裏モノ日記 2004年4月22日
今日は国際政治評論家桃井真氏死去。桃井かおりの父親。軍事アナリストとして有能な人だったが、ただ、
この人、“海底戦車”説というトンデモ説に固執して、著書でいろいろ語っていた。二十年くらい前、この人の
著書(手元にないが、確かカッパの『戦略なき国家は挫折する』だったと思う。後にサラ・ブックスからそのもの
ズバリ『国籍不明・海底戦車の謎』という本も出した)で、北朝鮮は日本海の底を、水陸両用の海底戦車で
蹂躙しており、それが時折新潟や青森の海岸から上がってきては、歩いている人間を拉致して行く。
津軽海峡の海中写真には、海底の砂の上に、巨大なキャタピラの後が歴々として残っている……とか
書かれているのを読んで、ガッチャマンの世界かこれは、とオドロキ、“そんなものが残っていれば北朝鮮に
いくらでも証拠として突きつけられるだろうが”と心の中でツッコミを入れたものである。で、そのことを、
その後『パンチザウルス』のエッセイコミックに書いたのであるが、それがいつの間にか、“唐沢俊一は昔、
北朝鮮による拉致をデマであると書き、後に拉致が確定したとたんに、その作品を絶版にして知らぬ顔を
している”というあらぬ噂になって広まり、苦笑したものである。デマであると言ったのは海底戦車について、
であり、絶版どころか、ちゃんと単行本『脳天気教養図鑑』にも入れ、文庫にして、今でも堂々と書店に並んで
いるのである。そういう意味では、私ともご縁のあった人 であった。
本当にこの通りなのか、
文庫化にあたって描き直したのか、
それとも唐沢が「拉致はデマ」と書いたのは全然別の本であり、それをごまかすために
このような書き方をしているのか……?