし、367>>を攻めるわけじゃないが、甲田豊太郎のことだろう。
あれは、上意じゃなくて、甲田が飯沼の娘の兄に無理矢理申し込んだ果し合いね。
>>367は原作を読みこみすぎて、エピソードがごっちゃになっちゃったんだな
371 :
無名草子さん:2014/11/05(水) 06:16:09.59
原作に忠実な映像化を見てみたいな
原作に忠実なイメージというのは読者それぞれに違うから、
どう作っても文句だらけになるだろうね
映像作品は原作とは別に映像作品として面白ければいいよ
373 :
無名草子さん:2014/11/07(金) 03:40:43.15
ただ、監督と作家の相性はありそうだな。
特に藤沢の場合、細やかな市井の人々の話だとか
主持ちで、家族がいるサムライとか、
用は、愛で語れるテーマが多い分、上辺で書きやすいし
見るほうも納得するからな…
藤沢、山本=ホームドラマ論も映像屋の上辺読みに問題がありそうだ。
374 :
無名草子さん:2014/11/07(金) 03:45:08.07
にしても、用心棒シリーズやよろずや平四郎の笑いは
中々、ハイセンスだよな。
主人公は、しっかりしてるが大体ちょっと皮肉屋だよな。
案外、氏も皮肉屋な所があったりして…
375 :
無名草子さん:2014/11/07(金) 07:54:55.60
>>372 前の人が書いている映画『たそがれ』の評価が
原作との乖離であまりよくないって話だったから、
できるだけ素直に映像化する試みもいいのかなと思ったんだ
もちろん、上辺だけでいかない困難な作業だけれどもね
藤沢周平は変な表紙のイラストとかもいらんし、純粋に小説そのものを味わう作家だと思うよ。
心理描写にしろ多くを書かず、行間を読ませるようにしてるわけで。
それは読者各々が、それぞれの受け取り方をすればいいってスタイルだから、方向付けして
「これを訴えたい」みたいな単純なエンターテイメントには向かないんだよな。
藤沢作品の映画化が失敗ばかりってのは、それがあると思う。
映像化作品にとって原作は材料にすぎんからね
黒澤明の傑作、椿三十郎なんて、山本周五郎の原作のキャラもエピも大筋も残ってるけど
周五郎の映画化作品ではなくて、あくまで黒澤映画
深作の魔界転生も映画としては傑作だけど、その改変ぶりに原作の山風はもちろん気に入らなかったらしい
そういうエンターテインメントの材料としては、藤沢作品は向いてはいないというのはその通りだね
378 :
無名草子さん:2014/11/09(日) 04:53:17.06
映像化に当たりはずれがあるのは、確かだな
でも、用心棒シリーズなどは、まさに大人のエンターテイメントといえるだろう。
氏の作風は、初期は、先妻を失ったことの苦痛を文章にした暗い作風が多いが
「用心棒」からは、ユーモアもある明るい作風に変わり始めたらしい。
それはいいとして、市井の叙情あり、武家の暗闘あり、恋あり、剣あり
と、ある意味エンターテイメント要素が深く、渋好みする、江戸の風情や
ハードボイルドなどもあるこのシリーズはエンターテイメント性の高いものだと思う。
主人公又八郎も、既存の価値観にはない、元主持ちの常識人の一面と
いつ時も剣を振るえるダークなカッコよさを双方持ちえる、エンター
テイメント向きのキャラクターだろう。
また、細部にあるエスプリ、時折出てくる
市井の人々の甘酸っぱい恋愛なども中々いい。
379 :
無名草子さん:2014/11/09(日) 05:05:26.49
続き
そういえば、何年か前、岸谷吾郎主演で「藤枝梅安」の映像化があったが
結構よかったな。
時に氏は、池波の作風からかなり吸収してるんだろうな。
