司馬遼太郎をあれこれ語る 19巻目

このエントリーをはてなブックマークに追加
111無名草子さん
箱根の坂 若厄介〜京

発売当時、久しぶりに、司馬の小説を読むような気がした。解説(余談)部分が意識的に
少なくされ、初期の「梟の城」のタッチが戻ってきたような感じだった。ノンフィクション、
あるいは小説でも解説が長い作品が続いていたから、嬉しかった。
とくに登場人物に初期伝奇小説時代の香りがする。千萱とか願阿弥は、初期作品には
必ず登場していた司馬お得意のキャラクターである。のちに早雲の家臣となる大道寺
太郎、荒木兵庫、山中小次郎も、個性豊かに描き分けられている。
歌が多く載せられているのも、この作品の特徴。応仁の乱から書き始められているから、
台詞の言葉遣いも、戦国時代のものとは、若干異なる。このあたりの配慮も秀逸。