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ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 :
明らかになった吉村先生の最後について「尊厳死」ではなく「自殺」ではないかと
問題視する向きもあるようだ。
到底無理な話だが、このテーマこそ作品中で一貫して「死」というものを凝視し続けた
「作家吉村昭」にこそ書いて欲しいものであった・・
「関東大震災」は、鬼気迫る第一級のパニック小説とも読める。
特に被服廠跡の惨事の描写は息を呑むばかりの凄惨さがビビッドに伝わって来る。
しかし、直接には大震災には関係しない甘粕憲兵大尉による大杉栄・伊藤野枝殺害事件に
全19章中の2章、14〜15章(文庫本本編284頁中の30頁相当だから
約10分の1のボリュームに相当する)と多くの頁を割き過ぎている感があるのは残念。
前章、13章(震災後の朝鮮人虐殺事件)までの緊迫感に水を差し、違和感も大きいゆえ、
この事件に関しては別立てで書いて欲しかった気がする。