社会の暗部にこそ、江戸情緒の深みがあるし。
暗殺という、血生臭く、暗澹な世界に振るう剣こそかっこいい。
ただ、俺の拙い意見で言えば、時代小説でも、勇猛さや力強さを持った
鬼平型のヒーローではなく、あえて、氏は又八郎的なテレビドラマ型のスマートな
ヒーローを起用してるように感じるが、その感じがいい意味で現代的でいいね。
今流行のイケメンじゃなく、又八郎はどこかハンサムといったノリだな。
又八郎の両手に花ぶりはもうねw
平蔵が密偵のおまさも愛人にしてるようなもんだよな
381 :
無名草子さん:2014/11/10(月) 20:48:06.97
ただ、又八郎のスマートさは、平蔵にはなさそうだ。
又八郎はヒーローでありながらも、平蔵みたいに皆から慕われる傑物というか
顔の広さ的なものがなく、やっぱり、どこまでも市井と武家社会を
行き来する、明暗を持ちえる主人公なんだろうね。
又八郎は鬼平よりも、現代劇に向いたキャラクタだよな。
後、ラストの凶刃は、腹の出たただのオッサンになった感があるのも
リアルでいい。眠狂四郎とかだとそうはいかんからな。落ちぶれた
細谷との対比もよかった。
それと、面白いのが、由亀が貧しい暮らしをしている裏で、自分は細谷と
酒を飲んで遊んでいたのを恥じるのも、面白さだな
>>381 用心棒を面白くしているのは屈託なんだよね。
武家社会の道徳100%ではなく上司の思惑に振り回されて生活の費用にも事欠く正確を余儀なくされることへの屈託
佐知との関係で又八郎の心に常にあるであろう屈託
これが単純なお家のために剣を振るう、なんて単純な小説より深みを感じるんだよね。
藤沢は作中の人物などの名前を考えるのが苦手だったそうで、だから池波が盗賊につける「二つ名」のうまさとかに感銘を受けてたらしいけど、日月抄の「嗅足組」なんてなかなかどうしてセンスあるよな
384 :
無名草子さん:2014/11/16(日) 07:46:41.13
由亀って名前も、結構いいよな。
今の時代だと、女性の名前に亀って使わないけど、亀の甲羅みたいに、大人しくも風雪に耐え忍ぶ
強さがあるって感じだよな。
シリーズを通してのヒロインが「佐知」ってのはイマイチ
386 :
無名草子さん:2014/12/01(月) 17:55:38.49
それは、テレビ版だろ?
テレビと違って、原作の由亀は死なずに又八郎の嫁じゃないか?
それに由亀もさちも両方ヒロインだろ思うが…?
それに、日々を用心棒で食いつなぎながら、矢継ぎ早に現れる刺客と
斬り合うという砂煙が舞うような硬派なハードボイルドで
国許で待ってる奥さん一人がヒロインってのも微妙だしなぁ…
シリーズを通して満足に触れられもしていない女が、正妻だからヒロインとかあり得ん
>>385 いやいや、佐知はいいだろう
池波の忍びの女の小たまみたいな野性的なのも悪くないが
しとやかなくノ一というのはたまらん
お福「………」
>>389 名前か
名前も別に悪く無いような
なんか俺勘違いしてるかな?
>>391 いや、今的には全然悪くないんだけど、国家老も務めた名門の父親が妾腹とはいえ、
こういう名前付けるかなあとか、そもそも「サチ」はままあるが、この時代にこの綴りで
付けたか?とか、モヤモヤするんだよなw
>>392藤沢の登場人物の命名法は、実在した人物からの借用だそうだよ。本人が対談でそう答えてる。自分で考え出すのが苦手だったそうだ。だから池波の命名の上手さに感心してた訳で
うろ覚えですまんが、確か武士なら武鑑や藩関係の史料、庶民なら寺に残ってる檀家の人別帳とかから採ってた、と言ってたかな?
佐知という名も何かしらの史料に残ってた武家女の名前から採ったんじゃなかろうか?
