ひとことでいうと、楊令伝は面白くない物語なんだな。だから、読者は、日常生活における
自分のままでいる。それで、殺戮・略奪をした楊令は、死ねばいいのに、と思ってしまう。
どこが面白くないかを探ってゆくと、楊令が出すぎたオリキャラだからということになるのかなぁ。
北宋末〜南宋初の歴史の中で、楊令の異物感は目障りなんだろう。
オリキャラが活躍する時代小説で、他に歴史上の高名な人物が登場する場合、オリキャラの
身分は低く設定される。もちろん、彼は剣の達人である等有能な人間ではあるのだが、
歴史上の高名な人物を凌ぐということはない。凌いでしまうと、「じゃあ、なんでそのオリキャラ
の名が歴史に残らなかったの?」という不自然さがあって、物語に対する興味を失うからだ。