北方水滸伝・楊令伝を語ろう第四十六章

このエントリーをはてなブックマークに追加
696無名草子さん
水滸伝第1巻で、晁蓋が50名の部下を引き連れて、官軍の輜重を襲ったシーン。第3巻で
楊志の二竜山が300名ぐらいで、同じく官軍を襲ったシーン。まあ、それとまったく同じ状況
は作れないと思うけど、急遽援軍に駆けつける部隊の移動シーンを利用すれば、1000人対
5000人の闘いの舞台は作れたはずだよね。そういう小部隊どうしの闘いであれば、別に
だだっ広い原野である必要はない。付近の農家を遮蔽物にして弓矢の応酬をする、敵が
渡る橋梁に細工をして敵兵を河に落とす、森林に伏兵を置く、様々な工夫ができたと思う。
また、分散した部隊が細かな動きを示すことで、戦の場面がいっそう面白くなる。
ドウカン・ファイトでも、部隊の細かな動きはあったのだけど、そういう部分は箇条書き的に
書かれるのみで、複雑になったという印象を与えただけ。それら移動のシーンこそ描写すべき
だった。その過程で、隊長と副官に会話させ、それまでの戦の顛末を語らせる。そんなときに、
敵の斥候部隊と遭遇して小競り合い。全軍でのぶつかり合いよりも、戦闘シーンも面白くなるし、
個々のキャラの見せ場も作れたのではないかと思う。
なにか「30万の兵が一堂に会して闘うことのみが、戦のスケール感をかもしだす」という固定
観念に囚われて、広い原野に敵味方の兵を集合させたみたいだけど、必ずしも思い通りの
効果は上げていない。全軍のぶつかり合いを描くと、かえって少人数に見えてしまう。将校以下の
兵の姿が見えないからだ。