佐知よりも由亀のほうが好ましいと思う
おばば様を守り細腕で菜園を作り家を守る
シリーズ1、最後
又八郎が由亀の鼻歌を聞き、茶を入れてくれと頼むところ
そして、娘がおばば様を思うところ、おばばさま、お茶上がりますか〜
いい娘だな・・としみじみと本を閉じた
395 :
無名草子さん:2014/12/06(土) 13:09:12.49
後、ポイントはシリーズ最初の段階では、又八郎は由亀が自分を殺しに来るだろう
って思ってて、帰藩するとそうではなかった。ってとこもポイントだよな。
ゆきのつつましい性格が伝わる。
それにサチもサチで魅力的だよな。
女嗅足として、時には敵と戦ったり、巧みな変装で登場したりするし
、それに由亀とは、違った大人の色気といった魅力がある。
しかしその反面、家には姉さん人形を飾るなどどこかで大人になりきれてない
あどけない部分がある。
後陳腐だが、シリーズの終わりのシーンで「私を江戸の妻にしてください」
なんて、彼女の魅力を引き立てるいいせりふだよな。
サチって書かれると短編の「鬼」を思い出すw
それはともかく用心棒では1作目のおりん師匠に再登場してほしかったな
良く言えば慎ましい。悪く言えば武家の女として覇気が無いw
用心棒の1に赤穂浪士が出てくる
今夜しみじみ読んでみようかな
居眠り磐音なんとか、っつーのを初めて読んだんだが
用心棒日月に似ているね。
400 :
無名草子さん:2014/12/17(水) 16:01:41.38
>>399 似ているwという理由は、佐伯がパクったから。
401 :
無名草子さん:2014/12/17(水) 17:47:27.54
インスパw
居眠り磐音より森村誠一の刺客請負人のほうが似てる
403 :
無名草子さん:2014/12/17(水) 21:33:06.20
「用心棒」も「刺客」も村上が主演だったな、双方を意識してたのか。
404 :
無名草子さん:2014/12/17(水) 21:34:36.48
スマン
村上弘明ね
405 :
無名草子さん:2015/01/21(水) 16:41:39.60
ほしゅ
406 :
無名草子さん:2015/01/24(土) 23:11:16.65
神谷玄次郎ってBSでドラマ化されてたんだね。
見たら意外とよかった。
高橋光臣って役者あまり知らなかったけど
原作のイメージにあってるし所作やセリフ回しも上手い。
この四月から新シリーズ始まるみたいだけど前回で
原作の霧の果ての章まで終わってるのにどうすんだろう。
また他の原作からの引用でもするのか。
407 :
無名草子さん:2015/01/26(月) 00:58:39.41
高橋さんは、この前の鬼平スペシャルにも出てたね!
もともとボウケンジャーという戦隊ものの主役だったらしい。
若手の出演も増えているので期待大です。
408 :
無名草子さん:2015/01/28(水) 10:47:18.89
葉室麟、佐伯泰英あたり読んだけどダメだな。
暇つぶしにしかならんわ。
これからも藤沢周平作品を記憶が薄れるのを待って順番に
読み返していくしかあるまいか。
409 :
無名草子さん:2015/01/28(水) 21:28:39.20
>>408 この二人や他の作家も、どうあがいても藤沢周平を越えられない。
410 :
無名草子さん:2015/01/29(木) 01:52:01.92
そういう時代というか、周平さんは恵まれてる。
上のお二人がどのような生い立ちかは知らないが、姉が文学少女だった上
、縁故の方や担任の先生なんかのほとんどが漢詩に明るかったり
学識のある方だったりする。どうも氏はそういった文学的な出会いなどに
恵まれてる気がする。
後、エッセイを読む限り、ご本人に屈折した一面とか狂気とかいうものとは、
向き合っているというか、そういった部分もあると感じるわけで、この辺が作品群
を産んでいるんだと思う。
佐伯さんも葉室さんもまじめに仕事に取り組んでいらっしゃるし、お二人
ともお若い。これからどう氏に近づくか、もしくは乗り越えるかは、お二人の
努力によるものだろう。にしても厚い壁だ。
411 :
無名草子さん:2015/01/29(木) 01:55:46.73
続き
今の人というか作家は、見る限りワリカシ勤勉で学者型の人が多そうから、こ
こで周平論をしっかり確立し、謂わば則る形で書いていけばどうにか近づける
かなと思う。
いま学者なんかが、どんどん論評を書いていけば、結構近づける作家は増える
のでは、と思うがどうだろう?
