魚屋がなにを売るかは、見ているしかなかった。骨や鱗を道路脇に捨てようものならば、
受けて立つ。それだけのことだ。
魚屋は、鰹の叩きを売るつもりなのだろうか。リヤカーの脇で七輪に練炭の火を熾し始めた。
「青葱を輪切りにしています。間違いありません、鰹の叩きです、楊令殿」
即断は禁物だった。戦と魚屋には、なにが起きるかわからない。魚屋の動きを、最後まで
見守る必要がある、と楊令は思った。
「張平、青葱の輪切りは、どうやら魚屋が、自分の昼飯にする味噌汁の中に入れるようだ」
勝ち誇ったように、楊令が言った。
「すごい。楊令殿、すごい」