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水滸伝では、朱貴や皇甫端や解珍のように、初登場時から年配のキャラがいて、
年配であることが、それぞれに興味深いドラマの要素になっていた。
朱貴は、若い頃は世直しの情熱に燃えていたが、歳をとり、惰性で王倫との腐れ縁が続いている
だけの人生に倦怠感を感じていた。若い嫁をもらい、もうリタイアしようかと思っている時に、宋江らの
策略に乗せられ、梁山泊奪取の片棒を担ぐことになる。朱貴の演じた中年のペーソスは、北方水滸伝
の中でも強く印象に残るエピソードだった。
朱貴を利用して梁山泊を奪取するという宋江・呉用らの戦略は、卓越していた。
皇甫端はアル中で廃人になっていた。彼を立ち直らせた段景住と孟康の話は、読み応えが合った。
孟康は皇甫端の妻とその愛人を殺したが、こういう物語を進める上で重要な意味を持つ殺人は、
不愉快ではない。原典の秦明の家族殺しのような後味の悪さ、というか不可解さもない。