近づくとか真似をするなんてのはダメだと思うなあ。
自分のやり方で自分の道を行ってほしい。
劣化コピーを読むのはもううんざり。
藤沢ファンを公言して似たような小説を書く人たちは
藤沢作品を神格化しすぎて現実味をおろそかにしてるから
ご都合主義が見え隠れして、読んでて鼻白むことこのうえない。
特に葉室さんに顕著だけど、他の人も似たようなものだ。
413 :
無名草子さん:2015/01/29(木) 20:19:09.84
俺の文章が悪かった
神格化=よい論評はなく、よい論評というのはモチロンで、
例えば、(知らないが)葉室さんや、山田監督など
一方的な思い込みというか、個人的な批評のみで、その外見的なもの、
要は視覚的なものを模倣するならそれは真似であるし、もしそこに観察力が
なければ、子供のいうまねっこにすぎない。
それこそ本当の”真似”というのは、コナンドイルを真似たらしい相棒シリーズとか、
そういうものであって、観点や視点の疎かにした上での神格化ではない。
申し訳ない。
414 :
無名草子さん:2015/01/29(木) 20:30:21.43
すまん誤字
神格化=よい批評であることはモチロンだった。
後、それ真似、ではなく低級な真似だった。
>>408 その二人は時代小説界のラノベの星でしょ。比較する方がおかしいw
416 :
無名草子さん:2015/01/30(金) 03:18:57.79
佐伯さんの場合は、自分の書くものは一時の清涼剤であるって公言してる
わけだけど、葉室さんはどうにか文学ってなってんだろ。
ゆるしてやれ
いや、2005年前後に最初から文庫で読み切りシリーズ物を出す動きがあって、
そういうのって多作家じゃないと全然ダメなんだけど、佐伯は明らかに貢献したよ。
時代小説の復活って意味でね。
葉室は文学よりっつうか心情重視に書きたがって、肝心の時代考証とか全くできてない。
それぞれの立場考えず、「何だこりゃ」な現代語会話が多いのは痛い…
418 :
無名草子さん:2015/01/31(土) 05:18:56.60
いや、それは藤沢も山本も変わらないだろ、
山本自体も時代考証ができていないというバッシングもあったし、藤沢も
チョンマゲの侍が背広を着ているようだと、論評されたらしい。
時に山本は、小説は面白ければいい、と居直ってるわけだしな。
ただ、問題は現代という時代にあるな。時代がどうもすさみすぎてる
分、人間がどこかすれて見えるんだろうと思う。同じような作家のの乙川氏のようなベテランと比べ
葉室氏は最近デビューしてるし、そこも難しそうだ。
無論、葉室氏が藤沢の後継者かどうかを判断するに於いて、厳しい批評をさせて
貰えば葉室氏の実力不足という厳しい現実を見ねばなるまいし、本人のテーマである。
主もちの武士や、町人をテーマにしたものというのかな?
藤沢氏はこれを「人生派」と証しているわけだが、現在これを葉室麟氏、乙川
優三郎氏ら若手作家が受け継いで頑張っているという形になるわけだが、
双方の努力と読者層の成長などが意味を持ってくるだろうと思う。
山本は確かにそうだと思うけど、藤沢はそこまでじゃない。程度問題なんであってね。
池波だっていい加減とか言われたけど、ちゃんと調べてる部分があって、だから今でも
読まれる。山本は申し訳ないけど、時代が経ったらそれに耐えられる作品が少ない。
あと葉室が藤沢の後継者とか、まだ候補にも挙がってないと思うよ。
名文家って最初からかなり違うし。上田とかのが全然近いと思う。
420 :
無名草子さん:2015/01/31(土) 10:11:10.64
おいおい勘違いするな!
