【イ】天国からのラブレター12【竜】

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738無名草子さん
本村は、大阪で生まれてまもなく北九州の門司に引っ越した。
大きな転機が訪れたのは地元の中学3年の夏。
テニス部で活躍していた本村は、市内大会で上位にランクされるほどの腕前だった。
しかし、ある日、体がだるく、足に痛みを覚えた。目もかすむ。
監督が「気合を入れろ」と頭にゲンコツを落とすと、頭部がへこんだまま戻らない。
病院に駆け込むと、ネフローゼ症候群と診断された。現代の難病の一つと
される原因不明の腎臓疾患だ。頭部には特有の症状である浮腫ができていたのだ。

 翌日、入院。夏の大会に出られないショックどころか、医者には「病気と結婚
するつもりで生活するほかない」と告げられた。テニス推薦で高校進学を狙っていたが
諦め、工業専門学校(高専)を受験することにした。中3時には夏に3カ月、
さらに年を跨いで入院、2月に病院内で高専の受験を受けた。