北方水滸伝・楊令伝を語ろう第四十六章

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【*本文】
「おい、カク瑾。熟女真の女の件は、上手く隠せたんだろうな」
 楊令は、手にしていた鞭で、カク瑾の額を殴った。また、酔っている。カク瑾は、逃げ出したい
気分になった。いつまで、この糞バカタレに仕えなければならないのだろう。楊令伝のような
糞小説など、早く連載打ち切りになればいい、とカク瑾は思った。
 気の小さい楊令は、攫って手篭めにした熟女真の女のことで、読者の不興をかっていることが
気になって仕方ないのだ。
「完顔成には、一生かかっても使い切れないほどの金銀を握らせました。あの女は、楊令殿を
慕っているのだと、次の巻で偽証するはずです」
「北方も、ちゃんと口裏を合わせるのだろうな」
「大丈夫です」
7962/2:2010/04/08(木) 18:25:41
 それでも不安なのか、楊令は、いつもの貧乏ゆすりを始めた。
 気の小さい男だ。カク瑾は、楊令をあざ笑いたい気分になった。
「もとはといえばカク瑾、おまえが悪い。おまえは、俺が女を囲っている生女真の村を読者に紹介し、
女を囲っているのは楊令殿だけで、自分はそんなことはしていないと喋った」
 しかし、それが真実だった。楊令の見境のない下半身には、カク瑾はほとほと手を焼いていた。
楊令伝の他の登場人物を買収して偽証をさせることが多くなった。そのため、交易で蓄えた金銀が、
もうすぐ底をつく。蒋敬は、いつも肩を落として、嘆いていた。
「楊令殿。そろそろ税率を五割に引き上げないと、梁山泊は…」
「わかっておるわ」
 楊令の貧乏ゆすりは、いちだんと激しくなった。