今は周平大ブームで、周五郎は忘れられがちだが、決して山周は
古臭いだけのものじゃないぞ!
それこそ、昔やった「柳橋慕情」とか、「どですかでん」とかで
、いかにも古臭くいわれがちだが、赤ひげもそうだが三浦主水正
なんかいかにも現代的ヒーローだし、ながい坂はフジの木曜十時
のドラマ枠で十分通用するぞ。
周平でも周五郎でも悪い点は、映像化する人間にいい加減な論評
で見る人が多いことにある。正直、たかを括ってみる人が多すぎる。
用心棒シリーズ同様、周五郎の主人公達はいまのドラマで取り上げられそ
うな、ドーベルマンのようなスタイルのよさを十分持ってるわけで
そこを勘違いしちゃいけない。
財前五郎やおんちはじめ程じゃないにしろ、彼らは重厚なテレビヒーロー
になるだろうと思う。本気のドラマ化期待!
421 :
無名草子さん:2015/01/31(土) 13:10:10.09
山本周五郎はさぶしか読んだことないが思ってた以上におもしろかった。
ただよく言われるようにあざとい感じもしたのもたしか。
泣き所笑いどころなどすべて計算されているようで
はいここ泣くところですよ。はいここ笑うところですよ。
と作者に操られているような。
要するに脚本家っぽいんだよね
423 :
無名草子さん:2015/01/31(土) 16:53:22.94
そこいくと藤沢周平の文章はけれんみがなく清々しい。
読んでると自分の汚れた心が浄化されていくようだ(笑)。
もうでてこないだろうねこんな作家は。
424 :
無名草子さん:2015/01/31(土) 18:52:48.69
そんなの文章の中で「隠し剣」は凄いよな。
あれだけ精緻なプロットで、あれだけすがすがしい文章を書くなんてと思う。
俺が見る限り、この作品は基本、誰かが損をすることも得をすることも、
すべて因果応報といったノリで、意外な落ちが多いとはいえ、その落ち方
すべてが機械のような美しい終わり方には驚く。
あの靄に包まれたような、文章のほうも氏の文章の清清しさの意外な利用
法と言っていい。世にも奇妙な物語チックなんだよなぁ。
この辺は、星新一とか、シェイクスピアとかのノリだよな。文章の無駄を
できる限り省き、あの狂気的で、血みどろな人間世界を描ききるのは凄い。
思えば氏は、石川啄木などの文学以外にも、推理小説や、チェホフの戯曲を
読んでいたというのがやはり解る。
どっかのアンポンタンが愛に生きるだとか、慎ましやかなんてデタラメ言い
出すから。
隠し剣シリーズは、所謂どんでん返し的な構成があるんだけど、
そこに至る過程がいい。芥川とかの短編に通じるものがある。
「橋」という1つの小道具をテーマにして、様々な人間模様を描いた「橋ものがたり」も
短編集として珠玉だと思う。書き過ぎず書き足らな過ぎず、行間を読ませるのが藤沢。
426 :
無名草子さん:2015/01/31(土) 21:50:00.27
隠し剣シリーズっていっても2巻17編あってそれぞれ単独の短編だから
十把ひとからげに語られても何ともいいいようがないよ。
どれもが1つの主題を持って、精緻なプロットで完成度が高いってことだろjk
428 :
無名草子さん:2015/01/31(土) 23:02:52.87
何が言いたいのかさっぱりな感じだな。他の作家だろうが、秘剣だ忍者だなんだのは、
物理的にあり得ないようなのは当然あるわけで、その時代の役職を把握してない、
権能を理解してないとか、そういうのとは違うと思うよ。
剣なんか特にだが、そもそも資料参考にして忠実なんてのは時代小説作家としてはダメ作家。
