【THE 変態】小谷野敦 11犯【精神的露出狂】

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秀樹先生の噂は彼から本当によく聞きました。彼の両親は彼が高校の頃に既に離婚していたのですが、
彼の研究に気にくわない点があると、あるいは研究どころか例の「体育会系」のノリで彼の精神性やら性格に気にくわないところがあると、
秀樹先生はメールで「これだから片親の育ちはバカだ」などという人格攻撃をおこなうという状況でした。

僕からすれば完全な「アカハラ」だと思ったのですが、それでも3年半のあいだ、彼はひたすら秀樹先生を信じ、
すべては自分のために厳しい言葉をかけてくださっているのだ、それに報いなければならないとコツコツと努力しておりました。

彼は英語の能力はずいぶん高く、研究態度も謙虚でした。

けれど博士2年の後期にはいったころ(2004年の夏頃)から、秀樹先生の彼に対する態度が日に日に悪くなり、
ささいなことで小言を延々に繰り返したり、突然大声でどなったり、すれ違っても彼を無視したり、
また4000字はあろうかというメールでがみがみと研究に対する文句ではなく性格に対する文句を書き連ねたり、
彼もだんだんと精神的に参ってきました。

アルバイト先の塾で彼とは週に2,3回は顔を合わしていたのですが、その頃彼は「しんどい」と繰り返していました。

別に決定的な事件があったわけではないのですが、僕が結婚するということもあって(実際に僕自身は言文を辞めなかったのですが)、
2004年の後期の時点で彼は言文を辞めました。