実際のところ、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などというコテコテのオタク向け作品に
惹かれる人間は、そいつはまず間違いなくオタクであろう。少なくとも、趣味に占める
オタクコンテンツの割合が、それなりに高い人間であると推測される。
だが世の中には「僕はオタクじゃないけどオタク趣味への理解はあるつもりです(キリッ」
という屈折した自意識を持った、オタクへの侮蔑を内面化しながらオタクをやっている人達という
のも案外残っていたりもする。
そこまでひどくないにしても、人目を気にしながらライトノベルの棚をうろつくような消費者なら、
まだまだ見かける。首都圏でオタクのカジュアル化が進行しているというけれども、
その一方で、“ぼくは一般人”という古めかしい自意識を引きずったオタクや、オタク趣味や
オタクな自分自身に対して一歩引いた目線を身につけたオタクというのも、まだまだ残っている。
こうした人達にとって、京介というキャラクターはいかにも感情移入しやすい。
「僕はオタクじゃないけど、オタク趣味への理解はあるつもり」という安全な立ち位置と、
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」というやはり安全な立ち位置から桐乃を愛でるという、
絶好のポジションを兼ね備えている。オタクな自分自身にも、可愛い妹にも、
一歩引かずにはいられないけれども、本当はどっちも大好きでしようがない――そういうタイプ
の人にとって、京介はド直球なんじゃないかな、と思う。
ttp://d.hatena.ne.jp/p_shirokuma/20101024/p1 宇野さんのことじゃないですかーーー