飛躍させてこそ活劇部分が活きるんだと思うよ。
論文とかちゃんちゃらおかしいレベル
431 :
無名草子さん:2015/02/01(日) 18:24:26.56
>>429 歴史小説であれば、忠実であればあるほどいいんだろうがな…
とすると、藤村の夜明け前なんか、すごいよなぁ。
馬籠の生活がとても綿密に調べてある。
「木曽路は〜」の出だしも格調高いが、文章の隅々まで時代考証が行き届いてるよな
(途中までしか読んどらんが)
時代劇というもの自体が、史劇とするのか、チャンバラや人情話的にするのか
この辺の緩急の分け方の難しさなのかなぁ。
ながい坂なんかは、時代劇でありながら、人間喜劇のような形のドラマが展開
されてる。よく使っていた橋を壊されるという文学的な要因から、地獄の道を行く兄
、ダメな弟、優柔不断な両親など、この構図は、ロシア文学的だよな。
関係ないけど、安岡章太郎のエッセイの中で、自分の先祖である土佐の旧家
のことを書くときに言葉をどうするかで困ったと書いている。
ちなににその旧家のことを書いた小説「流離譚」エッセイ型の小説になっていて
物語ではない。「流離」は、周平とは違った歴史世界が楽しめる。これもお勧め。
そうみると蝉時雨なんかは、すごくロシアとか海外の文学の匂う作品だよな。
文章の素晴らしさは勿論だけど、藤沢周平の魅力は、ストーリーテラーとして第一級であることだと思う。
短篇も、人生の一部を鮮やかに切り取ったと言うより、一つのドラマとして立派に完結している。
隠し剣シリーズを始め、「ただ一撃」など、映画「許されざる者」を彷彿とさせる面白さ。
氏自身、海外ミステリに精通していたせいだと思うが、作品に、サスペンスとしての魅力、ワクワク感が溢れている。
よりエンタメよりだけれど、隆慶一郎がもっと生きて、作品を書いてくれていたら、藤沢周平と並ぶ、時代小説の世界を
築いてくれていたように思う。
433 :
無名草子さん:2015/02/01(日) 19:09:46.02
隆慶一郎は藤沢氏より偉大な筈だ。
吉原御免状などで、被差別部落や苦界と言われる吉原という重たいテーマを扱
っていながらも、決して、ユーモアを娯楽的要素を捨てない。
後、公界と苦界をかけてるのね。
エンタメよりかどうかは別として、人間社会という見えない囲いから隔絶された
世界を書いている人だ。
それに忍者という、社会からある意味隔絶された世界をあれだけ、自由な
世界としてかけるのも偉大。カブキものというテーマにしろ、そこには社会から
隔絶されるべき存在という孤独なテーマがある。
東大の哲学科で学び、ヴァレリィの歴史論云々ということもあるし、それを
テーマにあれだけの世界を駆けるのだから、藤沢氏より偉大だと言える。
434 :
無名草子さん:2015/02/01(日) 19:15:09.14
続き
いってみれば、社会から疎外された人間の世界というモノをあれだけの熱気を
もって書けるということ、向き合いずらいテーマを敢えて扱うということも
この人の偉大さだと思う。
まさに神様みたいな人なんだろうな。
435 :
無名草子さん:2015/02/01(日) 19:20:16.99
スイマセン
仏文科でした!
○○より□□が偉大だとかいうゲーム脳は、芸術の分野では止めた方がいいよ
437 :
無名草子さん:2015/02/02(月) 08:32:32.11
社会からの阻害=自由と書いたのが悪かった。
”偉大”という単語自体に大小の価値があるわけではなく、この単語が較べる
べきテーマの違いということ表すということになるだけだろ?
