「週刊金曜日」2008年11月14日号。18〜19頁。
佐藤優「米国はオバマ氏勝利でファッショ国家になるか」
この論説の要旨は、以下の通り。
(1)オバマの言説は、1920年代のイタリア、ムッソリーニの初期ファシズムと親和的だ。
(2)オバマ大統領の下で、米国は巨大なファッショ国家に変貌する危険性あり。
佐藤優氏が、W・G・タープレイの「オバマ―ポストモダンクーデター」(二〇〇八年六月)
「オバマ―非公認伝記」(二〇〇八年九月)[いずれも未邦訳]を読んだことがあるのか
それともないのか。それは分からないが、前記の佐藤優氏の論旨は、W・G・タープレイ
の著作に一部似ている。
タープレイの英文原著の表紙には、ムッソリーニの有名な右手を高く掲げた写真と
オバマの左手を上げた写真、この二つの写真が並列している。つまり、両者の類似性
を言うのであろう。タープレイは前出の著書の中で、一九二二年十月のムッソリーニ
ファシズム運動のローマ進軍と、オバマのこれからの動きの類似性を論じている。
佐藤氏がタープレイの最近の著作を全く知らず、タープレイとは独立して前出の
論旨を考え出したこともあり得ないことでもない。これについては私は分からない。
佐藤氏は、しかし、タープレイの前出の二冊の著作の、もっとも重要な中枢的論点
としての、ブレジンスキーと三極委員会が、オバマのマスター(ご主人さま)である、
と言うことについて、今後どうするのか。それには触れないままにするのか。
「オバマ―非公認伝記」の第十一章(最終章)「社会ファシストとしてのオバマ」
ここには、ムッソリーニとオバマの関係について、述べられてある。
オバマが、ファシストであることに、W・G・タープレイは、二〇〇八年一月初めて
気付き、米国などで公然と警告し始めた。これは、タープレイの偉大な業績である。
彼の最初の著作「オバマ―ポストモダンクーデター」は、二〇〇八年一月から
三月まで、この発見の過程を、生々しく描き出している。従って、英語の読める人は、
タープレイのこの英語の原文を読むべきであろう。