644 :
無名草子さん:
「ナナハン」という言葉はホンダの社史によると、CB750FOURの開発中から符号代わりとして用いられていたと記されている。そのCB750FOURは1969年に発売されてヒットし、
追ってスズキGT750(1971年)、カワサキ750SS(1971年)、ヤマハTX750(1972年)、カワサキ750RS(1973年)等も発売され、
人気を得た。1976年には国内4メーカーの空冷4ストロークナナハンが出揃った(ホンダCB750FOUR、ヤマハGX750、スズキGS750、カワサキZ750)。
折からのオートバイブームを受けナナハンは年々高性能化し、1985年頃には各社技術の粋をこらした高性能ナナハンが鎬を削った。
かつては歴史的な事情で国内最大排気量のオートバイであった。また、1975年以降、大型二輪免許制度以前は、400cc超の車両に乗るには試験場で自動二輪中型限定免許(「中免」)の限定解除を行う必要があり、非常に合格しにくいことで有名であった。
この2つの条件が重なり、当時ナナハンに乗るライダーは羨望と尊敬の目で見られていた。なお、1996年以降は、400cc超の車両を運転する大型二輪免許は、自動車教習所で取得可能となった。
しかし、「限定解除」時代から既に中免で乗れる400ccモデルに国内販売の主力が移っており、またナナハンの絶頂期である1980年代半ばからは排気量の制限を受けない逆輸入車にじわじわ押され、
さらに750cc「自主規制」がなくなった1990年代以降はリッターマシン(排気量1000cc程度以上の大型車)に押され、
2008年9月現在で国内メーカーが日本で正規販売している車両はホンダのシャドウ750およびVT750Sのみと非常に影の薄いクラスになっている。しかし扱いやすさと動力性能がよくバランスしていると評価する声もあり、
実際に近年のナナハン国内モデルはいずれも空冷直4のオーソドックスなネイキッドまたはV2のクルーザーで、スペックを追うタイプのモデルではない。
一方欧米では、1983年に1000ccから750ccに変更されたワールド・スーパー・バイク・スプリントでのレギュレーションが2004年に再度変更され1000ccとなった後もスズキ・GSX-R750が販売され、カワサキ・Z750のような新型車も投入されるなど一定の人気がある。
なお自動車教習所の教習および運転免許試験場の試験に使用される大型自動二輪車の教習車にはナナハンが使われており、現在でもCB750・FZX750・ZEPHYR750といった車種が使用されている。