村木さん捜査「物証を軽視」…最高検次長が謝罪
郵便不正を巡る証拠品のフロッピーディスク(FD)改ざん事件で、元特捜部主任検事・前田恒彦容疑者(43)(懲戒免職)の起訴を受け、最高検の伊藤鉄男・次長検事は11日の記者会見で、事件について改めて謝罪した。
通常は初公判前には明らかにしない犯行動機なども説明し、郵便不正事件の捜査について、「供述に寄りかかりすぎていた」と反省を述べた。
記者会見は午後4時から、東京・霞が関の検察合同庁舎20階の最高検大会議室で始まった。伊藤次長検事と最高検の池上政幸刑事部長、八木宏幸検事の3人が、集まった約60人の報道陣の質問に応じた。
会見の冒頭、伊藤次長検事は「検察庁として、国民の皆様に改めて深くおわびします」と述べ、深々と頭を下げた。続けて、
「従来から事件の詳細な説明は控えているが、不祥事で検察に厳しい意見が寄せられていることを踏まえ、詳細に説明したい」と異例の前置きをして会見に臨んだ。
伊藤次長検事らは、前田容疑者が、厚生労働省元局長・村木厚子さん(54)(無罪確定)の逮捕前に、事件の構図と物証の食い違いを把握していた事実は認めた。
ただ、「ほかの証拠で有罪立証が可能と考えていた」と述べ、改ざん当時、前田容疑者に村木さんが無罪だという認識まではなかったことを強調した。
村木さんの捜査・公判については、「物的証拠の評価を極めて軽視していた。物証を中心に捜査を進めていけばこんなことにはならなかったと認めざるを得ない」と述べた。
最高検は捜査と並行して、改ざん事件や村木さんの捜査・公判の検証作業を進めており、「一連の事件を徹底的に検証し、問題点を洗い出すことで改善策ができると思う」として、年明け以降、具体的な対策を講じていく意向を示した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101011-OYT1T00587.htm