【チビ厨】和田秀樹22暗記目【かまってちゃん】

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344無名草子さん
著者は自らが運営するウェブサイトに「こんなくだらないクレームが来るのです」と嘆き、時に、そのクレームに屈し、記事を取り下げることもあったと言う。「我々は大マスコミとは違ってそのようなクレームに対応する余力がないからです」と。

それを読んでから、このタイトル「ウェブはバカと暇人のもの」をあらためて見てみると、このフレーズはまた違った意味で読めてくる。著者は決して辛辣な「ウェブ批評」を展開しているのではない。
単に、「ウェブなんてその程度の物」と見下している、甘えているだけなのだ。「バカと暇人しか見ない」物だから、そこそこに作っておけばいい。しつこいクレームがくれば、記事を消してしまえばいい、と。

でも、その程度の覚悟で作られた読み物など、そりゃ、見るに値しない、クレームもつけられてしかるべきものではないのか?本書には、該当するウェブサイトの記事は具体的にはひとつも引用されていない。
だから、「こんなくだらないクレームが来るんですよ…」という著者の嘆きも、ただ一方的に聞かされるだけとなる。「記事自体がくだらないんだからしょうがないんじゃない?」という反論ができないようになっている。

「祭り」こそがウェブの華なら、本書のタイトルのような「挑発的な物言い」は、まさにウェブ世界に即した物言いである。
火に油が注がれ、場はいっそう盛り上がるだろう。だが、このような物言いから逃れられない限り、本書は所詮、WEB世界を客観的に観察した代物とはなりえないだろう。

「どうでもいいプライベートが曝け出されるメディアだから、ウェブは気持ち悪い」という理屈は感覚的に充分わかる。そうやって斬って捨てて溜飲を下げようという気持ちもわかる。
でも、「他にそういうメディアがないだけ」ということも言えないか?良くも悪くも、そこにこそウェブの意義はあるのだ。
かと言って、著者の言うように、「ウェブの使い手は必ずしも情報感度の高い人たちではない」という論、ウェブに過剰な期待をするなという論にも頷けるが。

要するに、ウェブは無条件に忌み嫌われるものでもなければ、無条件に崇め奉られるものでもない、ってこと。
でも、そういう「中庸」な意見に落ち着けずに、わかりやすい極論を振りかざさずにいられないところが、結局本書が「ウェブ世界の物言い」を脱け出せないことの表れなんだよね…