この先は蛇足だと思うが、
隆慶一郎は被差別という、社会的に見てヘビーなテーマを扱っているという
こと、反して藤沢氏の描くテーマは、下級武士の哀切や、町人の悲哀、もしくは、
社会の中に生きる人間の中に潜む狂気や孤独といった感じだろうと思う。
で、この言い方は微妙だが、隆慶一郎の描く世界、それこそ吉原という客には天国、中で
生きる人間は地獄という隔絶され場所。また、そこで生きる人々が実は家康の
影武者の政治的な力によって無理矢理閉じ込められた、傀儡師という人々であった、も
しくはその人たちが部落民として人として扱われない身分にされたというテー
マ。それは勿論、隆氏の書くテーマ自体がこれら社会からの阻害、もしくは、
江戸時代という社会そのものから隔絶された世界を描くという重たいテーマ
がそこにあるわけだろ?
双方のテーマをくらべて。偉大さというか重さの違いがあるのはわかるはずだ。
確かに藤沢氏はすばらしい作家であるが、こういうところで見れば偉大かそう
でないかはでないかは、分かるだろ?
偉大である言う言葉が決して物の上下を決めるものではない。
何かが良くて上、何かが悪くて下、これは当たり前だ。
だが芸術というものの主題の差をただ”上下”で見て、その壁をいたずらに壊すという
ことは、その分、実は双方の価値すら壊す可能性もあるうると思うがな。
それは考えるべきだろう?
438 :
無名草子さん:2015/02/02(月) 08:35:14.45
スマン
<何かが重くて見えて上、何かがうわべに軽く見えて下、それを違う。
だった。
お前がそう思うのはお前の勝手だが、それが絶対なんかでないことも理解しような
被差別だけが社会的に重いテーマじゃないし。
上で挙がってた隠し剣シリーズだって、理不尽な官僚支配に対するアンチテーゼとする見方だってできる。
決して単なる活劇、時代物のホームドラマに終わってないからこそ、今でも支持されてるんだと思う。
俺は藤沢周平も山本周五郎も文庫になってる範囲はほぼ全部読んだ
藤沢周平は外れが非常に少ない作家だけど
山本周五郎は多作だし、初期と晩年では全然違う
初期は非常に通俗な感じがするものもあるが(それはそれで面白いんだが)
ながい坂のような晩年の最高作は、藤沢周平にとっても高い壁だったと思うよ
>>420 ながい坂は大昔にTV化されてるね
吉右衛門のTV初主演だと思う
つうは星由里子、滝澤兵部は津川雅彦だったのをかすかに覚えてる
山本周五郎も藤沢周平も女の官能性を書くのがうまいね
周五郎の樅の木もながい坂も女の生理的なエロスが匂うようだし、
周平は海鳴りみたいな不倫物もいいし(おかみがエロい)
「唆す」「遠ざかる声」のような艶笑譚もうまい
どちらもエロを書いても品がいい
読みたくなった
風の果ては何度読んでも面白い
そうかな、風の果ては何か初期の藤沢の暗さを思わせる。
どうして、そんな終わり方にしかできないのかなと、何度読んでも思う。
446 :
無名草子さん:2015/02/10(火) 10:47:39.27
初期の藤沢作品の暗さとは全然違うと思うけどなあ。
あれを重厚といわずに暗い小説といってしまえば
ハゲタカとか経済小説なんかもみんな暗い小説になってしまう。
暗くてもいいんだよね、救いがあれば
448 :
無名草子さん:2015/02/11(水) 05:08:35.48
にしても、そう見るとたそがれ清兵衛も案外暗いよな。
日和見与次郎やだんまり弥助など、思っていた女性が無残に殺されたことの
復讐譚であるという”形”で考えると胸に沈むものがあるよな。
日和見のラストの「見事な腕前でしたよ、今日のことは誰にも内緒ですよ」
のくだりは、いとこが死んでいると考えると、なかなか気持ちが沈む。
