北方水滸伝・楊令伝を語ろう第四十六章

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722無名草子さん
さて、いましがた、私は公園にいたのである。マロニエの根は、ちょうど私の腰掛けていたベンチの
真下の大地に、つき突き刺さっていた。
 私は公園で、楊令伝の単行本四冊に火を付けて燃やした。これは楊令伝の皆殺しだ。楊令伝の
単行本を地中深く埋めても、それは皆殺しではなく、皆殺しをしたつもりになっているにすぎない。
 楊令伝は、勢いよく燃えていた。
 しかし、私は、肩の荷が下りたとも、満足しているとも言うことはできない。反対に、私は圧倒されて
いる。燃え尽きて灰になった楊令伝が、私を圧倒したのだ。
 あの<嘔気>がやってきた。<嘔気>は、楊令伝を灰にしても、私から離れることはなかった。