【大相撲】「功」「罪」とも、大きな影響残した朝青龍
一時代を築いた横綱が正式に土俵に別れを告げた。朝青龍明徳。優勝25回は歴代3位。7場所連続優勝は、6場所の大鵬らを抑えて歴代最多だ。
何より、貴乃花が引退した平成15年初場所で優勝して横綱に昇進し、武蔵丸の引退により16年初〜19年夏の実に21場所を一人横綱として勤め上げた。新たな時代を一人で引っ張り、盛り上げた貢献度は計り知れない。
その言葉と笑顔には人を引きつける魅力があった。元朝青龍を慕う同郷の日馬富士は、この日の土俵入りで太刀持ちを務め「美しかった。華があるよね。もっと(現役で)見ていたかった」と残念がった。多くのファンも同じ気持ちだろう。
一方、粗暴な振る舞いや常識はずれの行動で角界の秩序を崩したのも事実だ。“サッカー騒動”や引退の引き金となった暴行騒ぎだけではない。
勝負が付いた後の相手にだめ押しをしたり、白鵬と殴り合い一歩手前のにらみ合いをしたりと、あってはいけない醜態を土俵上でさらした。地位が上がってからは、ろくにけいこもしなくなった。
影響は他の力士にも広がっている。モンゴル出身力士を弟子に持つ、ある親方は「ウチのはけいこしないから」と話し、白鵬の連勝が止まらない原因も「みんなけいこしないからだ」となげく。
「抑制」「謙虚」「真摯(しんし)」といった日本人が好む価値観ではなく、「勝てば官軍」との考えに身を委ねて角界を席巻した元朝青龍。「功」「罪」ともに大きな影響を残して駆け抜けた。
http://sankei.jp.msn.com/sports/martialarts/101003/mrt1010032004007-n1.htm