それに新潮版のあとがきによると「日和見」の内容は、暗殺の年輪と
同様、父と同様の悲劇に向かおうとする息子の内容という面で
類似しているとある。
暗殺の年輪は、父と子、双方が権力者によって暗殺者として利用され、
結果親子ともども悲劇に向かって行く。
その中で、後に書く「与次郎」は、今度は、父のように派閥闘争に巻き込
まれないという道を選ぶことで、父とは違う道を選んだ。
こう見ると、悲劇ばかり書いていた氏の心境が、エッセイに書くような”日常”
を生きるということや創作という物によって、変わっていくという、そ
れこそ爽やかな物を感じるな。
449 :
無名草子さん:2015/02/11(水) 05:12:35.98
スマン、清兵衛ではなく、その中の作品だった。
風の果てのラストはあれしかないと思うけどな。若造小僧みたいに殴り合って「やるじゃないか。あっはっは」とは行かないし。
藤沢作品とただ暗い小説の違いは、哀切感を内胞してる所だと思う。
それは、初期作品も後期のものも違っていないんじゃなかろうか。
452 :
無名草子さん:2015/02/22(日) 16:29:17.85
初期の作品が暗いといっても実際は
暗殺の年輪と又蔵の火の2冊ぐらいなんだよね
ぜんたい通して暗いのは。
この直後に直木賞とって吹っ切れたんだと思う。
ぜんたいが暗い短編集に、闇の梯子も付け加えたいな。
ちなみに、暗殺の年輪も又蔵の火も、刊行されたのは受賞後だよ
受賞前に執筆したという意味ならそのとおりだけど。
獄医立花登手控えあたりからじゃないかな。トーンが少し変わってきたのは。
個人的に一番やりきれなかったのは短編の「人殺し」
455 :
無名草子さん:2015/02/23(月) 21:35:08.19
それはいくらなんでもないでしょ。
獄医立花登手控えは用心棒日月抄連載始まった
3年も後だよ。
まあ、用心棒日月抄も暗いっちゃ暗いんだけどね。
絶対結ばれないヒロインとか、師匠にも信じてた友にも裏切られるとか…
用心棒ってそんなだったっけ?
なんかと混じってない?
458 :
無名草子さん:2015/02/25(水) 16:44:52.97
重箱じゃないが
結ばれないはサチで、友人に裏切られるのは牧与之助だろうか。
師匠云々はちょっと分からん
<<456の意見もそうだけど、刺客との戦いも結構暗い感じだよな
たとえば、次、三男の部屋住みというか冷や飯食いが刺客として
襲ってきたり又八郎が妻子は?と聞くと、敵がいらぬ斟酌と答える
あたりなかなかエグイ感じだよな。
やっぱり血で血を洗う闘争という感じがする。
460 :
無名草子さん:2015/02/25(水) 21:15:07.62
>>458 そういう個々のエピソードじゃなくて
初期の暗さってのは作品の冒頭からすでに
悲劇的な終盤を予感させるような
全体的に重々しい雰囲気が漂ってる。
後の隠し剣シリーズの短編なんかでもちょこちょこあるけどね。
隠し剣シリーズは「やり切れなさ」的な暗さは少ないでしょ。
主命であってもそれを果たすってのばかりだから、ドロドロの裏切りとかは無い。
むしろ、上手く行ってない夫婦の嫁が旦那の代わりに立会いやる話とか、
明るい話も多かった気がする。
序盤から重々しいってのは、藤沢も初期の頃は簡単に予想されちゃうほど
筆力が無かったってだけだろ。失礼な言い方だが。
462 :
無名草子さん:
暗いとか、重いのは当時の自分の暗い気持ちを小説に込めたかったという思いからじゃないのか?
自分の小説を自分の暗い気持ちを詰め込んだ毒袋って言ってるわけだし。
後、隠し剣は、宿命剣や必死剣、偏屈剣なんかはワリにどろどろしてるし、
どう読んでも主命で討ち果たす話ばかりじゃないように見えるが…。