司馬遼太郎をあれこれ語る 19巻目

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58無名草子さん
長州人の山の神

吉田松陰の友人白井小助の物語。
初期の司馬の短篇は、こういう皮肉たっぷりのユーモラスな作品が多かった。
これは、その系譜に属する。台詞が多く、小説っぽい。

「おとも。わしの尻を拭け」
彼女はさすがに嗔りを発し、動かなかった。山県はおとものそばに寄り、
「わしが頼む。飯山先生の命じゃ」
と、ささやいた。
おともはやむなく厠の戸を排し、中にしゃがんでいる小助の尻に紙をさしだして汚物をぬぐった。