北方水滸伝・楊令伝を語ろう第四十四章

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617無名草子さん
>>479
世襲の帝政以外の政体を楊令が編み出したことが自慢で仕方ないみたいなんだけど、理解に苦しむ。
12世紀に実在した人物が、楊令と同じことを考えて実行したのであれば、すごいことを考えた人間が
いたものだと、読者も感心するんだろうな。
でも、21世紀の小説で、架空の人物にすぎない楊令がそれを考えたからって、どうってことはない。
あとだしジャンケンと同じ。それを楊令の天才を示すエピソードにしてしまうのは、滑稽だ。
やはり12世紀であれば血統による正統性と、迷信を利用した民の支配を統治の中心に据えるべきだ。
水戸黄門の印籠の力が絶大であったかどうかは知らないが、血統による正統性は、近代に至るまで
生きている。それを時代小説でやるぶんには違和感がないどころか、むしろ時代小説の世界にスムーズ
に入っていけるアイテムになっている。非世襲の楊令の考えた政体の方が違和感が大きい。
反対に、「浅見光彦〜最終章〜」のように現代の警察庁刑事局長の権威を印籠替りに用いるのは、
気持ちが悪い。生々しすぎる。現代ドラマでは、これはやるべきではないだろう。あの場面が面白いと
感じる視聴者もいるようだが、俺は、あれを毎週やることに、バカらしさしか感じない。
それはいい。
楊令伝を面白いと思っている読者も、ああいうドラマと比較して面白いと思っているのなら、まともだな。
俺たちも少年時代、テレビ・ドラマと比べると、小説はずっと面白いと思って読んでいた。
しかし、比較の対象であるテレビ・ドラマの質が悪すぎる。それで、楊令伝程度の小説でも面白いと思うのかな?
楊令伝は、北方水滸伝の続編だ。前作以外には比較の対象がないという気の毒な小説だ。一層の健闘を祈る。