作品内の矛盾を指摘されることが多いのは、登場人物の言動の細かなところまで書きすぎるから
ではないかと思っています。細かな発言まですべて書いてしまうと、矛盾が起きやすい。
そのせいで物語の進行も遅くなる。進行が遅いから、余計に以前書いた事を
忘れて矛盾点が増えるという悪循環に陥っていると思います。
また矛盾ではないが不必要な細かい叙述が多い。韓伯竜と劉彦宗の師弟関係など書くべきでは
なかった。韓伯竜が情報提供者となる理由として書かれたのかもしれないけど、文章になって残ると、
読者としては韓伯竜の離反に想像が及ばざるをえない。結果的に、それは起きない。起きないけど、
韓伯竜と劉彦宗の関係に決着をつけなければならない。そこで、楊令が韓伯竜の陣に赴き話をする。
さして面白くもない話になっている。ドラマでも何でもない。
実際に家臣の謀叛を起きるのと、謀叛の疑いをかけられるけど謀叛は起きず次回以降
何もなかったように進行するのとでは、意味が決定的に違う。前者なら物語が面白くなる。後者なら、
邪魔なだけ。何も起きないのなら、はじめから何も言うなよ、という気分になる。そして、楊令伝は、
後者のような面白くない貧乏ゆすりだけが次から次へと出てくる面白くない小説になっている。