【文芸社】協力出版・共同出版を語る 20【新風舎】

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280無名草子さん
自費出版 団塊が主役

自費出版をしてみようという団塊世代の人たちが増えている。
定年退職など迎えるに際し、半生に句読点を打とうという希求や表現熱が、
胸にわき起こっているらしい。業界もあの手この手の新サービスで「作家」の
心をつかもうとしているが、両者の思惑違いによるトラブルも増えており、注意が
必要だ(石川智也)。

(写真掲載)
数百冊を集めた販売コーナー。横で自費出版の
相談に応じている=東京・銀座で

潜在市場 630億円

「私の歩んだ道」「転職失敗記」・・・。自費出版本ばかりを集めた東京・銀座
の「個人書店」の棚に、こんな背表紙が並ぶ。委託販売と出版サービスを行う
同店では「団塊の世代からの相談がここ数ヶ月2-3割増し」という。
281無名草子さん:2007/04/30(月) 17:10:59
(続き)

(半生や小説、気軽に)

自費出版市場は急拡大している。出版科学研究所の新刊点数統計では
自費出版専門社が上位に名を連ね、財団法人社会経済生産性本部の
「レジャー白書」は、潜在市場規模を630億円と見込む。
 蔵書3万冊の「自費出版ライブラリー」(東京)が一昨年まとめた著者
データでは、還暦が最も多く、人口の多い団塊世代がブームの主役に
なることを裏付けている。
 同ライブラリーの伊藤晋館長(67)は、この世代の著作は「強烈な体験
や使命感がないからか、肩の力が抜けた作品が多い」という。上の世代
で目立ったのは戦争体験の出版だった。

(トラブルに要注意)

 高石左京のペンネームで「個人出版(自費出版)実践マニュアル」を刊行
し、出版相談にも応じている松田京一郎さん(60)も、「気軽に本を出した
いという人が増えた」と感じる。個人史のほか、多いのは仕事の経験や
携わった分野の知識をまとめたいという希望だ。
「今の60歳はまだ若く年金も潤沢。人生の総括より、手にした時間で
好きなことを書きたいという欲求の現れでしょう」
 兵庫県の会社員野田祐二さん(57)は昨冬、自伝小説「難破船U」を出版
した。管理職を離れ時間が出来たこともあり、仕事のことや離婚経験を
つづった。「第二の航海に乗り出す同世代へのメッセージ」。6月に出す
次作と合わせ費用は300万円だが、退職金をあてこみ「5作、10作と書き
続ける」という。
282無名草子さん:2007/04/30(月) 17:12:53
(続き。その3)

異業種からの参入

 業界には大商機だ。作品持ち込み件数が昨秋ごろから3-5割増しという
大手の文芸社(東京)は、出版説明会を月1回から毎週に増やした。
昨年、島倉千代子さんらを選考委員に「人生いろいろ大賞」を設けた
ところ、予想を超える2800人が応募。団塊に的を絞った賞も企画中だ。
 異業種も目をつける。百貨店の三越は出版社と協力し、日本橋本店で
自費出版サービスを始めた。「お得意様の退職後の人生を総合プロ
デュースしたい」(広報担当)
 とはいえ、自費出版本が飛ぶように売れることはあまりない。
「売れる」「有名になれる」などの売り文句で高額の出版費用を集め
る会社もあり、後に訴訟に至るケースもある。昨年は出版費用を預かった
まま倒産した例があった。
 NPO法人「日本自費出版ネットワーク」の筑井信明・事務局長(57)は
「自費出版は大手商業出版からこぼれた個人や地域の文化をすくい上げ
発信できる可能性を持つが、様々な業者がおり、その見極めが大事。
自己顕示やその商売利用だけなら、著者にも業界にも発展はない」と
指摘している。
283無名草子さん:2007/04/30(月) 17:15:09
(続きのラスト。以上が今朝の朝日の朝刊からの記事です)

自費出版の心得
*売れると思うな
*出版社の実情や出版社の情報を集めておく
*出版社との契約書をよく読む
*だれに伝えるかを明確に意識した上で書き始める
*もの分かりの良い編集者より、きちんと評価してくれる編集者を活用すべし
(松田京一郎さんによる)

自費出版
印刷・製本を個人などから請け負う業態がほとんどだったが、90年代以降、
通常の商業出版のように取次会社を通じた流通や書店販売をセールス
ポイントとする業者も増え、「協力出版」、「共同出版」などとも呼ばれる。
文芸社の場合、四六判200ページで180万円前後が相場。統一業界団体もなく
正確な実態は分からないが、約120社による「日本自費出版ネットワーク」
によると年間発行は数万点という。