北方水滸伝・楊令伝を語ろう第四十六章

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717無名草子さん
この好青年は、国事に憑かれていた。この種の青年にありがちな思考法として、天下国家の
大事からすれば、たかが善良な民が皆殺しによって命を落とそうと落とすまいと知ったことでは
なかった。「岳家軍の領分の民の千人に一人を殺す。その程度のことなのですよ?」
皆殺しを批判された彼は、そのような反応しか示せなかった。べつに人が悪いのではなく、
考え方が明快すぎるだけのことである。その証拠に、岳飛と孫範と徐史は、他愛なくニコニコと
笑い、おおげさにいえば、天使のように澄んだ瞳をほそめていた。
人としての情緒感覚が欠けているだけなのだろう。