司馬遼太郎をあれこれ語る 19巻目

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119無名草子さん
箱根の坂 伊勢殿〜新九郎

「伊勢殿」 余談という形をとらずに、願阿弥が小次郎に説明する形で、しっかり余談をしている。
「新九郎」 鞍作りの職人として伊勢新九郎が登場したのには、初読の際、驚いた記憶があるな。
司馬作品の主人公は、能力値は高く、頼りがいがあり、親しみやすくて好感が持て、女性にも
モテる男性が多いが、新九郎も例外ではない。変人度は低く、バランスのとれたヒーローだな。
120無名草子さん:2007/08/30(木) 12:40:21
箱根の坂を読むと、戦国大名の領国体制が、それ以前の室町体制の混沌に比べて、いかに
すぐれているかが分かる(読まなくても、高校日本史だけでも分かると思うがw)。
政治不在の象徴として、足利義政による花ノ御所の大改修の話が出てくる。同時期、京は
大飢饉にみまわれ、大量の餓死者を出していた。
若き日の伊勢新九郎は、京にいて、その様を実見している。その新九郎が、領国体制建設の
嚆矢となる。なかなかよく出来た構成。
121無名草子さん:2007/08/30(木) 15:18:18
箱根の坂 千萱

千萱が奉公にあがった今出川足利義視邸に、おがんというお局がいた。
醜女なんだが、おがんの両親の策略で、男が通ってきた。
それを題材にした今様が載っている。

 冠者は 妻儲けに来んけるは
 かまへて 二夜は寝にけるは
 三夜といふ夜の 夜半ばかりの暁に
 袴取りして 逃げるにけるは

この今様、大河ドラマ「太平記」の中で、楠木正成役の武田鉄矢が謡っていたな。